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森博嗣著。講談社タイガ。

富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。富の谷にある巨大な岩を穿って造られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実存の物語。(裏表紙引用)


Wシリーズ第5弾。

今作でのハギリとウグイ、アネバネと共にアフリカ南端へ飛ぶ。ウォーカロンばかりが集まっている村がそこにあるらしい。脱走した連中なのかな?新しい研究というのも気になる木。今回舞台となる村は親切だし礼儀正しいけど、どことなく謎めいてる。と思ったらやっぱり想像以上の不気味な企みが隠されていてビビった。あんま絵で見たくないかも。

SFなんかだとロボットの反乱って怖いイメージだけど、ウォーカロンは誠実で優しく短絡的でないからそれほど心配はないのかな。逆に怖い気もするけど。

生命を長らえるため医療は発展していくはずなのに、肉体が再生され子孫がいなくなれば生に執着しなくなって一生懸命生きなくなるのかと思うと皮肉だなと思う。ちょいと哲学的なテーマだけど、生きているかどうかの証明ってなんなんだろうね。生命の定義が変われば今不変のものとしてある「生命の大切さ」からして何もかもがひっくり返る気がするけど。

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湊かなえ著。光文社文庫。

女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き…。(「ポイズンドーター」)母と娘、姉と妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集! (裏表紙引用)



湊さんの文庫新刊は、湊さんの黒さが前面に出た短篇集。毒親とは、毒娘とは――。流行り言葉でいずれブームは去るのかもしれないが、現実にこういう母娘の関係があったらイヤだなあ、と思わせる作品揃い。

「マイディアレスト」
2人子どもがいれば、多少可愛さの差というのはあるのかな。でもここまで姉と妹に対応の差がある母親がいたら。。歪んでもしょうがないかも。でもこの作品で歪んでいたのは一体誰?ってところが上手い。

「ベストフレンド」
脚本賞の優秀賞に輝いた涼香。最優秀賞を獲った大豆生田薫子(まみゅうだと読むらしい。スマホだと変換されたのだが)、涼香と同じ優秀賞の直下(そそりと読むらしい。変換された!)は授賞式後メールをやり取りする友人に。こういう世界だと嫉妬ってやはりあるんだろうね。自分のほうが出来るのに、とかなんであいつが、とか。そういう人間ばかりじゃないと思うんだけどな、ってところがよく現されている作品。

「罪深き女」
なんという黒いお話だろう。。。自分もこういう勘違いをしていないか我が身を振り返ってしまう。どちらも酷い母親だなあと思わせて。。他人から見えるものってその家の100%じゃないからね。でも現実だと、やっぱり虐待なんかは目に見えるまんまなんじゃないかなと思うけれど。

「優しい人」
この世に本当に汚れのない優しい人っているのかな。性格的に優しい人や思いやりのある人はいるけれど、イコール素晴らしい人なのかどうかは実際のところ腹の内を覗いてみないと分からないなあと日々思う私。というのは、主人公がちょっと自分と似ているところがあったから。基本誰にでも優しいんだけどおかしな人は全力で拒絶するところとか。。


「ポイズンドーター」
女優になった弓香に同窓会の招待が。自殺した元同級生や友人の毒親、自身の毒親など、キツいエピソードが続くのだが、まさかの「つづく」。真相はいかに。

「ホーリーマザー」
これはもう、どっちの言い分も分かるというやつだね。母親にそんな完璧を求めてもしょうがないと思うし、大人にならないと分からない親のことって絶対にあると思う。



以上。ちょっと精神的にダメージを食らう作品が多いが、なかなか出来の良い作品集かと。それにしても、思っていることと全く違うことを言う人物ばっかりで辟易した。自分、あんまリアルで綺麗なことしか言ってこない人って敬遠するタイプだからずっと読んでいてモゾモゾしたなあ。

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道尾秀介著。朝日新聞出版。

彼/彼女らの人生は重なり、つながる。
隠された“因果律(めぐりあわせ)"の鍵を握るのは、一体誰なのかーー 

遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、
朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。
読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、
数十年の歳月が流れていく──。
道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリー。(紹介文引用)


評判が良かったので文庫を待てず。

本書は連作中編の形を取った作品集。

第一章は、余命幾ばくもない奈津実が娘に語って聞かせる若き日の恋物語。新米漁師と、その父との3人だけのささやかな交流があたたかく切ない。自分自身に罪はなくとも、秘密を持たねばならないこういう境遇は辛いなと思った。正直に話すのが誠意だとは言え、父の会社が起こした薬剤流出事故はあまりにも…この若さで処理しきれない大きな影だと思う。漁師崎村の事件の真相には驚いたが、それを当時理解していれば今がより良くなったのかと考えたら…誰にも分からない。

