海外<ハ〜ホ>作家

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ソフィー・ハナ著。山本博、遠藤靖子訳。ハヤカワ文庫。

招待先のアイルランドの荘厳な子爵邸で、ポアロと盟友キャッチプール刑事は再会を果たす。その夜、ディナーの席で、招待主である著名作家が全財産を余命わずかな秘書に遺すという不可解な発表をした。動揺した人々がようやく眠りについたころ、おぞましい事件が…。“名探偵ポアロ”シリーズ公認続篇、第2弾! (裏)


※辛口です。ご注意下さい。


エルキュール・ポアロの公認続編、ソフィー・ハナ第2弾。

ストーリー自体は面白いと思う。よくある富豪の相続争いものだが、実子ではなく余命わずかな秘書に遺産の全てを譲るというあまり類を見ないもの。秘書は相続前に死んでしまう可能性が高いのにどうしてそんな遺書を残すのか。なぜ書き換えたのか。そんな折、当の秘書はかつての恋人であり看護師でもある女性との婚約を発表してしまった。遺産は秘書の死後看護師に?

――という、なんと分かりやすい死亡フラグ。案の定秘書は撲殺されるのだが、殺害現場を見たという看護師の話の辻褄の合わなさや、秘書が隠していたとんでもない秘密が明らかになって現場は大混乱。話の盛り上がりだけで言うと本家も真っ青なほどなのだが、ミステリとしてはガッカリ。あまりクリスティを神格化し過ぎて盲目になりたくはないのだが、殺人の残虐さといい、読みにくさといい、読んでいて悲しくなるレベル。事件前に「使用人を数に入れていいのか」なんていうポアロのメタっぽいセリフも好きではない。これがパスティーシュなら構わない。しかしクリスティの公認続編に徹するなら一定の水準は保って欲しい。本家に駄作なんかない。

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キャンディス・フォックス著。冨田ひろみ訳。創元推理文庫。

シドニーのマリーナで、海底に沈められたスチール製の収納ボックスが発見された。1メートル四方の箱には全身傷だらけの少女の遺体が収められ、周囲から同様の遺体の入ったボックスが20も見つかった。シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事フランクは、女性刑事エデンと未曾有の死体遺棄事件を追う。オーストラリア推理作家協会賞2年連続受賞の警察小説シリーズ開幕! (裏表紙引用)



初読みの作家さん。しまった評判見てから読めば良かった。。。珍しいオーストラリアミステリということで、表紙もタイトルもカッコイイしと軽い気持ちで手を出してしまったが。。これは思っていたのと全く違ったなあ。

今流行りの個性的なバディもの+猟奇系であることは間違いないのだが、これは猟奇事件そのものがメインではなかった。語り手フランクの新相棒であるエデンと兄のエリックが幼い頃両親を犯罪集団に殺されてその後謎の「ハデス」と呼ばれる男に育てられるという設定が結構キワどい。そんな生い立ちだから警察官だからといってまともに育ったはずもなく、事件と絡んで狂気的な展開が待ち受けているのだが・・・それほどの意外性もないかな。

語り手のフランクに魅力が全くないのもイタイ。重たい過去がある主人公やクセのある語り手というのは基本設定ですらあるジャンルだが、それはどんなに嫌な性格でも根っこにあるのは正義感だったり優しさだったりするから魅力があるわけで。。。フランクにはそういった芯みたいなものがない。順番で行ったらフランクの次にエデン、エリックよりもハデスって感じだったなあ。

う〜ん、訳文も読みにくいし。。次はないかな。

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J・G・バラード著。村上博基訳。創元SF文庫。

ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の上層部に階層化していた。全室が入居済みとなったある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。中期の傑作。(裏表紙引用)


なんて新しい、現代的なお話なんだろう。と思ったら70年代の作品だった。J・G・バラードと言えば私は10年以上前にわずか2ページで挫折して以来(「結晶世界」)寄り付かなかった作家なのだが・・・これは普通に読めたし面白かったな。作者の「人間が探求しなければいけないのは、外宇宙ではなく、内宇宙だ」という考えにも共感出来るし。

この物語は、40階高層マンションに暮らす約2000人の人々の、人間としての根源的な狂気、欲望、を丸裸にしている。女優や医者、テレビプロデューサー、評論家、キャスターなど、いわゆる「成功者」と呼ばれる人々がそこには暮らしており、その階級は彼らが住む階数によって区分けされている。暴動化するきっかけが停電というのが人間の脆さ。それにしても、エリートの人々がここまで暴力に身をさらすというのが恐ろしかった。今まで何も悪いことをしてこなかった反動ってやつだろうか。食事をまともに取らなくなったりあちこちで排尿をしたり性○をしたりともうメチャクチャ。それなのに銃を使わないというのが面白いな。瞬時にことを終わらせたくないのかな。これだけ破壊的でいやらしくて人間的なのに、文章がクールなので洒落て見える。今ならずっと指をくわえて見てるしかなかった「クラッシュ」も読めるかな。

