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松尾由美著。創元推理文庫。

アルバイトをしながら、自分を見つめ直している佐多くんは、あるお屋敷で、突然やってきた一匹の猫とその秘書だという男に出会う。実業家のA・ニャンと紹介されたその猫が、過去に屋敷で起こった変死事件を解き明かす?!って、ニャーニャー鳴くのを通訳しているようだが本当?次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわす青年の姿を描いた連作ミステリ。文庫オリジナルだニャ。(裏表紙引用)



なにこれ面白い。

松尾さん読むの久しぶり。今こういうの描くのねえ。猫好きとしてはスルー出来ないタイトルだったので読んでみたけど期待を超えたかな。

主人公は大学休学中の派遣アルバイト、佐多。彼の職場や行く先々で必ず出会うのは猫のニャン氏とその秘書丸山。ニャン氏の本名アロイシャス・ニャンは実業家で、童話作家でもある。猫語を解する丸山氏に通訳をさせ、事件を推理し解決していく凄い頭脳の持ち主……って、何書いてんだわたし。

面白いな〜と思ったのは、どの登場人物もニャン氏のことを疑問に思わない、受け入れてしまうところ。全員が全員そうだったらツッコミどころ満載だけど、主人公佐多だけは心の中でツッコミまくっているという。これが触媒となっていて笑えるんだろうな。
ニャン氏の通訳のときだけ真顔で語尾に「ニャ」を付ける丸山イカす…。実は丸山さんが推理してるんじゃないの?と思うこともしばしば。たまにメイドの来栖や佐多も推理をする。執事やメイド、動物が推理をするっていうのは斬新ではないかもしれないけど、設定が絶妙なので新しく感じる。

それに対して、ミステリー的には「今さらそれ?」というトリックがチラホラ。あと主人公の佐多にあまり魅力がなかったかな。元カノに「気概が感じられない」とか求めるものが高度だな〜って思うし、その割に自分は恵まれた環境にいながら子どもっぽい反抗してるもんなあ。で、結局やるんかい。わたしとしては、ニャン氏の申し出の方を受けて欲しかった。続編出てるの知ってるから、そのほうが話が膨らんだんじゃないかなあと思ったんだけど。すぐ次も読もう(気に入ってる)。

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京極夏彦著。新潮文庫。

「死にたいん―です」「なら死ねよ」。娘を亡くし、妻だった人に去られ、十五年勤めた会社を解雇された。全てを失い彷徨していた尾田慎吾は、雨の夜、自殺を図る見知らぬ女にそう告げた。同日、旧友荻野と再会する。彼は、情、欲望、執着を持たぬ慎吾を見込んで、宗教を仕事にしないかと持ちかける。謎めいた荒れ寺に集いし破綻者たち。仏も神も人間ではない。超・宗教エンタテインメント。(裏表紙引用)



京極さんの新シリーズ。何がどうシリーズなのかイマイチ把握できないが、(「ヒトごろし」とは違うのかな?)まあ面白かった。

宗教小説だと言うから、一般人が教祖に成り上がっていく話なのかと想像したら全く違った。そりゃそうだ、京極さんだもの。

主人公の尾田は、娘を亡くしても泣くことも悲しむことも上手にできない。そんな夫に業を煮やした妻は尾田に離婚をつきつけ、上の娘とも自分とも一切接触しないという念書を夫に書かせる。呆然と無気力化した尾田は仕事もクビになり、家も失い、街を放浪する。その時に出会った自殺願望のある危ない女・塚本に見初められ付きまとわれる。元同級生の荻野と再会したことが縁で、大金持ちの塚本を利用した犯罪事に関わることになるが――という話。

荻野が新興宗教を作るのかと思ったが、実は荻野が寺の息子だったというのがキモ。ヤクザまがいの少年が目の前でヤクザを刺殺したことからその死体を登場人物全員で隠蔽しようとするというとんでもない展開に。荻野の祖父もかなりイってしまってるなあ。誰も通報しないっていう。実際には尾田がいかに人でなしかを自分で考察し周りの人間に訴えるのだけど、伝えたいことと違うふうに全て伝わるのが面白い。尾田は人生を諦観し自暴自棄になっている風なんだけど、周りは尾田の自説を聞くと「尾田さまー!」みたいな感覚が芽生える、そういう効用があるというか。。自殺を踏みとどまる者も二名ばかりいるし。自殺願望のある人が死ねとか人を殺した人がどうでもいいとか言われると逆に「あれ?」ってなっちゃうもんなのかな。尾田の価値観は本当に人でなしで、ひどいなあと思うものではあるのだけど…正直、わからんでもないなと思うところもあった。人って皆そうなのかなあ。我が身となると、どこか内心冷めてたり。。腹の中で結構人でなしな事を思うことが多い自分には、「人間ってそういうもの」「実はみんなそう」だということにしたほうが安心だってことなのかも。尾田に言わせると、こういうことに拘ることがまだダメなんだろうけどね。

