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海外<サ〜ソ>作家

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フェルディナント・フォン・シーラッハ著。酒寄進一訳。創元推理文庫。

新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、自分の祖父同然に思っていた人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そこで明かされた事件の驚くべき背景とは。刑事事件弁護士の著者が描く圧巻の法廷劇!(裏表紙引用)



シーラッハ初の長編。簡潔な文体と短編のイメージしかないシーラッハだが、さて長編となるとどうか(と言っても200ページもないのだが)。動機がわからないイタリア人によるドイツ人殺害事件を新米弁護士が弁護する内容で、やはり文体は無駄なく読みやすい。恩人を殺した相手を弁護しなければいけない苦悩や被害者の孫娘との恋愛関係も描かれていて短編にない肉付けもあり。

簡潔ゆえに、人間が見えてこない。だからこそ浮き彫りになる人間の恐ろしさ不可解さ、その背景。この事件はある歴史的悲劇を頭に踏まえ、当時のドイツの法律の落とし穴を知ることが大事だ。なんと言ってもこの作品をきっかけにドイツの連邦法務省が動いたというのだからこっちのほうがよっぽどフィクションぽい。

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ジェフリー・ディーヴァー著。池田真紀子訳。文春文庫。

バハマで反米活動家の男が殺害された。神業と言うべき超長距離狙撃による暗殺だった。直後、リンカーン・ライムのもとを地方検事補ローレルが訪ねてきた。その暗殺は米国政府諜報機関の仕業で、テロリストとして射殺された男は無実だったという―。非合法の暗殺事件を訴追すべく、ライムとサックスたちは捜査を開始する! (上巻裏表紙引用)


長くかかるかなと思ったけど面白くて読み終えられてしまった^_^;この本から来年扱いといたします。


リンカーン・ライムシリーズ第10弾。あれ?まだそんな?


本作は少し今までと違う状況と展開。反米主義のアメリカ人がバハマで殺害されたため、ライムお得意の「物的証拠」から捜査を進めることが出来ない。そんなわけで、なんとライムが海を渡る。渡るだけじゃなくて海に落ちる^_^;。。四肢麻痺のライム、銃も持てるように。普通の刑事ものなら当たり前にあるシーンが、ライムの場合は絶体絶命のその100倍。普通死んでる。。

悪役にもまたクセがあって、料理好きというのを人殺しに生かしているあたりがゾっとする。事件の肝であるメツガー長官なんて、これもう異常でしょ。よくこんな精神が不安定で長官になれたな。政府がらみの事件ってほんとに奥が深い。

サックスとソリの合わない、ローレル検事補(♀)との絡みが今回はみもの。きっと最後には絆が深まるんだろうなあと期待しつつ。途中まで、本当にこっちもローレル嫌いになりかけてたからね。新キャラのポワティエもライムチームに貢献。この人との関係性がどんどん良くなっていくのもいい。ライムチーム勢ぞろいしてるしね。一番活躍したロナルド・プラスキーが登場人物欄に載ってなくてかわいそう。。

このシリーズはどんでん返しが強みなのと、ライムとサックスはどんなピンチに陥っても死なないという安心感がある。特に今回は意外な真相が4回5回と判明して目がぐるぐる。。過去作に比べると難しめで地味なのでもしやこのままの真相なのでは、と危惧してしまった。いやいやそこはディーヴァーさん、しっかりアッチもコッチもやってくれます。

サックスの関節炎が心配だったけど、最後にああいう決断をするとは。。ライムについてもビックリだけど。天才だから常人と同じように考えてはいけないかもね。2人とも、これでいいと思う。

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フェルディナント・フォン・シーラッハ著。酒寄進一訳。創元推理文庫。

ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位の『犯罪』を凌駕する第二短篇集。(裏表紙引用)



シーラッハ短篇集第2弾。今回も読みやすく、面白い短いお話がたっぷり詰まっている。弁護士である作者が、実経験かのように描かれたその文体と内容で話題となった前作。第2弾である本書は、前作よりさらに人間の暗黒部分を浮き彫りにしている印象になった。言うなれば憎むべき犯罪が裁かれなかったり、殺されるべきでなかった者が悲劇に見舞われ救いがなかったりと、読後感が悪いものが目立つ。そして、日本では考えられないような判決にホッとしたりはたまた歯ぎしりしたり。淡々とした、記録のようなこの文体にそれだけの力があることが不思議だ。

