|
最後まで閲覧頂きありがとうございました<(_ _)>
この予約投稿が無事表示されるなら、皆さんに最後までお届けできてホッと安心しました。
このお話は、小説を書き始めた頃、小説投稿サイトのモバスペにて書いたものです。
他にも拙いお話ですが執筆当初のお話をUPしていますのでお楽しみください。
モバスペ→ゆきのの小説はこちら
他にもベリーズカフェにもUPしています。
「メクる」にもUPしていますが、この予約投稿時点ではサイトがメンテナンス中で開けないので、別の私のTL専用ブログからメクる作品読めますしリンクも貼っていますので、メクる再開後にお楽しみください。
今日でyahooブログともお別れですが、寂しいですねぇ。
でも、他のサイトでも活動していますので、これからも宜しくお願いします(*´∇`*)
恋愛小説公開中のブログ
本当にこれまでありがとうございました<(_ _)>
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2019年09月15日
全1ページ
[1]
|
◆[杉田君の気持ち](11/12) 「そもそも振られたのは俺で、留美は俺を振ったんだぞ。なのに、何だよその顔は」 杉田君は私を担ぎながらもの凄く怒っている口調で言い続けた。 私は何も言えなくて黙って聞いているだけ。 すると杉田君は止まることなく次々と私に文句を言い続ける。 「まるで、オバケみたいに目は真っ赤で腫れあがって。瞼なんてその中に何か入れてるのか? ったく、こんなに醜い顔して学校へ出て来るなよ。生徒が見たら絶対に男に振られたって直ぐに分かるだろう」 かなり厭味な言い方をされているけれど、それがどこか心地よくて私は杉田君の背中を必死で掴んでいる。 振り落とされないようにと言うよりは、杉田君のこの温もりが嬉しくて離したくなくてずっとくっ付いていたくて。 昨夜はどうしてあんなに杉田君のプロポーズを悩んだのだろうって思える程に、今は素直に杉田君と一緒に居たいって思う。 「あの・・・杉田君、私ね」 「お前は黙っていろ。お前が喋ると変な方向へ行ってしまうから、お前は喋るんじゃねえ」 「けど・・・私の気持ちも聞いて欲しいの」 「訊かなくても分かっているよ。お前のその顔が物語っているだろう」 そんな事を言われてしまうと、私は何も言えなくなる。と言うか、私の顔ってどんな顔をしているのだろう? 私の顔が物語っているとは、何をどう物語っているのか・・・ それが自分では分からないからどう判断して良いのか、杉田君の言葉をどう解釈すればいいのかが私には分からない。 だから、やっぱり、聞いて欲しい・・・ 「でも!」 「煩いな、お前は俺がいなきゃ本当にダメな女で、俺にはお前がいなきゃ幸せになれないんだ。だから、結論としては俺たちは一生一緒に居なきゃいけないんだよ」 「・・・」 「分かったか?」 「うん、分かった」 思わず納得してしまった。 だって、杉田君に振られてしまったと思っていたから、完全な抜け殻になってしまっていた。 杉田君がいないと仕事だって出来ない。こんな情けない私になってしまう。 今は何も考えずに杉田君との未来を考えていきたいって・・・まだ、プロポーズされて、NOと結論付けられてから数時間しか時間は過ぎていないはず。 まる一日だって過ぎていないのに、もう、私はこんな調子だ。 だから、杉田君との未来を本気で考えることに決めた。 だって・・・私は、 「玲人が好き」 「ちゃんと人の顔を見て告白してくれよな」 そう言うと、杉田君は私を肩から下ろして今度は膝からグイッと抱え上げられお姫様抱っこをされてしまう。 まだ、ここは廊下のど真ん中で保健室へ行く途中なのに。 「人が見るわ」 「もう、授業が始まるだろう、誰も見ちゃいないよ」 そう言う杉田君は嬉しそうな顔を見せて私の顔に近づくと優しく唇を重ねた。 「好きだよ、留美」 そう言ってとても甘いキスをしてくれた。キスをしながら杉田君はしっかり前方を見ながら保健室まで辿り着くとは・・・私には考えられないことで驚きで一杯になっていると、 「さて、そんな酷い顔をして一体どうしたのか、ちょっと身体検査でもしてみようか?」 と、とっても意地悪な表情をする杉田君の指先はとても厭らしくて私の服のボタンを次々と外していく。
