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監督:ジュリアン・シュナーベル
主演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ
予告編から期待していたこのフランス映画。
左目しか機能しなくなった主人公に合わせたカメラポジションで、話は進んでいく。
物語は・・・
順風満帆な人生、そう、彼はELLEの編集長だ。しかし、ある日を境に変わってしまう。誰にでも起こりうる、病という名の不条理。そんな時、人はどうするのだろう? ジャン=ドミニクは3人の子供の父親。突然倒れて動かなくなる。その病名は「ロックド・インシンドローム」唯一動くのは左目のみ。そしてその20万回以上の瞬きで、愛に溢れる自伝を書き上げる・・。
ということなのですが、、、、。
美しい色彩の映像。
使われる頻度の高い順に並べたアルファベットを言語療法士や身内のひとが読みあげていき、いいたい文字の時に瞬きする。
それを勘で読み取りながら、文章化していく作業は果てしない。
一瞬にして自分の身体の自由を奪われる辛さも見事に描かれ、こちらまで辛くなる。
「自分に残された人間性にしがみつく」
ことを実行したドミニクは、やはり果敢な精神の持ち主だろう。
ただ、ひとつわからなかったのは、そのフランス独特の家族・恋愛関係。
いや、私にはよくわかるんですが、あれはちょっとないと思うんですよ。
法律上の奥さんが病院に来て、医師から
「奥さんがいらっしゃいましたよ」
とドミニクに告げると、彼の心の声はこう答えるんです。
「妻じゃない。あれは子供たちの母親だ」
は???
まだ離婚してませんよね?
ただ、他に付き合っている女性がいるだけだよね??
なのに、この男ドミニクはやっと電話してきた恋人からの電話を妻が取り次いで、今日は言語療法士もいないから今度にしてくれと言うのに、
「席をはずしてくれ」
って言うんですよ!!!!!!
ちょっとさぁ、病人だけど、次まで待てるよね?
フランス人って、自分の感情に正直=欲望に突っ走る(他人の気持ち考えず)
だから、ちょっと困るんです。
こんなんだから、妻は、というか、女もどんどん気が強くなり、反撃に出始めます。
まぁ、この映画の女性は奥さんをはじめ、皆さん優しい女性でしたけどね。
普通はこうはいかないもんねっ。
私だって許さないもんねっ。
それで、その付き合っている女性と旅した思い出(巡礼地のルルドへね)も出てくるのですが、いいね〜自由恋愛の国は。
モデルみたいな女性と旅するドミニクは、ルルドで沢山の不治の病の重病人に出会い、マリア様に埋め尽くされる街に圧倒されます。
実は私もルルドに5年ほど前に行ったことがあるのですが、不思議な・・・というか、奇妙な街でした。
聖なる雰囲気があるのに、観光客目当てのお店がい〜〜っぱいあって、高いものはべらぼうに高くて、マリアさまさま商売。
友達の旦那様に
「ゆきえもルルドの水を飲んでおいで。リウマチが治るよ。」
と言われたのですが、へーー、古代エジプト時代から存在して、最先端医学でも治らなくて、患者数が多いから医療費泣かせの難病といわれるリウマチが治るわけないでしょ、と普通に観光して来ました。
でも、そこで見たものはやはり、人間の人間でいることに対する執着でした。
神様が、イエス・キリストが何を説こうと、病という苦悩から逃れたがる患者たち。
狂いそうになる精神を宥める唯一の、最後の砦。
マリア様を信じること。
マリア様を信じて救われる希望をもつことで、彼らは自分の人間性を保っているように見えました。
マリア様を信じる若い恋人と、俗っぽい自分、その街自体に戸惑っていくドミニクの姿が印象的でしたね。
いい映画だけど、妻、もっと怒れ〜〜〜と叫びたくなりました。
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