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ボランティアの帰りに近所のスーパーに寄って買い物をして帰宅した。その日は自分のショルダー・バッグのほかに2つのトートバッグを肩から下げていた。わたしはどこの国の学習者にも対応できるようにたくさんの日本語学習資料や電子辞書、飲料水のペットボトルをバッグに詰めてボランティアに臨む。その日はスーパーの自動支払機で買い物の精算するためショルダー・バッグから財布を取り出し、再びしまうつもりが、あまりにたくさんの荷物を抱え、しかも午後9時半頃のことで外は暗くよく見えないためショルダー・バッグの口に入れたつもりがバッグとバッグの間に挟み込んでそのまま落としてしまったらしい。帰宅後遅い夕食を摂り荷物の整理を始めたところ財布がないことに気付いた。最後に財布を使ったのがスーパーだから、落としたのは徒歩で数分のスーパーと自宅の間であることは間違いないので、すぐに外出の準備をして帰ってきた道をもう一度たどってみた。スーパーにも寄って落とし物の届け出がないかどうか店員に確認してみた。届け出はなかった。暗澹とした気分で自宅に戻りもう一度3つのカバンの中をチェックしてみた。
スーパーを出でまもなく小さな公園があり、その中を通ってきた。以前公園の男子トイレの中で空の財布が床に投げ捨てられているのを見かけたことがある。落とし物か盗まれたもので中身を抜いて財布だけ捨てたものと思われる。もしかしたら空の財布が捨てられているかも知れないと思いもう一度同じ道をたどって公園のトイレを確認してみたが、それらしきものはなかった。その晩暗澹とした気持ちで眠りについた。スーパーは女性客が多い。女性に拾われれば警察に届けられて見つかるかも知れないというかすかな希望を抱いて。
翌朝午前9時過ぎ朝一番にかかりつけの歯科医院から電話がかかってきた。現在通院治療中だが、歯科医院から電話がくる時間帯でも用件があるわけでもないので直観的に財布の件だと分かった。実は財布の中に歯科医院の診察券が入っていた。拾い主から届け出を受けた警察から歯科医院に電話があり、私に取り次いでくれたのだ。歯科医院から遺失物の受付番号と所轄署を教えてもらい早速外出の準備をしてタクシーで現場に出かけた。
最寄りの警察署の窓口で落とした財布を受け取った。帰って来ないかもしれない財布が手元に戻ってきたのはうれしかった。拾い主は遺失物に対する権利を放棄したので性別はおろか、氏名もわからなかった。財布の中身は現金約7、000円、医者の診察券が2枚、その他各種ポイントカード2枚と仮に紛失したとしても大きな損失にはならないものばかりだった。それよりも一番うれしかったことは長年使いこんだ愛着のある財布が手元に戻ってきたことだった。「明日は早速新しい財布を買わなければならない」と思い込んでいただけにうれしかった。
わたしは基本的に健康保険証やクレジットカードなどの貴重品は財布に入れないことにしている。それらは別のカードケースに入れてショルダー・バッグに合成樹脂製のチェーンで括り付けてある。
落とし物が見つかるのはこの国だけだと最近よく聞く。来日外国人が多い作今これだけは誇ってよい日本・日本人の美徳なのかも知れない。諸外国ではスリ、泥棒、置き引きは当たり前のようだ。
今年息子が共同住宅の玄関付近で高価そうな女物の財布を拾った。中に現金は入っていなかった。その代わり健康保険証やキャッシュ・カード、各種ポイントカードが入っていた。そのまま放置するわけにもいかないので扱いに困った。警察に届けることも考えた。しかし、健康保険証記載の住所から近所の人だと分かった。“協会けんぽ”の保険証なので勤務先も書いてある。とりあえず財布を預かっている旨とこちらの連絡先を手紙に書いて落とし主の住まいと思われるポストに入れた。しかし、一日経っても連絡がない。翌日ネットで勤務先の電話番号を調べ連絡した。すぐに折り返し息子の携帯に本人から連絡がきた。その日は月曜日だったので、勤務先からの電話かと思ったが、偶然定休日で自宅にいるという。早速自宅前で会う約束をして財布を手渡した。前日ポストに入れた手紙には気づかなかったようだ。息子が聞いたところ財布には5万円入っていたという。息子が拾った時は中に現金はなかった。拾った人は現金だけ抜いて財布を外に投げ捨てたのだ。立派に窃盗である。健康保険証もキャッシュカードも落とし主にとっては重要なものであるはずだが、そんなことはおかまいなしに。拾ったのは男だろうか、女だろうか。どんな人がそんなことをしたのだろうか。顔を見てみたいものだ。
先の善意のお返しにわたしの財布が戻ってきたと思いたい。
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落とし物、特に財布の体験談、やっぱりね、と思いながら読みました。
ソックリ戻ったけれど謝礼を要求されたこともあります。店先(たばこや)の公衆電話の棚に忘れ、その店の店番の中年婦人に謝礼を要求されました。
旅先の道の駅のレジで落とし、店からの連絡を受けて自宅に送って貰いましたが、カード類は無事でしたが、現金(紙幣のみ)が無くなっていました。
気持ちよく届けて貰い気持ちよく薄謝をさせて貰ったことも。
当家で夫婦の合計は少なくなくて、ただし全く無くしたことは1度だけ。その時は免許証も入った巾着丸ごとボクが落とし、免許証には再発行経験者を示す内緒?の印が四十年後の今も付いているはずです。
2018/12/14(金) 午後 6:25 [ 山のmochi ]
> 山のmochiさん
ずいぶんと落とし物をされているのですね。ボクは今回のことで財布もショルダー・バッグに括り付けるようにしました。ペーパードライバーですが、免許証も首から下げるようにしています。携帯も首から下げています。飲食店や買い物先でトートバッグをよく忘れるので最近LEEの肩から下げられるものに買い替えました。万有引力の被害に合わないためにはとにかく「肌身離さず」ということでしょうか。長くなりますが、ボクの大失態は2015年に成田空港にスーツケースを置き忘れて搭乗し中国の空港に着くまでまったく気づきませんでした。
2018/12/14(金) 午後 7:32 [ 天 后空 ]