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      ◇     ◇

 ホーエンハイムは、疲労困憊でぐったりとしたエドワードを抱き上げるとタオルで全身を丁寧に拭いて、自室に連れて行き、広いベッドの上にそっと寝かせた。
 ベッドの横にあるサイドテーブルから、大きなドライヤーを取り出すと、エドワードの体に風を当てて機械の部分から乾かしていく。
 柔らかい温風を感じてエドワードは視線を動かした。
「気持ちいい・・・何だコレ?」
「見て判らないのか?ドライヤーだよ。濡れたままじゃ風邪を引くから。乾かしているんだ」
「ドライヤーってのは、見ていれば判るけど。何だか、ずいぶんと仰々しいなぁ」
「確かにそうだな。今年アメリカで発売になる新商品のミニチュアなのだが。設計図が手に入ったから、試しに作ってみたんだ・・・でもこの大きさで実物の三分の一してみたんだが、やっぱり大きいか」
「三分の一で、この大きさか・・・随分デカイんだな。機構部全体が大きいのか?モーターは?」
「モーター部分も大きい」
 ホーエンハイムが手で示した大きさにエドワードは驚いて目を見開いた。
「そんなに大きいんだ」
「どうやら向こうの世界とは色々な意味で技術の進み方が違うようだな」
「あぁ。じゃぁ、この世界じゃ機械鎧はまだ出来ないな」
 エドワードは遠い目をして力なく笑った。
「でも、お前の機械鎧はもうボロボロだ。修理にも限界があるし、早めに替わりを考えないといけないな」
「ま・クヨクヨ考えても仕方ないさ」
「お前の事だ。なに他人事のように言っているんだ」
「だって仕方無いもんは仕方ないって」
 真剣に言うホーエンハイム。エドワードは諦めた笑顔を浮かべ、肩を竦める。
「では、これからは出来るだけ乱暴に使わないように、気をつけてもらわないと」
 ホーエンハイムが含んだ笑いをすると、エドワードの視線が鋭くなる。
「あ・・もしかして・・・嫌味か?」
「そんな事はないよ。エドワード。何度壊してきても快く修理を引き受けているだろう?」
「やっぱり嫌味か」
「そう思うんだったら大事に使うんだな」
 エドワードは不機嫌を顔に露わにした。
「ふん」
 膨れっ面のまま顔を背ける。ホーエンハイムの姿が見えないように、寝返りを打つ。
 そのままジッとして動かなくなった。
 しばらく苦笑したまま、エドワードの体をを背後から乾かしていたホーエンハイムだったが、身じろぎもせず反応が無い事に心配になる。
「まだ、怒っているのか?」
 心配になって顔を覗き込むと、エドワードは寝息を立てて眠っていた。
 起きていると、口の悪い生意気な表情か、情交の際の妖艶な表情の、いずれかの表情をしているエドワードは、寝ている時だけあどけない顔になる。
 幾つもの顔を持つエドワード。見ていて飽きない。ホーエンハイムはエドワードを見て微笑んだ。
 そして考え込む。
「やっぱり。俺が作ってやらないとな」
 エドワードの髪に触れ、まだ湿っていることを確認すると、ドライヤーで再度乾かし始める。
 やれやれ面倒な事になったと思いつつ、自分だけしか出来ない、エドワードにしてあげられる事が判って、ホーエンハイムは内心喜んでいた。
 


---------------------------------------- 終
2005夏発行:同人誌より再録

「どうしたんだ。こんな事で感じるのか」
「んな、言い方ヤメロ」
 揶揄する言葉をホーエンハイムが言うと、エドワードは怒った。だが普段に比べて迫力はない。
「でも本当だろう?」
 エドワードの耳元で囁くと、エドワードは悔しそうにホーエンハイムを見つめた。
 ふと思いついて、ホーエンハイムは膝をついてエドワードの前に屈みこむ。
 右手に持っていた剃刀をエドワードの股間に当てた。
「エドワードのここを、もっと可愛くしてあげよう」
「・・・ぁ・・・」
 さっき動いて傷がついた事を思い出して、エドワードは動けなくなる。
 それに顔と違って、デリケートな部分だ。万が一間違って傷つけられたら、痛いとはいってられない状況になる。
