すべてが猫になる

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小林泰三著。東京創元社。

“不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。10万部突破『大きな森の小さな密室』の鬼才が放つ現実と悪夢を往還する“アリス”の奇怪な冒険譚。(紹介文引用)



いつまで経っても文庫化されないので借りてきた。なんでだろう?ランキング本に軒並みランクインしていたから売れるはずなのに(私がこんなことしてると来月あたり文庫化されるんだよな〜)。


本書は「不思議の国のアリス」を下敷きにした、ファンタジー+SF+ミステリー。もちろん原典にあたっていた方が理解が深まることは間違いない。2段組に始めは恐れをなしたがほとんど会話文だったので難なく読了。大学院生の栗栖川亜理をヒロインとする現代の章と、夢の国で起こる殺人騒動が交互に語られていく体裁。夢の国で起きたことは現代でも起こっており、現代の登場人物には必ず夢の中で「アーヴァタール」と言われる自分が存在する。

言葉遊びが繰り返される会話と殺伐とした事件との落差が面白い。牡蠣で食中毒とか犬に顔を食べられたとか刺激的だし。その分現代では誰がどれで夢ではどれが誰でとややこしかったりする。意外性もありさすがランクイン本と言えるレベルの面白さだが、やはり小林さんは小林さん。グロ描写が唐突すぎたり、SF世界が独特だったりとクセが強い。このあたりは好みが分かれるかも。

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桐野夏生著。光文社文庫。

高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。人気女性誌「VERY」連載時から話題沸騰の衝撃作! (裏表紙引用)



文庫が出た時にこの作品を知って、面白そうだと思って久々に桐野さんを。


ざっくり言うと、東京の高級タワマンに暮らすママ友たちの暮らしを描いた物語。ここでマウンティングだったり、ママカーストみたいなものが繰り広げられるのかな?ワクワク。と思って読み始めたのだが…。
思っていたほど腹黒な内容でも陰鬱な世界でもなかった。

と言うのは、語り手である’花奈ちゃんママ'こと有紗の人物造形がそれだけでなかなかにキツかったから。ママ友リーダーのセレブ、’いぶママ’を始めとするママたちが、全然嫌な人に見えなかったんだよなあ〜。これぐらいの浅いけど楽しいお付き合いなら、女なら誰しも経験あるじゃない?いいおうちに生まれて、スタイルもセンスも良くて、素敵な旦那様と結婚して、かわいい子どもに恵まれて。それを守ることの何が悪いのって感じ。でも子ども同士は嫌がっていて仲が悪いのになぜ集まらなきゃいけないのかはほんとに分からん。集まるのはいいと思うけど、この人たちにママ友以外の友人関係が見えないのが疑問だった。ここにしか居場所を作れない、夫や両親を頼れない環境にいるママというのがもし実際にいるのだとしたら、必死になっても仕方ないのかも。

むしろ、自分は同じタワマンでも格落ちの賃貸組、公園要員だと卑屈になって必死にセレブに合わせている有紗の方に嫌悪感を抱いた。なんと言っても、バツイチで子どもがいるということを二人目の夫に言ってなかったってのが…。出産でバレるって最悪のタイミングだとは思うけれど、バレなきゃどこまで黙ってるつもりだったんだろう。唯一のタワマン外メンバー、美雨ママはサバサバしていていいと思うんだけど、言っちゃいけないこと言い過ぎ。。こんな近場で不倫しているのもドン引き。

意地になって離婚しない働かない有紗に終始イライラしていたが、追い詰められるごとに自分で自分を客観視できるようになったのは良かった。過去を失敗だと感じるのは、今が幸せじゃないからだよね。幸せならば、失敗があったから今があることが分かるはずだもの。誰しも人に言えない秘密の一つや二つあってもおかしくないし、自ら間違いに踏み込んでしまうこともある。でも大事にしたいものが一つでもあるうちは大丈夫なんじゃないかな。全ての女性のみんな、がんばろう。

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北村薫著。新潮文庫。

十代の頃から、大切な時間を共有してきた女友達、千波、牧子、美々。人生の苛酷な試練のなかで、千波は思う。「人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか」なのだと。幼い頃、人の形に作った紙に願い事を書いて、母と共に川に流した…流れゆく人生の時間のなかで祈り願う想いが重なりあう―人と人の絆に深く心揺さぶられる長編小説。(裏表紙引用)



「月の砂漠をさばさばと」に登場した、さきちゃん再登場。もうおっきくなってます。学生時代からの仲良し三人組・千波、牧子、美々がアラフォーになってからの日々。全体を通して凄く「普通」の日常が描かれていて、それでも退屈しないのが凄い。色々と響く言葉がたくさんあったなあ〜。解説が必要なら小説や絵などの芸術である必要はないよね。

