いろはにほへと・・・

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コンセプト・ショートストーリーズ

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企画概要
当企画は小説・詩を愛するブログによる共同企画です。
毎回テーマを決めてショートストーリーを作り、皆さんにみてもらいます。
…短いながらも一生懸命に書いた短い物語ぜひお楽しみください。



参加ブログ
★☆KEIの奮闘プチ小説家への道!!☆★
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湖に浮かぶ・・・

久々のコンセプト   第10弾  お題は「肝試し」


夏の夜は、寝苦しい。湖に行こうか。そういいだしたのは浩太だった。

すぐさまメールを回し、集まったのは6人。いつものメンバーだ。

「ねぇ、花火でもする?」千晶はすでに花火を買い込んでいた。

「いいねぇ、流石、千晶だ。」昇平は調子よく答える。

明菜は苦々しい思いでそれを聞いていた。

千晶の魂胆は見え見えだ。浴衣まで着込んで男の子達にアピールしている。

そんな、明菜の気持ちも知らずに、千晶を中心に花火が始まった。

男の子達が花火を振り回す。

「危ないじゃない。」千晶は軽くにらむ。その睨み方さえ、媚びを売っているように見える。

あのおとなしい文恵ですら、今日はなんだか色っぽい。

「いいよなぁ、俺、みんなと湖に来るの大好きだったんだ。」と剛がつぶやく。

女の子達が線香花火をしだす頃、浩太と剛とはビールを買いにコンビニへ。

昇平はボディガードと称して後に残る。夜だから女の子だけにはしない。

彼らなりの心遣いだ。

男子3人女子3人の仲良しグループは、中学校からの腐れ縁だ。

いつも、6人で群れて遊んでいた。

しかし、最近はこの均衡が破れつつある。

千晶はこの頃やたら色目を使ってくる。それに昇平が乗っかりつつある。

昇平はもともと明菜と一番気があっていたのに、移り気なやつだ。

千晶は、時々文恵を見る。まるで邪魔者を見るように。

「昇平と二人だけになりたいの。じゃまをしないで!」

千晶の目は、そう訴えている。


突然千晶が言い出した。

「ねぇ、知っている?この湖では、何人も亡くなっているでしょう。

でも、底の方は流れが急で、遺体がなかなか揚がらないのよね。

だから、見つけて貰えない遺体から抜け出した魂は、家に帰りたくって湖面を彷徨っているんだって。」

文恵はもう、泣きべそをかいている。

「ごめーん、泣かすつもりではなかったのよ。文恵・・・」

文恵は、なかなか泣きやまない。千晶の目が勝ち誇ったように光る。

「文恵、本当にごめん、気分悪くなったんだったら、帰る?」というのは千晶。

結局、千晶は昇平と二人っきりになるために、文恵を帰らせたいのだ。

しかし、文恵は首を振った。「今日は残る・・・だって・・・。」

そこに、浩平と剛が帰ってきた。手にはビールとつまみの入った袋。ごくりと明菜の喉が鳴った。

みんなは手に手にビールを持ち、そしておいしそうに飲み始める。

「はい。」

千晶はビールを湖に注ぐ。文恵は泣いている。

「去年は6人で来たのにな。」しんみりと浩平がつぶやく。

「いるじゃない・・・6人」

そう叫びかけて、明菜は息をのんだ。多くの人影が湖面を滑るように歩いていく。

沖の方がまばゆく光っている。明菜は急にそこに行かなければいけないような気がしてきた。

おそるおそる、明菜は湖面に足を入れる。沈まない。

ふいに明菜は思いだした。「そうだ、私は去年、剛と湖に・・・。」

その時、剛が顔をあげた。「待てよ、一緒に行こうよ。」

そう、大の寂しがりの剛は、何をするにも、必ず誰かと一緒に行きたがった。

そして、今夜も・・・。二人は、ゆっくりと湖面を歩き始めた。

                       
                                ー完ー

