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梅雨で地面きのこだらけ。。

海外<サ〜ソ>作家

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シオドア・スタージョン著。ハヤカワ文庫。

悪戯好きの黒人の双生児、生意気な少女、発育不全の赤ん坊、そして言葉さえ知らぬ白痴の青年。かれらは人々から無能力者、厄介者として扱われていた。しかし、世間からつまはじき者にされるかれらこそ、来たるべき人類の鍵を握る存在ーーコンピューター顔負けの頭脳、テレパシー、テレキネシス、テレポーテーションなどの能力をもつ超人だったのだ! 一人一人では半端者として無駄に使用されていた超能力も、五人が結集して手となり足となる時、人類を破滅に導き得るほどの恐ろしき力と化すのであった……。幻想派SFの旗手が描きあげたミュータント・テーマの金字塔!国際幻想文学賞受賞作品。
(裏表紙引用)


「白痴は、黒と灰色の世界に住んでいた。」という衝撃の一行で幕を明けた。
スタージョンの作品は短編集と長編と一冊ずつ読んでいるが、その頃の印象から既に掴みどころのない作家だと思っていた。この作品ではさらにその印象が顕著で、SFというよりダークファンタジーのような第一章の作品世界に心が躍る。乱用される差別用語、終わることのない虐待の雨、人間らしい感情を持たない彼らの救えない倫理観。正常者の視点がほとんどないため、どこへ向かって行く物語なのか、それともやはり答えのないまま破壊して行く哀れみとおかしみの物語なのかがいつまでも判然としない。

第二章「赤ん坊は三つ」からは一転、三歳なのに赤ん坊のままだが神の能力を持つ?者を中心に、進化した白痴のローン、孤独なジャニイ、黒人の双生児ボニイとビーニイの潜在能力が明らかになって行く。第一章で印象的に登場したミス・キューが関わる事により、事態は急激に進展して行く。
そこへ”現在”と思われる位置から、精神病医スターンが登場する。このあたりになると、だんだんテーマが明確になって行く。五人で完璧な人間以上の何かになれる彼らの心の葛藤や、道徳とはなにか、集団の品性とかなにか、そして彼らの知らない”ある感情”を獲得する事により、彼らは何者になるのか。

筋はここまでとして。
意外とおさまるところにおさまってくれて感激した。未完成という判断もアリだと思うが、描いて欲しかったのは彼らの人間らしい感情の覚醒。人間のようなもの、である超能力者達に何が足りないのかは読者にわからないはずはない。奇抜な設定でいてこれは人間そのものに対するスタージョンの警鐘だと思う。でなければ「人間以上」なんてタイトルは付けないだろう。これが愛の礼賛でなくて何だというのだ。


・・・と、小難しい事ばかり考えていたわけではありません。夢中になっただけで^^
一口にSFと言っても色々あるなあ〜、と。こういう幻想的で哲学的なものも好みなので(簡単に言うと、ヘンなやつ)、こっちの方向も色々と読みたいですね^^

                             (374P/読書所要時間4:30)

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ジョン・スコルジー著。ハヤカワ文庫。

ジョン・ペリーは75歳の誕生日にいまは亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入った。しかも、地球には二度と戻れないという条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めないコロニー防衛軍に。銀河の各惑星に植民をはじめた人類を守るためにコロニー防衛軍は、姿形も考え方も全く異質なエイリアンたちと熾烈な戦争を続けている。老人ばかりを入隊させる防衛軍でのジョンの波瀾万丈の冒険を描いた『宇宙の戦士』の21世紀版登場!2006年ジョン・W・キャンベル賞受賞作。(裏表紙引用)


面白い〜〜面白いぃぃ〜〜〜(>▽<)ノ
想像以上に自分好みでした!
マンガみたい。貧困国から老人ばかりを採用し、異星種族との戦争を続ける地球コロニー軍・・!堅苦しい科学考証などは皆無で、ジョン・ペリーをはじめとする「オイボレ団」達がコロニー軍の仰天的規律や超・宇宙技術に取り込まれて行く第一章。ユーモアのある語り口と、派手で個性溢れる上官のキャラクターの狂喜乱舞、読んでいるこちらとしては笑いが止まりません。
先端技術により、75歳以上の老人達がスーパーサイヤ人みたいになって行くのが凄い^^;実年齢と外見や体力のギャップから生じるすったもんだも面白いですねー。
戦争そのものも、異星人とのゲームがあったりして愉快だったりするのですが、わりと人間関係についてはシリアスです。なのに展開が軽すぎると言ってはなんですが。。。科学的に矛盾などがあるところもありそうですが、自分のような初心者にはこれぐらいでないと脳みそから煙が出ます。

