海外<ハ〜ホ>作家

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セバスチャン・フィツェック著。酒寄進一訳。文藝春秋。

乗客の失踪が相次ぐ大西洋横断客船“海のスルタン”号。消えた妻子の行方を追うべく乗船した敏腕捜査官の前に現れる謎、謎、謎。錯綜する謎を解かないかぎり、ニューヨーク到着まで逃げ場はない。無数の謎をちりばめて、ドイツ屈指のベストセラー作家が驀進させる閉鎖空間サスペンス。(紹介文引用)




2019年度の「このミステリーがすごい!」海外部門第7位作品。スルー予定だったのだが、たいりょうさんの記事に触発されたので読んでみた。セバスチャン・フィツェック、「治療島」を読んだことがあるので。

随分と世間の評価は厳しく、その理由には賛同するも、私はただただ単純に、純粋に面白かったと思う。まず主人公マルティンの職業が驚き。囮捜査官として危険な捜査に打ち込み、時には麻薬を打ったりタトゥーを入れたり、歯を抜いたりしなければいけない過酷さだ。

そんなマルティンだが実は3年前にクルーズ客船「海のスルタン」で妻と息子を失っており、自殺で処理されている。鬱屈した気持ちで日々暮らしているマルティンに、見知らぬ老婆からまたあの船に乗るよう促す電話が。妻と息子が自殺でない証拠が見つかったと言うのだ。一方、乗客の一人ユーリアは娘と共に乗船したが、異様な問題を抱えていた――。


船内で次々と問題や事件が発生し、水面下で捜査するマルティンは、協力者の小説家志望の老婆ゲルリンデ(微妙に狂人)や船医のエレーナ(船長と婚約なう)と共に犯人の仕掛ける罠や悪人との闘いをかいくぐってゆく。泥棒が登場して話をややこしくしたり、行方不明だった娘が見つかって心を開くのに腐心したりと息つく暇のないスリル。娘との会話の謎にそんな仕掛けが!?1つずつ明らかになるたびにヤバさが増していくこの興奮。何よりこの事件を1番印象深いものにした、おぞましい動機。えー!そんな人いるの!?なんてひどい。そしてわかっていても騙されるどんでん返し。ドッキドキ。まさかあの人が。

なぜここで終わらせない?ラストは蛇足が過ぎた。ハードル上げすぎだよ、謝辞のあとにエピローグを用意するなんて。あの仕掛けでかなり評価を下げた人が多いとみた。(あの位置に謝辞を挿入することで目的を達成していると思うが)


ありていに言えば、ノンストップ型ジェットコースターサスペンス。面白いだけで深みはないということか。確かに私も、二転三転する真相の吸引力やキャラクターの魅力はジェフリー・ディーヴァーの足元にも及ばないなと思ったし、おなじみの「犯人に恨まれた女性長期間監禁」ものの残酷性ならば「特捜部Q」や「その女 アレックス」の域には到底達していないことぐらいは感じていた。完全なエンターテインメント小説なのだと思う。そう、シドニィ・シェルダンだと思えば絶対面白い。私は多分今年のランキングに入れると思う。そうね……7位くらいに。

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レイ・ペリー著。木下淳子訳。創元推理文庫。

大学講師の職を得て、高校生の娘を連れ故郷へ戻ってきたジョージアは、親友のシド(世にも不思議な、歩いて喋る骸骨だ!)と再会した。人間だったときの記憶のない彼が、見覚えのある人物と遭遇したのをきっかけに、二人はシドの“前世”を調べはじめる。だが、その過程でできたての死体を発見、殺人事件も背負いこむことに。たっぷり笑えてちょっぴり泣ける、ミステリ新シリーズ。(裏表紙引用)



初挑戦の作家さん。ホネもの好きなので、たいした前知識なく読んでみたらなかなかの当たり。作風はほのぼのとしたコメディー+真面目なミステリー。表紙イラストでイメージする内容通りじゃないかな。

ヒロインは大学非常勤講師のシングルマザー・ジョージア。終身在職権がないために何度も引越しをしなければならず、高校生の娘・マディスンには申し訳ないと思っている。ジョージアの家では屋根裏部屋にどこから来たのかわからないガイコツの'シド'が暮らしていて、マディスンだけがシドの存在を知らない。姉のデボラはシドの存在を認めず、スルーし続けている。ある日ジョージアたちがコスプレしたシドと共にアニメ・コンベンションに参加したが、シドが生きている時に知っている女性を見たと言い出し――。


と、なかなか詰まった内容なのだが、気になるのはやはりシドの出自と、調査中に出くわした女性の他殺死体の謎。シドの過去と絡んでくるのだけど、こちらとしては最初からシドの可愛さと面白さに夢中になっているわけだから何かが判明したりシドが悩んだりするたびにビックリしたり切なくなったり。シドとジョージア家族との心のつながりを読むほうがメインと言ってもいいかもしれない。幼い頃自分を助けてくれたシドが悪い人のわけがないと言い切るジョージアが泣かせる。シドはちょっと気難しいところもあるけど、ノリが良くて優しいところがいいんだよね。気が緩むと骨のつながりも緩むのが笑えるし。まあ、キメ台詞の「ビテイコツ!」はあんま翻訳ものだと面白さが伝わらないけど。ミステリ的にはちょっと動機が具体的じゃないのでイマイチ不明瞭だけど、なかなかじゃないかな。