◆[杉田君の気持ち](12/12) 「まってここ保健室よ」 「鍵かけたし大丈夫だろう?」 「でも!」 「ベッドもあるし、留美のおっぱいは相変わらず柔らかそうだし美味しそうにしてるじゃん」 そう言って、あっという間に杉田君に倒された私は幸せの中を彷徨うことに。 結局、それから杉田君の腕の中で幸せな時間を繰り返すことに。 私は、とうとう杉田君に捉まってしまった。 もう、逃げることは出来ないし、逃げだせないと分かると、何だか肝が据わってきそうだ。 人間不思議なもので一度肝が据わると何も怖くないって思える。 だから、杉田君との未来を共に過ごしたいと思えば、きっとそんな未来が待っているのだろうと思う。 「で、俺の祖父と留美の両親への挨拶は早い方が良いだろうなぁ」 「え? どうして?」 「しっかり子種仕込んだから」 確かに、今の私達は、保健室のベッドだと言うのに、二人して裸で抱き合っている。 だからと、そんなセリフはこの場には相応しくない。 そんな恥ずかしいセリフを平気な顔をして言う杉田君が信じられなくて私は戸惑うばかり。 もしかしてこの先ずっと私は杉田君に振り回されっ放しになるんじゃないの?と、この先がとても心配になってきた。 「大丈夫、俺がついているから。安心して俺についてこいよ」 そんな嬉しいセリフを言ってくれる杉田君。 でも、私達にはまだまだこの先いろんな障害が待っている様な気がしなくもないけれど、今はこの幸せを大事にしたいと思う。 だから、 「これからもよろしくね、玲人」 最後まで閲覧頂きありがとうございました<(_ _)> この予約投稿が無事表示されるなら、皆さんに最後までお届けできてホッと安心しました。
このお話は、小説を書き始めた頃、小説投稿サイトのモバスペにて書いたものです。
他にも拙いお話ですが執筆当初のお話をUPしていますのでお楽しみください。
モバスペ→ゆきのの小説はこちら
他にもベリーズカフェにもUPしています。
「メクる」にもUPしていますが、この予約投稿時点ではサイトがメンテナンス中で開けないので、別の私のTL専用ブログからメクる作品読めますしリンクも貼っていますので、メクる再開後にお楽しみください。
今日でyahooブログともお別れですが、寂しいですねぇ。
でも、他のサイトでも活動していますので、これからも宜しくお願いします(*´∇`*)
|
|
◆[杉田君の気持ち](8/12) 「私はまだ今は結婚とか考えられないの」 嘘はつけないし本気で考える必要が有ると思えば今はこれしか言えない。 そして、杉田君の気持ちに答えるために私もこれからは真剣に考えて悩もう。 「そうか、答えはNOなんだ」 杉田君は体の力が抜けたように、私から離れると座り込んでしまった。 「病み上がりに今のセリフは効けたな」 「私はイエスもノーも無いって言ったつもり。だって、教師になったばかりだし、杉田君の気持ちに精一杯答えたいから、真剣に考えたいの」 私は将来のことを真剣に考えようと思っただけなのに・・・ 杉田君は頭を手で覆うと弱々しい声で言う。 「悩まなきゃいけないほどの相手と結婚しても幸せになれないよ」 「私は杉田君の事を真剣に考えようと思っただけよ」 「俺は直感で留美を失いたくなかった。それは、今だけじゃなくて、これから先もずっとだ。留美と離れているのが辛い」 こんな弱々しい杉田君を見たのは初めてかも知れない。 いつもはとても元気で悪戯っ子みたいで、それでいて自信家の何をさせても出来る子って思っていた。 あの傲慢さが逆に杉田君らしくて胸をドキドキさせていた。 なのに、今、目の前にいる杉田君はとても頼りなげで儚くてこのまま消えてなくなりそうな、そんな脆い杉田君を見るなんて・・・ 「俺、帰るよ」 「でも、まだ体調が」 「留美のお陰でずいぶん良くなった、ありがとう」 悲しげな笑顔を向けながら杉田君は私の前から去っていった。 あっという間の事だった。 いつもならふざけて絡んで来そうなのに、何も言わずに私の腕からスルリと抜け去るように、杉田君は私の部屋から出ていってしまった。 あまりにも呆気ない去り方に私の胸にポツンと何かが空いた気がした。 部屋を見渡すと、さっきまでこの部屋にいた杉田君がいないことに、それがとても寂しく感じる。
