|
Q32
朝日新聞は誤報の「訂正」を出しましたか? A私は、この記事は誤報だという指摘を同年6月15日に朝日の知人に送りました。
誤報を指摘してから1週間後、「やさしい言葉で一緒に考える集団安全保障」(6月22日付朝刊3面)と題する特集記事が掲載されました。大きな扱いです、最初の部分を紹介しておきます。 〈他国を守るために戦争に加わる集団的自衛権の行使に向けて、安倍晋三首相たちが議論を進めていくなかで、今度は「集団安全保障」という考え方が焦点になってきました。耳慣れない言葉ですが、日本が他の国と集団安全保障に加わって「武力の行使」をする、ということが問題になっているのです。ますます複雑ですね。そこで今回は、集団安全保障と武力の行使について、言葉の意味をわかりやすく解きほぐします。みなさんがこの問題を考える材料になればと考えています。
どんな意味?「仲良く助け合い国際貢献する」と「みんなで戦って懲らしめる」の2種類ある Q今回、安倍首相は集団的自衛権を使いたいといって議論しているはずだったよね。集団安全保障の考えはいつ出てきたの?
A自民党が、6月20日の公明党との話し合いのなかで言った。でもその前から、政府は集団安全保障をより広く使いたいと考えていた。17日、与党に示した閣議決定の原案にも集団安全保障の話が出てきます。
Qちょっと待って。17日に出てきた集団安全保障と、20日に出てきた集団安全保障は違うものなの?
A政府の言う「武力の行使」を伴うかどうかだね。
Q武力の行使って戦争に加わることだったっけ。 Aそう。戦争をしない集団安全保障は「仲良く助け合って国際貢献をする」と言える。こちらには、すでに日本は参加している。たとえばイラク戦争。自衛隊はイラクに行ったけど、非戦闘地域でだけ活動した。住民に水を補給し、学校や道路をつくったんだ。国連による平和維持活動(PKO)に加わってきたのもこのパターンだ。(後略)〉
こんな感じで、この日の第3面の大特集は続いていきます。朝日新聞側は私に対して、この紙面をもって「回答」しようとしたことは間違いありません。一見、わかりやすくしたように見えますが、「戦争をしない集団安全保障は『仲良く助け合って国際貢献をする」と言える」はいただけません。武力行使もあるからで、これも誤報になります。 目的は誤報の隠蔽か? それだけではありません。まだ深刻な課題が残っています。この記事は100点満点の20点ほどの答案にすぎないと、厳しく指摘しなければならないと思います。 なぜなら朝日は誤報があった事実に触れておらず、何日の、どういう記事の、どの部分か間違っていたのか、正しくはどのようなことだったのかを、どこにも書いていないからです。これは、しばしば混同されてきた「集団的自衛権」と「集団安全保障」の違いについて、あたかも読者にきちんと伝えようとするかのような姿勢を見せながら、じつは巧妙にみずからの誤報に頬被りをしてしまうという、悪質とさえ言える隠蔽工作です。 少なくとも朝日新聞が合格点をもらうには、「実は朝日新聞も混同による誤報をしました。正しくはこの通りです」と書かなければならない。それがどこにも見当たらないのです。朝日は日本を代表する新聞であり、とくに知的階層から高い支持を得てきました。朝日の記事は、研究者の論文などに引用されることが少なくありません。誤報が訂正されなければ、それを鵜呑みにする研究者は後を絶たず、結果的に「歴史的事実」として定着する恐れさえあるのです。 日本の安全保障研究はレベルが高いとは言えず、研究者が誤報に気づく割合も高くないことを考えると、朝日新聞の責任は大きいと思います。 ジャーナリズムの使命は、正確な歴史を編んでいくところにもあります。新聞倫理綱領も「新聞は歴史の記録者」と謳っています。朝日新聞は誤報を恥として隠蔽せず、歴史に対する責任として紙面に反映させるべきです。その訂正記事の欄が定着するほどに、朝日新聞への読者の信頼は増し、影響力も強まるでしょう。 |

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用