 馴れた手つきでホーエンハイムはエドワードの肌に剃刀を滑らせていく。
 エドワードの立ち上がっていた中心が緊張で項垂れ小さくなっている。
 凍ったように動かないエドワードに気づいて、ホーエンハイムがエドワードを見上げると、エドワードが緊張で顔も体も強張らせている事に気づく。
「怖がらなくても大丈夫だから」
 リラックスするように声をかけたが、緊張は解けるどころか強くなっていくようだった。
 薄い収穫前の稲穂のような色の薄い茂みは、ホーエンハイムの手で刈り取られていく。
 剃刀の触れた部分はひんやりとして、エドワードの熱く敏感になってきた体に倒錯的な快感をもたらした。
 徐々に大きさを取り戻し、角度がついてくる。
 剃刀が走る度に、若い穂先がぴくぴくと先が揺れた。
「気持ちいい?でも動くと危ないよ」
 ホーエンハイムが諭すようにエドワードに言うと、エドワードは全身を真っ赤に染めて、力なく首を横に振った。
 エドワードの中心で若木のような幹が、更に角度を増して硬くなる。
 エドワードは体を酷使するセックスを好む傾向がある。
 鬱屈した思いを行為で発散するためだろう。ホーエンハイムはエドワードと交わる時いつも気が気ではなかった。いつか体を壊してしまうのではないかと心配なのだった。
 今回はもし仮に傷を作っても大したこと無い。
 血管を傷つけないように細心の注意は必要だったが、それだけだ。
 エドワードも緊張してても直立不動だし。局部だけは反応しているとは言っても、ホーエンハイムの剃刀の邪魔をする動きは無かった。
 注意して緊張を増幅させたのは、意識を向けて更に感覚を敏感にさせる作戦だった。
 ホーエンハイムはエドワードの緊張しつつ、感じている様子を見て、嬉しそうに目を細めて笑う。
 そして、安全に注意しながらもゆっくりと焦らして剃っていった。
「ほら。つるつるで子供のようだ」
 つるリとして体毛の無くなった股間は何だか頼りなく落ち着かないものだと、エドワードは思った。
「でも先の方は大人だな」
 ホーエンハイムは剃刀を棚に片付けると、眼鏡も外して棚に置いた。
 エドワードの中心のくびれを円を描くように撫でる。
 鈴口から透明な液が滴り、ホーエンハイムの指を濡らしていく。
「ぁ・・・うっ・・・ん・・・」
「どうして欲しい?」
「・・・もっと・・・触って・・・」
 エドワードは腰をホーエンハイムの手にに押し付けるようにして、吐息交じりに囁いた。
 ホーエンハイムはにっこりと笑うと、エドワードの硬く立ち上がったを口に含んだ。エドワードが息を詰める。
 舌を絡めて舐めあげ、吸い上げると、口の中で跳ねる。
 口淫を施しながら、エドワードの後ろに指を滑らせると誘うようにエドワードの腰は揺れた。エドワードの窄まりに指先を忍び込ませる。
 指先はあまり濡らしていないため抵抗があるが、ゆっくりと広げ進んでいくとエドワードの中心はこれ以上ないくらいに硬くなった。蠢く腰の動きも止まらない。
「早く・・・なぁ・・・もぅ・・・」
 涙混じりの声でエドワードが懇願する。
「どうして欲しい?」
「も・・・欲しい・・・入れてっ・・・」
 エドワードが充分に高まった事を確信して、ホーエンハイムは立ち上がると、ズボンの前をくつろがせて自身を取り出した。エドワードの痴態に煽られて猛っている。
 エドワードは物言いたげな、不満そうな表情をしたが、口には出さなかった。
 ホーエンハイムはエドワードを壁に押し当てると、誘うように収斂する、蕾にゆっくりと押し入った。
「ぁ・・・ん・・・」
「ここがいいのか?」
 ホーエンハイムはエドワードの性感帯を強く刺激した。
 抉るように腰を回すと、エドワードももっとよく当たるように腰を蠢かせる。
「・・・んっ・・・いい・・・当たってる」
 激しく注挿を繰り返すと、エドワードは自分自身の快感を追いかける事に夢中になっていた。
 ホーエンハイムは強く腰を使いながら、前を緩く握り擦り上げていく。エドワードが頂点が極めるのに合わせて、ホーンハイムはエドワードの中を汚した。
