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高里椎奈著。講談社文庫。

薬屋店長に復帰した秋に早速舞い込んだのは、「おれの友達が、事件を起こしているかもしれない」という中学生からの調査依頼だった。「Aに関わると不幸に遭う」。そう噂される男子生徒の周りでは不可解な事故が続発していた。秋は、店員の座木を教師として潜入させるも、調査は難航。真犯人は、人か、妖か? (裏表紙引用)



薬屋探偵怪奇譚第4弾〜。タイトルは「とおにここなく」と読む。読めない&めんどいからいつもコピペ。「本当は知らない」回は楽だったな〜とか(笑)。

で、今回は座木ファンの読者様お待たせしました、座木が白衣を着て(数学なのになぜ)中学教師となるの巻。語彙がアレだから数学が1番向いているかもね。それを考慮して秋が便宜を図ったのかと思ったけどこの真相だと違うのかな?人間を惚れさせるためにいるような種族の座木が中学教師なんて…萌えの予感しかしない。

それと並行して、秋&リベザルはホームセンターで強盗に人質に取られるという。まあ秋がいれば大丈夫っていうか強盗が大丈夫かって感じなのだが。

事件は二重解決になっているから結構話が長い。妖を絡めながらキッチリ推理してる。事件の性質がいつも秋と座木の関係性とダブって見えるのもいいね。今回秋の種族の秘密がひとつ明らかになったわけだけど、だとすると秋の抱えている過去って相当キツイのでは。知りた〜い。知りたくな〜い。

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戸川安宣著。空犬太郎編。国書刊行会。

東京創元社で長く編集者として活躍し、伝説の叢書「日本探偵小説全集」を企画する一方で、数多くの新人作家を発掘し戦後の日本ミステリ界を牽引した名編集者、戸川安宣。幼い頃の読書体験、編集者として関わってきた人々、さらにはミステリ専門書店「TRICK+TRAP」の運営まで、「読み手」「編み手」「売り手」として活躍したその編集者人生を語りつくす。 (紹介文引用)



私のお仲間さんで戸川さんを知らないという人はよもや居なかろうが東京創元社で長年活躍された名編集者である。私のような、子どもの頃からハヤカワと創元に育てられた者からすれば神のような存在。この方がいなければ世に出なかったかもしれない作家さんはきっと数知れない。


ご自身の半生を振り返る回顧録の形となっており、単行本にして約400ページ強、どっぷり読みふけった割に意外と日数はかかった。丁寧で真面目な筆者の人柄そのままの性格を現した本。子どものころ「少年探偵団」やルパン、ホームズにハマった経緯やカーやクイーンなどの大人向けミステリに移行していく読書好き戸川少年がまぶしい。まるで自分の子どもの頃のよう。あの時代は、八百屋や魚屋みたいに本屋が各家庭に御用聞きしていたというのだから羨ましい。学校の先生がホームズを読んでくれたり、江戸川乱歩が近所に住んでいたりと全くなんという時代だ。私にとっての乱歩なんて卑弥呼ぐらい遠いぞ。


その他にも小泉喜美子さんが作家をやめた経緯や今邑彩さんの死に様、森村誠一さんとの確執、岩崎さんがしでかしたミステリーコンペでの組織票騒動(笑)などなど、面白い裏側から「うわ〜、それ知りたくなかったなあ」レベルのものまで、包み隠さず描かれていてビックリ。


ちょっと意外だったのが、戸川さんらは西村京太郎氏や赤川次郎氏、東野圭吾氏などの系統に対する偏見?壁?みたいなものはないのね。あと、森さんや京極さんの本をなぜ扱わないのかも描かれていたのでスッキリした。まあそれはハヤカワも同じだが。あとあと、創元推理文庫の背表紙の色で謎だった「青」と「茶」の分類方法も分かって良かった(笑)。そしてこの本を読むと全集を無性に揃えたくなる。。。


特徴として良かったのが、本がバカ売れする時代から売れない時代まで全てを経験なさっている戸川さんがそのことについて一体どうお感じになっているのかが伝わったこと。創元やハヤカワなんて特にそうだろうと思うがミステリやSF、そして本の形態そのものが好きでないと絶対に出来ないお仕事だもの。本が売れないんです買ってくださいという趣旨のことは一切描かれていないのも、「まずいい仕事をすること、良い作品を生み出すこと」を使命としてらっしゃるからだろうなと。読者としても背筋の伸びる、出す意義のある作品だった。

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辻村深月著。文春文庫。

長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった―。 (裏表紙引用)



辻村さんの文庫新刊は、不妊治療と特別養子縁組制度を扱った作品。長くキツイ不妊治療を経て養子をもらった40代の佐都子にも、中学生で子どもを産み泣く泣く我が子を手放すことになったひかりにも、どちらにも身につまされるものがあった。

