星屑ひとつ

ゆきの初期作品「先生は俺のモノ!」(ケータイ小説)を掲載中♪ 拙い作品ですがお楽しみ下さい。

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◆[杉田君の気持ち](3/12)
熱に浮かされ始めたのか杉田君が布団の中に入っても私の手を握り締めては何かをブツブツと呟いている。


「どうしたの? 苦しいの? 頭冷やそうか?」


額を触れるとやはり熱い。冷たいタオルで冷やした方が良いと思ったけれど、握り締めた手を離そうとしない杉田君。


「冷たいタオルを持ってくるからね、待っててくれる?」


声を掛けても反応がない所をみるとやはり眠っているのだろう。呟いていた様に感じたのは熱に浮かされたから。ならば早く額を冷やさないと・・・


急いで浴室へと行き洗面器を持ってきては台所へと走る。冷凍庫に僅かだが氷がある。その氷と水を洗面器へと入れたらタオルを持って杉田君の所へと行く。


少し汗ばんだ様子の杉田君の顔はかなり赤くなってきた。このまま様子を見るだけで良いのだろうかと少し不安になるも、兎に角、額を冷やすのが先だと氷水に濡らしたタオルを額に乗せた。


余分に持ってきたタオルで首筋を拭いては背中や胸辺りに汗を掻いていないか確認した。


体はかなり熱くなっているがまだ汗を掻いている様には感じなかった。



「杉田君、苦しくない?」


「・・・」


返事のないところを見ると、やはり眠ってしまったのだろう。


遠くに聞こえていた雷鳴が少しずつ近づいていると感じると、窓のカーテンを捲って少し外の景色を窺った。


かなり稲光が走っているのが分かるが、あの雷がどの方向へ行くのか。こちらへは来ません様にと祈るしかない。


だって・・・私は雷が大嫌いなのだ。今、ここで雷が来てしまうと私は杉田君を押し退け布団の中に潜ってしまいそうだ。


病人の杉田君を布団から追い出すなんて出来ないし、かと言って、雷がやってきたら逃げ場のない私はどうしたらいいのか・・・


それから暫くは遠くに聞こえていた雷が少しずつ近づいて来た。その頃には杉田君の息が荒かったのが少し落ち着いて来たようだ。


でも、額のタオルを交換する時に触れてみると、やはりまだ額は熱い。


「旅行で無理させちゃったのかな?」


追いかけて来てくれた旅行先で杉田君とは甘い時間をいっぱい過ごしたけど、それが良くなかったのだろうかと、そんな事を考えてしまう。


或いは、引き取っていった弟の彼女とその子どもの世話で大変な目にあったのか・・・


どちらにしても杉田君は誰にも頼ろうとせずに自分一人でしょい込むつもりなのだろうか?


そもそも、あの子達をどうしたのだろう? 杉田君のアパートで暮らしているんだろうか?


だとしたら、今頃は・・・杉田君を待っている?


それって弟の彼女とその子どもの三人で暮らしているって事?


・・・・杉田君は家族って話したけど、本当に年頃の血縁関係のない男女が一緒に暮らして何もないのだろうか?


もうー! 疑えばキリがない。それよりは、今は杉田君の体調が良くなるように看病すること!


ピカッ!  ドーーーン!!!!



「きゃっ!!」


「今のは落ちたな」


「す・・・杉田君?」


思わず今の落雷に私は杉田君が眠る布団に飛びついたけれど・・・それで目を覚ましたのか杉田君が布団から起き上がった。


「留美、震えている、おいで」


両手を広げている杉田君を見ると、やっぱりここは杉田君の胸の中へ飛び込みたい。


雷鳴が怖いからじゃなくて、心細いとかでもなくて・・・・やっぱり、私は、



「杉田君、好きだからね!」




◆[杉田君の気持ち](4/12)
思わずそんなセリフを言ってしまった。だって、本心だから・・・杉田君には私の気持ちをしっかり伝えたかったから。


「黙って抱かれてろ」


そう言う杉田君の体はとても熱かったけど、雷鳴と落雷で私の心臓はもっとヒートアップしそうだ。


バクバク言う心臓と雷に震える私をしっかり杉田君は抱きしめ乍ら眠ってくれた。


杉田君が病人なのに私がこんな風に甘えちゃいけないって分かっているのに、どうしても雷が怖くて杉田君の胸に縋ってしまった。


私の方が年上なのに、すっかり甘えていた。


翌朝、目を覚ました私が起き上がろうとすると、湯たんぽを抱きしめているのかと思えてハッと昨夜の事を思いだした。


杉田君は熱があるにもかかわらず、雷に怯える私を抱きしめながら眠ってくれた。


私は急いで救急箱から体温計を取ると杉田君の脇に挿し込んで体温を測った。


ピピッという電子音が計測の終わりを知らせると、液晶画面から見えるその数字に目を丸くした。


「38.5度」


「あ、やっぱ、熱下がってないんだ。ダルイはずだ・・・」


少し辛そうな顔をして私を見上げる杉田君の顔はまだ赤い。昨夜、雷を怖がった私を抱きしめた所為できっと悪化したんじゃないかって思う。


杉田君が好きって言いながら、好きな人に無理させた私は最低の彼女だ。


「ごめんね、杉田君が辛そうにしてるのに、熱があったのに、無理させちゃって」


「留美が元気ならそれでいい」


高熱で辛いはずなのににっこり笑ってそんなセリフを言う杉田君が憎らしい程に良い男にみえてしまう。これ以上私を惚れさせるなって言いたくなる。


「ごめんね」


杉田君に思わず抱きついてしまった。愛しくて愛しくて抱きしめたかったから。


「お・・・重い。俺、病人だからさ・・・」


「ご・・・ごめんなさい!! えと、おかゆ作ってくるね!!」



この日は、杉田君は高熱の為に学校はお休み。勿論、私も理由付けて学校を休んだ。こんな杉田君を一人にしてはおけない。


やっぱり、好きな人には健康で居て欲しいし大事にしたい。


そして、病院へ行って診察をして貰った結果、インフルエンザではなく単なる風邪とのことだった。2-3日もすれば大丈夫だろうとお医者様の言葉通りに杉田君は貰って来た薬のお蔭もアリその日の夜には熱も下がりかなり元気になっていた。


「若者は早いわね」


「年寄り臭いこと言うなよ」


「だって、年下には変わりないでしょ? はい、ご飯食べれる?」


夜には普通のご飯が食べれる様になった杉田君には体に優しい煮物と煮魚。テーブルに並んだお皿を見て杉田君は無言で魚を見つめている。


「あ、嫌いだった?」


「いや、こんな食事毎日したいなぁって思っただけ」


微笑む杉田君の表情の裏には少し陰りが見えた気がした。




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