◆[杉田君の気持ち](9/12) その夜、結局私は眠れなかった。 杉田君が私の前から完全に居なくなりそうで、それが怖くて布団に入って目を閉じても眠れなかった。 羊を数えても、杉田君の格好をした羊が行列して、私の前を永遠と群れが続くと、私は何処にも動けなくて杉田君の名前ばかりを叫んでいて、泣いていた。 杉田君の言う直感てこんなことを意味するのだろうかと、そんなことを考えた。 きっと、私が中途半端な考えで、気持ちがフラフラしてるからプロポーズされても答えられないんだ。 真剣に考えていると言う私のセリフは現実逃避と同じで杉田君のプロポーズから逃げていただけ・・・ 目尻に涙が溜まり手で拭いとる。その度に目尻を擦り赤く腫れ上がる。 翌朝、それがどんな顔を作るのかなど、そこまで考えたことは無かったし、そんな余裕もない。 私は泣き疲れたのかいつの間にか眠っていた。 それも、窓の外がうっすらと明るくなる頃に。 「おはようございます!」 「先生、おはよう!」 「おはよう!」 朝、いつもと同じく校舎内は登校した生徒や出勤してきた教師の挨拶で賑わっていた。 元気に登校した生徒達は朝からとても元気で、 「若いなぁ、お前ら」 流石に高校生は元気が良い。まだ悪戯っ子の子どものように弾ける様子に杉田君は溜め息を吐いていた。 「オッサン臭いこと言うなよ、杉田」 「いやぁ、俺にその若さがあればなぁ。もっと、強引にできたんだろうなぁ」 「は? 何言ってんだよ。第一、お前が強引じゃ無かったことあるのか?」 教室の男子生徒にそんなセリフを言われハッと気づく自分がいる。 そうだ、俺は俺なんだ。 何かを悟ったのか杉田君は急いで教室を出ようとした。 「おい、どこ行くんだよ。授業始まるぞ! 杉田!!」 「俺の人生の一大事に授業なんて受けていられるか!」 「なんだ?!」 病み上がりの体なのに杉田君は有り余る若いその体力で校舎内を走り抜けると、職員室めがけ急いだ。 杉田君がやって来ているとは知らず、私は職員室の自分の机で脱け殻かミイラのようになって座っていた。 ◆[杉田君の気持ち](10/12) 「相川先生? どうしちゃったんですか? 相川先生?」 「坂田先生、放っておきなさい。さっきからそんな調子なんですよ。まるで抜け殻。これじゃあ授業なんて無理でしょ」 「じゃあ、授業はどうするんですか? 生島先生」 「自習にすれば生徒達喜ぶでしょうから、それでいきましょう」 「・・・それで良いんですか?」 「ああ、大丈夫でしょう。さあ、坂田先生は授業に遅れないようにお願いしますよ」 呑気なセリフを言う生島先生は私の顔にペタリと何かを貼り付けて職員室から出て行った。 私は本当に自分がミイラか抜け殻の様な状態になっていて、額に貼り紙を貼られていることすら自分でも良く分かっていなくて、ぼーっと座ったままだった。 生島先生が額に何かをペタリと貼ったのは何となく分かっているけど、今はそんな事を考える力もなくなっている。 授業だからと他の先生達も次々職員室を出て行くが、何故か皆クスッと笑って出て行くのが分かる。 人の笑い声にだけは何故か敏感に反応してしまう私。 これから私は授業じゃなかったっけ? 違うんだろうか? ああ、もう、なんだかどうでも良くなった。 そして、職員室へ向かう杉田君は・・・・ 「なあ、見たか? あの相川先生の顔」 「見た見た、凄い顔だったよな?」 「あれで良く学校へ来られたものだよな」 職員室から出て来た先生らの話し声が聞こえた杉田君は足を止めてその会話を聞くと妙な胸騒ぎがした。 すると、再び職員室へと急ぐ。 「留美!! いるのか?!」 いきなり教師相手に「留美」呼ばわりする杉田君。 