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ドット・ハチソン著。辻早苗訳。創元推理文庫。

FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女はある男に拉致軟禁された10名以上の女性とともに警察に保護された。彼女の口から、蝶が飛びかう楽園のような温室〈ガーデン〉と、犯人の〈庭師〉に支配されていく女性たちの様子が語られるにつれ、凄惨な事件に慣れているはずの捜査官たちが怖気だっていく。美しい地獄で一体何があったのか? おぞましすぎる世界の真実を知りたくないのに、ページをめくる手が止まらない――。一気読み必至、究極のサスペンス! (裏表紙引用)

蝶のいた庭


2019年「このミステリーがすごい!」第9位の作品。

舞台はアメリカ。本名も素性もわからない「庭師」と呼ばれる富豪の男が、数年間10代の女性を誘拐し、自宅にある「ガーデン」と呼ばれる温室に何年も軟禁し続けていたという恐ろしい話。彼女たちは背中に蝶の刺青を入れられ、暴行され、21歳の消費期限が来ると殺されガラス樹脂漬けにされる。庭師の長男は凶暴な性格で、彼女たちを好きに暴行し時には半死半生のケガを負わせる。次男は臆病で少女たちに興味を持つが通報する意志がない。。

書いててウンザリしてくるような内容。作品はガーデンが崩壊し庭師が瀕死の重態、少女たちが燃え盛るガーデンから救出された「その後」の、FBI捜査官ヴィクターによる聞き取り調査から始まるのが救い。時系列から逆行し、少女の話がなかなか進まず確信に迫らないところがもどかしいな。ヴィクターたちの「そういう話が聞きたいんじゃない」って気持ちがよくわかる。しかし話が進むにつれ、ガーデンの狂気がみるみる明かされていって引き込まれる。

この小説の特徴は、このなんともいえない淫靡な幻想感だと思う。悲惨な事件を、少女の語り口でひょっとしたら美しいとまで感じる世界観で表現しているなと。それでも充分庭師や長男、次男にはいらいらするし殺意もおぼえるのだが。庭師は当たり前だが、凶暴な長男より次男のほうが嫌いだった。知ってるのに、いけないと思っているくせに通報する勇気がない人間ほど腹立たしいものはないと思う。少女たちがある程度の自由を許されていたというのに驚愕。監禁って鎖で繋がれてろくに食事も…みたいなイメージがあるけれど、少女たちはちゃんと服も食事も適切に与えられ本を読む権利もある。一種の諦めなんだろうが、少女たちが皆協力し合い姉妹のように生活しているのが違和感ありあり(派閥はあるが)。だから逆に恐ろしかった。

ランキング本上位の作品群と比べても遜色ないほどの面白さだったと思うが…9位に甘んじたのは作品が特徴的で好みが分かれるからなのかな。

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恩田陸著。幻冬舎文庫。

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。(上巻裏表紙引用)

蜜蜂と遠雷

フラっと入った神戸のジュンク堂の新刊コーナーに積んであったから「うををいつの間に!」と速攻レジへ持って行った。良かった、上中下巻じゃなくて。

ということで今さら私がストーリーを説明したりどこがどう凄かったかとか述べる必要は全くなさそうだが…。同じこと書こうかな。
クラシックは聴かないけど一応ピアノはかじったことがあるのでその末端としても、音楽を愛する1人としても、そして一介の本好きとしても、この作品はとても良かった。演奏の凄さや感動を文章だけで説明するのは難儀なのではないかと思うけれど、恩田さんの持つ豊かでバラエティに富んだ文章がそれを可能にしていた。演奏シーンがとにかく多い作品であり、曲は変わるとはいえ同じコンテスタント(この言い方も初めて知った)がピアノという同じ楽器を同じ場所で弾くシーンがたくさんあるのだが、そのたびに手を変え比喩を変えその音を表現する。こんなことが出来る作家はひと握りだろう。おかげで全く飽きることもなく、その音に至福を感じそのダイナミックさ、繊細さに身を委ねることができた。

