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大林 優香記者
[東京 25日 ロイター] オリックス・インベストメント運用統轄部シニア・マネージャー、鎌輝氏は、米金融当局は利下げ姿勢から利上げ姿勢に転じており、今後は世界的な金融引き締めで金融市場の流動性が低下するとの見方を示した。同氏は25日、ロイターとのインタビューで「今後半年間は、(市場価格が付きにくいような)流動性が低いアセットクラスやヘッジファンド戦略から距離を置く」と述べた。
同社はオリックス(8591.T: 株価, ニュース, レポート)の100%子会社でヘッジファンド投資に特化する運用会社。鎌氏は今後の金融引き締めに備え、既に「流動性が薄い証券化商品に投資するマネージャーを解約したり、エマージング絡みで流動性が低い戦略などを減額したりしている」と語った。
1999年設立の同社はオリックスグループの自己資金を運用しており、05年末からポートフォリオ管理を統括している鎌氏によると、過去9年間の運用成績は米ドルベースでプラス10%強。運用金額は公表していないが、投資先は海外ヘッジファンド中心に40社強に及ぶ。
投資先の9割がシングルファンドで、ファンド・オブ・ファンズを好む他の国内機関投資家とは一線を画す。「手数料の二重払いを避ける意味もあるが、シングルファンドは投資先の内容が把握しやすく、ポートフォリオを運営しやすいのが最大のメリット」(鎌氏)という。運用総額の4割程度を、同社名義の専用口座でヘッジファンド運用業者が運用指図を行う「マネージドアカウント」にして日々の取引動向を監視できることや、ヘッジファンド戦略の中でも商品投資顧問業者(CTA)やグローバルマクロの採用が多く、コモディティーに対する資産配分が約4割と他の投資家より高いことも特徴。残りの資産配分は株式が4割弱、為替が1割、その他が1割強となっている。
<株への投資は引き続き限定的>
鎌氏は、景気重視だった米連邦準備理事会(FRB)が6月からインフレ重視に転換し、今後は利上げ方向に動く公算が大きいと予測する。米国が利上げすればドルペッグ制の国などが追随し「グローバルに金融が引き締められ、流動性が締まる」とみている。米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)関連の損失などでプライムブローカーによるリスク供給が細っていることも流動性にはマイナスで、今後の投資スタンスとして同氏は「危ないところを避ける。市場価格が付きにくいような流動性が乏しい戦略からは遠ざかる」と語った。
一方で、キャッシュを増やすほか「ボラティリティーに着目して短期間で運用益を取って行くロングボラティリティー戦略への投資を増やしている」と述べた。
株については「引き続きエクスポージャーは限定的」にする考え。同氏は、米国の空売り規制強化による金融株の買い戻しで「金融株や不動産株をショートし、エネルギー株などをロングしていたヘッジファンドは今月大きく痛手を受けた」とみている。
鎌氏は「世界は景気後退局面に入っている」とみており、株式相場も軟調地合いが続くと予想。そのため「相場のベータを取らず個別銘柄のロングショートで運用益を狙うようなマネージャーに注目していく」という。日本株については「マネーフローをみていると買い手が限られる」とし、投資配分を増やす考えはないと述べた。
足元で相場が軟化しているコモディティーに関しては「過去1年半─2年ではインフレ関連で1番リターンを取りやすいと思い増やしてきた」という。今後も長期的には新興国の需要などで上昇を続ける見通しだが、短期的には投機的資金が逃げ、弱含みで推移すると予想する。運用については「相場が下落しても動きがある限り、リターンを生むチャンスはある」とし、現行の投資配分は当面維持する意向を示した。
来年設立10周年を迎えるオリックス・インベストメントは、これまで自己資金の運用に専念してきたが「運用実績が好調なことから、外部資金の運用についても前向きに検討している」という。
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(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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