すべてが猫になる

梅雨で地面きのこだらけ。。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全456ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

イメージ 1

津原泰水著。ハヤカワ文庫JA。

「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラーJJは、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、あるプロジェクトを始動する。疑心に駆られながらも外界と関わろうとする4人だったが、プロジェクトは予想もしない展開を見せる。果たしてJJの目的は金か、悪意か、それとも?現代最高の小説家による新たな傑作。(裏表紙引用)



本が好きな方なら、津原さんと幻冬舎さんとのあの騒動はまだ記憶に新しいだろう。帯にある編集者塩澤氏による「この本が売れなかったら、私は編集者を辞めます」。少々乱暴とも思えるこのインパクト満点の惹句に津原文学への強い思い入れを感じ、堂々と乗せられた私は購入した。小説に対する好悪は人それぞれとして、実に立派な態度だと思う。まあ、これだけ話題になったら売れるだろうから安心していい。

前置きはさておき、内容。
この物語の主役となっているのはヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー、竺原丈吉(JJ)であるが、真の主役は登場するヒキコモリたちである。パセリ、セージ、タイム、ローズマリーというHNの彼らは全員事情も年齢も性格も特技も違う。その彼らがJJの引き合わせによりネット上一堂に会し、「不気味の谷を越えよう」というのが物語の主旨。

目的は一貫していないし、謎のハッカージェリーフィッシュが登場してから物語は破綻していくのだが…。人間と見紛うCG、故意に作成したウイルスなど、やっていることは不可解ながらも不思議と嫌な気はしない。清々しい彼らの門出、「続けろ!」という強めの幕引きにも、笑ってしまうほどの生命力が漲っていた。不条理な世界観の中にも現実に即した独自の目線があるのもいい。ヒキコモリを津原さんが描くとこうなる。

開く コメント(0)

イメージ 1

湊かなえ著。新潮文庫。

五歳のとき双子の妹・毬絵は死んだ。生き残ったのは姉の雪絵―。奪われた人生を取り戻すため、わたしは今、あの場所に向かう(「楽園」)。思い出すのはいつも、最後に見たあの人の顔、取り消せない自分の言葉、守れなかった小さな命。あの日に今も、囚われている(「約束」)。誰にも言えない秘密を抱え、四人が辿り着いた南洋の島。ここからまた、物語は動き始める。喪失と再生を描く号泣ミステリー。(裏表紙引用)



湊さんの文庫新刊は、トンガ王国と日本を舞台とした連作ミステリー。いずれも阪神淡路大震災をテーマにしていて、被災者である4人の女性が代わる代わる語り手となる構成。

この女性4人、いずれも震災による心に深い傷を負っていて、どのお話も「あれがなかったらどうなっていたのだろう」という、逆らえなかった運命への悔しさや悲しさが浮き彫りになっている。日本人なら多くがそうであろうが、正直読んでいて辛いところも多かった。双子の姉妹の片方だけが亡くなってしまい、母親に酷い言葉をぶつけられた「楽園」の雪絵は今までの人生と決別しに。「約束」では国際ボランティア講師の理恵子が独占的な気質の婚約者と別れを決意するために。「太陽」に出てくるシンママの杏子はかつて憧れたボランティアの青年と再会し人生を輝かせるために。そして「絶唱」ではベストセラー作家の千晴が、自身の経験した震災での悔恨を告白。ラストで全てが繋がる仕掛けとなっていて、それぞれ独立していた女性たちのバラバラの人生が、震災を通じて1つの魂となるようだった。

キーパーソンとなるトンガ在住日本人の尚美さんの存在が際立っていたのだと思う。女神とは言わないが、多くの傷ついた人々を救える太陽のような人だったのだろう。あるいはトンガという平和で自然溢れるゆったりとしたお国柄のせいだろうか。

読後に、湊かなえさんが阪神淡路大震災を体験し、実際にトンガへ向かったことを知った。見事に作品に消化していると思う。

開く コメント(2)[NEW]

開く トラックバック(1) [NEW]

イメージ 1

森博嗣著。講談社タイガ。

楽器職人としてドイツに暮らすグアトの元に金髪で碧眼、長身の男が訪れた。日本の古いカタナを背負い、デミアンと名乗る彼は、グアトに「ロイディ」というロボットを探していると語った。彼は軍事用に開発された特殊ウォーカロンで、プロジェクトが頓挫した際、廃棄を免れて逃走。ドイツ情報局によって追われる存在だった。知性を持った兵器・デミアンは、何を求めるのか? (裏表紙引用)



WWシリーズ〜新シリーズ始動!!ぱちぱちぱち。

……って、グアトとロジ、絶対ハギリとウグイやん。結婚してる!わーい。てかなんで楽器職人やねん。引退?してドイツに移住したのねえ。

と、いうわけで前Wシリーズの完全なる続編。なので少なくとも前シリーズ(全シリーズが理想だが最低でも「すべてがFになる」を)を読んでいないと全く分からないと思われる。前回より50年〜100年ほど未来なのかな?しかし設定も世界観も変化はない。そりゃそうか。テクノロジーの進歩が少しあるくらい。今回グアトたちの前に現れたウォーカロン(ロボット?)、デミアンがロイディを探していて、ナクチュの王子の頭脳がデミアンに移植されてるのか、ってことで今回もあっちにこっちにドタバタ。「すべF」の事件がここにまた濃密に繋がってくる。人間の身体の存在理由やウォーカロンはどこまで人間の意識と絡んでくるか、ってあたりまだまだ伸びしろありそう。デミアンの正体にビックリだけどどうなるのかな〜。