個人的に好きなのは(どれも面白かったが)寄宿学校でのいじめが悲惨な結末を迎える「イルミナティ」、死体写真の運び屋が謎のまま運命の日を迎える「アタッシェケース」、暴行犯と間違えられた男の間抜けさが際立つ「司法当局」、暴力夫から逃れたい妻が選んだ犯罪の罪の行方にハラハラする「清算」

第1弾ほどの衝撃はなかったという意見が目立っていたが、私はこちらのほうがなお自分に合っていた気がする。第3弾が楽しみ。

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セバスチアン・ジャプリゾ著。創元推理文庫。

わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。火事の真相を知るのはわたしだけだというのに記憶を失ってしまった。わたしは本当に皆の言うように大金持ちの伯母から遺産を相続するというミなのか?死んだ娘がミで、わたしはドなのではないのか?わたしは探偵で犯人で被害者で証人なのだ。ミステリ史上燦然と輝く傑作。フランス推理小説大賞受賞作。 (裏表紙引用)



フレンチ・ミステリーの傑作ということで、分かりやすくなったという新訳版を読んでみた。この作品は、「わたしはその事件の探偵です。そして証人です。また被害者です。さらには犯人です。わたしは四人全部なのです。いったいわたしは何者でしょう?」という、人を喰ったキャッチコピーが有名らしい。なんだ、語り手が誰だかわからない作品なら他にも色々あるじゃないか、と思っていたら間違い。本当に結局最後まで誰だかわからないのだから。

作品内では、章ごとに「わたし」のナレーション体であったり、一人称であったり、はたまた三人称であったりもする。その章題も読者の興味を惹く。「わたしは殺してしまうでしょう」「わたしは殺しました」「わたしは殺したかもしれません」「わたしは殺すでしょう」「わたしは殺したのです」「わたしは殺します」「わたしは殺してしまいました」と、他では見られない趣向が見られる。変わったものが好きなら、もうこういう小説を読むこと自体が至福の時間になるかもしれない。

登場人物の愛称が「ミ」「ド」であることに作品の個性づけ以上の理由はなさそうだが、こちらも一風変わった趣きを作品内で出すことに成功している。語れば語るほどわからない、殺人の真相。読みやすいが難解。全ての登場人物が求めるのはお金か愛情か。人間関係の機微を楽しめる、それを真相のヒントにも活用出来る、様々な読み取り方が出来る――。ハッキリしないものが苦手な向きにはオススメしないが、ミステリ好きなら作者の稚気ごと受け入れてみるのも一興だろう。

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フェルディナント・フォン・シーラッハ著。酒寄進一訳。創元推理文庫。

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。──魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作!(裏表紙引用)



初読みシーラッハ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫、ベルリンの刑事事件弁護士だそうな。本屋大賞翻訳部門1位ということで、さてどんなものかと挑戦してみたがなかなか風変わりな作風に1編目から引き込まれた。

著者が弁護士ということで、収められた11の短編は実録なのかと誤解してしまいそうになるが、弁護士には守秘義務があるのでそんなことは不可能である。なので完全な創作だとのこと。語り口がノンフィクションぽい雰囲気もあるにはあるが、柔らかく簡潔に描かれた小説らしい表現力が魅力で、どんでん返しや謎解きがないにも関わらず読ませる力がある。

特に好みだったのは、生涯の愛を誓い合ったカップルが結婚してからというものあれよあれよと憎しみ合い、老いるまで生活を共にしたその結果が恐ろしい「フェーナー氏」、恋人のために身体を売った女がホテルの一室で殺害されていた事件の顛末にホっとする「サマータイム」、羊殺しの青年は、本当に若い娘を殺したのか?狂気と天才は紙一重だと感じる「緑」、絵画『刺を抜く少年』の彼の棘は抜けたのか?がどうしても気になる博物館警備員の話「棘」あたりだろうか。他の作品もあるようなのでぜひ読みたいと思う。

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