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梅雨で地面きのこだらけ。。

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柚木麻子著。文春文庫。

結婚して三年ほどの三十歳の主婦、初美。編集者の夫とは仲が良く、優しい彼に不満はないが、夜の営みが間遠に。欲求不満で同級生の男と浮気をしそうになったり、義弟に妄想、浪人生を誘惑、果ては乳房を触診する女医にまで発情する始末。夫婦はエロさから遠ざかる?幸せとセックスレスの両立は難しい? (裏表紙引用)


奥様はクレイジーフルーツ


柚木さんの文庫新刊は、なんとセックスレス夫婦がテーマ。

ジュエリーデザイナーの初美は、女性誌の編集者である夫と結婚3年目。誰からも羨まれる仲良し夫婦だが、夫は忙しさにかまけて全く初美を性の対象にしてくれなくなった。反して日に日に性欲が増していく初美は、向かいのマンションに住む大学浪人生や乳がん検診をしてくれた女医、果ては義弟にまで性の衝動をおぼえるようになってしまった。。。

いやはや。「まったくわからん!」という所と、「わかりすぎるほどわかる」という所がいい案配に描かれていたなあと。自分の立場なりに思ったこといっぱいあるけど、プライバシーだから書けないよねえ。1番他人に言えない禁断の領域でしょ、この内容。

夫相手に情熱的な性行為を求める初美が異星人に思えたし、誰でも彼でも欲情する初美に呆れるばかりだったけど、これは夫も悪いな。そういう風に見れないって本人に言っちゃダメだと思うし、子どもが欲しいとか言いながら行為をしないってナメてんのかって感じ。疲れてイライラをぶつけてくるとか、ケンカになったときにキレて怒鳴る男って私ムリだわあ。夫はまあ脇役だからアレとして、初美が途中からダイエットにはまって性欲がなくなってしまったのは残念は残念。お話の勢いがなくなってしまったので。初美が勝手に勘違いして発情して最後に梯子を外される展開がいちいち面白かったのにな。ミカンの汁が目に入った初美を膝枕して目薬を差す義弟ってAVでもこんな展開ないだろうと思った。。

結婚によって得たもののほうが何倍も多いけれど、そのせいで手に入らなくなったものの1つが何よりも欲しいものだっていうのも苦しいもんだと思う。あれもこれもはムリよ、やっぱり。

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薬丸岳著。講談社文庫。

中学教師、秋葉が赴任した学校は、いじめも少なく問題を起こす生徒もいないが、長期欠席の生徒数が増え続けていた。元気だった演劇部員の一人が急に不登校になったことに違和感をおぼえる秋葉は、背後に生徒の「自警団」がいると耳にする。姿は見えず絶大な力を持つ、そのグループの実態と真意に、秋葉は迫れるか。衝撃の学校小説。 (裏表紙引用)



うん…。まあまあ。。いつも通りサクサクと読ませてくれたし面白かったんだけど、二日前に読み終わったのかな〜、既に内容が薄れつつある…。

ある中学では一時期から非行やいじめがなくなっていて、でも実はそれは生徒たちによる自警団「ガーディアン」の制圧によるものだった、っていうお話。それに気づきだした、赴任したての教師秋葉やある生徒の保護者が色々と探りを入れてその実態を暴いていくっていう。

いじめや非行がなくなるならばそれは理想だけど、それが恐怖政治によるものや個人に対する制裁が手段ならば間違っていると思う。結局また別の縛りを生み出してるだけだし、個人に個人を裁く権利はないからね。しかもこのやり方が(気に入らない奴や間違っている人間は暴力や脅しで排除しようという)社会に出て通用すると勘違いしちゃわないかな。

着眼点はいいのに内容が浅いかな。っていうのは、提示されているテーマに最初から結論が出ているからだと思う。薬丸さんと言えば、答えのない難しい問題に鋭く切り込む作風が得意のはずなので。

ちなみに夏目刑事が友情出演しているので(ほんの少しだけど)、ファンには嬉しいポイントもあり。

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山本弘著。創元SF文庫。

ライバルの真鶴高校ミステリ研究会と交流試合を行うことになった美心国際学園(BIS)ビブリオバトル部。それぞれ自分のスタイルでバトルに挑むなか、ミステリ研究長の美少女・早乙女寿美歌は巧みな話術とミステリの知識で周囲を圧倒する。だが彼女には、周りに隠し続けている秘密があるようで…。空が初めてコミケを体験する番外編「空の夏休み」を併録したシリーズ第三弾。(裏表紙引用)



うん、結構騙された。

ラストに色々と世界が変わる仕掛けが用意されているのを除けば、安定のビブリオバトルシリーズ。

番外編「空の夏休み」がのっけから収録されているが、空が初めてのコミケ体験(コスプレも)する回ってことでビブリオバトルはなし。コミケってここまですごいことになってるんだ。未知の世界で面白かったけど、終盤の打ち上げと称する「オタクオヤジ連中が特撮を語りまくる」展開にちょっとうんざり。リアルならこれでもいいけど、小説なら心の底から興味がない私のような人を引きつけてこそ意義があると思うんだけどな。最後に青春を語りだす先生は良かったよ。


