すべてが猫になる

はてなブログ出来ました。 https://yukiaya1031jp.hatenablog.com/

国内<さ〜そ>作家

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全31ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

イメージ 1

周木律著。講談社文庫。

二重鍵状の館、“Double Torus”。警察庁キャリア、宮司司は放浪の数学者、十和田只人に会うため、そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さが溢れる。“堂”シリーズ第2弾。(裏表紙引用)




結局第2弾も読んでしまった。

館シリーズ+S&Мシリーズの二番煎じ感は払拭できないものの、それを楽しめるなら文章もトリックもキャラクターも全然アリだと思う。

今回は語り手に警視庁警視の宮司司を配すことによって、探偵役十和田の浮世離れした存在に親近感を持たせている。十和田の超ひも理論だのポアンカレ予想だの数学薀蓄が凄まじいが、これを理解しなければいけない訳ではないので我慢するしかないかな。個人的にはこういう風にキャラクターの賢さを際立たせるのって楽をしている気がするのであまり肯定したくはないのだけどね。でもまあ十和田の変人ぶりは伝わる。

双孔堂の、大きなカギを二つ合わせたようなデザインはやりすぎてて面白いかも。トリックは前作ほどじゃないけど、まあまあ。後出しの情報はズルいなと思うが…。容疑者もそれぞれキャラ立ってるし、理系ミステリの雰囲気はしっかりあるし。ただ、動機が完全に昭和。金田一少年か。このメロドラマがかなり浮いてて減点。

ラストに某シリーズを彷彿とさせる人物が登場して、シリーズ全体を構成するキーになりそう。まあ、こういうの好きなんで…完結したようなので全部読みますよ。

開く コメント(0)

イメージ 1

坂木司著。新潮文庫。

おしゃれして、好きなインテリアで部屋を飾って、(ブラックだけど)アパレル勤務。みきは憧れの“女子的生活”を謳歌していたが、ある日、マンションの部屋の前に不審な男が。「あの、ここに小川って奴が住んでるって聞いたんですけど―」マウンティング、モラハラ、毒親。次々現れる強敵に、オリジナルな方法でタフに立ち向かうみき。読めば元気が湧いてくる痛快ガールズ・ストーリー。(裏表紙引用)



志尊淳主演でドラマ化もされているので、タイトルの「女子的」の意味やみきがどういう種類の性的マイノリティーであるかは隠さなくていいのかなって気もするが…書いている人がいなかったので一応直接的な言葉は伏せる。ネタバレ気になる人はご注意を。

いわゆる若くてオシャレ好き、可愛いもの大好きの女の子の人生を満喫しちゃおうってお話。でも女子には女子であることで我慢しなくちゃいけないことや、女子の世界だけの敵がゴマンといる。女子の敵は女子、を地でやりながら、でもやっぱり女子同士の連帯感は最高。みきの立場の人間に浴びせられる差別、無理解を強気に元気に蹴っ飛ばして生きていく姿は痛快。うつ病詐称の高山田や、合コンに現れた偽ロハス女などなど、ぎょえ〜〜〜なキャラ満載。まあ、いるんだろうな〜〜〜って感じの輩ばっかり。特に、最後のエリート合コン逆ハーレムには目が点。。ドラえもんのしずかちゃん的立ち位置なのかなあ。身内でやっていただく分にはいいけれど、外でそれ出すなや。。
そもそもマナミの婚約者の態度なんなん。あれ、結婚しちゃうんだろか。目を覚ませマナミ。

女同士のめんどくさいあれやこれやはいくつになっても無くならない。でもそれでいい、闘っていく!っていうみきの姿勢は好感持てた。月のものがない、腕っぷしは男のもの、ってだけで女子のいいとこ取りだなそりゃ女子でいる方が楽しいだろうなと思ったりもしたが、その分別の苦労もあるだろうからね。最初はだらしなかった後藤も色々学習していいオトコに育ったし。自分も色々あるけれど、それでいいのかな〜って前向きになれた本かも。

開く コメント(2)

開く トラックバック(1)

イメージ 1

城平京著。講談社タイガ。

妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。―「ヌシの大蛇は聞いていた」山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。―「幻の自販機」真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還! (裏表紙引用)



大傑作「虚構推理」の短編集。「京極夏彦、歓喜!」「井上真偽、驚嘆!」だそうだ。

子どもの頃神隠しに遭い、右眼と左足を失った、妖怪たちからあらゆる相談を受ける「知恵の神」、琴子。パートナーの九郎は未来を決定できる力と不死の身体を持ち、強引に琴子の彼氏にされた大学院生。…という奇抜な設定を頭に入れてから読もう(正直忘れていた…)。

設定は奇抜だが、相談される事件は結構庶民的というか、ゲスいものも。三角関係だったり…身内殺しだったり…。これを琴子の「虚構」の推理で解決するのだけど、その事件そのものの真相を暴くわけじゃないところが特徴。妖怪の相談に合うように辻褄を合わせるっていうのかな。中には虚構じゃないよねそれ、って推理もあったり。推理と言っても、「凶器の声」を聞くことができる琴子はその妖たちから真相を聞いてそれを話してるだけだったりも。

