好きと嫌いと

理屈も論理もなくあるのは好き嫌いだけです。

(主に)小説

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あの世に行きたい

『美藝公』という小説があって、初めて読んだのは二十数年前。
わあ面白い、とおもったんですが、
そのときは、読んだのは一度きり。
出産前の入院がちょっと長くなって、全集を借りてきて読みまくったのでした。

最近また読む機会があって、3回通して読みました。
そして、
いやこんな面白かったのか、と改めておもった。

舞台は敗戦後、映画産業立国として発展した日本。
これだけではちょっとどんな風か想像できないとおもいますが、
まあとても平和な国と思ってください。
主人公は小説家で映画の脚本家でもあって、
とても幸せに暮らしています。
幸せすぎて不安になるくらいです。
この世界は本当ではないのでは、
本当の世界はどこか別の宇宙にあり、
この世界は自分の夢と願望として作り上げたのでは、
などと考えてしまう。

「もしこの国が映画産業立国ではなく、経済立国として繁栄していたら」

そういう仮定で仲間と話し合ってみて、
その国は最低最悪劣悪な国だ、
という結論に達します。

そういう国にあたしは棲んでいる。
あの世のその国に行きたい。

初出は1980年。筒井はやっぱりスゴい。いまさらだが。

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