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「続き・・・してもいい?」
今までと違った緊張がアルフォンスの中を駆け抜ける。
アルフォンスの言葉にエドワードはハッと顔を上げて、アルフォンスを見つめる。アルフォンスはエドワードの驚く表情を前に恥ずかしそうに頬を染めて笑った。
「ボクの事、笑わないでね」
「そんな事しない。」
これ以上ないくらいの真剣な表情でエドワードはきっぱりと告げた。
「兄さん手伝ってくれる?」
「あぁ。」
アルフォンスはエドワードの指を導いて、中心にゆっくりと指を絡めた。形を確かめるように、指を滑らせて、なぞる。
エドワードはアルフォンスの指の動きを追って、ぎこちなく指を動かした。
指の刺激に徐々にアルフォンスの項垂れた部分が力を持ち始める。
「お・・・何かスゴイぜ・・・アル・・・」
目を輝かせて興奮気味にしゃべるエドワードの顔を直視できなくて、アルフォンスは視線を逸らす。
始めの想像とは異なったが、望んだ形でエドワードが触れてくれている。
腰から背中に這い上がる背徳の快感が、アルフォンスを支配し始めていた。
「兄さん・・・お願いだから、しゃべらないで。」
顔全体を真っ赤にしてアルフォンスはエドワードの言葉に答えた。
時に力の加減を失敗してエドが強く刺激してしまう事もあったが、それすらもアルフォンスの官能を刺激した。強い快感で、眩暈がする。
アルフォンスは薄く目を閉じると、目指す頂点へと自身を導いた。
「へぇ・・・こうなんだ。・・・この体液ってどんな構造になってるんだろう。ああっっ。顕微鏡借りてくれば良かったなぁ。」
青い匂いの中、エドワードは感心した声を上げた。
アルフォンスの手の平に出された、体液に興味深々だ。夢中で観察する。
眺めて、匂いをかいで、指で触れてみる。
「兄さん、恥ずかしいから止めてよ。」
「判ったから・・・恥ずかしついでに、もうちょっとな。」
聞いているのかいないのか、アルフォンスの抗議をいなすように軽くかわして、エドワードは熱心に観察を続けた。
白濁した粘液をアルフォンスの手の平の中で指で広げる。
「う・・・ん。成程・・・そうか、そうか。・・・判った事から書いておくか。」
独り言を呟いたかと思うと、エドワードは急にベットから這い出し、自分のバインダーを取り出して、ページをめくり始めた。「あった、あった」と呟きつつペンで書き込みを始める。
ベッドのアルフォンスの隣にはエドの抜けた穴が開いていた。
勉学熱心で探究心旺盛のエドワードをアルフォンスは呆れながらも感心しつつ眺める。
下着すら着けないで、下半身裸のままバインダーの前で固まったエドワードに、アルフォンスはふと思い出し、声をかける。
「・・・・・・兄さんもするんでしょ?」
「・・・あ?」
アルフォンスの言葉にエドワードはバインダーから顔を上げて、アルフォンスを不思議そうに見つめた。
「・・・そうだったな・・・。」
ニッと笑うとペンを置く。
「オレもヤッてみたい。」
合点がいって、エドワードはバインダーを置くとベットに戻っていく。
エドワードはアルフォンスの隣のポッカリあいた穴に体を収めると、嬉しそうにアルフォンスに声をかけた。
「で?どうするって?」
「ボクがさっきやったみたいに・・・」
「ふむ、ふむ。」
アルフォンスはエドワードの指に自分の指を重ねて、エドワードの股間に這わせる。
・・・兄さんのに触れる。
想像していたシチュエーションとは違っていたが、望んだ状況にアルフォンスは一度治まった熱がこみ上げそうになる。好きな人の体に触れる事が出来る。
それは、嬉しくて、天にも昇る気分だった。
出来るだけ長い時間触れていたかったから、アルフォンスは今の自分の体の変化を今のエドワードには知られたくなくて、アルフォンスは腰をずらして、硬く反応しそうな場所と、エドワードとの体の間に距離をとる。
「ちょっと痛いかもだけど、我慢してね。」
エドワードの中心に手を触れると、包皮を軽く握って押し、先を出す。エドワードはうっと息を詰まらせたが、アルフォンスの指は動きを止めると、小さくため息をついた。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。ちょっと痛かったけど、我慢出来ない程じゃないさ。」
苦笑しながら、エドワードはアルフォンスに視線で先を促す。
アルフォンスがゆっくりと先からくびれを撫でるように刺激すると、エドワードの背中が反り返った。
「う・・・んっ・・・何だか変な感じが・・する・・・」
「気持ち良くない?」
アルフォンスはエドワードの反応に心配そうに、声をかけた。
エドワードはアルフォンスをチラっと見ると、微かに微笑む。薄く目を閉じると、心地良さそうな表情をした。
「・・・・気持ちいいよ。」
指の動きに合わせて、体を細かく震わせる。
「もうすこし、続ける?」
「・・・続・・けて・・く・れ。」
切れ切れの吐息交じりの言葉に、アルフォンスの体が反応する。
頬を紅潮させて、薄っすらと汗ばんだ肌に、潤んだ瞳。
緩く綻びた唇に口づけたい衝動と、もっと思いのままに色々なエドワードの場所に触れたい衝動に駆られるが、それは憚られた。理性の力で踏みとどまる。
・・・今日は兄さんが触れてくれて、ボクが触れる。
・・・それだけでいい。
さっき体の距離を置いて良かったと本心からアルフォンスは思った。
「オレ・・・出る・・かな?」
濡れた舌を覗かせながら、エドワードがアルフォンスに問いかける。艶かしいエドワードの姿にアルフォンスの心は煽られる。
アルフォンスは顔を背けて、ぎゅっと固く目を閉じると、震える声を落ち着かせようとした。
「それは、判んないよ。体が準備出来ていなかったら、気持ち良くても出ないだろうし。」
「そう・・・か・・」
アルフォンスの答えた通り、刺激したからといって準備の出来ていない体では体液の放出は無く、アルフォンスはエドワードがもういいと言うまで刺激は続けられたのだった。
行為の後、二人は何となく離れがたくて、そのまま同じベットで休む事にした。
お互いの温もりがお互いを安心させる。
「どうだった?兄さん。」
暗闇にアルフォンスの声が落ちる。
「背中から、気持ちイイ感じが這い上がってきて・・・病みつきになりそうだな・・・これ・・・」
「そう?」
「今はもういいけど、またしたくなるかも知れないなぁ。」
素直なエドワードの感想に、アルフォンスは思いついた言葉を繋ぐ。
また、もしかして、ひょっとしたらの希望を込めて。
「次したくなったら・・・ボクまた手伝うよ。」
「そうだなぁ・・・お前のもまた見せて。今度は出たものもっと観察したいし。」
エドワードから頼まれてアルフォンスが断れるはずなかった。
アルフォンスはエドワードを目の前に更なる我慢を強いられる事になる予感がしたがあえて考えないようにした。
「うん・・・判った。」
アルフォンスの返事が闇に落ちて、二人の間に沈黙が過ぎる。アルフォンスはどきどきしてエドの言葉を待っていたが、期待に反して聞こえてきたのは、安らかなエドワードの寝息だった。
すぐ隣にある温もりに、繰り返される静かな呼吸。
深くなるエドワードの眠りに反して、アルフォンスは眠れない夜を過ごす事になりそうだった。
--------------------------------------- おわり
(20031126〜20040128サイト掲載より:再録)
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