内容としては、妖が関わる中盤以降の三篇のほうが好みかな。奇怪な人形の呪いだったり、ギロチンで首を斬ったり、狸経営のうどん店が出てきたり。

各篇レベルの高さを感じさせると共に、琴子と九郎のやり取りにますます脂がのって来てる感じだな。琴子下ネタ多すぎだけど(笑)。全く琴子を気遣わない九郎はほんとに恋人なのか?と責められるけれど、いわゆるツンデレの高度なやつなんだと思う。

開く コメント(0)

イメージ 1

瀬尾まいこ著。文藝春秋。

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。(紹介文引用)



初読みの瀬尾まいこさん。この方人気あるよね。

いやいや素晴らしかった。簡単に言えば「血の繋がらない同士の家族愛」なんだけど、その形態が非常に変わっている。現在高校三年生の優子は、生まれた時から四度名字が変わり、父親が三回、母親が二回変わった。理由は実母の死であったり実父のブラジル赴任であったり、継母の再婚であったり義理母義理父の離婚であったり。それだけ聞くとどう考えても苦労人で、不幸な生い立ちなのだが。それがまあ、どの親もいい人で優子に愛情を注いでくれたものだから、本人は全く意に介していないのだ。

最初は、この年ごろの女の子が自分の異常な環境について全く何も感じていないなんてことはないだろうし、寂しさも悩みもないなんて有り得ないだろうと思っていた。イジメを受けても気にしていないし、告白されても心が動いていないし。いちいち深く捉えていては生きていけない人生だったから、無自覚に心が不感症になっているだけに思えた。親たちも、いい人はいい人なんだろうがやはりちょっと常軌を逸脱したところがある。特に継母の梨花さんの倫理観はどう考えてもおかしい。娘のピアノをやりたいという夢を叶えるために金持ちと結婚するとか、これは愛情ではないでしょ。結局優子も、可愛い髪飾りやおいしいスイーツにごまかされて自分の意志をうやむやにされてるだけだし。


まあそんな風に違和感を抱きつつ読んでいたが、なんだかんだ森宮さんも面白いし梨花さんも憎めないし泉ヶ原さんはカッコイイし、私が取り込まれて行ったような。。要領がいい、世渡り上手だと自己評価している優子に対し、「いい人ばかりだったなら、うまくやれるのは当たり前」と言い放つ浜坂君や、倹約家の優子を「傲慢」だと切って捨てる森宮さん。話題がテレビや噂話ばかり、食べ物を不味いと平気で残す彼氏に対する優子の違和感。温かい空気感の中、瀬尾さんの作品にはスッと冷めた視点が入り込む。行間を読む、ではないが、描いていることをストレートに受け入れてはいけないのではないかということに気づかされた。

人は自分に与えられたフィールドで幸せになるしかない。血のつながりや常識よりも、今目の前にある問題の優先順位は自分で決める。今自分のそばにいてくれる人を大事にする。そんな当たり前のことを教えてくれる素晴らしい作品。

開く コメント(2)

開く トラックバック(1)

イメージ 1

鈴木るりか著。小学館。

14歳スーパー中学生作家、待望のデビュー 

田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。
友人とお父さんのほろ苦い交流を描く「いつかどこかで」、
お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない「花も実もある」、
小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した「Dランドは遠い」、
田中母娘らしい七五三の思い出を綴った「銀杏拾い」、
中学受験と、そこにまつわる現代の毒親を子供の目線でみずみずしく描ききった「さよなら、田中さん」。
全5編収録。(紹介文引用)



べるさんが紹介されていた作家さんを早速読んでみた。14歳でデビューした文学界期待の星だそうだ。読む前は「まあ、ゆうても多少は14歳っていうフィルターがかかっているんだろう」と思っていたが…いやはや、お見それしました。とにかく文章がうまい。普通に大人の商業作家がジュブナイルを描きましたというレベル。よくこんな言葉知ってるな、というものから、さらにそれを自分の言葉に置き換えるセンス。ジャンピングする紅茶、銀杏地図なんて表現普通なら一生かかっても浮かばない。

ストーリーは、貧乏だが母と娘(花実)二人でたくましく生きる人情ものの日常物語。特に印象に残ったのがまずは母親の再婚話を応援する花実の気持ちが切なく響く「花も実もある」。見合いを断られた母のために「わたし、居なくなりますから。どっか行きますから。それでもダメですか」と見合い相手に直談判するシーンは号泣もの。晴れ着を着せてやれない娘のために母らしいやり方で七五三を祝う「銀杏拾い」もいい。
そしてラストは花実に片想いするクラスメート・信也に語り手をチェンジ。これがもうなんとも読むのが痛々しくて。虐待、と言ってもいい酷い母親なんだもの。これで本当にいいのかなあ、と思わなくもないけれど、ラストで信也と花実の未来が明るいものであれと思えた。


作者が様々な視点で世の中を見つめているのがわかる。文章に見合うだけの社会経験はないはずだが、鈴木るりかさんが普段感じているものをそのまま出している感じがするので決して背伸びしているとは言い切れないだろう。情感の深さやユーモアのセンスからもそれは見て取れる。不足はあると言えばあるが、これから描くたびにうまくなるのだろう。西加奈子さんを彷彿とさせると言ったら褒めすぎだろうか。

開く コメント(2)

全31ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事