              すいません、ながいことご無沙汰をしていた割りに・・・・ですね。
              

「クラス替え」

ずいぶん遅くなりすぎましたが・・・4月の宿題を今頃提出です。

「教官!お願いです!!!お情けを・・・読むだけでも読んでください・・・(泣)」



コンセプト・ショートストーリーズ  第6弾   テーマは「春」



       「クラス替え」



 拭き清められた廊下の、澄み切った空気。夜の静けさが涼子を緊張させる。

ふと、スイセンの香りがした。きゅんと胸が締め付けられた。春だ・・・春が来る。

新学期、クラス替え・・・・・今度は何人、知っている子がいるかしら、友達は・・・

今年は夢のようだった。新学期早々、ケイコという親友を得たのだ。



ケイコ・・・かわいいケイコ・・・・優しいケイコ

その日、涼子は、いつものように友達とわいわい騒いでいた。主にアイドルとファッションの話だ。

涼子はアイドルなんか興味ない。ファッションにしてもそうだ。

でも、精一杯話についていった。そうしなければ、省かれる。

ふと見ると、ケイコがぽつんとしていた。

涼子は気になって誘った。涼子は普段から、クラスの様子が気になって仕方がない。

さびしそう、困っている、そう思うとほおってはおけなかった。



「ケイコさん、何してるの?こっちに来ない?」

ケイコはうれしそうに笑った。恥ずかしそうにこっちに来た。

「さすが、涼子姉、面倒見が良いこと!」だれかが茶化した。

そうではない、涼子は自分がその立場だったら、嫌だと思ったのだ。

未来の自分のようで放っておけなかったのだ。



ケイコは、控えめで優しかった。涼子の心を丸のまま受け入れてくれた。

二人は親友を名乗り、交換日記をした。夢のような日々であった。

でも・・・・幸せな日々も、もう終わり・・・まもなく、クラス替えがある・・・。

そこでは、新しい友達ができるのであろうか。

また、張り切りすぎて退かれないと良いな。本当の私をわかってくれる人はいるだろうか。

涼子は不安で押しつぶされそうだった。


 涼子の不安が現実になる日が来た。

ケイコは言った。「いつでも会えるやん。交換日記は続けようね。」

涼子はほっとした。今ケイコに見捨てられたら、私はひとりぼっちだ・・・。



 涼子は毎日ケイコに会いに行った。昼休みの度に。そして、ケイコのクラスの子達と遊んだ。

楽しかった。ケイコがいてくれると、誰とでも自然に話すことができた。

クラス以外にも、こんなに友達がいる。これは、すごいことだ。本当にうれしかった。

でも、時々アピールすることは忘れなかった。

ケイコは私の親友よ。ケイコが一番好きなのは、私なのよ。




 涼子は、いつもケイコを見ていた。ケイコを見ていると、胸がキュンとした。

交換日記には、ケイコへの想いや感謝の言葉を連綿とつづった。もちろんクラスの愚痴も。

「今のクラス、しんどいねん。がんばって話しているけど・・・浮いてる気がする。」

「涼子、張り切りすぎるから・・・自然にしていた方がいいよ。」

「ケイコ・・・私っておせっかい?そんなに暑苦しい?・・・・いわれてしもた。」

「涼子、かわいそう。いいやん、それならうちのクラスにおいで、みんないいこやから。」

そんな返事を読むと、喜びで涙がでそうだった。わたしの味方はケイコだけだ。

涼子は、幸せだった・・・。


 ところが、ケイコが日記を忘れることが多くなった。内容も短く、報告が中心になった。

涼子が指摘すると、「ごめん、忙しいから・・・。」ケイコはめんどくさそうに言った。

涼子はあわてて付け加えた。「ううん、いいの。解ってるから。ごめんね、嫌なことを言って。」



 しかし、それから何日か、日記が返ってこなかった。

しまった、言わなければ良かった・・。涼子は後悔した。

でも、気づかない振りをして、たびたびケイコのクラスへ遊びに行った。

もちろん、日記のことなど口には出さなかった。日記など止めるならそれでもいいと思った。




 ある日、ケイコのクラスのアキが言った。