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カーリン・フォッスム著。成川裕子訳。

ノルウェーの森の奥で老女が殺害される。被害者の左目には鍬が突き刺さっており、精神病院に入院中の青年エリケが現場で目撃されていた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを犯人と決めつける者たちの偏見に左右されず、冷静に証言を集めていく。だが信じがたい事実が判明。エリケは銀行強盗に巻きこまれ、逃走する強盗犯の人質になっていた。ガラスの鍵賞受賞作家の代表作。(裏表紙引用)



ノルウェーミステリ。作者のカーリン・フォッスムは「湖のほとりで」という作品でガラスの鍵賞、マルティン・ベック賞を受賞している。

ストーリーは至ってシンプルで単純だが、登場する人物がそれぞれ癖を持っている。森に住む老女が殺害され、エリケという精神病患者の少年が犯人だと証言した人間は少年院に入っているちょっと風変わりな少年だった。さらに、主人公セイエル警部が居合わせた銀行強盗犯が人質に取ったのはそのエリケだということが判明し・・・というお話。

一見刺激的で魅力的な謎なのだが、雰囲気勝ち、その一点だけの物語だった。銀行強盗犯(モルガン)と殺人犯が一緒に行動しているなんて捕まえるほうは手間がはぶけていいなと思うし。しかしモルガンとエリケの逃亡劇にはあまり緊迫感は感じられないし、肝心の老女殺しの真相も意外性がない。セイエル警部は優しく聡明ではあるがそれほど我を出すタイプではないようで、恋愛要素があっても思い切った進展がない、のないない尽くし。

納得したのだが、聞けば20年以上前の作品なのだという。正直、なぜこの作品(しかもシリーズ3作目だという)を創元社が今出版しようと思ったのか疑問が残った。世間評価は悪くないようなので、自分に合わなかったとしか言いようがないが。なんでもかんでも北欧ミステリと聞いては手を出す癖があるもので、そりゃこういう時もあるよね。

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フレイザー・リー著。野中誠吾訳。竹書房文庫。

『解剖×拷問+地獄見ろ! 人間がバラッバラだ! 』
 平山夢明 唖然、悶絶、絶叫! 
全米ホラー作家協会ブラム・ストーカー賞ノミネート作品! 

「これは通常の仕事ではありません。地中海の島で贅沢に暮らしてほしいと言われたら、問題はありますか?」
 家賃が払えず、アパートメントを追い出されたマーラは最高の仕事を見つけた――。億万長者が所有する島の管理人“点灯員(ランプライター)"だ。
 簡単な仕事に破格の給料。しかしその島は、生きて出た者はいない恐ろしい場所だった……。
 外界と隔てられた孤島で巻き起こる、全米震撼のホラー! (裏表紙引用)



タイトルと帯に惹かれて読んでみた作品。

道楽のような仕事内容で高額、そんな眉唾ものの話を真に受けた若者たちが、世間から途絶された孤島で殺人鬼に追われ――みたいなお話かと思っていた。そしてその拷問方法などが残酷だったり悲惨だったりするやつかなと。途中までは完全にその通りのお話で、胡散臭い雇用主と正体不明の殺人鬼が恐怖を引き立て、おかしいことに気付いたヒロインとその仲間が逃亡、そして――。

やっている事が強烈な割に殺人鬼の存在感が薄いのが残念なのと、犠牲者である”点灯員”たちが絵に描いたような「ホラー映画で最初に殺される若者たち」を地で行っているので応援もできず、つまりはあまり新鮮味や刺激がなくダラけてくる。そもそもどうしてハッキングが出来るようなレベルの人間を採用したのかとか、報酬についての実態を新人にバラされないと思わないのか?とか疑問点も多く。と、いうように平山さん推薦の割にたいしたことなさそうだな、とナメて読んでいたらこれがとんでもない間違いだった。終盤の約100ページの怒涛の展開は確かに誰にも予想出来ない。スプラッターというよりエログロ。ヒロインを襲う「見た目は子ども、中身は大人(コナンではない)」の造形は神がかっているし怪物が愛でる陳列物も悪趣味グランプリを見ているような充実っぷり。物語的には破綻しているが、それさえも計算かと錯覚しそう。

途中までは普通だけど最後の最後で世界観が爆発する、こういうのって1番評価が難しいんだよなあ。ジャンル的な好き嫌いについては、そもそもそういうものが苦手が人は絶対この本手に取らないと思うし。平均点=平凡な作品、というわけではないからね。

ちなみにこの邦題は内容と全く合っていない。

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