 ホーエンハイムが抱きしめていた体を離すと、結合部からとろりと情交の証が零れる。
 エドワードは壁に寄りかかって、ホーエンハイムを見上げると妖艶に笑い、掠れた声で囁いた。
「キス・・・して・・・」
 珍しく言葉でキスをねだる。違和感を感じながらも、ホーエンハイムはエドワードにくちづけた。
 エドワードはキスを受けながら、悪戯を企む子供のような瞳をした。キスを受けながら、左手を伸ばしてシャワーのノブを捻る。
 冷たい水滴が二人の間に降り注いだ。
 ホーエンハイムは驚いて、エドワードを抱き上げ、降り注ぐ水滴から避難する。
 しばらくしてシャワー周囲に温かい空気が広がった。水がお湯に変わったのだろう。
「どうしてこんな事をするんだ?」
 エドワードが行動した理由が判らなくて、ホーエンハイムは困った声を出した。
「ノブを捻った後、しばらくは温度の調節がきいてないから危険だって、さっき説明しただろう?かなり高温のお湯が出るはずだ。ヤケドでもしたら、どうするつもりだったんだ」
 責めるように怒りを含ませた声でホーエンハイムは説明を繰り返した。
 小言の間、エドワードには反省の様子は無い。全く意にも介していない様子だ。
 意思疎通の図れないエドワードに脱力し、エドワードを抱いたままホーエンハイムは肩を落とした。
「服濡れたんだから、脱いだら?」
 エドワードは素っ気無く言う。エドワードの言葉を聞いてホーエンハイムはハッとした。
「それが理由か」
 エドワードとの情交の時、ホーンハイムは一度として裸になった事はない。
 ホーエンハイムには見せたくない理由があるのだ。
 永く幾つもの人の体を乗り換えてきたホーエンハイムの体の一部は腐っている。この世界に来てから腐敗は止まったが、変性した部分が元に戻る事はないのだ。
 ホーエンハイムにとって腐った体は自分の罪の証拠だ。
 その事実をエドワードも知っていて隠すことは無いと、ありのままでいいと言うのだが、腐った肉体をエドワードに晒す勇気がないのだ。
「体に張り付いて気持ち悪い・・・脱いで・・・」
 吐息混じりにねだられたら、その願いもきいてやりたくなる。でもやはり抵抗ある。
 ホーエンハイムは逡巡した。
 ホーエンハイムは棚から瓶を取り出すと、乳白色の液体をバスタブに垂らした。シャワーのノズルを足つきのバスタブに入れる、お湯を溜めはじめる。
 不思議そうな顔をして、エドワードは溜まっていくお湯を眺めていた。
 バスタブの中で細かい泡が生まれ増えていく。
 泡はバスタブの中で成長し、縁から溢れそうになる。
 抱き上げたままのエドワードを、泡で底の見えない湯船に入れる。陶器製のバスタブの底にエドワードの機械鎧が当たり、金属と陶器の当たる高い音が響く。
「石鹸の成分が機械鎧の隙間に入ってしまうから、後でよく流さなければならないな」
 苦笑しながら、ホーエンハイムは素早く服を脱いで裸になり、エドワードの後ろからバスタブに入った。
 泡に埋まりそうなエドワードを後ろから抱きしめる。
「やっぱり、オレに見られるのは嫌なのか?・・・気にしなくていいのに」
「そうもいかない」
 エドワードが静かに言うと、ホーエンハイムは固い声で答えた。
「あんたが集中出来ないって言うんだったら、しょうがないけど」
 不服そうにエドワードは言う。
「じゃあ集中しよう・・・久しぶりだから。さっきのじゃ足りないだろう?」
 ホーエンハイムは耳元で囁いく。慰めるつもりが慰められている。ホーエンハイムはエドワードの欲求不満を解消しようと積極的に後ろから愛撫をはじめた。



---------------------------------------- つづく
2005年夏発行同人誌より再録

      ◇     ◇

 数日後、エドワードが部屋で本を読んでいると、浴室にいるホーエンハイムから名前を呼ばれた。
 ホーエンハイムは外出を控え、自室にこもって何かをしていた。
 エドワードは頼んだ事に取り組んでくれているかもと期待してつつ、でも意地を張って心待ちにする素振りはホーエンハイムの前では出さなかった。