「どうして、涼子はいつもここに来るの?自分のクラスで遊んだら良いやん。」

「えっ・・・それは・・・」

「ケイコとかって、クラスが離れたら、話があわへんこと多いやろ。そんなん、しんどいだけやん。」

他の子も言葉を続けた。

「時間の無駄やとおもうで。」「私らも気を遣うし。」「ケイコも迷惑やん。」




 涼子はケイコを見た。きっと、ケイコがこの状況から救ってくれる。

アキ達を諫めてくれる。すがるような思いでケイコを見た。

でも、ケイコはただ申し訳なさそうな顔で、涼子を見ているだけだった。口を開こうとはしなかった。




 「そうやったん・・・ごめんな、気がつかへんかったわ。そやな、解った・・・。」

涼子は、努めて平静を装い、そのクラスを後にした。どうやってクラスに戻ったかは覚えていない。

ただ、解ったことは、もう、ケイコのクラスには行けない。ケイコとも遊べないということだった。





 3日後、ケイコからメールがきた。「どない?クラスに友達できた?」

すでに5月の半ば。クラスの交友関係は固定されてしまっている。今更、涼子の入る場所はない。

涼子は返事を出さなかった。せめてものプライド。



今日も、涼子は本を読んでいる。図書室の片隅で。

本は私を裏切らないから・・・・本だけが、私の友達だから・・・。



ただ・・・・来年はきっとしくじらない。涼子は密かに心に誓った。

コンセプトショートストーリーズ  第5回  テーマ「嘘」


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    『剛と涼子』第2章  

      新しい門出に・・・。



あれから3日、剛から連絡が無い。

涼子は、半ば諦めていた。




元々、二人の関係がうまくいっていたわけではない。

そんな時、妊娠を告げられたのでは、大抵の男は逃げてしまうだろう。

あの時、あれほど喜んで見せてくれたのは、剛の最後の優しさからだったに違いない。

あの夜、別れ際に剛は言った、悪いようにはしないから、2,3日待っていてくれ。

準備が整ったら、こちらから連絡をするからと。



涼子は、素直に、待った。

今までの付き合いから、剛が連絡をするなといったら、待ってた方がいいのはわかっていた。

3日目の夜、剛からメールが入った。

明日、涼子の家に行く。できれば、涼子の両親に会いたいと。

剛は妊娠の事実を両親に告げるつもりなんだ。まぁ、それもいいかと涼子は思った。



翌日、剛が来た。驚くことに、剛の両親も一緒だった。

いぶかる、涼子の手を握り締めて、剛の母が言った。

「まぁ、なんて可愛い方なんでしょう。不安だったでしょ。、でも、もう大丈夫よ。」

剛に似て、暖かい手だった。上品で優しそうな人だった。




座敷には、涼子の両親と涼子。剛の両親と剛の6人が並ぶ。

何だかお見合いみたいだと、涼子はおかしかった。

ふすまの向こうでは、弟が、何事かと聞き耳を立てているのがわかった。

剛の父が、名刺を差し出した。そこには新潟の有名な酒造メーカーの名前が入っていた。

剛の出身が新潟であることは聞いていたが、あの銘酒を造る家だとは知らなかった。

剛は、緊張しているようだった。しかし、涼子の顔を見て、にっこりと笑ってくれた。

涼子の好きな、さわやかな笑顔であった。

「やっぱり、好き。剛さん、大好き。」涼子は心の中でつぶやいていた。



剛の父が、口火を切った。

「この度は、急な話ですが、なんとか、息子と涼子さんの結婚を認めていただきたい。」

これには涼子も涼子の両親もびっくりしてしまった。

それを、見て、剛の母が言葉を添えた。

「剛は、跡取り息子のくせに、家業を継ぐのを嫌がっていました。300年以上続いた家業を、私たちの

代で潰すことになるのかと、諦めていました。ところが、先日、急に帰ってまいりまして、涼子さんとの

結婚を許してもらえるなら、家業を継ぐと言い出したんです。」

続いて、剛が言った。

「モチロン、すぐにではありません。40までは、他の酒造メーカーで修行をして、その後です。」