それにしても主人公のジョン・ペリーは凄かった。。やり過ぎなくらい心身ともに成長してゆきます。
このへんがマンガと思った由縁なのですが、マンガというよりファンタジーの領域なのかもしれませんね。自分で活躍しすぎたとか言ってますから^^;

ところで、解説によるとこの作品には元ネタがあるようです。ハインラインの「宇宙の戦士」という作品なのだそうですが、こうなるとこちらも必読ですね。個人的には「老人」の要素がツボだったのと、読みやすさに助けられたところもあるので本書の方が好みである予感も。
そしてこのスコルジーさん、著作が三作しかないのか!とショックを受けていたら、結構最近の作家さんなのですね^^;よく聞くタイトルだったので、昔からの名作なのかと勘違いをしておりました。という事はまだまだ新作が出そうですねー。早速コレの続編を注文してみました。ジョンの物語はもうこれで完全になった気がするので、どういう内容なのか楽しみです^^

                             (422P/読書所要時間5:00)

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ロジャー・スカーレット著。論創社。論創海外ミステリ34。

乱歩もその巧妙な手法に魅せられた、アメリカの本格推理作家スカーレット。数少ない作品中、未訳だった最後の一冊が満を持して登場。とある屋敷にて病死する主。その裏でほくそ笑むのは誰だ?未亡人、義姉、主治医、執事、そして親友を名乗る男…。それぞれの横顔が疑惑の影に覆われる。複雑に絡み合った怨念の糸を、ボストン警察のケイン警視が巧みに繙いてゆく。 (あらすじ引用)


ひゃっほぅ!!
完全なタイトル借りなのだけど、大当たりでした!それもそのはず、なんと帯には『乱歩「三角館の恐怖」の原作者』の文字が!アレが乱歩オリジナルじゃないのは大人になってから知ってはいたのだけど、原作までは手を出してなかったのよ〜^^(ちなみに「三角館〜」の原作は「エンジェル家の殺人」)”館もの”専門作家さんなんだって。そして、ロジャー・スカーレットというのはイヴリン・ペイジ氏とドロシー・ブレア氏の合作だそう。これは5作目ということで。

とにかく、ものすご〜〜〜くストレートな正統派本格ミステリ。自分が知っているそれと違うなと思ったのは、登場人物が恐ろしく少ない事と、嘘みたいに読みやすい翻訳、コンパクトな本の薄さ。探偵役が警視というのも面白いですね。何がそんなにツボにはまったかというと、とにかく雰囲気。おどろおどろしい、ってほどではないけれど、外出しない住人、うさんくさい執事、怪しげな医者、一癖ありそうな病気の主人、探偵役を翻弄するつかみどころのない依頼人。館の外観や内装の描写もふるっていて、本格好きにはよだれものです。
友人のローリングが殺されると予言する依頼人のファラデーの言葉を疑いながらも、ローリング邸に下宿を始めるケインがいいですねー。窓から出ていたはずの「空室あり」の広告や、ケイン宛に送られて来た謎の本などなど、一筋縄ではいかない展開に胸が躍ります。

それにしても、正直、ナメていました。「でも、トリックとか犯人当てはゆるいんでしょ」という先入観がありました。ごめんなさい。凄かったです。数年ぶりにわたくし、左手で読んでいない行を隠しながら読むというのめり込みを見せてしまいました。(犯人の名前が目に入らないように)またまた、演出が憎いんですよね。論理的に消去して行って、ハイライトでばばーん!と犯人を紹介するという自分が一番弱いやり方です。思わず真相がわかるシーンでは「エーーーーーっ!!」と声に出してしまいました。バカミスでもアンフェアでもないんだからね。
たまたま自分が知らなかったパターンだったのかもしれませんが、これでも生まれてから1000、2000はくだらない数のミステリーを読んでいるわたくしです。これがいいミステリかどうかぐらいはわかるつもりです。これほど堂々とした伏線を張りめぐらして、真相を隠蔽する作品というのはもうそれだけで大好きになってしまう。