 ホーエンハイムは今日は朝から浴室にこもって機械を組み立ていたのだった。
 狭い浴室が機械でさらに狭くなっている。
 元々はトイレ・洗面台・シャワーのみの部屋だ。それだけだったら広めだったのだが、そこにバスタブを入れ今度は給湯設備を入れたのだ。狭くなっても仕方ないだろう。
「こんな感じで・・・どうかな?」
 予想以上の出来栄えに、エドワードは満足そうな顔をした。
「無理言ってゴメン・・・ありがとう」
 エドワードは少し照れて言いにくそうにしながらも、目を輝かせてホーエンハイムに感謝の言葉を言う。
 嬉しそうな表情だけでホーエンハイムは苦労したかいがあったと微笑む。
 使い方を説明すると、エドワードはその説明を真剣に聞いた。
「一度試してみていいか?」
「あぁ。勿論、そうしてみてくれ」
 ホーエンハイムの言葉を聞くか聞かないうちにエドワードは服を脱ぎ始めた。
「何やってんだ」
「せっかくだから、ついでに風呂にしようかと思って」
「ちゃんとお湯が出るとは限らないんだぞ。一度試してからじゃどうなんだ?」
「オヤジが出来たって思ったからオレを呼んだんだろう?じゃ、一応確認済みだよな。信じているから大丈夫」
 ホーエンハイムが苦笑いをしながら言うも、エドワードは服を脱ぐ手を止めることなく平然と答えた。
 待ちきれない動作は、おもちゃを前にした子供のようにも見える。
 顔には表さなかったが楽しみにしていたのだと体全体で表現されたみたいだ。
「単にせっかちなだけじゃないか」
「何か言ったか?」
「いいや。何も。入ってみてくれ。後で感想でも」
「えっ・・・」
 ホーエンハイムの言葉は予想外だったのか、エドワードは驚いた顔をした。
「オヤジも一緒に入るんじゃないのか?」
「そういうつもりだったのか」
 ホーエンハイムが何気なく問い掛けると、エドワードはしまったといった顔をした。
 普段と変わらぬ表情や仕草だったから、気がつかなかった。
 よく考えてみると、最近は忙しくて触れ合っていない。
 お互い関心が他に移ると集中して夢中になる傾向になってしまう二人だ。
 そういう意味では似たもの同士だった。
 最近ではホーエンハイムが一日部屋にいても、エドワードからの誘いはめっきり減っていた。
 一時期、エドワードは混乱と失意と寂しさから激しくホーエンハイムを求める事が多かった。
 何もしてあげることが無いから、せめて抱きしめ慰めてあげたいと思って、行為は繰り返されていた。
 行為は重ねられるうちに肉親の情と違う感情が芽生えそうになる。
 それはホーエンハイムを別の意味で苦しめる事になった。
 だが、最近は生きていくための目標が出来て、エドワードは慰めの行為ではなく、目標達成のための助けをホーエンハイムに求めることが増えていた。
 目標に向かって努力し、希望に輝く瞳を取り戻したエドワード。
 ホーエンハイム自身そんなエドワードの姿を見守っていられることが、何よりも嬉しかった。
 ホーエンハイム自身は永く生きているため性欲はあまりない。
 だから、ホーエンハイムは戯れに触れ合う事にエドワードが飽きてしまったのかと思っていたのだった。
「俺は気にしなくてもいいから」
 自分の言動にエドワードが情事への誘いを感じたのかと思ったホーエンハイムは、何気なく言う。
 身を翻し退室しようとするホーエンハイムをエドワードは引き止め、両手を伸ばす。
 艶を帯びた視線を向けると、キスをねだった。
 甘い瞳。ホーエンハイムはその目に弱かった。
 ホーエンハイムは伸ばされたエドワードの手に応えて、自分も手を伸ばすと、エドワードの腰に腕を回し抱き寄せる。
 向かい合い、二人の唇がそっと触れた。
 何度も触れるだけのキスを繰り返す。
 ザラリとしたホーエンハイムの鬚の感触に刺激を受けて、エドワードは身震いした。
 エドワードが舌を出し、ホーエンハイムの唇を舐める、口が薄く開かれ、その中に招き入れられた。
 ホーエンハイムはエドワードの舌を甘く噛み、強く吸って絡める。
 夢中になって深いキスを繰り返した。
