星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[愛の蜜月](7/16)
こんな羞恥に満ちた顔など見せられないと俯いたままでいると、店長の声が聞こえて「おまちどおさま!」と威勢の良い声が聞こえテーブルにお皿が置かれるゴトンと言う音がした。


テーブルに置かれたお皿に目をやると、そこには私の方を向いた奇妙な生き物の姿があった。それも、牙を剥いたイゲイゲのある口がパクっと開いていて、今にも襲いかかってきそうな恐ろしいエイリアンの姿だった。


そんなエイリアンと目があってしまった私は思わず後ろにある間仕切り板までずり下がると「ひぇー!!」と変な声で叫んでいた。


すると、その私の反応を見た店長は横でゲラゲラ笑っていた。


「君達地元の人じゃなかよね?」


店長の質問に杉田君は無愛想な顔をして「旅行者ですが」と低い声で答えていた。


「最初はだってん驚くけんね、いやぁ〜こげん反応してくれると嬉かぁ」


は?


地元の言葉らしいが不思議な発音が聞こえるとそこは通じない。流石に何を喋っているのか私には理解不可能だが、杉田君には分かったのかかなり不機嫌な顔をしていた。


「最近インターネットば見てこれば食べに来る人がえらい増えてね。普通の人なら鰻のセイロ蒸しば食べるけんね。」


「鰻のセイロ蒸し?うな重とは違うんですか?」


でもそっちの方が何となく美味しそうだし、こんなエイリアンよりは鰻の方が美味しそうだ。


「じゃあ、私は鰻のセイロ蒸しって言うのをお願いします」


「あー、悪かね。うちではセイロ蒸しはしょうらんけん」


「しょ?は?あの、今なんて?」


「セイロ蒸しは他の店で食べてよ。この店ではやってないけん。あ、言葉通じないかな?」


かなり朗らかな店長さんで頬を赤く染めて説明してくれた。普通はあまり使わないらしい標準語で。


この見かけは悪いが絶品らしいワラスボと言うのの食べ方や他にも有明海の美味しい食べ物と言うのを説明してくれた。


とても優しい店長だと思っていると、杉田君の顔はだんだん不機嫌になって無口になっていった。


最後にはほとんど私が店長から有明海の珍味やここの地元の観光名所の話を聞いていた。


慣れない標準語で必死に話してくれる優しい店長につい笑顔になってしまった。


「弟さん、その味はどうですか?なかなかいけるでしょう?」


杉田君は弟呼ばわりされてかなり頭に血が上っていると気付いたけれど、額にピクピクとシワを寄せる杉田君を見るのも嬉しくなって、ついクスクスと笑ってしまった。


「俺はコイツの婚約者ですが?」


そんなセリフを言う杉田君の鋭い視線が店長さんを襲った。


すると店長は驚いたような顔をして「じゃあ、ごゆっくり」と慌てて厨房の方へと戻って行った。


「フンっ」と鼻で荒い息をする杉田君を見て何だかとても幸せな気分に浸ってしまったと、杉田君に話したら怒られるのだろうか?




◆[愛の蜜月](8/16)
「何見てんだよ?」


「別に・・・」


杉田君がもの凄く不機嫌そうな表情を見せるも、それって嫉妬しての顔だからだよね?と、本当は言いたくてウズウズしていた。きっとそれを今言ってしまうと今夜のお仕置きの度合いがマシそうなのでやめた。


「言いたいことあるなら言えよ」


「別にないです。とっても幸せです」


これが本当の気持ちだから。今の私はきっと世界中の誰よりも一番幸せなのだと思う。だから、別に言葉にして言わなくても杉田君の愛情を感じられる今はこれで十分。


「ったく、他の男に色目使っているんじゃねえよ」


「ごめんね」


「それにあんな男に愛想取ろうとすんなよ」


「うん、しないね」


「それに俺以外の男に笑顔なんて見せるな」


「・・・・」


「それにだ、俺以外の男に」


ちょっと、待った!


あまりにも杉田君がこんなに嫉妬深いなんて思わなくて、思わず杉田君の口を手で塞いでしまった。あまりにもシツコイ。


こんなに杉田君って独占欲の強い人だったのかと驚いてしまった。


「私には玲人以外の人は男に見えないから、安心して」


にっこり微笑んでみた。好き好きオーラ全開のつもりで。杉田君が少しでも安心してくれるように私の思いの丈をぶつけるような好きオーラを杉田君へ発射!


これなら少しは信じてくれるかな?と思って杉田君を見ると、杉田君の顔が真っ赤になってまるで茹蛸状態。しかも、目は私から逸らして顔を見ようとしない。


もしかして杉田君って私が思っているぼどの女性関係ってあまりなくて純情な人なのかも?


「ねえ、こっち見てよ」


「やだ」


「ねえってば」


「黙ってエイリアンを食え。そしたらお前の浮気は許してやる」


今の店長さんとの会話が浮気なの?もしかして、私が他の男に話しかけたのが気に入らないの?


それって、メチャクチャ杉田君て心が狭くない?


私がどれだけ日頃、杉田君の女性関係で悩んでいるのか知らないで。


あの赤ちゃんを連れた女子の事情も分からず説明もなく、どれだけ不安だったか杉田君なんて私の気持ちを分かってくれなかったくせに。


私には他の人と話すのさえダメだと言うの?理解できない。


すると、杉田君の口から思いもよらない言葉を聞いた。


「お前と違ってどれだけ俺がお前に惚れてると思うんだ。お前の百倍は俺の方が惚れてるんだよ」


真顔でそんなセリフを言われると何だかもう思い残すことはないって思えてしまった。



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