いやあ、もうやばい。翻訳ものめっちゃ楽しい。この論創海外ミステリのシリーズと世界探偵小説全集、読破するつもり。もしかして全部バークリーやこのスカーレット並みに面白いのかもしれないとか想像しちゃうと。。。うぎゃー。

                             (268P/読書所要時間2:30)

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ジョン・スラデック著。河出書房新社奇想コレクション。

既存のタイム・パラドックスをあざ笑う表題作、スプラスティック・コメディ「古カスタードの秘密」、あの“四重奏”の荒唐無稽なパロディ「ベストセラー」、重力はないと“証明”する男の狂気を描く「月の消失に関する説明」、名探偵のサッカレイ・フィンやフェントン・ウォースが不可能殺人に挑む本格推理小説3篇、なぜか西部劇マニアな宇宙人が襲来する「ホワイトハット」、宇宙人が地球文化に溺れていく様を描く「おつぎのこびと」、グリム童話をさらに残酷に練り直した発禁寸前の「血とショウガパン」ほか、全23篇を収録。 (紹介文引用)

『最後の天才!』という賛辞がまぶしい、ジョン・スラデックの奇想コレクション。正直ミステリ長編「見えないグリーン」を読んだ時は何も思うところがなかったのだけど、評判を信じて良かった^^「奇人、変人、天才」三拍子揃ったスラデックの短編集は、SF、ミステリごちゃごちゃ合わさった
怪作!「生涯奇妙な小説を書き続け、熱狂的なファンと大多数からの無視を得た」って、ひどいな^^;ゆきあやこういうの大好きなんだけど、やっぱ読者を選ぶんだー。。。

全部感想書きたいんだけど、なんせ23編もあるので特に気に入ったものをご紹介。

『古カスタードの秘密』
ゆきあやが図書館で借りて読んで、「これはやばすぎる!」と購入を決めた記念すべき1作。オーブンで見つかる赤ちゃん、取って食おうとする洗濯機、一見めちゃくちゃな世界を描いているようで、実は全てがある出来事の結果であったという。。脱帽。

『超越のサンドウィッチ』
賢くなる通信教育を宇宙人に勧められた主人公。別にサンドウィッチじゃなくても良かったのだけど、
どういう計画だよ^^;!!単純に計算すればそうなるような気がして来たぞおい^^;;

『最後のクジラバーガー』
腕しかない男と浮気中の妻とか、チンパン児とか、犬が公職に就くとか、もうそれだけで面白い作品でしたー。子供を育てない風習があったりとか、風刺色がきついんだろうね。

『アイオワ州ミルグローブの詩人たち』
帰って来た宇宙飛行士を州で歓迎する、という集まりがあるのですがー。。。
めちゃくちゃになりまーす^^;;

『ピストン式』
ぎょえーー^^;;
新開発された車が、えーと、男性である事が判明してですね、あの、街中の車を○しまわって人間達がパニックになるという。。^^;;おもしろすぎる。。。性欲むんむんの車の○○の迫力といいますかその。。(何を書かせるー)

『見えざる手によって』
サッカレイ・フィンシリーズの密室ものです。何作かミステリが続くのですが、この作品が唯一まともだった^^;

『ゾイドたちの愛』
ゾイド=ゾンビ?ホームレスゾンビのお話と言っていいのかな。本物人間という言い方が哀しげな感じ。

『おつぎのこびと』
地球へやって来た宇宙人の苦悩を描いた作品(笑)。七つの罪を惑星になぞらえたあたりが興味深かったですね。

『血とショウガパン』
残酷版・ヘンゼルとグレーテルです。
ヘンゼルとグレーテルが悪魔より酷く描かれています。。動物を残酷に殺したり、お世話になったお婆さんを虐待したりね。しかも救いのないラスト。かなり浮いている作品だと思うけど、元になっている世界というのは作者の中に必ずあるはずだから。

『不在の友に』
これは解説が面白かった(笑)。遊び心がありますね・・・あっ!(笑)←読めばわかる^^

『小熊座』
ブラック系が好きなもので^^テディベアそのものよりも、ジミーが怖く見えるのは凄いね。

『ホワイトハット』
せ、西部劇マニアの宇宙人〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(笑笑笑^^;;)
宇宙人達、どこでいつ映画観たんだろう^^;;
この白い虫、気持ち悪いけど一遍体感してみたい。。

