すべてが猫になる

期限があると読書ペースが上がる(はっけん)。

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有栖川有栖著。講談社文庫。

日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺されたのか―。有栖川作品の中核を成す傑作「火村シリーズ」第一作を新装化。 (裏表紙引用)


理由はないが無性に火村シリーズを極めたくなったので第一弾である本書の新装版を読んでみた。記事によると初読はなんとブログ開設年の2005年。堂々と言うが登場人物、トリック、犯人、全て内容は銀河の彼方である。


驚いたのだが、火村さん最初の事件である本書から現行作品まで、全く雰囲気が同じである。変えてある設定もないようだし。永遠の34歳のはずの2人が本書では32歳としてあるので、ここから現在まで2年経過したことになる(笑)。アリスと火村さんとの出会いってこんなふうだったのか〜(初読ふうに)。火村さんのパーソナル的な情報もほぼここで明かされていたのね。両親が数年前他界したとか日本中を転々として育ったらしいこととか。キメ台詞の「人を殺したいと思ったことがある」は既にここにあった。


内容は、この作品ってこんなにベタな本格推理ものだったのだなと。作家や編集者が別荘に集められ、外部との行き来を絶たれ、密室殺人が起き…というやつ。別荘をウロウロする火傷の痕のある男、つくはずのない裏口の足跡、暖炉に上半身だけ突っ込まれた二つの死体…。ワクワクしますな。犯人の意外性はないが、密室と銘打ってあるだけにやはりトリックが読みどころ。暖炉と密室の理由づけが凄い。靴のワインやらぬいぐるみ爆弾やら、装飾過多な面もあるが充分差し引けるだけのロジックの完成度かと。それに加えて人間の感情の機微や情感を味わえるのが有栖川作品の魅力なので、どちらに振れても満足のいく秀作だと思う。

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