あまりのことに言葉が出なかった涼子の父がようやく口を開いた。

「ありがたい話ですが、二人とも、まだ、学生の身。少し早すぎるのでは・・・」

すかさず剛が言った。

「もう、退学届けをだしました。父の知り合いの酒造メーカーに就職も決まりました。

男として、きちんと涼子さんを養わせていただきます。なに、家業を継ぐのであれば、

歴史学を学ぶ必要はありません。それに、今は学歴の時代でもありませんし。」



これには、さすがの涼子も開いた口がふさがらなかった。

その様子をみて、剛の母が微笑みながら言った。

「涼子ちゃんは、学校を続けてもいいのよ。まだ、19歳だもの、家に閉じ込めては可愛そうですもの

ね。モチロン、学費はこちらから出させていただきます。しばらくは休学して、落ち着いてから戻ったら

良いわ。」

剛の父が続けた。

「いや、剛にも、生活費や学費はこちらで見るから、とりあえず卒業するように説得したんだが、なかな

か頑固で、どうしてもやめるといって、勝手に退学届けをだしてきました。」

「そりゃそうですよ。そこまで甘えては男として情け無いと思いませんか。ね、お父さん」と剛は最後に

涼子の父に話を振って、にこやかに笑った。それを見て、剛の両親や涼子の父までも笑顔になった。

その時、涼子の母が重い口を開いた。

「まだ、涼子には女としてのたしなみや家事のやり方も教えてはいません、やはり、もう少し・・・。」

それをさえぎって、剛の母がつぶやいた。

「それでは、赤ちゃんが・・・。」

一同が静まり返った。特に涼子の両親は顔面蒼白になった。

恐る恐る涼子の母が聞いた。

「それは・・・どういうこと?」

すかさず、剛が土下座をした。

「すいません、涼子さんのおなかには僕の子どもがいます。今、2ヶ月ということです。」

重い空気がただよった。沈黙はどれくらい続いただろうか。

その沈黙を、涼子の母が破った。

「わかりました。数々のご配慮、ありがとうございます。涼子をよろしくお願いします。」

ほっとした空気が戻った。

それからはとんとん拍子に話が進み、二人は2ヵ月後に式を挙げることになった。

涼子は成り行きにまかせていた。どのような形であれ、剛と結婚できるならそれでうれしかった。






それから、一月があわただしく過ぎた。式の準備は着々と進んだ。

涼子も学校を辞めた。皆は止めたが、涼子は惜しいとは思わなかった。

剛と結婚できる。それだけで涼子には十分だった。

友人には、結婚するからとだけ伝えた。




そんなある日、恐れていたものがやってきた。月のものが始まったのである。

そのことが、母にばれた。いぶかしそうに尋ねる母の前で、涼子は泣き崩れてしまった。

全て、嘘だった。涼子は妊娠などしていなかったのだ。

しかし、あまりに早く話が進みすぎて、言い出す機会を逃してしまったのだと。

母は泣いた。馬鹿な子だとののしりながら泣いた。

涼子は剛が好きだからとそればかりを繰り返していた。

それを聞いて、母が決断した。「私に任せなさい。あなたを結婚させてあげるわ。」

父が出張中であったのは、幸いだった。弟も合宿でいなかった。二人だけの秘密にできる。

母は、剛に電話した。涼子が昨日、流産したと。急なことで連絡できなかったと。

剛が飛んできた。ベットに横たわる涼子の髪をなぜながら泣いていた。

「仕方が無いよ。子どもは、またできるよ。」





その後、二人の結婚式が賑々しく行われた。

もちろん、流産を理由に結婚をやめよとはだれも言わなかった。

誰もが晴れやかな笑顔の中で、金屏風の前に立つ、花嫁と花嫁の母だけは、心にしこりを抱えていた。

一生消えないしこりを抱えていた。


                              

                  * ひどい話になりました。
                    この後の二人が心配です。

                    どうぞ、感想をお聞かせください。
                    厳しい批判を覚悟しています。

               

