星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[フランスからこんにちは](15/28)
結局その日は、先輩の強い押しに負けてしまって、一緒に出かけることになってしまった。


本当は仕事を休みたくなかった。


坂田先生は昨日の杉田君の事を知っている、あれが原因で学校を休んだと思われたくなかったから。


その事が生島先生へ報告が行きそうでそれも気分としてはあまり良くないから。


でも、それ以上に気分が良くないのは杉田君から何の連絡もないこと。


私の目の前であんな光景を見せておいて連絡一つ寄越さないのは私は本気の相手じゃなかったってこと。


言い訳くらいすればいいのに。私の処女を狙っていた癖に。


私とデートしたがった癖に。


全部、それは嘘だったって事になるんだよね?


最低・・・・でも、もしかしたら事情があるのかも知れない。


本当は、何か言いたくても言えない事情があるのかも知れない。


ならば、どうして昨日あの時、私の顔を見ようとしなかったのか。


きっと、杉田君は後ろめたさがあって私の顔を見ることが出来なかったのよ。



「おい、もたもたするなよ。置いていくぞ!」


「あ、先輩!待って下さいよ」


近藤先輩がどこかへ連れて行ってくれると言ったけれど、本当に仕事を休んでも良かったのか。でも、私の代わりにさっさと職場へ電話を掛けてしまったし、もう今更どうでも良くなってしまったけど。


「さっさと来いよ」


「先輩ったら足早すぎです!」


「お前がとろいんだよ」


私の気分を紛らそうとしてるのか先輩はとっても意地悪な言い方ばかりする。


それが妙に杉田君を思い出させてしまうのだけど・・・・でも、こんな朝の登校時間にはきっと杉田君は学校へ向かっているだろう。


そして、私は先輩の車に乗せて貰ってこれからどこへ行くのやら。


行き先は先輩は教えてくれなかった。どこへ行こうとしているのか気になりながら先輩の車へと乗り込んだ。


まさか、私のアパートへ杉田君がやって来たとも知らずに。


先輩の車に乗り込むと直ぐに先輩は車を走らせた。私は窓の外を見る余裕などなく先輩の意地悪な言葉に反応するばかりだった。


急に偉そうな態度を取り始めた先輩って、昔はこんな態度は見せなかったよね?と自分の中で疑問符を並べていた。


そんな私の不思議そうな顔を見て先輩は思いっきり笑っていた。


「面白いな、相川は」


意地悪かと思うと急に優しい眼差しで見つめられてそんな言葉を囁く様に言われると、ちょっぴり心臓がドキッと反応してしまう。


そんな私達の車が駐車場を出た頃、入れ替わりに杉田君の車がアパートの前に停まった。そして、出て行った私達の車を目で追いかけて見ていた杉田君は舌打ちをしていた。


「あのバカ女!」


杉田君はそんな言葉を残しどこかへと車を走らせていた。




◆[フランスからこんにちは](16/28)
近藤先輩の車に乗せられどこへ連れて行かれるかと思ったら、なんとそれは動物園だった。


流石に動物園の入り口までやって来ると仕事を休んでまで来るような場所でない事に戸惑っていた。


すると先輩が「気分転換は必要だろ?」と、眩しすぎるほどの優しい笑顔でそう言うと、さっさと入場チケットを購入して受付のお姉さんに私の分まで二人分を支払っていた。


慌てて先輩に入場料の支払いをしようとバッグから財布を取り出そうとしたら、その手を掴まれて「今日は俺が誘ったから俺の奢り」と笑顔で言われてしまった。


そんな顔をされたら私は心臓がバクバクして手が止まってしまった。


これまで先輩と一度も二人だけで出かけたことなんてなかった。デートなんてもっての外だ。そもそも、二人並んで歩くのさえ今回初めてだ。


だから、憧れていた先輩が直ぐ隣を歩いているかと思うとちょっと恥ずかしい気もする。


並んで歩いて気付かされた、先輩が思ったよりも背が高くて細身なのだと。杉田君には敵わないけれど、それに匹敵するくらいの背の高さのようだ。


それに、足が長い分だけ歩くスピードが速い。ちょこまかと追いついて歩こうとする自分は必死に先輩の足に合わせて歩いている。


杉田君なら・・・・きっと、置いてけぼり食らわせるだろうなぁ。でも、そう思わせながらも置いていかないよね・・・杉田君なら。


ちょっぴり緊張でドキドキのデートに動物園の動物たちを眺める気分になれなかった。


隣を歩く先輩が気になりながらも、考えるのは杉田君の事ばかり。


憧れの先輩との楽しいはずの動物園デートなのだろうけど、歩けば歩くほどに杉田君を想いだし心が重くなる。


可愛いはずの動物達の顔が憂鬱そうな顔に見えてしまう。狭苦しい檻から出して欲しいと懇願しているようだ。


それは、私も同じでこの苦しい想いから逃げ出したい。抜け出たいって思っている。


すると、隣にいる先輩にドギマギしていたはずなのに、どうしてか杉田君の顔ばかりが浮かんでくる。



杉田君のバカ!!


なんで私に隠し事ばかりで何も教えてくれないのよ!


どうして、生ませたことを隠してたのよ!


ああ、そうだよね、

杉田君が子持ちって分かったら私が付き合うはずないって思ったからよね?


最初から杉田君は私とベッドに入るのが目的なんだから。処女が珍しいから、ただ、やりたかっただけなんだよね?


だから、隠し事ばかりで私には本当の杉田君を教えてくれないんだ。



私の頭の中は杉田君でいっぱいになっていた。



「おい、あれ見てみろよ、相川ソックリだぞ」


カバの呆け面を指差していた先輩。私を笑わそうと喋りかけてたかも知れないけれど、私の頭の中は杉田君一色になっていて、先輩の声は耳に届いてなかった。


杉田君に会いたくて、また頬を涙で濡らしてしまった。




そんな頃、杉田君も学校を休んでいた。



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