第二章は小学5年生のまめとでっかちコンビの物語。冒頭のカメラの万引き行為には度肝を抜かれたが、まめの「お互いが嘘と分かっている嘘をつきあう」遊びの歪さを思うと、決してキラキラした友情の思い出とばかりは言えない。人間ってやはり他人が評価したものが正解じゃない。

第三章は崎村の息子・源哉と奈津実の娘・歩実が再会するところから始まる。崎村や歩実の父の会社があれからどうなったのか、そしてその事件により替わって成長した建設会社の社長・逸子が登場し攪乱させられる。


この3つの人間模様が最後に合わさり意外な真相を導き出すわけだが、それが決して特定の誰かの悪意や企みの結果によるものだとは言えないところがこの物語の妙だと思う。狭い町だからこそ意外なところで人と人は繋がり、1人の行為が大勢の人生に影響を及ぼす。あの時ああしていれば、を考えるとキリがないが、どう転んでも選択したのが自分である限り受け入れることは可能だろう。しかし運命の歯車が狂い、影に取り込まれてしまった人々がいるのも事実。思い通りじゃないから生まれるドラマ、それを持つのは物語の人々だけじゃないんだなと切に思った。

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森博嗣著。講談社タイガ。

祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。(裏表紙引用)


Wシリーズ第4弾。

いかにも森作品って感じのタイトル。今回はニュークリアにデボラという新トランスファがサリノというメディアを借りて侵入!いよいよ何のこっちゃって感じだけど、要はあらゆる制御系に高速アクセスできるウォーカロンだそう。ハギリ命狙われすぎだなあと思ったけれど、どうやら目的は他にあるみたい??人間の共通思考の構築ってなんだか怖いなあ。こうなったらもう人間って言っていいのか分からない世界だけど。

そもそもウォーカロンをナチュラル(純粋な人間)が作ったということは、基本人間は自分たちを清く美しく強い存在としてあるべきと考えているからなの?でなければ理想の人間の完成形として天使寄りには作らないよねえ。全てをバーチャルにしても、コーヒーが美味しいとかそういう感覚はどんだけリアルにされてもなんか違うんじゃないかと思ってしまうけれど。


ところで今回ウグイがついに?人間に近づいた気がする。舌を出すとか怒るとか、そろそろ萌えのはじまり。

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湊かなえ著。集英社文庫。

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドの立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネット上で流れ、徐々に歯車が狂い始め―。緊迫の心理ミステリー。 (裏表紙引用)



山本周五郎賞受賞作なのねえ。ちょい意外な。

本作も湊さんの本領が発揮された、女同士の腹黒い付き合いや人の隠れた悪意に切り込んだミステリー。港町に憧れて恋人?と共に移り住んだすみれ、娘が交通事故で車椅子生活となった主婦の菜々子、夫の転勤で家族揃ってやって来た光稀。それぞれの性格がよく描き表されているかなと。

湊作品の登場人物にはありがちだけれど、どのキャラもあまり好感が持てない。リアルなのにそう思うということは、実際腹の内を覗けばどんな人間にだって黒い一面はあるってことかな。皆が心の中で思ったことを口に出せば社会は立ちいかないよねえ。私だって表面的には常識人ぶってるけど、心の中で結構人に言えない意見隠し持ってたりするもの。だからって他人に見せてる自分が嘘ってことではないのだけど。

まあ例えば、私も福引で一等当てて賞品がコーヒーカップだったらガッカリすると思うし。。高いから、芸術品だからそれを理解しないのかって下に見られても…^^;集団送迎当番の母親が我が子だけをとっさに庇う、っていうのも仕方がないような。。すみれも菜々子もそれぞれの立場で、「自分にとってどうか」ってことでしか批判出来ないのがどうも気分悪かったな。


テーマは善意は悪意よりも恐ろしい、ということだそうだけど、この作品を読む限り確かにそうだなと。好かれと思ってした慈善行為も他人が見れば偽善だったり果ては胡散臭いものになりうるのかと思うとつくづく世の中は難しい。だからこそ、ネットに顔を載せないとか余計なことに嘴を突っ込まないなどの危機管理は必要なんじゃないかなあ。

でもこの物語では、人間の悪意だけで終わらないのが実はビックリした。湊作品でこれが来るとはあまり思っていなかったから。子どもは善意の塊だとは思っていないけれど、気がつかないことに気づかせてくれる存在でもあると思う。そういう観点で見ると良い作品だった。

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