授業が始まるからと職員室は空っぽではないのだから、授業のない先生らは驚いて何事かと職員室へ入って来た杉田君へと視線を向けていた。 「留美!」 私の名前を呼んで駆けつけてくれた杉田君。だけど、私には杉田君の姿は見えない。目の前が真っ白で何も見えなかった。 あれ? 私、どうして目の前が真っ白なの? 「何してんだよ!!!」 「いったーーい!!」 生島先生の悪戯で額に貼られていたのはガムテープで貼られた貼り紙だ。 「なにすんのよ!!」 思わず貼り紙を外した杉田君に怒鳴ってしまった。 杉田君は私に剥がした張り紙を差し出し見せてくれたが、そこには、生島先生の字で『バカ』と一言なぐり書きされていた。 例え先輩教師とはいえ、これはあんまりだと思う・・・けど。 こんなことを書かれても文句は言えない。それだけ今の私はトンマでアホだと思う。 そう思うと急に悲しくなって泣きたくなってしまう。 「おい、立て」 私の目の前には杉田君がいて、何故か私に命令をしている。 今更何の話があると言うのか。 昨日、杉田君は私の答えを勝手に「NO」と決めつけて帰ってしまった。 だったら、もう私には用はないはずなのに・・・ 「さっさと立て!」 「ひゃっ?!」 杉田君に腕を掴まれて椅子から無理矢理立たされると、今度は私を俵の様に担いだ。 職員室でこんな風に担がれるのって二度目? と、思った時は、「ちょっと相川先生を借りていきますから」と杉田君にさらわれてしまった。 「どこ行くの?!」 「保健室」 その言葉がどう言う意味なのか、心臓がドキドキして破裂しそうになる程に、私は何かを期待してしまっている。 |
|
◆[杉田君の気持ち](5/12) 一人暮らしをしている杉田君にこんな温かい食事を作ってくれる人は誰もいない。 そしてその役割を果たすのは彼女になった私だけなのだろうか? 実家へ帰れば家族が待っていると思うのだけど・・・そう言えば、私は杉田君の家族について聞いたことがないように思う。 うーん・・・生島先生がイトコという話は聞いた。でも、苗字が違うからもしかしたらお嫁に行った伯母さん?それとも叔母さんだろうか? そのおばの子どもが多分生島先生になるのだろう。 その逆も考えられる?・・・ どちらにしても私は杉田君の事は何一つ知らないのだと改めて思い知ることになる。 「ねえ、杉田君」 「二人の時は玲人だろ?」 「・・・・えっと」 いきなりそう言われても困る。それに授業中も玲人って呼びそうで。だから私としては日頃から杉田君と呼びたいが・・・かなり杉田君の表情は怖い。 「コホン・・・あのね、その・・ね、」 「で、その杉田君に何を聞きたいのかな? 相川センセ?」 私が杉田君と呼ぼうとするとそうやって私を苛めようとするなんて・・・ズルいと思うのだけど。 これじゃ私が杉田君と呼べなくなる。 「なぁ、時期に同じ苗字になるんだから杉田は不味いんじゃないの?」 「・・・は?」 今、変なセリフを聞いたような気がするが・・・聞き間違いだろうか? それとも、私の耳が少し変になっているのだろうか? 耳鼻科へ行く? 「なんて顔してるんだよ」 「え? どんな顔?」 「狐につままれた様な顔。そんなに俺って好かれていなかったんだ」 「は?」 その前の言葉で杉田君が言ったのはどう言う意味? 確か、同じ苗字になるって聞こえた様な気がしたが。それは聞き間違いだったのだろうか? 私はやっぱり杉田君の言う通りに狐につままれた様な顔をしていた。 そんな私の顔を見て杉田君はフッと笑うと「冗談だよ」と言って食事を続けたが・・・・私にはそのセリフが冗談には思えなかった。 という事は・・・同じ苗字とは、私と杉田君が同じ苗字になるって意味?! 「もしかして私が杉田って苗字になるってこと?」 「嫌なんだろう?」 嫌とかそう言う問題ではなく、それって私に杉田という苗字を名乗れということ? それって私が杉田君と???? そう言う意味じゃないの? 「あの・・・恐れ入りますが、その言葉の意味を教えてくれませんか?」 つい緊張で正座して姿勢を正した私はそんなセリフを言っていた。 