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Q34
朝日以外の新聞記事はどうでしようか? A
読売新聞の記事にも、首をかしげざるをえないものがありました。7月1日付4面の解説コーナー「集団安保を認めないと」の以下の記述ですが、「集団安保を一切認めない場合どのような弊害があるのか?の問いに続く回答は、どのように考えてもおかしいのです。まずは記事をご覧くださ。い。 〈Q集団安全保障とは。 A他国を侵略した国などに対し、国連などの多国間の枠組みが制裁を加える仕組みだ。国連の場合、制裁には安全保障理事会の決議が必要となる。
Q集団安保を一切認めない場合、どのような弊害があるのか。 A国連憲章は、「安全保障理事会が平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」に限り、個別的、集団的自衛権の行使を認めている。
仮に日本が直接武力攻撃を受けて個別的自衛権を行使していても、安保理決議が出た後は、国際的には、自衛隊の武力行使は集団安保に基づく制裁という位置付けになる。集団安保を一切認めないという立場を取った場合、自衛隊は日本の防衛を途中でやめなければならないことになる。集団的自衛権でも、憲法上は許される活動が同様の理由で停止を迫られることになる。〉 どのようにおかしいかは、具体的なケースをもとに考えれば明らかになります。
まず、日本が攻撃を受けた場合、日本は個別的自衛権を行使して防衛戦闘を行いますし、同盟国のアメリカも日米安保条約第5条(日本の防衛)、第6条(施設・区域の提供)を適用するだけでなく、当然ながら、集団的自衛権の行使として日本の安全を図るために武力を行使することになります。 このような場合、安保理決議が出て集団安全保障の措置が講じられたとしても、日本に対する攻撃が続いている間は「安全保障理事会が平和及び安全の維持に必要な措置」がとられていないわけですから、日本が個別的自衛権を、アメリカが集団的自衛権を行使することは、集団安全保障に関する国連の安保理決議と矛盾するものではありません。 したがって、集団安全保障への参加を認めるかどうかに関わりなく、読売新聞の記事にあるような自衛隊は日本の防衛を途中でやめなければならないことになる。集団的自衛権でも、憲法上は許される活動が同様の理由で停止を迫られることになる」という事態は起こりえないのです。 この読売新聞の記事もまた、しゃにむに集団安全保障への参加容認に世論を誘導したいという音心図が透けて見えます。その点、反対の立場にしがみついた印象の朝日新聞と対極をなしていますが、現実を踏まえない上っ面だけの理解から、「誤報」と同様の記事を掲載した点では同罪です。ジャーナリズムとして、責任は免れないと考えます。 東京新聞の大誤報 朝日新聞以上に集団的自衛権に反対してきた東京新聞でも、「離れて展開する米国艦船の防護はできない」という記事がひどい誤報でした。疑問を抱いた同僚の西恭之氏は、次のように述べています。 * 〈安倍首相は集団的自衛権の行使が必要な事例として、武力攻撃を受けている米艦の防護、日本近隣の有事で近隣国が弾道ミサイルの発射準備に入った際の米艦の防護、米本土が武力攻撃を受け、日本近隣で作戦を行う米艦の防護、などを挙げました。敵の対艦ミサイルが米艦を狙うことが前提となっています。 共同行動する艦船はふつう、目視できないほどの距離に展開しますが、現行の憲法解釈の下では、自衛艦が米艦船を防護することができるのは、自衛艦と米艦船が接近している例外的な運用場面に限られるので、安倍首相は憲法解釈の変更が必要になるとしています。 この安倍首相が挙げた事例については、主に反対派から「目視できないほどの距離に展開した米艦船を自衛艦が防護するのは技術的に不可能」との指摘が出ています。 