もう第2弾が出ているようなのでもちろん読むつもり。原書では3作まで出てるらしいので全部出て欲しいなー。

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ソフィー・ハナ著。山本博、遠藤靖子訳。ハヤカワ文庫。

招待先のアイルランドの荘厳な子爵邸で、ポアロと盟友キャッチプール刑事は再会を果たす。その夜、ディナーの席で、招待主である著名作家が全財産を余命わずかな秘書に遺すという不可解な発表をした。動揺した人々がようやく眠りについたころ、おぞましい事件が…。“名探偵ポアロ”シリーズ公認続篇、第2弾! (裏)


※辛口です。ご注意下さい。


エルキュール・ポアロの公認続編、ソフィー・ハナ第2弾。

ストーリー自体は面白いと思う。よくある富豪の相続争いものだが、実子ではなく余命わずかな秘書に遺産の全てを譲るというあまり類を見ないもの。秘書は相続前に死んでしまう可能性が高いのにどうしてそんな遺書を残すのか。なぜ書き換えたのか。そんな折、当の秘書はかつての恋人であり看護師でもある女性との婚約を発表してしまった。遺産は秘書の死後看護師に?

――という、なんと分かりやすい死亡フラグ。案の定秘書は撲殺されるのだが、殺害現場を見たという看護師の話の辻褄の合わなさや、秘書が隠していたとんでもない秘密が明らかになって現場は大混乱。話の盛り上がりだけで言うと本家も真っ青なほどなのだが、ミステリとしてはガッカリ。あまりクリスティを神格化し過ぎて盲目になりたくはないのだが、殺人の残虐さといい、読みにくさといい、読んでいて悲しくなるレベル。事件前に「使用人を数に入れていいのか」なんていうポアロのメタっぽいセリフも好きではない。これがパスティーシュなら構わない。しかしクリスティの公認続編に徹するなら一定の水準は保って欲しい。本家に駄作なんかない。

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キャンディス・フォックス著。冨田ひろみ訳。創元推理文庫。

シドニーのマリーナで、海底に沈められたスチール製の収納ボックスが発見された。1メートル四方の箱には全身傷だらけの少女の遺体が収められ、周囲から同様の遺体の入ったボックスが20も見つかった。シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事フランクは、女性刑事エデンと未曾有の死体遺棄事件を追う。オーストラリア推理作家協会賞2年連続受賞の警察小説シリーズ開幕! (裏表紙引用)



初読みの作家さん。しまった評判見てから読めば良かった。。。珍しいオーストラリアミステリということで、表紙もタイトルもカッコイイしと軽い気持ちで手を出してしまったが。。これは思っていたのと全く違ったなあ。

今流行りの個性的なバディもの+猟奇系であることは間違いないのだが、これは猟奇事件そのものがメインではなかった。語り手フランクの新相棒であるエデンと兄のエリックが幼い頃両親を犯罪集団に殺されてその後謎の「ハデス」と呼ばれる男に育てられるという設定が結構キワどい。そんな生い立ちだから警察官だからといってまともに育ったはずもなく、事件と絡んで狂気的な展開が待ち受けているのだが・・・それほどの意外性もないかな。

語り手のフランクに魅力が全くないのもイタイ。重たい過去がある主人公やクセのある語り手というのは基本設定ですらあるジャンルだが、それはどんなに嫌な性格でも根っこにあるのは正義感だったり優しさだったりするから魅力があるわけで。。。フランクにはそういった芯みたいなものがない。順番で行ったらフランクの次にエデン、エリックよりもハデスって感じだったなあ。

う〜ん、訳文も読みにくいし。。次はないかな。

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J・G・バラード著。村上博基訳。創元SF文庫。

ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の上層部に階層化していた。全室が入居済みとなったある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。中期の傑作。(裏表紙引用)


なんて新しい、現代的なお話なんだろう。と思ったら70年代の作品だった。J・G・バラードと言えば私は10年以上前にわずか2ページで挫折して以来(「結晶世界」)寄り付かなかった作家なのだが・・・これは普通に読めたし面白かったな。作者の「人間が探求しなければいけないのは、外宇宙ではなく、内宇宙だ」という考えにも共感出来るし。

この物語は、40階高層マンションに暮らす約2000人の人々の、人間としての根源的な狂気、欲望、を丸裸にしている。女優や医者、テレビプロデューサー、評論家、キャスターなど、いわゆる「成功者」と呼ばれる人々がそこには暮らしており、その階級は彼らが住む階数によって区分けされている。暴動化するきっかけが停電というのが人間の脆さ。それにしても、エリートの人々がここまで暴力に身をさらすというのが恐ろしかった。今まで何も悪いことをしてこなかった反動ってやつだろうか。食事をまともに取らなくなったりあちこちで排尿をしたり性○をしたりともうメチャクチャ。それなのに銃を使わないというのが面白いな。瞬時にことを終わらせたくないのかな。これだけ破壊的でいやらしくて人間的なのに、文章がクールなので洒落て見える。今ならずっと指をくわえて見てるしかなかった「クラッシュ」も読めるかな。

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