コンセプト・ショートストーリーズ     第5弾  今回のお題は『嘘』

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        『剛と涼子』  第1章 新しい命


「ふざけんな! そんなヤツだとは思っていなかったよ!じゃぁね!!!」

昨夜の胡蝶の電話が頭の中を駆け巡る。

そうだよな。全く胡蝶の言うとおりだ、なんて情けないヤツなんだ、俺は・・・。




俺が涼子と付き合いだして半年が過ぎた。

涼子は良く気がつくいい子だ。そして、みんなが振り返るほどかわいい。

その涼子に告白されて、俺は有頂天になっていた。

しかし・・・・最近では、二人の関係も微妙になってきた。情の深い涼子は何かと俺を束縛する。

俺にはそれが耐えられなくなってきたのだ。



もうそろそろ、二人の関係を見直したほうが良いのではないか・・。

そう思っていた矢先、涼子がポツリとつぶやいたのだ。「ないのよね・・・。もう、二ヶ月も・・・。」

俺はぞっとした、心当たりは・・・・・ある。

ごめんねと繰り返す涼子に俺は言った。「まだ、分からないじゃないか。調べてこいよ。明日にでも。」

産婦人科には、俺もついていくといったのだが、それは涼子に断られた。

なんでも、生理不順でも、産婦人科に行くことはある。

それを、男の人といったら、いかにも妊娠していると思われてしまうというのだ。

そのとおりなのだから、周りにどう思われようと構わない。しかし、涼子は一人で行くと言い張った。



下宿に帰ってから、サークル仲間の胡蝶に電話した。こんなことを聞けるのは彼女しかいない。

胡蝶は、落ち着いて、五分五分ねと言った。どうも、乱れるのはよくあることらしい。

全く、女性の身体はよくわからない。

しかし、その後で、胡蝶は言った。

「もし妊娠だと分かったら、とにかく喜んであげてね。

でないと、彼女も赤ちゃんもかわいそうすぎるから。一番不安なのは彼女なのよ。」

確かにそうだ。妊娠と分かって逃げ出すようなオトコにはなりたくない。男らしく責任を取ろう。

俺はそう決心した。


しかし、その後で、俺はつい甘えが出てしまった。

「最近、ギクシャクして、そろそろ別れようと思っていたんだ。別れ損なっちゃった。

こんなことなら、お前と付き合っておけばよかったよ。」

その結果、烈火のごとく胡蝶を怒らせてしまったのだ。

今考えると、どうしてあんなことを言ったのか分からない。胡蝶が怒るのも当然だと思う。


カラン コロン  喫茶「南風」に来客を知らせる鐘が鳴る。

入ってきたのは涼子だった。心なしか顔が青ざめて見える。

可愛そうに、きっとここまでの道を暗い気持ちで歩いて来たに違いない。

彼女を苦しめたのは 間違いなく自分だ。そうだ、一人の女の子の幸せくらい守れなくてどうする。

俺は心を決めた。


「どうだった?」

俺の前に座る涼子に、優しく声をかけた。できる限りの平静さを装って・・・。

「うん、2ヶ月だって・・・。ごめんなさい。私・・・。」

消え入りそうな声で涼子が答える。でも、俺はわかっていたんだ、涼子の顔を見た瞬間から。

「そうか、やったな!!俺たちの愛の結晶か・・。すごいよ!おめでとう!!」

俺は、大げさなくらい喜んで見せた。涼子の顔がいぶかしそうにこちらを見ている。

「そうか、新しい命の誕生だもんな。すごいよ。すごい。すごいことだよ。」

俺は、なおも喜んで見せた。こうしなければ、かわいそう過ぎる。涼子も赤ちゃんも。




「で、どうする?そりゃぁ、生みたいよな。あたりまえだよな。

 新しい命だもん。俺と涼子の愛の結晶だもんな。わかった、後のことは心配するな。

 俺に任せておけって。とりあえず、今日はお祝いだ。なぁ、何が食べたい?」

すると、涼子が噴出して笑った。ちょっと、俺ははしゃぎすぎたようだ。

「よかった、涼子が笑ってくれて・・・。」

「だって、剛さんたら・・・。」

「ごめん、でも、うれしかったから・・・・。」

「本当?でも、私たち未だ学生よ。これから、どうするの?」

「どうするかは、また、明日相談しようよ。絶対に涼子を泣かすようなことはしないから。

 とりあえず、今日はお祝いしようぜ。二人だけで。新しい命のために。」

「うれしい・・・・。だって、きっと剛さんは困ると思っていたから・・・・。

 ありがとう・・・・喜んでくれて、ありがとう・・・。」

とうとう、涼子は泣き出してしまった。きっと辛かったんだろう。かわいそうに・・・。

俺は、涼子の細い肩を、優しく抱いた。俺の腕の中で、その小さな肩はいつまでも震えていた。

俺は、改めて涼子のことを愛しいと思った。



そうだ、後のことは、後でじっくり考えよう。男としてとるべき責任ぐらい自覚している。

今は、この小さな肩と小さな命を守ることに全力を傾けよう。

それが、男としての俺のとるべき生き方だ。

俺は、自分を納得させるように、力強く頷いた。




しかし・・・・・・・俺は・・・・偽善者だ・・・・。

俺は・・・・この事態に恐れ慄いている。

おのれの所業を悔いている。どうして、もう少し自制できなかったんだろう。

俺の未来は・・・俺の夢は・・・・こいつのために、壊されてしまうのか・・・・。

絶対に知られてはならない、情けない自分がそこにはいた。

しかし・・・。



新しい命を祝う・・・・喜んでみせる・・・・。

確かに嘘かもしれない。

でも、これは、自分の責任を全うし、相手を思いやるやさしい嘘だ。

このことは、一生きづかれないように、心の奥に封印しよう。

俺は、密かに決意していた。



                 「剛と涼子」パート1はここまでです。
                  このお話は、パート2に続きますが、
                  その公開は、もう少しお待ちください。