『教育用書籍の渡りに関する報告書』
こ・これは!!!本が飛んでいるよ!!!三崎亜記さんの「図書館」の元ネタってこれだったのか。
お話自体は別物で、こちらは外をばっさばっさ飛んでおります。

『おとんまたち全員集合!』
おとんま=現代の遊びすぎた大人、って事みたい。
風刺作品だそうだけど、働きすぎの日本人の感覚とは違いますね、やっぱり。失業をこんなに明るい感覚で捉えるっていう発想がもう。。

『不安検出書(B式)』
これは小説じゃなくて、ほんとに検出書が載ってます(笑)
なんやねんこれー^^;;こんなの書いてたら不安になるって^^;;


以上〜。
中には「???」となってしまう作品もありましたが、挙げなかった作品も概ね好感触でした^^
作風としてはめちゃくちゃばっかりなんだけど、整合性があるんですよね。そうでなくても、作者の中にはバランスがあって。自分がもし、何も知らないさっき生まれた人間、とかだったら面白さを感じようがないというか。知ってる事、世界があるからこそ比較できる、発想を笑える、というこの作者の世界観が凄く愛おしいです。

                             (428P/読書所要時間4:30)

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サキ著。新潮文庫。

ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』や『おせっかい』など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。(裏表紙引用)


ずっと気になっていた作家さん。何年か前に、どこかで一作短編を読んだ事があって、それが結構良かったんですよねー。タイトルを忘れていたのですが、ちゃんとこの中に入ってました^^ホラー作家だと思っていたのですが、読んでみるとジャンルが幅広いです。”風刺作家”の異名をとっているサキですが、たしかにどの作品もなかなかに底意地が悪く、それでいてお洒落です。自分には少し格好良過ぎたかもしれない(笑)。

さすがに21編すべての感想は挙げられませんが、気に入ったものだけをちょっとご紹介。

『二十日鼠』
ホラーと言っても良い題材に、ミステリ的に皮肉なサプライズが印象的な作品。服の中に入り込む鼠というのも不気味ですが、追い払うために服を脱ぎたい、でも女性の前ではそうもいかない、、というちょっとした心理もの。このオチ、最初にやったのこの作家さんだったんだー。

『平和的玩具』
子供の情操教育?を扱ったもの。ためになると思って良かれと与えた”優秀で役に立つおもちゃ”。大人と子供の越えられない境界線といいましょうか。深いなあ。こういうのって早きゃいいってもんじゃないと思うけど。

『話上手』
子供に話して聞かせたいお話と、子供がほんとに面白がるお話のギャップが面白い。子供って残酷です。。でも、自分も好きだったのはそういう系統だったもんね。

『開いた窓』
読みたかったのはコレです^^ていうか、一回読んでるけど。
旅人がある家の女性にからかわれるお話で、当時こういうホラーのやり方もあるのか、と着目いたしましたね。

『宵闇』
手持ちのお金をすっかりなくしてしまった男性。彼の言葉を証明するものは、一つの石鹸だった。。
このオチ、予想してたんですが笑ってしまいますね。

『十三人目』
これは戯曲です。登場人物は三人。
二人合わせて十三人の子供を抱えるのは不都合だと、結婚を考える男女があれこれ模索するお話。
わはははは、なんやねんこれ^^;;;滑稽なだけじゃなく、あまりにもブラック。

『おせっかい』
これは名作中の名作なのではないですか?
森の中で死と向かい合った二人の男達の、あまりにも劇的なドラマ。仲が悪かった二人が死を目前にして心を入れ替えたその時、何が起こったと思いますか?^^


こんなもんかな^^あと、『ビザンチン風オムレツ』(髪を結ってもらってる最中に使用人がストライキ!^^)とか『七つのクリーム壺』(窃盗癖のある客が来た日、七つあった壺が八つに増えた^^)
とか、まだまだ良かった作品はございますが^^

しかし、「サキ」というペンネームだと他の著作とか検索しにくい^^;ていうか不可能^^;
よく比較されるというO・ヘンリとかスタインベックとかも読んでみたいなあ^^

                             (219P/読書所要時間2:30)

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