「水平線の向こう(略)ほど距離が離れていれば、米艦に対するミサイルや魚雷による攻撃を自衛艦が防護するのは技術的に不可能だという指摘もされています」(5月10日付けしんぶん赤旗「主張」) 「対艦ミサイルに狙われた艦艇はレーダー照射を受けるので逆探知して防御できますが、離れた地点の艦艇による迎撃は現在の技術では不可能なのです。(略)イージス艦なら仰撃可能ですが、日本には六隻しかありません。米国は八十四隻保有し、横須賀基地に九隼配備しています。艦隊防護は米軍の『基本中の基本』なので、自衛隊任せにして米軍は白らの艦隊を守らないなんてことはありません」(5月20日付け東京新聞「半田滋編集委員のまるわかり集団的自衛権米艦艇防護は非現実的」) しんぶん赤旗は意見を紹介したに過ぎませんが、東京新聞は専門用語を使ってあたかも正確に見えながら、誤報になっている点が問題なのです。 この主張は、自衛隊の能力について無知なばかりか、日米による「ネットワーク中心の戦い(NCW)」をまったく知らない結果でしかありません。 50年前の装備を知らない愚劣
東京新聞の記事についているイメージ図によると、自衛艦は15キロ離れた米艦に向かうミサイルを探知する能力がないことになっていますが、これは全くの事実誤認です。対艦ミサイルを水平線の向こうで迎撃する艦隊防空システムは、米海軍が1950年代に開発し、1965年には既に護衛艦「あまつかぜ」にも配備されていました。これは現代の海軍の基本的な機能であり、自衛隊の能力についても、あまりにも無知というしかありません。 海上自衛隊は現在、離れて展開した艦船を防護する能力のある護衛艦を、イージス艦6隻のほか、はたかぜ型2隻、あきづき型4隻の合計12隻、保有しています。アメリカがイージス艦を84隻保有しているといっても、日本周辺に直ちに集中できる数は少ないので、上記の艦船防護能力を持つ海上自衛隊のミサイル護衛艦は頼りになる存在です。 そうしたミサイル防護能力の中核となるイージスシステムは、初期型が1983年に配備されて以来、一貫して改良が施されており、最新型(べースライン7)は、アメリカのアーレイ・バーク級駆逐艦22隻、海上自衛隊のあたご型護衛艦2隻などに搭載されています。 べースライン7が備えている共同交戦能力(CEC)は、センサー機能、意思決定、攻撃力をつなげて戦闘力を増大するネットワーク中心の戦い(NCW)を、米海軍と同盟国海軍の間で実現するものです。 具体的には、自らのレーダーが探知していない脅威であっても、それに向けて迎撃ミサイルを発射したり、他の艦艇が発射したミサイルについても誘導したりする能力を備えており、それによって艦隊全体で共同して脅威を迎撃するシステムです。 共同交戦能力を備えた艦艇や航空機は、互いのレーダーを共有する形になるので、護衛の対象から遠くに展開するほうが、つまりレーダi覆域が重ならないぎりぎりまで展開する方が、艦隊全体のレーダー覆域が広がり、より遠方で脅威を迎撃することができるというわけなのです。 米海軍の他のイージス艦、空母、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦、E2C/D早期警戒機も共同交戦能力を備えています。航空自衛隊のE2Cも、米海軍機と同じレベルに近代化改修されています。 米海軍は、アフガニスタンやイラクで戦争を戦う間に航空攻撃能力の拡充に忙殺され、「基本中の基本」である制海(艦隊防護)能力をおろそかにしてきたという反省があります。その間に、中国の対艦ミサイル戦力が激増したのではないかという危機感さえ抱いているのです。ネットワーク中心の戦いは、その米海軍が自衛隊とともに中国軍を再び引き離すための切り札となっているのです。〉 * 西恭之氏の指摘は、私自身も「人の振り見てわが振り直せ」といわれているようで、耳の痛いものでしたが、勉強を怠らず、誤りに気がついたら訂正するのがジャーナリズムの基本だということを思い起こしたいものです。 |

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