                                    ゆめ

コンセプトショートストーリーズ 第4回  テーマ「ホワイトデー」

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          『私のホワイトデー』 vol.2



カランコロン・・・喫茶「南風」に来客を知らせる鐘がなった。

「ごめん、待った?」入ってきたその男は、雨に濡れた体を拭きながら言った。

「ううん、全然。私も今来たところ。」

待っていた女は、満面の笑顔でそう答える。

嘘だ、彼女が30分以上待っていたのを私は知っている。

私は、フラッシュバックを見るような思いで彼らを見つめていた。

そう、数年前の今日、私、橘 華絵も同じように彼を待っていた。

私の夫となる、橘 総一郎を。




それから、半年後、二人は結婚し、私は橘 華絵になった。

    

彼を知れば知るほど、彼は素敵な人物である。

育ちのよさが、そこかしこに表れ、誠実で上品である。

私のことを、とても大切にしてくれる。私は幸せである。

これで不満を言ったら罰が当たる。心底私はそう思っていた。





しかし、結婚して5年。私の心は揺れている。

心の中に、理性では計り知れない黒い何かが蠢くのだ。

彼は、変わらず愛してくれている。とても大切にしてくれている。

私も、彼のことを愛している。でも・・・・物足りないのである。




私も、もうすぐ30才になろうとしている。子どもは未だいない。

2DKの社宅は狭く、すぐに掃除が終わってしまう。

彼は、朝食は食べない。昼は外食である。そして、帰りはいつも午前様。

夕食すら食べないことが多い。

私はここで、何をしているの?何のために、ここにいるの?

何の役にも立っていない。これでは彼のペットとしての存在しかないのではないか。

いつもいつも、彼の帰りを待ちわびる。そして、いつしか年老いていく。

私の人生って、一体何?



こんなことが言える立場ではないことは十分に分かっている。

私は、気持ちを伝えることも、抑えることもできないでいた。

元気をなくしていく私を気遣って、彼はさらに優しくしてくれた。

でも、私の気持ちが晴れることは無かった。




そして、今年のお正月。彼の実家からの帰り、意を決して私は言った。

「私の人生って、一体何?

 あなたは、確かに私をとても可愛がってくれる。大切にしてくれるわ。

 それには、とても感謝しているの。

 でも、それだけじゃイヤなのよ!

 可愛がられるだけじゃ、イヤ・・・・。

 私は、あなたのペットじゃないわ!

