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久々のコンセプト 第10弾 お題は「肝試し」
夏の夜は、寝苦しい。湖に行こうか。そういいだしたのは浩太だった。
すぐさまメールを回し、集まったのは6人。いつものメンバーだ。
「ねぇ、花火でもする?」千晶はすでに花火を買い込んでいた。
「いいねぇ、流石、千晶だ。」昇平は調子よく答える。
明菜は苦々しい思いでそれを聞いていた。
千晶の魂胆は見え見えだ。浴衣まで着込んで男の子達にアピールしている。
そんな、明菜の気持ちも知らずに、千晶を中心に花火が始まった。
男の子達が花火を振り回す。
「危ないじゃない。」千晶は軽くにらむ。その睨み方さえ、媚びを売っているように見える。
あのおとなしい文恵ですら、今日はなんだか色っぽい。
「いいよなぁ、俺、みんなと湖に来るの大好きだったんだ。」と剛がつぶやく。
女の子達が線香花火をしだす頃、浩太と剛とはビールを買いにコンビニへ。
昇平はボディガードと称して後に残る。夜だから女の子だけにはしない。
彼らなりの心遣いだ。
男子3人女子3人の仲良しグループは、中学校からの腐れ縁だ。
いつも、6人で群れて遊んでいた。
しかし、最近はこの均衡が破れつつある。
千晶はこの頃やたら色目を使ってくる。それに昇平が乗っかりつつある。
昇平はもともと明菜と一番気があっていたのに、移り気なやつだ。
千晶は、時々文恵を見る。まるで邪魔者を見るように。
「昇平と二人だけになりたいの。じゃまをしないで!」
千晶の目は、そう訴えている。
突然千晶が言い出した。
「ねぇ、知っている?この湖では、何人も亡くなっているでしょう。
でも、底の方は流れが急で、遺体がなかなか揚がらないのよね。
だから、見つけて貰えない遺体から抜け出した魂は、家に帰りたくって湖面を彷徨っているんだって。」
文恵はもう、泣きべそをかいている。
「ごめーん、泣かすつもりではなかったのよ。文恵・・・」
文恵は、なかなか泣きやまない。千晶の目が勝ち誇ったように光る。
「文恵、本当にごめん、気分悪くなったんだったら、帰る?」というのは千晶。
結局、千晶は昇平と二人っきりになるために、文恵を帰らせたいのだ。
しかし、文恵は首を振った。「今日は残る・・・だって・・・。」
そこに、浩平と剛が帰ってきた。手にはビールとつまみの入った袋。ごくりと明菜の喉が鳴った。
みんなは手に手にビールを持ち、そしておいしそうに飲み始める。
「はい。」
千晶はビールを湖に注ぐ。文恵は泣いている。
「去年は6人で来たのにな。」しんみりと浩平がつぶやく。
「いるじゃない・・・6人」
そう叫びかけて、明菜は息をのんだ。多くの人影が湖面を滑るように歩いていく。
沖の方がまばゆく光っている。明菜は急にそこに行かなければいけないような気がしてきた。
おそるおそる、明菜は湖面に足を入れる。沈まない。
ふいに明菜は思いだした。「そうだ、私は去年、剛と湖に・・・。」
その時、剛が顔をあげた。「待てよ、一緒に行こうよ。」
そう、大の寂しがりの剛は、何をするにも、必ず誰かと一緒に行きたがった。
そして、今夜も・・・。二人は、ゆっくりと湖面を歩き始めた。
ー完ー
すいません、ながいことご無沙汰をしていた割りに・・・・ですね。
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