すると杉田君は食べていた箸を止め、お皿に箸を置くと、私と同じ様に正座をするかと思えばテーブルの横へと移動し、正座をし直したかと思うと、いきなり土下座を始めた。 「すぎ・・・た・・く・・ん?」 「俺の嫁になって下さい」 「なんだ、そんなこと、いいわよ、それくらいなら・・・って・・・え?・・・ええ?!!!」 頭を上げた杉田君はニヤリと笑うとまた元の位置に戻って食事の続きを始めた。 まるで何事もなかったかのように・・・・ 今のセリフって、もしかして、プロポーズということなのだろうか? 私は杉田君にプロポーズされた? なのに、杉田君は平然として煮魚をパクパク食べている。 いったい今何が起こっているのか、自分でもいったいどうなっているのか、さっぱり分からなくて頭が変になりそうだ。
◆[杉田君の気持ち](6/12) 「あの〜、恐れ入りますが・・・」 「・・・言いたいことあるならハッキリ言え。それとも、早く子供欲しいとかのお願いなら、まだ留美と二人だけでエッチ三昧な生活したいから却下だ」 「そうじゃなくてですね!」 「あぁ、結婚式やハネムーンは無しだ。俺、一応学生だからさ。学生結婚になるだろう、だから入籍だけしよう」 「・・・そうじゃなくてですね」 ああ、何をしどろもどろになっているのか・・・ 第一、杉田君相手になんて喋り方をしているのだろう。絶対に変に思われている。 黙ってご飯を食べてはいるけれど、その様子を見る限りはかなり機嫌は宜しくない。たぶん・・・ けれど、本気でプロポーズしたのだろうか?おふざけでしたのかが区別がつかない。 だから、本気になって答えて良いのか、どう反応して良いのかを悩んでしまう。だけど、こんな風に悩むなんてそれこそ変だ。 相手はまだ学生の身分で、私達が出会ってまだ間もないし、そこまでお互いを知っている訳では無い。なのに、何故、そんな私と杉田君が結婚したいと思うのか。 それに、もし、万が一、杉田君が私と結婚したいと思ったとしても、それは一時的な感情で、多分、病気になった杉田君を看病して手作りご飯を食べさせたから? 「なあ、留美って家族は? 一人暮らしってことは今は実家から離れているんだろう? 実家ってどこ? 両親に連絡はつくんだろう?」 「え、あ、実家は隣の市で両親がいるわ・・・って、挨拶にでも行くつもりなの?!」 ご飯を食べ終わった杉田君はあくまでもその態度は冷静で、食器を重ねると台所へと運んでいる。その立ち振る舞いを見ている限りでは、とても姿勢が良くて礼儀正しい。 きっと、杉田君は育ちが良くてお坊ちゃん育ちなのだろう。 そもそも本格的な海外留学の経験ある杉田君が私の様な一般庶民の出であるはずがないのだから。 そんな私を相手に本気でプロポーズ? 信じられない・・・・と思うのだけど。 「さっきから何考えているんだよ? あ、どっちのアパートで暮らすとか寝室をどうしようかとかエッチなこと考えてた?」 「ち・・・違います!! 杉田君が突拍子もない事言うから驚いて。そんな冗談は」 「冗談じゃないよ、俺、本気で留美にプロポーズしているんだけど」 台所から私を見つめる杉田君の表情は紛れもなく真剣な表情だ。とても熱い瞳をしている。 やはり杉田君は本気で私にプロポーズしているんだ。 ◆[杉田君の気持ち](7/12) 杉田君のプロポーズを本気にしていなかった私を見て杉田君は少し怒った顔をしている? 食器を流し台へと置いた杉田君はゆっくりと茶の間にいる私の方へと歩いてやってくる。 その足取りがとても重々しく感じて目を逸らしてしまう。 「なあ、留美」 「・・・その」 こんな風にプロポーズされた事ないからどう考えて言いのか頭が回らない。 って言うか、プロポーズなんて生まれて初めてされたからもう頭の中が滅茶苦茶で殆どパニック状態なのに・・・ 「おいで」 目の前に立っている杉田君は座っている私に手を差し伸べる。そして、その手を取る私は杉田君に引き上げられ立たされる。 何をしようと言うのか身長の高い杉田君を見上げると、杉田君にすっぽり抱きしめられ頭を撫でられた。 「杉田君?」 