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ホーエンハイムがエドワードの腕ごと手を回して頬を包み、瞳をのぞき込む。
熱い視線に晒されてエドワードの体も燻され温度が上がる。
ふと、さっきの積極的な自分の行為を思い返し自覚して急に照れくさくなり、エドワードは顔を赤らめ少し俯いた。
誘うような仕草をしたかと思えば、自分の行動に照れて俯く。
エドワードのアンバランスな行動が微笑ましく、ホーエンハイムは笑みを深めた。
ホーエンハイムはゆっくりと顔を近づけるとエドワードの耳元で低く囁く。
「教えてあげる」
ホーエンハイムの熱い吐息を耳元で感じて、エドワードの体から力が抜けそうになる。
甘い毒が全身を駆け巡る。
全身が痺れてエドワードの全身が震えた。
エドワードは背中に回した指先に力を入れて、ホーエンハイムに取りすがった。
いつもとは余分に力が入ったのか、義手から軋んで擦れた金属音がする。
ホーエンハイムは腕を下に滑らせて、エドワードの腰に手を回して撫でた。
「エドワード」
促すようにホーエンハイムから呼ばれて、エドワードはハッとした。
エドワードは自分が無理な姿勢をしていると気がつき、ホーエンハイムの膝に乗り上げると膝立ちになり向かい合わせになって、改めてホーエンハイムの首に腕を回した。
体は細かく震え続ける。
大した事もしていないのに急に変化した自分を取り戻したくて、少し落ち着きたくて、エドワードはホーエンハイムの視線を避け薄く目を閉じると、自分の額をホーエンハイムの額に触れさせる。
ホーエンハイムは深く呼吸するエドワードの頬に自分の頬を擦り付けると、くすぐったさに驚いたエドワードの口元から舌を滑り込ませた。
驚いて縮こまるエドワードの舌を追いかけ、小さな舌を包み込むようにねっとりと絡める。
ホーエンハイムの舌がゆっくりとエドワードの舌を撫でるとエドワードの背中がビクっと跳ね上がる。
丁寧に撫でまわすとエドワードの舌もその動きにおずおずと様子で応えはじめた。
唇を離すと甘い吐息がエドワードの口から漏れた。
どちらの物とも判らない唾液が口元から溢れそうになり、エドワードは咄嗟に嚥下する。
薄く開いた瞳は潤みホーエンハイムをうっとりと見つめた。
ホーエンハイムは微笑みながらエドワードの濡れた唇に自分の唇を触れ合わせる。
ホーエンハイムは啄ばむようなキスをしながら、机の上にあるグラスを持ち上げ、キスの合間の唇を離した隙に少し口に含んだ。
ナポレオンを口の中で転がし、馴染むとエドワードの薄く開いた口元から少しづつ流し込む。
ナポレオンの香りがエドワードの口いっぱいに広がる。
味わって慎重に飲み込むとホーエンハイムの舌が追いかけるようにエドワードの口腔に入り込む。
強く絡められて、濃いアルコールと官能の刺激に体が高まっていくのをエドワードは感じた。
ホーエンハイムはエドワードに口移しで何度も・・何度もナポレオンを流し込む。
アルコールと刺激で酔いが周り、エドワードは体から力が抜けていくのを今度は止められなかった。
ホーエンハイムが体を離すと、エドワードはくったりとして、膝立ちだった足を下ろし、ホーエンハイムにもたれかかった。
甘えるようにホーエンハイムの体に頬を擦りつける。
香りが鼻を掠めた。
いつものホーエンハイムの香りの残滓を感じて、エドワードは安心する。
・・・そういえば、もう嫌な香りがしない。
エドワードが視線を机に移すと、机の上の葉巻はずいぶんと小さくなっていた。
だがまだ紫煙を吐き出し続けている。
葉巻の香りは部屋中に充満しているのだろうが、エドワードにはもう気にならなくなっていた。
おそらくエドワード自身もその香りを身にまとっているのだろう。
葉巻は燃えるのに時間がかかる。
一本で三十分前後はかかるのが普通で中には一時間楽しめるものもある。
酩酊する意識の片隅でエドワードは、『せっかく久しぶりに葉巻を楽しんでいたのに邪魔して悪かったな』と思った。
ホーエンハイムはエドワードに回した腕に力を入れ、強く抱きしめ耳元で囁いた。
「ベッドに行こう」
「葉巻・・このままでいいのか?」
エドワードは視線の先にある葉巻を見つめながら言う。
「あぁ。これはもう終わりだから」
ホーエンハイムはエドワードの眉間に軽くくちづけると、あっさりと答えた。
「それより、今度はお前を味わわせてくれるんだろう?」
ホーエンハイムの囁きと眼差しで、エドワードの体は熱く燃える。
まるで気化したアルコールに火を灯されたようだと、エドワードは感じた。
---------------------------------------- 了 (20051019〜20作成)
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