 私は・・・私自身で輝いていたいのよ・・・・・。」



理解されるとは思わなかった。でも、理解されなければ、このまま別れてもいいとさえ思った。

彼は車を止め、じっと私の話を聞いてくれた。

話しながら私はボロボロ泣いていた。

彼の実家で気を遣っていた疲れから、一種のヒステリー状態になっていたのかもしれない。

彼は優しく私の手を握っていてくれた。



ひとしきり話し終えると、私は何だかほっとした。一気におなかがすいてきた。

彼は笑って、ドライブインまで車を進め、珈琲と大判焼きを買ってきてくれた。

涙でぐしゃぐしゃになった私の顔は、とても人前に出られるものではなかったから。

彼が買ってきてくれた珈琲は温かく、心のそこから私を温めてくれているような気がした。

そして、大判焼き。どうして大判焼き?たこ焼きのほうがすきなのに。すると彼が言った。

「心が疲れているときは、甘いものがいいんだよ。甘いものは心を優しくしてくれるから。」

彼の持論である。確かに、私の心は見る見る元気を取り戻していった。




「ごめんね、変なこといって。忘れてね。私、幸せなんだから。」

その言葉に、彼は返事をしなかった。そして、珍しく軽い調子で聞いてきた。

「ねぇ、君のゆめって何だったの?何かやりたかったこととか?」

「そうねぇ、人の役に立ちたかったかな。それも、世界レベルで。そう、青年海外協力隊の隊員!」

私も、軽い調子で答えた。それは、とうの昔に諦めた夢である。今更できるはずもない。



実は大学を出る年に、就職せずに青年海外協力隊に入ろうかとも考えたが、実家で一蹴されてしまった。

「そんなことをして婚期を逃したらどうするの。普通が一番よ。」

何が何でも結婚させる。普通が一番。これは実家のポリシーである。

私は中学校の頃から、結婚することを第一目的に育てられてきたような気がする。

何か変わったことをしようとすると、人様が何と思うか・・。結婚の妨げになるから・・・。

何度聞かされたかわかりゃしない。まぁ、お陰で彼と結婚できたのだけれど・・・。


そうこうするうちに、家に着き、話はそこで打ち切りになった。

私は、その後も、変わらずに平和な時間を過ごしていた。

夫の愛に支えられて・・・・。



今日はホワイトデー。私は思い出の「南風」で、夫、橘 総一郎を待っている。

久しぶりのデートである。私は期待で胸が高鳴るのを抑えられなかった。



外は、雨が降り出している。あの時と同じだ。

先ほどのカップルは、頭をくっつけるようにして話し込んでいる。

あの頃の私たちも、あのように楽しそうに話しこんでいたのだろうか。

外は雨。私は窓にかかる雨粒を、じっと見ていた。



どのくらい時間が経っただろうか。几帳面な彼が遅れるなんて、珍しい。

きっと、仕事を切り上げることができなかったのだろう。

「ふん、仕事の鬼め・・」私は密かに毒づいてみた。

その時、カランコロン・・・喫茶「南風」に来客を知らせる鐘がなった。

「ごめん、待った?」入ってきた夫は、雨に濡れた体を拭きながら言った。

「待った、待った。さびしくて死んじゃうところだった。」

私は、おどけて怒って見せた。でも、顔がほころんでしまうのを隠すことはできなかった。




今日はホワイトデー。外に呼び出すからには、きっとスペシャルなプレゼントがあるに違いない。

バック?アクセサリー?それとも旅行?

私は、ドキドキしながら、そのときを待った。

珈琲を一口飲んで、おもむろに彼は大きな封筒を鞄からだした。

かなり、分厚い。中に入っているのは、まるで何かのパンフレットのようだ。

「何?これ?」

「あけてごらん、君へのプレゼントだよ。」

いぶかりながらも、封筒を開けてみた。すると中にもいくつかの封筒が・・・・。

「集めるの、思ったより大変だったんだ。だから、遅れちゃって・・・。」

中から出てきたものは、英会話教室や通信制の大学、そして青年海外協力隊の募集要項だった。





「これ、どういうこと?」

「君に夢をかなえてもらいたいと思って・・・。そのための資料さ。」

「夢って?」

「青年海外協力隊!だけど、そのためには語学力も専門の知識も要るだろう?だから・・・。」

私は、あきれてものが言えなかった。夢を実現するためには、これから何年もかかるだろう。

しかも、海外に行ってしまったら、彼とは離れ離れになってしまう。

大体、奥さんの単身赴任だなんて、聞いたことが無い。

「無茶よ。大体、お母様が何とおっしゃるか。」

長岡京に住む、彼の母親がこんなこと納得するわけが無い。




「君の主人は誰?僕?それとも母?」

「そりゃ、あなただけど・・・。」

「だったら、問題ないじゃないか。それとも、やり遂げる自信が無いのかい?」

「・・・・・・」

「ねぇ、僕は、君に人生を諦めてほしくないんだ。それが僕のためだなんて、絶対にイヤなんだ。」

「でも・・・。」

「僕は、自分の人生を精一杯生きようとする君の姿を見たい。輝いている君を見たいんだよ。

 そのためなら、若い頃の何年かぐらい、離れていたって良いじゃないか。僕は待っているからさ。」




私は、胸が熱くなるのを感じた。彼は私に、チャレンジするチャンスをくれようとしている。

それが叶った暁には、何年か離れ離れになるのを承知の上で。

また、そのための教育費がかかることも承知の上で、私に夢を叶えさそうとしているのだ。

それほどまでに、彼は私のことを大切にし、一生懸命考えてくれている。

その彼に対して、私は何とワガママで身勝手だったのだろう。

「ありがとう。でも、ごめん、少し考えさせて。」

「わかった。でも、前向きにね。勉強を始めるだけでも楽しいと思うよ。」

「うん・・・。本当にありがとう。」





外の雨はいつの間にかやんでいた。

前にいたカップルもいつの間にかいなくなり、店の客は私たちだけになっていた。

「帰ろうか、明日の仕事もあるし・・・。」彼が促すようにいった。

「そうね。」私たちは、思い出の店を後にした。二人の家に帰るために。




                *いかがでしたか?今回は2部構成になってしまいました。
                 どうぞ、また、忌憚の無いご意見をお聞かせください。                       

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