星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[フランスからこんにちは](11/28)
坂田先生から電話をもらって私の中では半信半疑で、杉田君はそんなことをする人ではないと思いつつも子どもは下ろして解決したのではないのかと、疑いばかりが増していく。


そして、学校へ向かう間も杉田君はそんなことする訳がないと心に言い聞かせながらも、私に何も言いたくなかったのは秘密のままにしたかったのは自分の子供を生ませたから?とそんなことばかり考えてしまう。


私の動揺する姿を心配した先輩が運転手を買って出てくれた。私がそんなに激しく動揺しているとは自分では気付いていなかった。


だけど、学校へ到着する間、先輩が運転する車の助手席に平静とした気持ちではいられなかった。両手を握りしめ何かの間違いだと坂田先生の勘違いだと思いたかった。


ところが、学校の玄関ドアの前に坂田先生と赤ちゃんを抱っこした女の子がいるのを見て心臓がドクンドクンと音が大きくなっていった。


困った元女子生徒が女の子になら誰にでも優しい杉田君を頼って来ただけだと必死にそう自分に言い聞かせていた。


「相川先生、ごめんなさい!杉田君の携帯電話知らなくて相川先生ならと思って電話したのよ、ごめんなさい」


坂田先生は申し訳なさそうな顔をして私を見ると困惑した表情を見せた。そしてその視線は女の子が抱える赤ちゃんに向けられていた。


私は何かの間違いだと思いながらその子の顔を恐る恐る覗いた。


すると、坂田先生の言う通りだった。まるで杉田君生き写しの可愛い男の子だった。


この時何もかも悟った気がした。杉田君が私と交際したいのは今を楽しみたいのと単なる遊びだと。


だから自分に子供がいることを知られたくなくて何を聞いても説明してくれなかったし話そうとしなかった。


「杉田君ソックリね。血が繋がっているから?」


思わずそんな確かめるような台詞をその女の子に聞いていた。自分で自分の首を絞めてどうする?と後悔したが聞かずにはいられなかった。


そんな質問しなければ良かったとこの時ほど悔やんだことはなかった。


その女の子は私の質問に頷いて答えた。それは、その男の子と杉田君が血縁関係にあると言う事だ。


ショックで倒れたい気分なのにどこか「ああ、やっぱりそうなんだ」と、杉田君をそんな目で見ている私がいる。


タイミング良く玄関前までやって来た一台の車が目の前に停まった。すると、慌てたように車から人が降りてきたが、それは杉田君だった。


そして、私がいると気付いているはずなのに杉田君は私ではなくこの女の子の方へと駆けつけた。


「碧!いったいどうしたんだ?!」


「玲人君!」


女の子は杉田君を見て泣いていた。すると、随分慣れた手つきで杉田君は男の子をその碧と言う人から受け取っては抱きしめていた。


男の子を見る杉田君の愛おしそうな表情を初めて見た私はショックで卒倒しそうだった。




◆[フランスからこんにちは](12/28)
子どもは正直でそのままの表現をする。可愛いその男の子は杉田君を見るなり誰か分かるようで手を差しのべながら「ぱー、ぱー」と呼んでいた。


決定的な瞬間を見た気になってしまった。そして、きっと、私とは遊びの関係でいたいのだろう。私がいるのに顔を見ようとしない。


「兎に角、俺のところへ連れて帰ります。坂田先生、迷惑かけました」


「私は別に良いのよ、杉田君に連絡が取れてホッとしてるんだから。それにしても、この子って杉田君に良く似てるわね」


杉田君は、やっぱり私の顔を見ようとしない。それに、坂田先生の残酷と思える台詞に私はなにも言えなかった。


ただただ拳を握り締めて震わせているのかやっとだった。



「・・・みたいですね。ここまで俺に似ると思ってなかったから」


「ごめんね、玲人君。私が勝手にこの子を産んで玲人君にまで迷惑かけて」


「何言ってるんだ。俺が生めって言ったんだ。俺はこの子が生まれてきて嬉しいよ。さあ、早く帰ろう。」


「うん」


二人の会話を聞いていてまるで愛し合う恋人同士の様に聞こえた。そんな会話を私がいる目の前で出来る杉田君の神経を疑いたくなる。


けれど、これが現実なのだと受け入れなくてはならない・・・・その現実が私には辛い。


そして、何度も「ぱーぱー」と言いながら杉田君の顔に触れようと手を差しのべるその子の小さな手を、とても愛しそうに見ながらその手に軽くキスする杉田君を見て何だか悟ってしまった。


結局、遊び人の杉田君相手に本気になろうとした自分がバカだったと。


そして、可愛い男の子を抱きながらその子の母親と一緒に車に乗り込む杉田君に怒鳴ってやりたくなった。それも、未練がましく。


ここで、大声で叫べば杉田君は私の方を振り向いてくれるだろうか?


もし、ここで「行かないで!」と言えたら杉田君は行かないでくれるだろうか?


もし、私が「杉田君!」と叫んだら私を見てくれるだろうか?


きっと、どれも答えはNOだ。


杉田君はその母子を自分の乗ってきた車に乗せて帰ってしまった。


とうとう、杉田君は私を見ることはなかった。


きっと、それが答えなのだろう。


呆気にとられた坂田先生も何が起きたのか想像もつかない近藤先輩も、ただただ走り去っていく杉田君の車を見ていた。


私は早くこの場から逃げたくて坂田先生に碌に挨拶もせずに自分の車の方へと向かった。


「あ、おい!相川!」


先輩がおいてけぼりを喰らわないようにと慌てて追いかけて来た。


坂田先生は何か私に話しかけていたが、そんな言葉は耳に入らない。


今は、早く家に帰って布団の中に入りたい。入ってぐっすり眠ってこれを悪夢と思いたい。


そして、杉田君を一日も早く忘れることだ。



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