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基本的に私は自分の子供に何を習わせたいというのが、まったくといっていいほど無い。
でも、私はイギリス式に?小さいときから自分でやりたいと言うことはやらせようと思っていた。
2歳の頃、娘がバレエをやりたいと言い出した。もちろん2歳では早すぎるのだが、どうもあのチュチュやひらひらのドレスが着たかったようだ。
まあ、きっかけは何であれ、娘は3歳からバレエを習っている。もちろんバレエクラスでは最年少。
先生はロイヤルアカデミーのリタイアされた先生で、ともかく娘はただジャンプしたり駆け回るのが楽しくて行っているのだが、ともかく良いところを探してほめる。
エクセレント!ラブリー!ビューティフル!もうこれでもかとばかりに褒めちぎる!
そのせいか、娘はバレエがもっと好きになった。
私はこれでも?小さい頃、日本で何度か絵のコンクールなどに入賞したことがある。両親は私が絵を描くのが好きなのを知って理解していたので、高校も美術専門学校も受験したが、結局、高校の美術教育に力を入れているところを選んだ。でも、私の「絵を書きたい」という意欲は実はもう高校の時にはなくなっていた。
それはなぜか、というと・・・
小学校の時、校内で風景画のコンクールがあり、放課後に私は一人で校庭で絵を書いていた。校長先生がやってきて「君は本当に絵が上手だね、その木なんか表皮が本当にリアルだよ」と褒めてくれた。ところが、私の担任の先生がやってきて、こう言い放った。「いやあ、全然だめですよ、なんといっても絵が暗いんです。子供らしさがありません」と。
その時は悔しくて、もう絵のコンクールに出そうと言う気がなくなってしまった。
家に帰っても小学生の私はずっと泣いていた。子供らしい絵ってなんだろう?と。母が心配していたので、今日の出来事を話した。すると母が言った。
「それね、幼稚園のときにもいわれたのよ。あなたの絵は子供らしくないって、いつも言われてたわ」と。
そういえば幼稚園の時の妹の絵は「子供らしくて素晴らしい絵だ」とよく褒められていた。妹の絵には必ず、空に太陽があって、色彩感覚も子供が好むような明るい色だ。それに比べて私の絵は、どこか寂しげで色も暗い色を使っている。母が言った。
「幼稚園のときに言われたのは、あなたの絵は太陽を書かないから子供らしくないって。私たちはそんな風に思わなかったけどね」
小学校低学年の私はとても傷ついた。私の絵は子供らしくないから、誰にもほめてもらえなかったのだ。
ところがその頃、ひそかに応募していた絵のコンクールで賞を取った。その時に私はある美術関係の方の事務所へ母と行った記憶がある。
「お母さん、お子さんにきちんと絵をやらせてあげてください。とても素晴らしい素質を持っていると思います。この絵を見て本当に小学生が書いたのかとびっくりしました。」と母に話しているのを、私はだまって横で聞いていた。
帰りの電車の中で「どうする?絵をどこかで習うならやってもいいよ、お母さんは応援するわよ」と母に聞かれたが、私はもう絵を描くことが恐怖になりつつあった。だから「ううん、もう絵はやらないよ」と答えた。
母は私がこの年になっても、そのことが頭を離れないらしい。今でも「子育てから少し開放されたんだから絵でも描いたら?」とすすめる。私も冷静に過去を振り返ることができるようになったので、小学生の私の受けた傷をこうして人に話せるようになった。
それまでは、うちの夫ですら話したことが無かった。小さい時の心の傷は、本当に根が深いものですね。
この前の日記に娘のムンク風の絵の画像を載せた。
ある日本人の知り合いは「3歳なのにこんな暗い色を使うの?」と言った。やっぱり日本人はどこかで「子供は明るい色を使うべき」と思っているのかな?
イギリス人は、とにかく子供を褒めるのが上手だ。
娘も幼稚園などでもこんな暗い絵を書いてくるのだが「この色がとってもラブリーねって言われたよ」とうれしそうだ。娘は紫が大好きなので、どうしてもそういう暗い絵になりがちだけど、イギリス人の先生は「色使いが本当にステキ!」と大げさに褒めてくれたみたいだ。
それが子供のやる気を促して、たくさんの芸術家をはぐくんでいる環境だとしたら、それはイギリスのとてもよいところだと思う。
私も小さいころイギリスにいたら良かったな・・・と思う今日このごろでした。
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