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「美香、見てる? あなたの弟よ。この子を守って」
「大丈夫、美香は俺たちの可愛い娘だ。きっとあの世から弟を見守ってくれるさ」
私は尊を失い美香を失い生きる希望を持てなかったのに、今では愛する尊とその息子と一緒に幸せのなかにいる。
夢のようで信じられない思いでいっぱいだ。
だけど、これは夢でもなんでもない。
私には愛する家族がいる。
「絵里、お産したばかりだ。少し休もう」
「そばについていて」
「ずっと絵里のそばにいるよ」
尊の優しい手に抱きしめられるように私は眠りについた。
これから始まる尊と可愛い息子との新たな生活の為に。
「疲れただろう。ゆっくり休むといいよ」
尊はとても優しい旦那様であり優しい父親でもあった。
私は尊を愛することができて幸せだ。
尊はいつまでも私を愛してくれて幸せな毎日を与えてくれた。
おしまい
皆様、最後までお付き合い下さいまして有り難うございました<(_ _)>
拙い作品ではありますが、未だにベリーズカフェさんの方でもたくさん閲覧頂き本当に嬉しい限りです。また、こちらの作品は私の初期作品なのですが、完結後も何度もベリーズカフェさんの週間ランキングにランクインさせて頂いています。
最近では先月の11月にランクインさせて貰いました。本当に感激です。
さて、こちらのブログで次回からお届けするお話を何にしようかと、実は悩んでいる最中でしてw どれもこれも過去作それも拙い作品ばかりなので選びようがないんですが(笑)
明日以降もまた、過去作の中からどれかをご紹介したいと思います。
と言うことで、明日をお楽しみ下さい(*´∇`*)
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さよならは言わない
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私と尊は美香への贈り物として可愛い洋服とお菓子を買って帰った。
すると、仏間にはすでに巨大な熊のぬいぐるみが飾ってあった。
「親父たちだな」
座り込んで顔を手で覆ってしまった尊。
祖父母からの美香への贈り物に圧倒されてしまった。
「いいじゃない。美香だって喜んでいるわよ。それに、今頃、天国で尊のおじいちゃんとあばあちゃんと一緒に遊んでるかもよ」
「俺の祖父母は面倒見のいい人だったからな」
「美香は寂しがってないわよね。ご先祖様達と一緒なのだから」
「ああ、寂しい思いはしてないさ」
尊は熊のぬいぐるみを少しだけ動かして、自分が買ってきた洋服とお菓子を仏壇に供えた。
暫く私と尊は美香の前に座ったままでいた。
可愛い我が子との時間を楽しむように。
それから暫くして私と尊の結婚式が行われた。
私達は神様だけでなく美香の墓前でも誓った。
一生離れることはしないと。
何が起きようとも私達は信じあい愛し合うと。
そして、幸せな生活を送る私達に男の子がやって来た。
可愛い美香に似た男の子だ。
元気のよい男の子に家族だけでなく得意先も社員たちも多くの人に祝ってもらえた。
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「私が手伝うわ」
「お前、課が違うだろう!」
「でも、私なら森田さんの仕事を手伝えるわよ」
「だがな!」
「この際誰でもいい。絵里の代わりは江島、お前に頼んだぞ」
「はい、お任せを。さあさあ森田さん出張の準備できてますか?」
尊に振られた後はすっかり本命の森田さんのご機嫌とりに夢中の江島さんだ。
毎日の様に言い寄られて森田さんは迷惑なようだが、最近はこんな光景を楽しんでいるようにも感じる。
もしかしたら、森田さんは嫌と言いながらも江島さんに興味を抱いたのかも?
「専務と絵里さんお幸せそうね」
「でも、娘を亡くしてかなり辛かったようだぞ」
「来年辺りでしょ? 七回忌だったわよね。あの二人がそんな関係とは知らずに恥ずかしいことしたわ」
「誰にも過ちはあるさ。それを過ちだと認める勇気が大事だけどな」
「私は自分のした愚かさを悔いてる。だから、認めてよ、森田さんが好きだってこと」
「認めるだけならな」
「ありがとう!だから森田さん大好き!」
「おい、こら!離せ!」
どうやら、森田さんと江島さんのこの二人にもそう遠くない日に春がやって来そうだ。
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「笹岡、じゃない、松崎、ちぇっやりにくいな」
ぶつくさ文句を言うのは森田さん。
私はお産休暇に入るギリギリまで森田さんの仕事を手伝っている。
と言っても私の後任として派遣社員を入れているのでそのアドバイス的なことをしているだけ。
お腹が目立つようになってからはあまり手伝いもしていない。
私の体を心配した尊が仕事をやめさせたがったから。
でも、程よい運動は必要だよと、少しだけ仕事をすることを認めてもらった。
「森田さん、どうしたんですか?」
「来週までにこれが必要なんだ。徳永に説明してくれないか?俺はこの後、出張に出るんだ」
徳永さんと言う人が私の後任として入った派遣社員。
仕事はそこそこできる人ではあるが慣れない作業に時おり躓くことがあるので私がサポートしている。
「いいわよ、これ面倒な作業よね」
「あ、いたいた。絵里、まだここにいたのか。今日は午後からは帰る予定だったろう」
営業課へと私を探しにやって来た尊は私の手に持つ資料を取り上げ森田さんへと返していた。
「明日は美香の命日だろう。仕事するんじゃない。森田も今日と明日は絵里をあてにするな」
「しかし、仕事が」
出張にでる森田さんの仕事をカバーする人がいないのだから、せめて今日だけでもと思っていたら江島さんが森田さんから資料を取り上げた。
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美香のビデオを見て多少の混乱はあったけれど、その後、予定通りに心療内科へも診察へと行った。
カウンセラーの話ではもう私はカウンセリングは必要ないだろうと言われた。
「もし、何かあればご主人に相談されて悩みを解決すればここへ来る必要はありませんよ。長いこと頑張りましたよね。もう、これ以上の頑張りは要らないですよ」
「じゃあ、薬は?」
「最近では薬は飲んでないでしょう?もう、必要ありませんよ。夜はぐっすり眠れているでしょう?」
「はい!」
尊に抱きしめられ眠る夜はとても心地よく安心できる。
私にとって尊は睡眠薬みたいなものだ。
私は尊さえ居てくれればそれでいいのだから。
病院から帰る時の車のなかでも私は尊にもたれ掛かり自宅へ着く間の甘い時間を楽しんだ。
車に揺られ尊に寄り添っているとそれだけで幸せに浸れる。
すると、尊の顔が少し剥れる。
私だけが幸せみたいな顔をするのが気に入らないそうだ。
「その幸せを俺にも分けてくれよ」
と、尊の甘いキスが私を蕩けさせる。
幸せすぎてどうしよう?!と、私の新たな悩みになりそうだ。
だけど、こんな悩みは直ぐに解決出来ると尊は言う。
「どうすればいいの?」
「ベッドに入れば即解決さ」
本当にそうだよね!
尊との甘い時間が全てを解決してくれるのだ。
これには賛成だと言うと「今から悩みを解決しよう」と尊は昼間から誘ってきた。
もうすぐこんな甘い時間も出来なくなるから、しばしの間は二人の時間を楽しもう。
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