|
本書はNHK番組『欲望の資本主義』(BS1)の書籍化だ。もとより普段テレビを見ないボクはこの番組を見ていない。生まれた時からテレビのない時代に育ったボク(ら)にとってテレビを見ないことは苦痛でもなんでもない。見なければ見ないで済む。
本書の存在を知ったのは電子書籍リーダーの「あなたへのオススメ」である。サンプル版を読み、目次に目を通してその刺激的内容に興味を持った。番組のナビゲーター兼本書の執筆は大阪大学大学院経済学研究科准教授の安田洋裕氏である。
ボクは大学で商学を専攻した。商学部では経済学と商学を平行して履修する。経済学は近代経済学(近経)とマルクス経済学(マル経)とに分かれており、自由に選択できる。記憶のままにたどれば、ボクが受講した金融論、財政学、商業経済、経営学、交通論、経済地理などは近経、経済原論、国際貿易論、労働問題、経済史、西洋経済史などはマル経だった。その他日本経済史や経済学説史も印象に残る講座だったが、どちらの系統かわからない。
初年度の英書講読ではアダム・スミスの分厚い『国富論』を読まされたし、3年度のフランス語経済学ではマルクスの『資本論』の抜粋をフランス語で読まされた。英語経済学のテキストは『Modern American Capitalism(現代アメリカ資本主義)』だった。経済原論はレーニンの著作がテキストだった。
個人的には近代経済学はわかりにくく断片的な知識はあるが、点と点を結びつけて線として理解することができなかった。その点マルクス経済学は体質的に理解しやすい。
序文でも新古典派経済学やマクロ経済学、また著名な経済学者の名前が出てくるがどうもわかりにくい。しかし、現実の経済政策はこうした経済理論に基づいて手が打たれているのであろう。
さて、 注目の目次について見てみる。
序文 トップランナーたちとの対話が生む多様な視点 安田洋裕
第1章 「アダム・スミスは間違っていた」
“近代経済学の巨人・スティグリッツ”
第2章 「資本主義は成長がマストではない」
異端の奇才・セドラチェク
第3章 「資本主義は完璧じゃない。労働のない社会が来る」
未来をクールに見る投資家・スタンフォード
特別対談 「成長資本主義が世界の不安定化を招いている。GDP至上主義と決
別せよ!」
セドラチェク×小林喜光
「欲望」とは? そして問いは反復される-あとがきにかえて 丸山俊一
※下線天后空
「欲は美徳」というのが資本主義の精神だ。欲望の無限連鎖、欲望の全開。
暴走する資本主義に対してこれにブレーキをかけるのが社会主義的政策だ。過当競争の抑制、搾取の根絶、所得の再分配、格差解消、社会保障の充実。
金さえあればなんでも手に入るのは資本主義の美徳だ。一歩スーパーに入ればあふれるばかりの食料。ひとたび物流が途絶えれば食料不足になり、飢餓、餓死の危険にさらされる。豊富な物流は市場原理が正常に機能している証拠である。経済の基本は資本主義であり、市場経済だと思っている。しかし行き過ぎた資本主義は果てしなく貧富の差を拡大するのでこれを是正する政策が必要である。
生産手段の国有化、目的意識的協業、計画経済などの社会主義経済はすでに破綻したことが証明された。中国も、ロシアも市場経済に舵を切った。市場経済を否定してるのは今や北朝鮮くらいだろう。恒常的に物不足が続いている。このように見てくると市場経済は意外と人間の生存に適しているのかも知れない。
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2019年08月23日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]