牧子、美々の離婚の理由なんかも「性格の不一致」っていう言葉にすればありふれたものだけど、それぞれのエピソードに血が通っている感じ。北村さん、男性なのによく女性側の感覚で描けるなあ。性別とか超えて素晴らしい人なんだろうね。それにしても、お互いのテレビの音とかかける音楽を「うるさい」って思うようになったら終わりなのかな。(こういうところに目を付けるあたりが。。)

千波はアナウンサーとして紆余曲折ありながらも順調に行くのかな、と思っていたけどああいうことになるとは悲しい。自分だったら、こういう風にカッコ良く送り出すことは出来ないな。何とは言わないがタイトルやあらすじだけを見て匿名で内容を批判するような人間にはなりたくないと思った一冊でした。やっぱ北村作品は凄いね、心が洗われる。

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倉知淳著。実業之日本社。

戦争末期、帝國陸軍の研究所で、若い兵士が倒れていた。屍体の周りの床には、なぜか豆腐の欠片が散らばっていた。どう見ても、兵士は豆腐の角に頭をぶつけて死んだ様にしか見えなかったが―?驚天動地&前代未聞&空前絶後の密室ミステリの真相は!?ユーモア&本格満載。猫丸先輩シリーズ最新作収録のミステリ・バラエティ! (裏表紙引用)



倉知さんの新刊は6編収録の短編集。猫丸先輩もあるよ。

「変奏曲・ABCの殺人」
クリスティ作品のパロディかな。通り魔殺人事件を企んだ男の顛末をおもしろおかしく。リアリティは全くないけど、「そうしたい」と思うだけの人間ならたくさんいそうでちょっと怖い。

「社内偏愛」
会社が社員を管理するコンピューターを導入。コンピューターにえこ贔屓されて社内の立場が困ったことになっている男の話。あの女性、もっとちゃんと話を聞いてあげればいいのに、と。星新一ぽいオチだな。

「薬味と甘味の殺人現場」
パティシエを目指していた女性がマンションの一室で口にネギを突き刺された状態で死亡していた。枕元のケーキはともかく、ネギを突き刺した理由がカオス。

「夜を見る猫」
会社を休み祖母の住む田舎へやってきた由利枝は、飼い猫のミーコが毎晩同じところをじっと見つめていることが気になって仕方がない。殺人が起きてるのにほのぼのしているところは倉知さんぽい。

「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」
帝国陸軍特殊科学研究所の実験室で死体が発見された。被害者の頭部には豆腐がぶちまけられていたが。
設定が特殊で読みづらすぎる・・・。わけのわからない講義も、わざと読者をケムにまいたのだとは分かるが…。とにかくしんどくて真相はどっちでもいいかなあという気分に。表題作だから期待したのだが。

「猫丸先輩の出張」
衣料品メーカーに勤める浜岡くん、会社が開発した新素材を受け取るために研究所へ。そこで着ぐるみのバイトをしていた猫丸先輩と偶然再会したが。水の入ったバケツの真相には驚いた。やはりこのシリーズが1番面白いかなあ。


以上。
まあ、普通だったと思うけど(倉知さんには高い要求をしているもので)、猫丸先輩ものが読めたから良しかな。ユーモアミステリという点では倉知ワールド全開と言えるけど、ちょっと奇をてらいすぎたものも。あまり作風は変えて欲しくないというファンのわがまま。

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京極夏彦著。角川文庫。

藩の剣術指南役・桐生家に生まれた作之進には、右腕がない。元服の夜、父は厳かに言った。「お前の腕を斬ったのは儂だ」。一方、柔らかで幸福な家庭で暮らす“私”は何故か、弟を見ていると自分の中に真っ黒な何かが涌くのを感じていた。ある日、私は見てしまう。幼い弟の右腕を掴み、表情のない顔で見下ろす父を。過去と現在が奇妙に交錯する「鬼縁」ほか、情欲に囚われ“人と鬼”の狭間を漂う者たちを描いた、京極小説の神髄。(裏表紙引用)



京極さんの「〜談」シリーズ。今回は「鬼」をテーマにした怪談集で、それぞれのタイトルに必ず「鬼」がついている。はっきりテーマを統一させたのは初じゃないかな。さすが京極怪談で、毎回違うお話で怖がらせてくれる。よくネタが尽きないなと。

どれもなかなか良かったが、鬼との性交を描いたと思わせる「鬼交」や実の父に右腕を斬られた子の歪んだ心がまさに鬼な「鬼縁」、雨月物語を元にした?「鬼情」、クズ男にふさわしい死に様「鬼慕」などなど、ラスト1ページで恐怖が正体を現すスタイルが面白かった。サラっと読むと普通の怪談だけど、真相を知ってから読むとまた悪趣味な楽しみ方が出来そう。

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