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現在の相場環境はほとんど死角なしの上昇相場であることは誰もが認めるところです。昨夜の雇用統計の予想を上回る改善は、最後まで残った雇用面の懸念を払しょくして相場参加者に澄み渡った青空とくっきりとした山々の稜線を提供しているような気がします。
さて、思えば今年3月までの下落相場の起点は2007年7月上旬でした。7/9に年初来高値を更新した後、日経平均は今年3月まで下落トレンドを辿りました。私がかねがね興味があったのは、サブプライム問題の顕在化により株価下落が始まる直前と直後がどのような相場環境にあったのかということです。
そこで、日経テレコムを使ってその当時の日経新聞の相場解説を読んでみました。
まず下の記事が日経平均が最後の年初来高値更新を記録した翌日7/10の朝刊です。企業業績拡大期待、機械受注予想以上の伸びと、ポジティブな材料の記述がメインで、特段この後の下げを示唆する材料は見当たりません。これを見るにつけ、少なくとも日経新聞の相場解説を読んでも相場の行方はわからないのだと改めて実感します。
日経平均が年初来高値、業績拡大期待広がる、参院選など不透明、上値重いとの見方も。
2007/07/10, , 日本経済新聞 朝刊, 20ページ, 有, 909文字, スコア:56
九日の東京株式市場で日経平均株価が約三週間ぶりに年初来高値を更新した。背景にあるのは円安進行などを追い風にした企業業績の拡大期待の広がりだ。同日発表の機械受注統計が予想を上回る伸びだったことも投資家心理の改善につながった。ただ世界的な金利上昇や参院選の行方など不透明要因もあるだけに、上値は重いとの見方が残っている。
九日の東証一部では九十三銘柄が年初来高値を更新。なかでも信越化学工業やコマツ、任天堂は連日の上場来高値となった。「四―六月の中国向け売上高は前年同期比二倍になったもよう」(コマツ首脳)など、新興国市場を中心に海外で稼ぐ企業の好調ぶりに、市場の評価は高まっている。
為替の円安進行もプラスだ。輸出企業の多くは期初に一ドル=一一五円程度の為替水準を想定していたが、現在は同一二三円台で推移している。トヨタ自動車の場合、一ドル一円の円安・ドル高は三百五十億円の営業増益要因だ。「業績の上方修正の可能性を先回りして買う動きが出ている」(大和証券SMBC)
九日発表の五月の機械受注統計が予想を上回る伸びを記録。「国内景気の改善を裏付ける内容で企業業績の追い風になる」(第一生命経済研究所の嶌峰義清・主席エコノミスト)と受け止められた。
全国上場企業(新興企業、金融を除く)の二〇〇八年三月期の連結経常利益は前期比三・五%増の見通し。市場では予想は保守的との見方が多く、主要なシンクタンクは八%前後の増益率を見込む。今月下旬から本格化する四―六月期の業績開示への期待が高まっている。
投資家も強気に転じている。QUICKが今月三―五日に機関投資家の株式運用者に実施した月次調査では、株式の組み入れ状況について「多め」「少なめ」の分布状況から作成した組み入れ指数が六一・〇。前月比〇・四ポイント上昇し〇六年四月以来の高水準となった。この数値が高いほど株式投資に積極的なことを示す。
もっとも市場には慎重ムードも漂う。国内消費の足取りの重さを気にする市場関係者は少なくない。「日銀の利上げ観測や参院選など先行き不透明要因がくすぶり、積極的に上値は追いにくい」(みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員)との声は多い。
次に、下落を開始した直後7/12の記事です。サブプライムローン問題と、米国株のボラティリティの上昇を警戒しています。この記事は妥当にその後の行方を示唆している気がします。
米株変動性高まる、日本市場に警戒感、安定相場に転機も。2007/07/12, 日本経済新聞 朝刊, 18ページ, 有, 987文字
株式市場で米国株相場の変動性の高まりに対し警戒感が強まってきた。住宅ローン問題など不透明要因がくすぶり投資心理が不安定になっているためで、突然、波乱の展開となる可能性をはらむ。米株の動向は日本株にも影響するだけに国内投資家も身構えている。