最初は佐都子の「タワマンママ奮闘記」から始まるので、先日読んだ「ハピネス」のような内容なのかと思っていたら全然違った。ママ友との諍いを経て不妊治療の辛い過去に遡るまでは想像の範疇だったが、ある日朝斗の産みの母から脅迫電話が掛かってきたのだ。しかし訪ねてきた実の母を名乗る女は佐都子の知っている朝斗の母親とは別人のようだ――。どうやらこの作品は、「子どもを返せ」から始まる実の母とは育ての母とは、というテーマに切り込んだ内容ではないようだ。

対するひかりの章は、最初はやはり判で押したような、「中学生で妊娠してしまった女の子」で想像しうる人物像まんまだと思った。しかし、ひかりもちょっと人より背伸びがしたいだけの、親に学校に不満を抱えるどこにでもいる普通の女の子だったのだ。自己責任という言葉があるが、この年齢で賢く立ち回れと言われてもムリだろう。周りはひかりのためにサポートをしようとしてくれていたのだ(叔父に言った母はどうかと思うが)。


結果的に完全にひかりの方に感情移入しまくってしまい、時間を忘れ一気に読了。脅迫なんてとんでもない行為だと思うが、そうなってしまうまでに至る事情があまりにも哀れで、不覚にも涙ぐんでしまった。根は悪い子じゃないのにね。ラストで佐都子とひかりが出会い心を通わせるシーンではさらにボロ泣き。。広島のお母ちゃん…。ううう。

佐都子の人物像が立派すぎる気もするし、ひかりはなんだかんだ言って私個人の見立てでは更生するかどうか疑わしいのだが(自分の感想に水を差すようだが、理屈と感情は別なので)、対照的な2人の女性の人生をリアルに描いた秀作だと思う。

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辻村深月著。角川文庫。

小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。(裏表紙引用)




辻村さんの怪奇短編集。

へえ〜、辻村さんのホラーって初めてだなあ〜。ホラーというより、ジュブナイル風味のちょっと怖い話と言った方がぴったりかもしれない。13編収録されているので出来不出来の差はあるが、逆に言うと誰でも好きなお話が一つ二つあるのではないかな。


好きだったのは女子同士の友人関係の危うさをオチでくっきり表現した「十円参り」、謎のファンレターの中身がどんどん変わっていく「手紙の主」、三歳の息子が突然言い出したマークの正体にゾっとする「だまだまマーク」、ナマハゲ研究にやって来た女学生たちの運命がリアルな「ナマハゲと私」、ネットにある情報は全て噂?!「噂地図」など。

辻村さんの私生活が垣間見える作品が多いのが特徴で、幼い子どもや作家のお話が目立っていたように思う。恐怖というものは身近にあるから怖いもので、辻村さんは我が身に降りかかるキワキワのところを描くのが本当にお上手。

ショートショートはあまりいいのがなかったかも。坂木さんの作品などでも思ったのだけど、ショートショートって実は意外と一番難しいんじゃないかなと。。辻村さんほどの作家でも描きこなせないのだから。(えらそですいません)

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高里椎奈著。講談社文庫。

鬼の妃が棲んでいたという伝説が残る埼玉県鬼前町の公園で、通りすがりの人間が地中に引きずりこまれ、その前後の記憶を失ってしまう事件が発生。『枕石公園の怪異を調べて下さい』との依頼を受けた妖怪雑事相談所「深山木薬店 改」の店長リベザルは、早速調査に乗り出す。リベ&柚之助コンビが活躍する第3弾! (裏表紙引用)



リベザル店主の怪奇譚シリーズ第3弾。(あれ?まだそんな?)

ちゃんとミステリしてますな〜。
公園に作られた、大人が膝や腰までしか埋まらない落とし穴。犯人の目的は?また、告発状を出したのは誰?という感じ。まあそこは当たり前に読めるのだけど、今回新キャラが多い。警察側では一宮が面白いね。真面目と見せかけての「気に入った!」にはズッコケ。総和の同居人・チィもなかなか謎多き人物。いい人っぽいけどな。久々の登場キャラも多い。

あまり今回秋と座木は活躍してなくって(コレと言っていいセリフもない)、なぜなら主人公はリベザルと柚之助だから。2人ともロリキャラなのでお話自体幼児みが強い。「俺、幸せなんだよね?」はギュッときたなあ。

まあ今回のツボは秋と座木の水鉄砲遊びと座木に化けた柚之助と警官のレース編み(笑)。柚之助が変身した姿はリベザルが尊敬する人間が見えるってことだけど、秋じゃなかったのが意外。とりあえずチョコレンコンバナナおにぎりはすぐにやめろ。

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