「・・・俺、幼い頃に両親を亡くして以来、弟と二人で親父の実家の祖父の家で暮らしていたんだ」 思いがけない杉田君の告白に少しドキッとしたけれど、その昔話をしてくれたことより杉田君が幼い頃に両親を亡くしたという事実に私は戸惑った。 「亡くしたって、両親一緒に?」 「交通事故だったんだ。二人は慈善団体のパーティに招待されていてそこへ行く途中に交通事故に遭ってそのままいなくなった。俺の幼い頃の話だよ。弟なんて親の顔も思いだせない程に小さい頃でね」 「それからお父さんのお祖父ちゃんの家で暮らしてたの?」 抱きしめていた杉田君はコクンと頷いただけ。何も言わずにいたけれど、抱きしめるその腕がとても悲しそうに感じてしまった。 幼い頃に突然両親を亡くしその悲しみの深さは私には想像も出来ない程のものだろうと思う。 「だから、俺は家族には憧れがあるんだ。弟の彼女が産んだ甥っ子がどれほど可愛いか留美には分かるか? 俺にも自分の血の繋がった家族が欲しいんだ」 両親の愛情に飢えて育った分、それだけその愛情を新しい自分の家族に求めるその気持ちは十分に分かる。 だけど、だからって、付き合い始めたばかりの私が相手なのは、きっと、弟に子どもが生まれたのが影響している様に思える。 もし、杉田君が今違う女性と交際していても、きっとその女性に結婚しようとプロポーズをするのかも・・・きっと、そうだ。 「杉田君の気持ちは分かるよ。家族が欲しいっていうのは、でも・・・焦り過ぎじゃないの? まだ杉田君は結婚するには若いしそれに相手は誰でもいいってことにはならないでしょ?」 「そうだよ、俺は留美だから良いと思ったんだ」 何故私なのかよく分からない。でも、本当にそう思ってくれている? 浮ついた考えではなくて真剣に考えた末の結論なのか。もし、本気で私と夫婦になって家族を築きたいのであれば、私も真剣に考えて返事をする必要がある。 「俺の心をここまで惑わせた女は留美が初めてだし、留美が他の男のものになるなんて絶対に許せないし・・・」 もしかして、私が先輩と九州旅行へ行ったあの時、杉田君を相当不安にさせたのだろうか? その反動からプロポーズをしている? |
|
◆[杉田君の気持ち](3/12) 熱に浮かされ始めたのか杉田君が布団の中に入っても私の手を握り締めては何かをブツブツと呟いている。 「どうしたの? 苦しいの? 頭冷やそうか?」 額を触れるとやはり熱い。冷たいタオルで冷やした方が良いと思ったけれど、握り締めた手を離そうとしない杉田君。 「冷たいタオルを持ってくるからね、待っててくれる?」 声を掛けても反応がない所をみるとやはり眠っているのだろう。呟いていた様に感じたのは熱に浮かされたから。ならば早く額を冷やさないと・・・ 急いで浴室へと行き洗面器を持ってきては台所へと走る。冷凍庫に僅かだが氷がある。その氷と水を洗面器へと入れたらタオルを持って杉田君の所へと行く。 少し汗ばんだ様子の杉田君の顔はかなり赤くなってきた。このまま様子を見るだけで良いのだろうかと少し不安になるも、兎に角、額を冷やすのが先だと氷水に濡らしたタオルを額に乗せた。 余分に持ってきたタオルで首筋を拭いては背中や胸辺りに汗を掻いていないか確認した。 体はかなり熱くなっているがまだ汗を掻いている様には感じなかった。 「杉田君、苦しくない?」 「・・・」 返事のないところを見ると、やはり眠ってしまったのだろう。 遠くに聞こえていた雷鳴が少しずつ近づいていると感じると、窓のカーテンを捲って少し外の景色を窺った。 かなり稲光が走っているのが分かるが、あの雷がどの方向へ行くのか。こちらへは来ません様にと祈るしかない。 だって・・・私は雷が大嫌いなのだ。今、ここで雷が来てしまうと私は杉田君を押し退け布団の中に潜ってしまいそうだ。 病人の杉田君を布団から追い出すなんて出来ないし、かと言って、雷がやってきたら逃げ場のない私はどうしたらいいのか・・・ それから暫くは遠くに聞こえていた雷が少しずつ近づいて来た。その頃には杉田君の息が荒かったのが少し落ち着いて来たようだ。 でも、額のタオルを交換する時に触れてみると、やはりまだ額は熱い。 