星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[フランスからこんにちは](17/28)
杉田君は買い物帰りなのか手に沢山のレジ袋を下げて自宅アパートへと帰って来た。


ドサッと荷物を抱えて玄関から入って来た杉田君はやれやれといった顔をして床に重い荷物を一先ず置いた。


玄関のドアの開く音とその重々しい音に引きつけられるかの様に、茶の間で寛いでいた碧が元気よく玄関までやって来た。


「玲人君、お帰りなさい」


「ただいま、碧、おっ、やんちゃ坊主元気にしてたか?」


碧が子どもを抱きかかえたまま玄関へとやって来ると、杉田君の顔が見えたからかキャッキャッとその子が嬉しそうに笑った。


可愛い笑い声に杉田君はその子を抱き上げた。そして、頬擦りするとその子のホッペにちゅ〜っとキスをした。


「うーん、だんだん俺に似てきたな」


「うん、私もビックリした。血の繋がりって恐ろしいね。それにね、私を見て笑うときなんか父親ソックリなんだ」


「へぇ、お前は父親ソックリか。そりゃ良かったよ」


「うん、ソックリだよ。周りからは異様な目で見られるけど、私ね、この子を生んで良かったと思ってる。」


「俺もこの子が生まれてきてくれて嬉しかったよ、ありがとう、この子を生んでくれて」


碧は杉田君を見て嬉しそうに微笑んでいた。それも、とても幸せそうな顔をして。


すると杉田君もまた碧を優しい瞳で見つめていた。


碧の頭を撫でると「もう大丈夫だから、安心しろ」と声を掛けていた。


その言葉に碧は感激したようで目から涙が流れていた。そんな碧を杉田君はしっかり抱きしめてやっていた。


「さあ、泣きべそママじゃこの子に笑われるぞ。もう、泣くのはやめろよな」


「うん!」


杉田君から子どもを渡されると碧は茶の間へと戻って行った。買い物袋を持った杉田君もまた碧の後から茶の間へと行った。


買い物したものを茶の間の小さなテーブルの上に次々と並べて碧に買い忘れたものがないかチェックして貰った。


「うん、ありがとう。これだけあれば十分だわ。あ、でも、お金は・・・」


「いいよ、この子の生活費だろ。俺が何とかするから、碧は心配するな」


「うん、ごめんね。玲人君にまで迷惑かけて」


「いや・・・これも、俺にも落ち度はあったんだ。謝るなよ」


碧は杉田君を見て嬉しそうに微笑みながらも少し困惑した表情を見せていた。


「片づけは頼むな」


そう言うと、杉田君は一度玄関から廊下へと出て行き、携帯電話を取り出した。


電話の着信履歴はあるだろうかと確認したものの、誰からの電話もメールも何もないことが分かると大きな溜め息を吐いた。


「ったく、あのバカ女。何してんだよ」


投げやりな言葉を言うと数回頭をゴシゴシと掻くと携帯電話を握り締めた。


そして、携帯電話のアドレス帳から私の名前を見つけると通話ボタンを押そうかと指を構えたものの、電話から指を離すと電源ボタンを押して電源そのものを切ってしまった。




◆[フランスからこんにちは](18/28)
動物園を出た後、先輩は食事に誘ってくれたけれど、どうしても食べたい気分にならなかった。だから、早めに動物園から出て来た私達はアパートへと戻ってしまった。


また、静まり返ったあのボロイ小さなアパートの一室で向かい合う様に座っていた私と先輩は再び沈黙の時間を過ごしていた。


先輩は私に気を遣って何度か話しかけてくれたけれど、今は何も考えたくなくて先輩に返す言葉が見つからなかった。


何度も溜息を吐かれたのは分かっていたけれど、でも、やっぱり杉田君があの女の子を妊娠させたかと思うとショックでこの身が裂けそうな程辛いし苦しい。


それほど杉田君の事を思っている自分がいることにも驚いたけれど、それ以上に杉田君がそんな無責任な男かと、その行動がショックで居た堪れなかった。


「なあ、相川。アイツだって男なんだよ。その、他の女を抱きたいってその・・・魔がさすことだって」


「先輩も魔がさすことあるんですか?」


先輩は私を慰めようと必死なのかも知れない。こんな落ち込んだ状況のままの私を放置してアパートを去れないのだろう。


先輩は本当に優しくてお人好しですよ、と、教えてあげたい。


「あのな・・・あの年齢だと興味が先で愛情なんてのはないも等しくて」


「だったら妊娠させても良いんですか?」


多分、杉田君を庇って弁護しているつもりだろうけど、それは逆効果なのにと先輩に教えたくなる。


女は、誰彼構わず抱いて妊娠させる男を一番嫌うのだから。そうじゃない女も中にはいるかも知れない。


でも、私は絶対に無理・・・・


杉田君に元カノがいて、その元カノと深い関係にあったと聞いても嫌なのに。


私以外の人とそんな行為をするなんて絶対にイヤ。


「相川はこれまで彼氏いたら分かるだろう?今は別れたとしても交際当時はお互いに好きって思えば感情は高まってついそうなってしまうんだよ。で、その結果、間違って妊娠することもある訳で」


「私には彼氏はいませんでした」


「・・・・もしかして、彼が初めての?」


そう訊かれると恥ずかしいけれど、これまで私はまともに交際した男性なんていない。


学生時代にグループ行動しても個人的に何かするって言う経験がなかった。


私にとって、杉田君は何もかも初めて尽くしで杉田君しか知らない。


そして、私がバージンを奪われても良いと思ったのも杉田君だけ。


なのに、杉田君にはそんな感情なんてコレッぽっちもなかったんだ・・・・


だから、私の顔を見ようともしなかったし連絡しようともしない。ここへ来て弁解しようともしないのだから。



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