|
◆[愛の蜜月](5/16) 「とにかく、何でもいいから注文するぞ」 かなり顔を赤らめたままテーブル横にあったメニューを手に取った杉田君。なんだか恥じらっている様でとても可愛くてずっと眺めていたくなった。 すると赤めていた顔がいつもの表情に戻ると、今度は高慢ちきな表情をして見せる。 「どこ見てんだよ。メニュー見れよ」 「だって、杉田君可愛いから」 テーブルに顎肘ついて座っていると杉田君の顔がニュッと近づいた。近づいたと思ったら唇にチュッと軽くキスされた。 「え、あ、杉田君?」 こんなお店で何てことを!と、思っていたら杉田君の手に頭をグイッと引き寄せられて、身体をテーブルに乗り出した杉田君にしっかり甘いキスをされた。 お店の中だけど、カウンター席の更に奥にいる店長さんには見えないようだ。 そして他のカウンターのお客も、何人かお客は入っているがみんな背を向けて座っているから勿論のこと私達の姿は見えない。 畳のスペースのお客には間仕切りがある所為で当然私達のキスなんて見えるはずもない。 だから、杉田君はこの場所を選んでそして私を間仕切り側へと座らせたんだと納得してしまう。嫉妬だけじゃなかったんだね。 何度も重なる杉田君の唇が熱くて頭がぼーっとしてしまった。 重なる唇が離れるととても寂しく感じてしまうなんて、私はなんて厭らしい女になったんだろう。物欲しげな顔をしていたのか、杉田君が私の顔を見て笑った。 その笑顔は私の心臓をドキドキさせる甘い笑顔だ。 そして、その笑顔を向けた杉田君は嘘みたいに優しくて私を甘やかす。 「留美の好きなものを注文しよう」 微笑まれるとつい杉田君の好きなものを注文してって言いたくなる。だって、少しでも杉田君の好きなものが何か知りたいし私も一緒に食べたいから。 本当に恋する乙女って感じのまるで女子高生気分。 すると、杉田君は「俺が好きなのでいいのか?」と訊いてくれた。私は頬が熱くなるのを感じると頷いた。 「じゃあ、俺が決めてもいいのか?」 「いいよ、杉田君の好きなものを注文して」 「可愛いな、留美」 テーブルの上に置いた私の手に杉田君の手が重なると、それだけで、まるで私の身体を愛撫されているようで体が熱くなる。 体の奥から溢れる熱が全身に広がりそれは指先までもが侵されている感じだ。そして触れる指先の肌を通して杉田君へと伝わっていそうだ。杉田君の指先がとても熱く感じる。 「お客さーん、きまりましたか?」 「はい、このおすすめって書いてあるのを二人前良いですか?」 「おすすめね、ちょいまってね」 おすすめって何が有るのだろうかと、杉田君にメニューを見せてもらった。 するとそこには「ワラスボ」と不思議な名前が書かれていた。初めて聞く名前にこれって何なのだろうかと杉田君の顔を見た。 すると杉田君は「これだよ」と携帯電話を取り出すと私に動画を見せてくれた。 その動画を見て私は思わず悲鳴を上げそうになった・・・
◆[愛の蜜月](6/16) 「な・・・何それ?!」 「これが世に名高い有明海の珍味、エイリアンだ。あの先輩と二人でこれを食べに来たんだろう?」 誰もそんなものを食べに先輩と二人で来るわけないのに。私が九州旅行を決意したのは、てっきり杉田君が元カノが産んだ我が子と暮らしていると思ったからで。 そのショックから立ち直る為というか、開き直りというか、そんな傷心旅行のつもりだったのに。 「ねえ、やっぱり怒ってる?」 「いいや、お蔭で留美とこうやって旅行が出来るんだ」 「ほんとうに?」 「ああ、本当」 そう言って杉田君はもう一度今のワラスボという生き物の動画を私の目の前につき出した。そして「食えよ」とまるで小悪魔の様な可愛い顔をして私を見つめるその笑顔がとても怖い。 どう考えても杉田君は怒っているとしか考えられない。 だから、何度も聞いた。「怒ってるよね?」と。だけどその度に「いいや」ととても爽やかな笑顔を私に向ける杉田君がとても怖い。 「怒ってはいないけど、今夜もしっかりお仕置きするからな」 と、完全に怒っていると分かってしまう。それに、お仕置きって何なのか、まだ処女を失ったばかりの私にはいったい何の事か分からなかった。 だって、私のお仕置きで記憶にあるのは、小さい頃に両親に叱られておやつをお預けされたことだ。 まさか、今夜の夕食をお預けって言う意味なんだろうかと頭を悩ませていると、杉田君は困惑する私を見て「ベッドでとことん啼かせてやるからな、楽しみにしてろよ」と言われてしまった。 そしてやっとその『お仕置き』の意味が分かってしまった。 すると今日ずっと杉田君にベッドでされたことを思いだした私は顔が真っ赤になってしまった。まるで茹蛸の様に。顔だけでなく耳朶も首筋もそして体全体が熱くなりお腹の中から何か甘い疼きを感じてしまった。 そんな私の顔を見た杉田君は嬉しそうに微笑んで「留美のエッチ」と囁く様にいうけれど、それがとても嬉しく感じてしまう私は変態なのだろうかと思ってしまった。 そして、胸がドキドキして杉田君の顔を見るのが恥ずかしくなって、それでいて杉田君に触れたくて堪らなかった。 何だか、食事は簡単に済ませて早く杉田君と一緒にホテルへ戻りたいと思ってしまった。 こんな気持ちってふしだらな気持ちなのだろうかと思いながらも、やっぱりもっと触れたくて抱きしめて欲しくて、そして、もっとキスして欲しいって思ってしまった。 「飯食いに来たのに、そんな顔して煽るなよ。今すぐ抱きたくなるだろう」 杉田君も私と同じ気持ちなのだと分かると、嬉しくなったけれど恥ずかしさで杉田君の顔が見れなくなって俯いてしまった。 |
全体表示
[ リスト ]





