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◆[杉田君の気持ち](1/12) 突然の同棲生活の話をすれば、今度は突然部屋を出ていって、エッチ姿の私を置き去りにした。 杉田君の展開の早さに私の頭はついていけない。 何故私が同棲生活にうんと言わないのか、その理由を聞こうともしないで、実にせっかちな杉田君を知ることになる。 それにしてもこの数日で杉田君の色々な面が見えて、面白いと言っていいのか、不思議なところもあると言っていいのか、随分と知らなかった杉田君を見ることが出来た。 それはずっと一緒に過ごしていたから知れたことで、もし、旅行にも行かず一緒の時を過ごさなかったら知らなかったことばかりだろう。 「相川先生? 授業に遅れますよ?」 「あ、今、行きます」 あの後、普通に学校にやって来た私。杉田君も楽しそうに友達と話をしている姿を教室で見かけた。 怒って帰ったのかと思えたけれど、教室にいる杉田君は何時もと同じ明るくてクラスのムードメーカー的な雰囲気でいる。 「授業を始めますよ。席について」 授業時間になり教室へとやって来た私はいつも通りに授業を始めようとした。 ところが、教室の生徒達は皆変な顔して私の方を一斉に見た。 一体何事か?と、少し不安になりながらも教室の異変に戸惑いながら授業を始めようとした。 「ねぇ、相川センセ、エッチしようよ」 「え? 何言っているの? 杉田君?!」 いつの間にか教室の生徒達に囲まれていた。そして、女子なのに男子生徒並みの馬鹿力で手足を捕まれ身動きが取れなくなっていた。いったいいつの間にこんなに生徒に囲まれたのか・・・ 「杉田君?! どういうつもりなの?!」 「センセが俺の言うこと聞かないから悪いんだよ。俺だってセンセの言葉聞く耳持たないよ? それより、皆と一緒に気持ちよくなろうよ? ね、相川センセ」 「だめっ! 杉田君?! 止めて!!!」 なのに、ジタバタする私は何故か裸の格好をしていた。そして、いるはずもない先輩が表れて「俺も仲間に入れてよ」と、薄気味悪い笑みを見せて私に近づく。 「やだっ!!! 杉田君!!」 「やだっ! 杉田君てば、杉田君!」 パッと目を覚ました私は、自分の部屋のアパートに寝そべっていた。あれ?私は今、学校に行って授業をしようとして、杉田君に犯されそうに・・・ 辺りを見渡すと杉田君が何故か壁に寄りかかって座っていた。そして、体操座りをしたままの格好で眠っていた。 時計の針を確認すると12時辺りを指していた。窓の外を見るとまだ真っ暗で、今が深夜の12時だと分かった。 そして、怒って帰ったと思った杉田君は戻ってきてくれていた。 「杉田君」 私は杉田君が帰った後、学校へ行って授業をしている夢を見ていたんだ。 残酷な杉田君は本当の杉田君でなくてよかった。夢の中の出来事で良かった。 「こんな所で寝てたらダメだよ」 遠くでゴロゴロと雷の音が聞こえる。窓から外を眺めると遠くに雷鳴が響き渡るのを感じる。 その雷鳴がまるで自分の心の中の叫び声の様で落ち着かない。
◆[杉田君の気持ち](2/12) 床の上に座って眠る杉田君を布団まで運ぼうと必死に担ごうとするも、非力な女の腕ではどうにもできない。杉田君は軽々と私を抱きかかえるけれど、私は抱えるどころか体を横にすることさえ大変だ。 「杉田君、布団で寝よう」 何とか揺り起こして起こそうとしたけれど、杉田君は起きてくれない。というか、本当は起きているんじゃないかって思えるくらい、体が強張っている様に感じる。 「ねえ、どうして戻って来たの?」 「・・・・」 「怒ってるんでしょう? 私が同棲すると言わないから」 何度話しかけても杉田君は体操座りのまま動かない。仕方ないからとタオルケットを押し入れから出して杉田君の体に掛けた。 すると、ピクリと動いた体から杉田君は目を覚ましているのだと分かった。でも、杉田君は顔を上げて私を見ようとしない。 今は、放っておけばいいのだろうと思ったけど、私の気持ちを聞いて欲しくて杉田君の隣に同じ様に体操座りをして話しかけた。 「私ね、これまで男の人と交際だってまともにしたことないし、キスだってエッチだって・・・・全部杉田君に教えて貰って、今はねとても幸せよ」 全く動かない杉田君は黙って私の話を聞いてくれている様だ。だからそのまま話しを続けた。 「杉田君とはもっと沢山話をしたいし一緒に過ごしたい。だけど、好きだけで流されて一緒に暮らすのはどうかって思えてしまうの。杉田君はこれから教員免許を取るんでしょう? だったらこれから勉強が忙しくなるのに、私が一緒にいても邪魔になるわ」 「・・・なんで邪魔なんだよ?」 「だって、一緒に暮らしていたら期待するよ? もっとキスして欲しいって思うし、もっと抱きしめて欲しいって。他の人と話をしている杉田君見ると気分悪いし、他の女の子ともこんなことしてたかって思うと怒りがこみ上げてくるしで・・・私・・・・みっともないから」 何話ししているんだろう。私は、杉田君の勉強の邪魔をしてはいけないと話をしたかったはずなのに。教師である私がこれから教師になろうとする杉田君の人生の邪魔になってはいけないと、そう言いたいのに・・・ 「みっともなくない! 俺は・・・俺は、留美がいてくれるだけで頑張れるし、もう一人は嫌なんだ」 思いがけないセリフに私は戸惑った。 杉田君は私に抱きつくと、とても悲しい鳴き声のような声が聞こえてきた。 もしかして、泣いてる? そんな様子にも取れる杉田君だが、荒い呼吸をする杉田君の体がとても熱く感じる。 「待って、熱があるの?」 抱きしめる杉田君の体がとても熱く感じた私は、すぐさま杉田君の体を引き剥がし額に手を当てた。 私の予感通り、杉田君の額からはもの凄い熱を感じる。 「何時からなの?」 「分からない・・・でも、何となく気分悪いって感じたのはさっきから」 辛そうな表情をしている杉田君を支え乍ら布団へと運んで行った。 「いい? 大人しく寝るのよ。そして明日病院へ行きましょう」 「留美も一緒に来てくれる?」 「ええ、行くわ」 まるで小さな子どもの様な不安そうな表情で私を見る杉田君。いつもは大人っぽい顔をしているのに、病気の杉田君はまるで幼い子供のようだ。 そして、あの杉田君のセリフ、『もう一人は嫌なんだ』これはどう言う意味なのだろう。 |
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