市場関係者が注目するのは、米シカゴ・オプション取引所のVIX(ボラティリティー指数)。相場の先行きが不安定とみる投資家が多ければ上昇する指標で、投資家の恐怖心理指数とも呼ばれるものだ。
二月末に始まった世界連鎖株安時点ではVIXは一時二〇まで上昇し、日本株にも株安が波及した経緯がある。その後いったん落ち着いたが、六月以降は再び上昇基調。前日には一七・五七まで水準を切り上げてきた。「VIXの上昇は株価の調整リスクにつながりやすい」(高塚孝一・ユナイテッド投信投資顧問シニアファンドマネジャー)との見方につながっている。
米国株が不安定を増した場合の日本株への影響について、大和総研の成瀬順也シニアストラテジストは輸出関連企業の選別につながるとみる。「米消費市場へ依存度が高い企業を避け、欧州や新興国市場で収益を上げる輸出企業に投資家の評価が高まる」という。
十一日には米国で収益を稼ぐ自動車や電機大手には売りが目立ったが、コマツや日立建機など新興国に強い機械関連株は逆行高となった。
米ゴールドマン・サックスによれば、VIXは今後も上昇が続く公算が大きい。インフレ再燃や実質金利の上昇に加え、「サブプライム(信用力の低い個人)向け住宅ローンや企業向け融資でリスクが高まっている」からだ。世界的なカネ余りが支えた安定した株高局面は転機を迎えつつあるとの見方といえる。
一九九〇年代後半から二〇〇三年にかけVIXは二〇―四〇で推移していたため、今回の上昇を「正常化の過程」と見る関係者も多い。その場合、信用リスクへの意識が高まるため、小型株は敬遠され、大型株に投資家の資金が集まりやすいという。
▼VIX(ボラティリティー指数) シカゴ・オプション取引所がS&P五百種株価指数のオプション指数から算出し、株価の変動性を示す指数。投資家の不安心理を示す指標として知られ、急落局面で急騰することから「恐怖指数」とも呼ばれる。ここ数年、株価が安定しており一〇程度で推移していた。株価が大きく調整する場面では二〇前後に跳ね上がるケースが多い。
ところでそんなさ中でも週間相場展望は下記のようにとても楽観的でした。
NY株――ダウ、1万4000ドル試す(今週のマーケット)2007/07/15, 日本経済新聞 朝刊, 16ページ, 有, 472文字
ニューヨーク株式相場はダウ工業株三十種平均が初の一万四〇〇〇ドル台に乗せるか上値を試す週となる。企業業績の底堅さ、活発なM&A(企業の合併・買収)や自社株買いが株価を底上げするとの期待から投資家心理は強い。急速な原油高などマイナス材料が上値を抑える可能性は残る。
先週はサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を巡って一時株価は調整した。だが「金融不安にはつながらない」(クレディ・スイス)との見方から買い戻し優勢となり、ダウ平均は最高値を連日更新した。
今週の注目点は企業決算。米トムソンフィナンシャルによれば米主要企業の四―六月の増益率は四・二%に鈍化する見込みだが、世界経済の堅調さから上ぶれを期待する声がある。直近のS&P五〇〇種株価指数先物の売り越し幅は三年ぶりの高水準。需給面からも「買い戻しが入りやすい」(メリルリンチ)。
とはいえ原油価格は一バレル=七四ドル近くに上昇し小売り指標も悪化。マクロ面には不安もある。十八日の米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言など金融政策を占う材料も多い。
(ニューヨーク=発田真人)
以上、当時いろいろな記事がありますが、少なくとも新聞の相場解説からは明らかな下落相場の兆候はキャッチできないのだと改めて実感した次第です。これは記事を書く人がどうこうではなくて、そもそもそのような情報は大衆の目に触れるようなところに転がっていることは少ないのだということでしょうね。
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