星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[愛の蜜月](13/16)
けれど、考えてみれば普通は予約日以外の宿泊って無断で出来るはずはないし、それに勝手に宿泊した人数増やしてはいけないはず・・・


そう考えるとミスも何も私が手続きを完全に忘れていたけれど、杉田君がもしかしたら受付をしてくれていたから?


高校生と思っていても、やはり実年齢は高校生ではないんだと思ってしまう。そして、今、こうやってフロントで手続きをしてくれている杉田君は立派な大人の男性と見えてしまう。


実際、杉田君は未成年の高校生ではなく立派な大人だった。免許証を見せてくれたから分かったけれど。


「じゃ、どうも」


「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」


え? 考え事をしていたらいつの間にか杉田君が受付を終わらせてしまった。


それってもう一泊した分の宿泊費用も杉田君が支払ったという事になる。それは絶対にダメ。自分の分は自分で支払わないと。



「杉田君、領収書を見せてくれる?」


「いいよ」


「良くないわ」


「俺が勝手に延長したんだから、俺が払うに決まってるだろ」


本当はここで支払うべきだけど、周囲の目があるから今は黙って杉田君の言葉に従う。だけど、一旦、ホテルを出て人目の付かない場所へと移動したらお金は支払う。


「こういうのは割り勘にすべきよ。でも、ホテルを出てからにしましょう」


「こういう時は男が払うものだろう」


「ダメよ、私は働いているんだから」


「俺もアルバイトならしてる」


杉田君がアルバイトを? それは初耳だ。いったい何時からアルバイトをしているのか、これまで聞いたことはなかったように思う。


第一、朝から夕方まで学校に居る杉田君がどこでバイトをしているのだろうか。


普通の高校生だって下校後からアルバイトは出来るのだから杉田君が出来ても不思議じゃないけれど、でも、放課後は・・・バイトへ行っている様子はこれまで微塵もなかった。


いったい何時どこでどんなアルバイトをしているのか訊いてもいいのだろうか。


これまでの杉田君を考えると教えてくれない様な気がして・・・


「そっか・・・そうだよね。杉田君だって普通に高校生してるのね」


こんなセリフで誤魔化してるけれど、本当は胸が痛くて締め付けられそうだ。いつだって私だけが何も教えて貰えない。杉田君は私を心底信用していないから?


もしそうなら・・・・私はどうしたらいい?


「あのさ、帰ろうか」


「え? どこへ?」


「俺達、一緒に暮らさないか?」


真剣な表情の杉田君。これまで見せたことのない杉田君の照れた顔。


夜のベッドで見せたあの蕩けるような顔とは違う、とても恥ずかしそうにしながらも決意の塊の様なそんな顔を初めて私に見せてくれた。



「俺、実は、高校生じゃないんだ」


「え…と、一旦退学してまた復学したんだよね?」


生島先生かそんな話しを聞かされた記憶がある。私の記憶違いでなければ。それとも生島先生言い間違った?


「俺、高校中退してアメリカへ渡って、あっちの高校と大学はもう卒業したんだ」


「へー凄いね……え?」


杉田君は私より年下のはずで、新卒の私は今年大学を卒業したばかり。なのに、年下の杉田君が既に大学卒業?!




◆[愛の蜜月](14/16)
明日からは通常通りの学校生活が始まってしまう。だから、私も杉田君も観光することなく飛行機に乗ってそのまま戻ることに・・・


いったい九州へ何しに行ったのか。本当ならば、阿蘇の大自然の中で雄大な景色を眺めていたはずなのに。


そんな愚痴をこぼすと、「今度はゆっくり計画を立ててから行こう」と言われてしまった。そんなセリフを言われて嫌と言える彼女はいない。


渋々頷くしかなかった私はどこか納得していない。


それは・・・きっと、杉田君が高校生ではないという爆弾発言をしたから。


そして帰りの飛行機の中で杉田君の昔話を聞くことになるとは、私は思いがけないことに驚きの連続だった。


それも、私が予想だにしない話に思わず言葉が失った。


『俺、日本の高校を出ていないから一度体験したくて祖父に頼んで形だけの高校生をしているんだ』


少し辛そうな表情をしながら言う杉田君は、まるで高校の男子生徒の様な甘えた表情を見せた。それがとても愛しくて守ってやりたくなるようなそんな杉田君の表情に思わず私は抱きしめていた。


私の腕を払われるかと思ったけど、杉田君は抱きしめる私をグイッと更に力を入れて抱きしめ返してくれた。


『生徒達の学園生活が乱れることなく秩序ある生活を送れているのか、監視目的じゃないけど、生徒の安全が守られているかとか、それを俺の目でチェックするのが条件で生徒に潜りこんで授業を受けているんだ』


『え・・・それって、杉田君は教師側ってことなの?』


『教師というより経営者側の目線と言ったらいいのかな・・・その、また詳しい話はいつかするけど、俺は今はこっちの通信制大学で教育課程を勉強中なんだ』


『向こうで就職しようと思わなかったの? だって、もう卒業してるってことは飛び級なんでしょう? そんな頭脳持っていて勿体ないよ』


そうだ、アメリカの高校と大学を飛び級で進級した杉田君は素晴らしい頭脳の持ち主だ。私のような凡人はどう足掻いても自分の学年の勉強を決められた授業時間で勉強するのがやっと。


なのに杉田君はそうではないのだから、その頭脳を活かすのが世の為人の為に繋がるものだと凡人の私はそう考える。


けれど、杉田君は違うのだろうか?


飛行機の中でそんな会話をした私たちだが、それ以上の話にはならなかった。きっと、杉田君は私にはまだそこまで心を許していないのだろうと思うと、少し・・・いや、かなり寂しい気がしてならない。


そして、私のアパートまで送ってくれた杉田君はその夜はここへ泊ると言い張った。


「でも・・・その、いいの? 例の彼女と子どもは」


「ああ、大丈夫。それより、自分の身を心配したら?」


部屋へ入るなりいきなり抱きしめられた私の心臓は、見つめられる杉田君の熱い眼差しにどれだけ耐えられるのだろうか?


「なあ、一緒に暮らさないか?」


突然の杉田君の言葉に私は目を丸くしては呆然としてしまった。




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