それぞれのコンテスタント一人一人もとても生き生きしていて良かった。巨匠に師事し、養蜂家の息子としてピアノのない家庭に育つも天才的感性と技術で彗星のように現れた風間塵。かつてCDデビューを果たし神童として騒がれるも母の死を境にステージをドタキャンした過去を持つ亜夜。ペルー日系3世でどんな楽器も弾きこなしアスリートでもあるマサル。テレビ取材を受けながら臨むのは妻子持ちで会社員、コンテスタント最年長の明石。誰が好き?と言われても「全員好き!」と答えてしまうであろう天才たち。(でもマサルの実写だけは見てみたい)お互いがお互いを刺激し合い、人間としても音楽家としても高め合っていくには挫折も不安もあった。しかし、このコンテストで彼らは成長した。天才には天才の苦悩があるし、天才でなくともここまでの高みにまで登りつめることもまた才能だったのではないだろうか。誰が優勝しても文句のない完璧なエンディングだった。

付け足しになるが、個人的には「音楽は天才だけでなくみんなのもの」「クラシックに限らずどんな音楽ジャンルでも素晴らしいもの」だという解釈が含まれていたのが多分に良かった。

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碧野圭著。PHP文芸文庫。

彩加が取手の駅中書店の店長になってから一年半、ようやく仕事が軌道に乗り始めたと感じていたところ、本社から突然の閉店を告げられる。一方、編集者の伸光は担当作品『鋼と銀の雨が降る』のアニメ化が決定して喜ぶものの、思わぬトラブル続きとなり……。逆境の中で、自分が働く意味、進むべき道について、悩む二人が見出した答えとは。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第六弾。文庫書き下ろし。(裏表紙引用)



シリーズ第6弾。

今回は彩加と伸光主役回。

彩加は張り切っていたエキナカ書店が閉店、人生の岐路に立たされる。ラノベのスターを発掘したりバイトを育てたりと堅実にやってきた彩加の店が、上の意向なんてものであっさりと潰されてしまう。やはり店長であろうとカリスマであろうと、書店員も一介の会社員なのだと思い知るなあ。現場の努力なんて知りもせずに。しかし上には上の、会社を伸ばさなければいけないという責任があるわけで。そのへんの葛藤は読んでいて辛かった。

一方の伸光は、自社の作品がアニメ化されてんてこ舞い。忙しくなったり、作者やアニメーターなどの間で揉まれるのは想像つくけれども…。身体壊すほど追い詰められて、そこまで仕事に根を詰めなくても…と読んでいて胸が締め付けられる。好きを仕事にするって大変なこともたくさんあるな。

長きにわたるシリーズものとしては、彩加たちの今後を見守って行くのが使命となりつつある。



中学の読書クラブの顧問として、生徒たちのビブリオバトル開催を手伝う愛奈。故郷の沼津に戻り、ブックカフェの開業に挑む彩加。仙台の歴史ある書店の閉店騒動の渦中にいる理子。そして亜紀は吉祥寺に戻り…。それでも本と本屋が好きだから、四人の「書店ガール」たちは、今日も特別な一冊を手渡し続ける。すべての働く人に送る、書店を舞台としたお仕事エンタテインメント、ついに完結! (裏表紙引用)



と、いうわけで面白すぎて一気にラストスパート。いよいよ最終巻。

今までの女性登場人物4人が代わる代わる「その後」を紡いで行く。愛奈は司書として、教師として、ビブリオバトルに関わるなど頑張ってる様子。まあ、この子は問題ないだろうということでサラっと。(書店員じゃなくなった愛奈にあんま興味がなくなっちゃった^^;)

彩加は駅ナカ書店閉店に伴い、地元で大田とトルコパン兼本屋を経営することに。まあ、第二の人生としては面白いスタートかと。しかし地元の友だちめんどくさいな。勝手に劣等感持たれても。。でも狭い地域でずっと商売していくのなら、そういうのも含めて大事にしていかなきゃいけないんだろうな。私にはムリだ、逃げられない人間関係って。

理子の回が1番アツかった。伝統ある櫂文堂書店を守るために、上と下に挟まれて身動き取れないって感じ。「想い」だけで続けられるほど甘くないのが今の書店業界。どっちの言い分も分かるけど、エリアマネージャーとはいえただの会社員の理子に抗う術はないよね。一生懸命動いていたのが理子ではなく沢村の方だった、というのがちょっとね。昔の理子ならもっとがむしゃらだったのかもしれない。でも私の年齢でこれを読むなら理子に1番共感しやすいかな。

最後の亜紀の回はすごくページも少なくてあっさり。亜紀はもうおさまるところにおさまってるからねえ。順調そうでなにより。

出来れば10巻20巻と続けて欲しかったこのシリーズ。現実にこんな書店員さんいるのか?という疑問はさておき、いやだからこそ、書店という地味な舞台に夢を与えてくれた作品だったと思う。ありがとう書店ガール。

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