まあ、そんなことよりキャラクターの関係性や会話にしかファンは興味がないというところも代わりばえなさそう。あと9作は出るはず、楽しみ。

開く コメント(0)

イメージ 1

京極夏彦著。新潮文庫。

昭和二十九年八月、是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(裏表紙引用)




百鬼夜行シリーズスピンオフあっちゃん版第3弾。

高尾山で消息を絶った友人を探して欲しいと薔薇十字探偵社を訪れた代議士の娘・美弥子。そこで偶然美弥子に見初められてしまった美由紀は、二人で高尾山へ。しかし山中何者かが掘ったとおぼしき落とし穴に美弥子ともども落ちてしまった。一方敦子は連続で発生する女性失踪事件との関連を美由紀と共に推理する。

延々と、落とし穴の中で熱弁をふるうお嬢様・美弥子。男女平等や貴賎上下についての持論を展開する内容がほぼ半分を占めていて天狗があまり噛み合わない。傲慢さと天狗の掛け合いは見られるものの、いつもの妖怪薀蓄を期待する向きには少し残念。事件のほうは複数人による衣装交換がかなり複雑に入り組んで、しっかり読んでいたつもりの自分でも途中でだんだん考えを放棄したくなってきた。。真相のほうはと言えば犯人がかなりの下衆の下衆で、こりゃなんのコントだと言いたいぐらいの下劣描写。まあでも、現代でさえ、偏見や差別を心に潜ませている人間は居なくなっていないと感じるからなあ。大きな声で恥ずかしいことを言えなくなっただけで。自分だってそんな気持ちがゼロとは言えない。そんな展開の中、やはり美由紀の啖呵は気持ちがいい。

いや、いいんだけど…。百鬼夜行色は1番薄いかな。これなら本編のほうに力を出して下さいよと思っても罰は当たらないよねえ。

開く コメント(0)

イメージ 1

平山夢明著。集英社。

〈あむんぜんの頭の中身を見てみよう〉と、アックンに云われたのは体育祭が終わってすぐのことだった。――「あむんぜん」 “一発ウンゲロってみるか?”“うんげろって、なんですか?”――「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」 アイドルヲタク・サブローが、己のすべてを懸けて“ヤブサカ69”の治安維持活動に励む!――「ヲタポリス」 この物語は絶望か、希望か。 全6話収録の短編集。 著者入魂、空前絶後の脳捻転小説。(紹介文引用)



平山さんの新刊。帯からしてスゴイな…。相変わらずぶっ飛んでるどころか、まだまだ進化しているあたり並の作家ではないことがわかる。

「GangBang The Chimpanzee」
獣缶動物園のチンパンジーに〇門を〇〇された営業マンのチンイチ。数度にわたる被害にも関わらず園長は責任逃れ、世間には批判の嵐。一篇目からすごい内容。そもそも名前……。息子に鼓舞されて自分で問題を解決しようとする熱い男の話ってことでいいのか。

「あむんぜん」
靴屋「あむんぜん」の息子のアダ名があむんぜん。昔交通事故で頭を大怪我してしまったあむんぜんだが、カツラを取るとフタのない海鮮丼のような脳が…そして目覚める超能力……。なんだこれ。特徴のある子どもがいると、必ずジャイアンみたいな子どもの餌食になるんだなあ。これはリベンジ成功ってことで喜べばいいのか。それにしても卒業証書欲しかったのか……。

「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」
はい、スカトロ、食糞。おげぇ。なんつうもんを描くんだ…。発想もそうだけど、こんだけ気持ち悪いものを描けてしまう精神力に私は脱帽だよ。。タイトルの意味が分からなかったが。おげれつながらも、底辺まで堕ちてしまった男女の絆を感じて少し感動してしまった。いいのかそれ。

「あんにゅい野郎のおぬるい壁」
タイトル……。ヤクザの下っ端の仕事ネタって必ずお下なんだろうか。。〇〇を煮詰めてドラッグを掻き出す仕事て…死んだほうがマシかもしれん。。キクチが連れていた少年と主人公「あなた」との信頼関係がいい。

「報恩捜査官夕鶴」
名前言い終わるのに2時間半かかるっていう最初のネタ、いる?(笑)。ブルーシートに入って事件を解決する美人捜査官「おつう」と、夫になったうだつの上がらない警視庁刑事。ブルーシートの中でまさか被害者の〇〇を舐めていたとは……。ツッコミは置いといて、なんかSF展開になったのは笑った。上司たちに復讐できて爽快……な、わけがない。

「ヲタポリス」
地下アイドルのヲタをしているサブローの精神崩壊物語……。かわどぷゅリン読みにくいぞこら。。〇〇〇を売れば再結成とかグミの1番人気のない色とかいちいちおもろいが、家族や他の人に迷惑かけまくってきた割に救いのある結末…の、ように感じられなくもない。

以上。
めちゃんこ面白いのは変わらず。更にパワーアップしてる気がする…。糞とか腸とかアイテムが汚いのに、いや、だからこそ登場人物がギリギリ必死で生きてるというか。時々、人と人の「愛」を感じられるんだなあ。この要素がないと、天下の集英社がよくこれを出したなってなると思うんだけど。

開く コメント(4)

全456ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事