 存分にお互いの唇を味わった後に、名残り惜そうに離れると、エドワードの瞳は淫楽の予感にとろけていた。
 左の生身の指でホーエンハイムの頬を撫でる。
「あんた鬚伸びるの遅いよな」
 甘えるような行為の先を促すような媚態交じりの仕草。
 行為の時間特有の、エドワードのもうひとつの顔だった。
「そうだな。私は代謝が遅いみたいだから、たまに剃刀を当てるだけでいいな・・そう言うお前も伸びるの遅いじゃないか」
「確かに。オレもたまにで良いんだよな。どうして何だろう。遺伝って奴か?」
 自分の父親と交わっている事に何の罪の意識もないエドワードは平然と言い放った。
 繰り返す行為を過ちだと思っているホーエンハイムは質問にドキリとする。
 視線を逸らしてエドワードの頬を見た。顎の下に数本のり残しを見つける。
「あ・・・ここに剃り残しがある」
「えっ、どこ?」
 ホーエンハイムが指で周囲を触ると、エドワードはくすぐったそうに笑った。
「ほらココ。まぁお前の場合は鬚というより、産毛が少し太くなっただけのようなものだけどな」
「んな事言うなよ。オレが子供のまんまみたいじゃなか。・・・あぁここか・・・剃るとき死角でよく見えなかったんだよな」
「折角だから、今剃ってあげよう」
「別にいいよ」
「遠慮しなくていいから」
 ホーエンハイムは棚から剃刀(カミソリ)を取り出しエドワードの頬に当てる。
 冷んやりとした刃の感触に、中途半端に煽られたエドワードの体がピクッと動いた。
 ホーエンハイムは咄嗟に剃刀をエドワードの肌から外したが、顎の下に小さく一筋の傷が出来てしまった。
 傷口に血液が溜まり、一筋滴る。
 無意識のうちにホーエンハイムはエドワードの傷口を舐めていた。
 僅かな痛みと共に痺れるような快感がエドワードの体に走った。
「・・・ぁっ・・・」
 色ついた吐息がエドワードの口から漏れる。
 刺激に反応してエドワードの中心が徐々に立ち上がっていった。
「動いたら危険だ」
「判っている・・・け・・ど・・・」
 何度も舐めて傷口から血が止まったのを確認すると、ホーエンハイムはエドワードの中心に空いた手で触れる。
「・・・っ・・・ん・・・」
 エドワードは身を捩ると、情欲で潤んだ瞳をホーエンハイムに向けた。




------------------------------------------- つづく
同人誌より再録

 夏の暑さも翳りを見せ始めた、ある日の夕方。
 ホーエンハイムが外出から帰って来るとテーブルの上に料理が準備されていて驚いた。
 ボイルしたジャガイモとソーセージの盛り合わせ。
 チーズとライ麦パンにザワークラウト・ピクルス。
 エドワードが近くの店で買ってきたものを並べただけの物だったが、いつもならばホーエンハイムの帰宅を待って食事をするということはない。
 いいところ多めに料理を作ったか買ってきたときに料理が残っていて、ホーエンハイムの帰宅に気づいたエドワードが皿に盛り付けてくれるだけだった。
 二人ともアパートにいる日であれば、予定を聞いて食事を共にする事も多い。
 だが、日々勉強に励むエドワードと、何かと忙しく予定の掴めないホーエンハイムが、同じ時間に部屋にいる事はここ最近では珍しい事だった。
 ホーエンハイムの予定のつかない外出が多い中、今回の外出は珍しく帰って来る日が判っていた。
 だとしても、いつもはそんな事はしないのだ。
 準備をしているエドワード自身、いつもより落ち着き無くソワソワしていた。
 そんなエドワードの様子に、ホーエンハイムは何か相談したい事か願い事があるんだなと、察した。
 ホーエンハイムが席に座ると、エドワードはホーエンハイムの好みのワインのコルクを抜きグラスに注がれる。
 いよいよもって、いつもと違う。エドワードはホーエンハイムの給仕をする事など只の一度もなかったのだ。
 ホーエンハイムは何気ないふりでワインを含み、エドワードが話を切り出すのを待っていた。
 エドワードはテーブルに座ると不機嫌そうに呟く。
「やっぱり。オレ。この世界好きになれない」
「・・・?・・・」