で、本編。今回は真鶴高校で、「少年少女のためのミステリ・ビブリオバトル」。野外でお弁当持ち寄ってやるのってなんだかいいねえ。でもミステリはネタを割れないので不利だと思うと同時に、SF小説「ひとめあなたに…」を紹介する空がストーリーをオチまで語ってしまっているのに違和感。

今回ミステリということで期待したんだけども、苦手な作家さんや苦手だった本(「毒入りチョコレート事件」)が多かったな〜と。。でも面白いのは選んだ本の内容じゃなくて、寿美歌さんが色々メンバーに悪趣味な罠を仕掛けたりしてるところ。いや、そこまでする!?ってくらい小道具とか伏線とか凝ってて、この人だいぶ変わってるなと。。やはりミステリを愛好するような人間はどこかおか(自粛)。

このシリーズを読んでて思うのは、本なんかなんでもいい、愛が伝われば。ってことかなあ。結局人生を変える本なんてそれぞれ違うんだからね。名作の人もいれば、二番煎じの本がそれである人もいる。だからノンフィクションしか認めない、っていう武人の意識を変えるまではこのシリーズを終えちゃいけないと思うんだ。

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薬丸岳著。角川文庫。

3年前の事件が原因で警察を辞めた朝倉真志は、妻子と別れ自暴自棄な生活を送っていた。ある日、真志の携帯に無言電話がかかってくる。胸騒ぎを覚え元妻の奈緒美に連絡すると、娘の梓が行方不明になっており、やがて誘拐を告げる匿名の電話が入る。梓を取り戻すべく奔走するなかで過去の事件に引き戻されていく真志。誘拐犯の正体は?過去の事件に隠された真実とは?社会派ミステリの旗手による超弩級エンタテインメント! (裏表紙引用)



※黒べる記事です。




薬丸さんどしたの。こんなベタな誘拐エンタテイメント描いちゃって。



警察が街中でこんな拳銃パンパン撃つとかないわーーー

武道館のコンサート後のトイレに3人しか並んでないとかないわーーーー

誘拐は重罪ですよ?こんな動機絶対ないわーーーー特にこういう立場の人間ならなおさらないわーーー


・・・と、始終「ないわーないわー」と思いながらこの480ページもの長編を読み続けるのもナンなので、何かに引っかかるたびにスマホでネット通販を見るなど気持ちを切り替えて頑張ったのだが。正義感の強い、娘を愛する主人公朝倉がなんだかそうは見えないのと、元妻が夫はこういうことをする人間ではないことを見抜けないってどんだけ浅い絆なんだ?という疑問にとことん付き合うハメになった。しょうがないんだけど、誘拐された子どもの保護者たちの心が1つになってないのは辛い。協力者の岸谷と戸田はキャラが立ってて良かったと思うんだけど、いまいち人数が多くて行動がややこしくなってしまっていた。

まあそもそも誘拐ものが好きではないのでそう思うのかもしれないが、身代金を渡すためにあちこち駈けずり回されるシーンがいつまでも続くのに辟易した。誘拐ものの割に梓ちゃんの存在が薄く、過去の死亡事故の謎を解くほうがメインなので、そのへんのメリハリはあったかな。終盤はさすがに読ませる展開で、意外な結末に少しテンションも戻りつつ。でもやっぱこの動機はないだろ。せめてもの、犯人の人物像をもっと掘り下げようよ。警察がゴミすぎて後味も悪いし。。あ、でも、ラストシーンはじんときた。


う〜ん、薬丸作品とは思えない題材だし、彼にしては平凡な作品。これ読むなら過去作再読する方がまだいいわぁ。

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米澤穂信著。集英社。

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!(紹介文引用)


ホノブの新刊。平凡な、高校二年生の図書委員男子二人による、本と鍵にまつわる事件に絡んだ連作ミステリ。

金庫の鍵の暗号を推理したり、美容室のロッカーにまつわる事件を暴いたり、不良生徒にかけられたテスト問題窃盗事件を解決したり。ヒマな図書委員二人に次々と先輩や後輩が「頼みごと」をする。他人の嘘の根底には真っ当なものがあると信じる堀川次郎と、笑顔で近づいてくる人には裏があると考える松倉詩門。米澤作品に必ずはまる、「ちょっと達観した、ちょっと冷めた視線」で人生を捉えている若者の姿が今回も生きていた。少し小市民シリーズに被る気もしたが、キャラクターがあまり立っていないようでいて、実は物語が進むにつれ各々の個性が見えてくる構成だと判明。見事だった。最初は松倉がほぼ探偵役だよなあと思わせて、次郎の能力は別にあり、松倉がそれを引き立てていくという憎い展開。


普通に謎を推理し解決するだけではなく、その問題を依頼した人間にさらに裏の思惑があるというスタイル。それが悪か善かはそれぞれ違うが、ここまで人間の悪を見せつけられ続けると「次のコイツもそうなのだろう」と思ってしまう自分に対して、ちょっとした牽制がある。たとえば自殺した友人が最後に読んでいた本を探す「ない本」。考えすぎかもしれないが、それすらも作者の狙いなのだとしたら。

シリーズにするにはビターすぎる結末かもしれないが、私はここで終わらせていいとは思わない。続編希望。

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