星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[フランスからこんにちは](25/28)
「ドンドン」


ドアが叩かれても反応しなかったものだから、今度は少し力の入った叩き方に変わった。もしかして、誰か部屋を間違えて叩いているのだろうか?


こんな時間に一体誰なんだろうか?


誰も何も、フロント以外にこの部屋を訪ねる人なんていない。私がここに泊っているのを知ってるのは先輩だけ。


まさか、夜這いに来たって言うんじゃ・・・・


それでも、怖いけどドアに近づいて廊下の様子を窺った。ドアに耳を近づけようとしたら、


「ドンドンドン!!」


今度はもの凄い勢いで力強く叩かれた。やっぱり、様子が変だ。酔っぱらいなのだろうか。


先輩がこんなことする人とは思えない。


「え・・・と、私の携帯は・・・電話どこ置いたっけ?」


先輩に連絡してみよう。ドアを叩いているのが先輩なら、このドアを開けるなんて私には出来ないと謝るしかない。ここまで着いて来ながら先輩を受け入れられないというのはあまりにも自分勝手とは分かっている。


でも、やっぱりダメだ。私は杉田君以外の人に触れられるなんてイヤ!


お願いだから、先輩、自分の部屋へ戻って!


杉田君、助けてよ!



「ドンドンドン!!!」


「そんな・・・携帯電話、どこなの?!」


バッグに入れたはずの電話が見つからない。どうしたらいいのだろう。


どうしよう・・・・



「留美!!!開けろ!!!俺だ!!!」


「え?」


ドアの向こうから聞こえたのは・・・・


「俺だ、玲人だ! お前の杉田玲人だよ!!」



何で、杉田君がここへ?!!


でも、私にはそんな事はどうでも良かった。杉田君の懐かしい声が聞こえて来ただけで、私はもうすっかりあの母子の事は忘れていた。


そして、杉田君会いたさにいつの間にかドアの所へと駆け寄りドアを開けていた。


すると、ドアの前には夢か幻なのか杉田君が立っていて私を見つめていた。


私はあまりの感激に目に一杯涙を浮かべると次の瞬間、杉田君の首に抱きついてキスをしていた。


実に何日ぶりだっただろうか。会わなくなってどれだけの日数が経ったのだろうか。


まだそこ一週間程度のはずなのに、私には数か月も、いや、何年も会わなかった様に寂しくて悲しくて心が壊れるかと思った。


杉田君の首ったけに抱きついてキスをした私を杉田君はそのまま抱きかかえて部屋へと入って行った。


そして、そのままキスをしながら私をベッドまで運んでくれた。


ベッドへ下ろされた私はそのまま杉田君に抱きついたままキスを続けたけれど、杉田君は一度私から離れるとベッドに腰を下ろした。そして靴を脱いでベッドへ上がったかと思うと私に土下座をして謝った。


それは一体どう言う意味なのだろうか。


ここまで追いかけて来てくれたんじゃないの?


なのに、どうしてそんな事をするのか私には理解出来なかった。




◆[フランスからこんにちは](26/28)

「どうしたの?何でそんなことするの?」


「ごめん、留美に嫌な思いさせて」


ああ、もしかしたらあの母子の話をする為にここまでやって来たというのか。そんな残酷な話は今は聞きたくない。


折角、杉田君に会えたのに・・・・


けれど、私はあの女子が現れてからとても平常心ではいられなかったし杉田君から逃げることばかりしていた。杉田君に文句なんて言える資格なんてない。


だけど・・・私には正直に話して欲しかった。私をもう少し信じて欲しかったのに。杉田君はいつも私には真実を隠してばかり。結局、その程度しかなかったの?


でも、ここまで来てくれたのは・・・・私の事をそれだけ本気に考えてくれたからって思っていいの?自惚れじゃなく、本気だと思いたい。


「俺、満に叱られた。俺は留美に信じて貰いたかったけど、それは俺のエゴであって留美を傷つけるばかりだって。何も知らされない留美がどんなに辛い思いしているのかを、もっと考えろってね」


生島先生がわざわざ私の為に杉田君を説得したのだろうか?


私には何も知らされない隠された杉田君の過去。それを話しにわざわざこんな所までやって来たのだろうか。


「あの彼女と子どもの話をしに来たの?私が戻ってからでも良かったのに」


そんなこと本気じゃないのに。余裕のある振りをするなんて・・・・どんなに強がって見せても私なんて杉田君の一挙手一投足に振り回されているくせに。


それに、杉田君だって私よりあの女の子と杉田君そっくりな男の子の方が大事なのだから。


「彼女と子どもを置いてきても良かったの?杉田君がいないと困っているんじゃないの?」


「それなら大丈夫、満に任せて来たんだ。俺にとっては大事な家族だから、きっと満が大事に扱ってくれている。安心してもいいよ」


杉田君の大事な家族・・・・結婚していなくても杉田君の子どもを産んだ母親は杉田君にとっては大事な家族なんだ。


そんな家族を放ってこんな所まで釈明しに来たとでも言うのだろうか。何だか凄く腹が立ってきた。


それに、さっきまでは心配そうな顔をしていた杉田君の表情が何だか少しずつにこやかな顔に戻って来ている。開き直りって奴なのだろうか。それが異常に私の苛立ちを誘ってしまう。


「そうよね、杉田君には大事な家族よね。あんなに杉田君に似た可愛い子なんだから!」


完全な八つ当たりだ。彼女に嫉妬している。私がもう少し早く杉田君と出会っていれば私が・・・・


「俺によく似て可愛いだろう?」


「本当にそうよね、あんな子どもがいるなんて最低!!」


「俺もあんな子どもが欲しくなった」


「もういるじゃない!」


「あの子は俺の子じゃないよ」


「え?」


杉田君の今のセリフは意味が分からない。あんなに杉田君そっくりな子どもなのに、自分の子ではないという杉田君。


自分がしでかした行為の責任から逃げようというのか。


「最低、自分の子どもなら最後まで責任取ってやりなさいよ!」


「そうだな、自分の子どもならそうするかもしれない。でも、俺の子じゃないんだから出来ないよ」


「でも、あの子は杉田君にソックリじゃない」


「あの子は伯父さんに似たんだよ」



私の頭の中は更に大パニックに陥った。




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