「何が困るって。・・・風呂もシャワーも習慣がないって事だな。旅の間で泊まる宿が無いんだったらだけ仕方ないけど。定住している人に習慣ないっていうのは・・・」
 エドワードは珍しく人に対する不快感を口にした。
 だがそれに違和感がつきまとう。
「それを言うなら地域的な事だろう?」
 ホーエンハイムが間違いを指摘して言い直すと、エドワードは更にムッとした表情を浮かべる。
「水道の整備も出来たのは極最近になってからだし、宗教的に否定的な見方もあったからな。今はそうでもないだろう?」
「健康のために温泉に行くって事?オレがしているのは習慣としての話・・・一週間に一度も入らないのは。そりゃあ、別に本人が良ければいいのは確かだけど・・・」
 ようやっと話が見えてきたとホーエンハイムは思った。
 人の事を話すように見えて実は自分の困った事の話に流れていくのだろう。
「あぁ・・・エドワードは意外と綺麗好きだからなぁ」
「意外と・・は余計だろ。オレはあんたの大雑把なところが時々信じられないけどな」
 からかう言葉をホーエンハイムが発すると、エドワードも言い返す。嫌味の応酬。負けず嫌いのエドワードの性格を微笑ましいと思った。
「そうか?」
「例えば料理がなかったら、酒だけでいいとかさ」
 呆れた表情でエドワードは言う。
「あぁ。そういえばそうか」
 思い出したようにホーエンハイムは呟く。
 人より永く生きてきたホーエンハイムには時間の感覚がズレている部分がある。錬金術で他人の肉体を奪って存在しているから、肉体は元の人ではなくダメージを受けにくい物に変化しているのだった。
 だから、三食取らなくても大したことはない。
 反面エドワードは違う。普通に食べなければならない。
 成長期である事も理由の一つだが。
 思っているより自分のことを気にかけていてくれた。
 それを示す言葉を聞いて、ホーエンハイムは嬉しくなった。普通一緒に暮らしていれば余程理解力に欠けていない限り、相手のことが判ってくる。
 だから、一緒に暮らしている二人だったら判って当たり前の事だった。
 だが、ホーエンハイムは家族を捨てた事を今でも悔やんで、エドワードに対して引け目を感じている。
 恨まれても仕方ない、気にかけてもらう資格はないと心の片隅で思っているのだ。
 だから家族として見てくれていると感じる瞬間は、どんな些細でもホーエンハイムはに喜びに変わる。
「それで、頼みがあるんだけど。出来たら・・・風呂場でお湯が使えるようにしてくれないかな?」
 給湯設備は洗面所を兼ねた浴室に無い。このアパートに限った事ではなく、他も同じだった。
 簡単な冷水のシャワーしかない中で浴室にバスタブを入れているだけでも、他に比べて贅沢なことだった。
 お湯を沸かして浴室に運びバスタブに入れる労力は手・足が健常であれば辛くはない。
 だが、エドワードの義手義足である機械鎧は故障場所が多くまともには動かない。
 一人の時は大変な思いをしていたのじゃないかと思い至る。
 意地っ張りで余程の事がなければホーエンハイムに依存しないエドワードがお願いしてくるのだ。
 何かあったのか。
 ホーエンハイムは思い、エドワードに尋ねた。
「私がいない時はどうしていたんだ?」
「いや・・・その・・・暑い時は水でも大丈夫だったんだけど・・・そろそろ、ちょっとマズイかなと思って」
 嫌な予感がして、ホーエンハイムはエドワードの頬から首筋を体温を確認するように触れる。
 触れた肌はいつもに比べて少し高く感じる。
「大丈夫なのか?」
「今は大丈夫。先週ちょっと熱出したけど・・すぐ下がったし」
 自業自得だと思っているのだろう。エドワードは気まずそうに俯いた。
「そうか判った。何とかするから。無茶はしないでくれ」
 心配そうにホーエンハイムが言うと、エドワードはちょっと驚いた顔をした後、照れくさそうに笑った。


------------------------------------- つづく
同人誌より再録

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