「旅行で無理させちゃったのかな?」 追いかけて来てくれた旅行先で杉田君とは甘い時間をいっぱい過ごしたけど、それが良くなかったのだろうかと、そんな事を考えてしまう。 或いは、引き取っていった弟の彼女とその子どもの世話で大変な目にあったのか・・・ どちらにしても杉田君は誰にも頼ろうとせずに自分一人でしょい込むつもりなのだろうか? そもそも、あの子達をどうしたのだろう? 杉田君のアパートで暮らしているんだろうか? だとしたら、今頃は・・・杉田君を待っている? それって弟の彼女とその子どもの三人で暮らしているって事? ・・・・杉田君は家族って話したけど、本当に年頃の血縁関係のない男女が一緒に暮らして何もないのだろうか? もうー! 疑えばキリがない。それよりは、今は杉田君の体調が良くなるように看病すること! ピカッ! ドーーーン!!!! 「きゃっ!!」 「今のは落ちたな」 「す・・・杉田君?」 思わず今の落雷に私は杉田君が眠る布団に飛びついたけれど・・・それで目を覚ましたのか杉田君が布団から起き上がった。 「留美、震えている、おいで」 両手を広げている杉田君を見ると、やっぱりここは杉田君の胸の中へ飛び込みたい。 雷鳴が怖いからじゃなくて、心細いとかでもなくて・・・・やっぱり、私は、 「杉田君、好きだからね!」
◆[杉田君の気持ち](4/12) 思わずそんなセリフを言ってしまった。だって、本心だから・・・杉田君には私の気持ちをしっかり伝えたかったから。 「黙って抱かれてろ」 そう言う杉田君の体はとても熱かったけど、雷鳴と落雷で私の心臓はもっとヒートアップしそうだ。 バクバク言う心臓と雷に震える私をしっかり杉田君は抱きしめ乍ら眠ってくれた。 杉田君が病人なのに私がこんな風に甘えちゃいけないって分かっているのに、どうしても雷が怖くて杉田君の胸に縋ってしまった。 私の方が年上なのに、すっかり甘えていた。 翌朝、目を覚ました私が起き上がろうとすると、湯たんぽを抱きしめているのかと思えてハッと昨夜の事を思いだした。 杉田君は熱があるにもかかわらず、雷に怯える私を抱きしめながら眠ってくれた。 私は急いで救急箱から体温計を取ると杉田君の脇に挿し込んで体温を測った。 ピピッという電子音が計測の終わりを知らせると、液晶画面から見えるその数字に目を丸くした。 「38.5度」 「あ、やっぱ、熱下がってないんだ。ダルイはずだ・・・」 少し辛そうな顔をして私を見上げる杉田君の顔はまだ赤い。昨夜、雷を怖がった私を抱きしめた所為できっと悪化したんじゃないかって思う。 杉田君が好きって言いながら、好きな人に無理させた私は最低の彼女だ。 「ごめんね、杉田君が辛そうにしてるのに、熱があったのに、無理させちゃって」 「留美が元気ならそれでいい」 高熱で辛いはずなのににっこり笑ってそんなセリフを言う杉田君が憎らしい程に良い男にみえてしまう。これ以上私を惚れさせるなって言いたくなる。 「ごめんね」 杉田君に思わず抱きついてしまった。愛しくて愛しくて抱きしめたかったから。 「お・・・重い。俺、病人だからさ・・・」 「ご・・・ごめんなさい!! えと、おかゆ作ってくるね!!」 この日は、杉田君は高熱の為に学校はお休み。勿論、私も理由付けて学校を休んだ。こんな杉田君を一人にしてはおけない。 やっぱり、好きな人には健康で居て欲しいし大事にしたい。 そして、病院へ行って診察をして貰った結果、インフルエンザではなく単なる風邪とのことだった。2-3日もすれば大丈夫だろうとお医者様の言葉通りに杉田君は貰って来た薬のお蔭もアリその日の夜には熱も下がりかなり元気になっていた。 「若者は早いわね」 「年寄り臭いこと言うなよ」 「だって、年下には変わりないでしょ? はい、ご飯食べれる?」 夜には普通のご飯が食べれる様になった杉田君には体に優しい煮物と煮魚。テーブルに並んだお皿を見て杉田君は無言で魚を見つめている。 「あ、嫌いだった?」 「いや、こんな食事毎日したいなぁって思っただけ」 微笑む杉田君の表情の裏には少し陰りが見えた気がした。 |
全1ページ
[1]


