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“きれいなものには毒がある?”
ホタルイカはよく知られているが、ホタルエビというのをご存知だろうか。ホタルイカと同じように青白く光るきれいなエビである。体長は4センチくらいで正式名は「ヌカエビ」という。
この俗称ホタルエビは、実は絶滅種だったのだ。
1900年はじめの大正時代に長野県の諏訪湖や千葉県の水郷で発見され、1934年には千葉県佐原市でも発見された。きれいなので国の天然記念物に指定されたが、その後なぜか見かけなくなり、絶滅したものと思われていた。
それが1994年に忽然と琵琶湖に現われた。
早速ペット業者が観賞用に商品化することを考えたが、残念ながらそれは実現しなかった。飼うのは危険であることがわかったからである。
なぜホタルエビが蛍光を発するのか、国立衛生研究所が調べてみると、光る原因はコレラ菌の仲間の仕業だったのだ。
ビブリオ・コレラO2というコレラ菌の仲間にホタルエビが感染し蛍光を発していたのだ。
だからホタルエビはきれいだったが、病気のせいで元気がなく、捕まえると数時間で死んでしまったという。昔はなぜ光るのかわからずに「縁起がよさそうだ」などと食べてしまった人もいたことだろう。
幸いこの菌にはコレラ菌ほどの強い毒性はないらしいが、それでも生で食べていれば、お腹をこす恐れはある。昔から「きれいなものには毒がある」といわれているが、ホタルエビもまさにこの言葉通りのものだったわけだ。
きれいな装いの動物や植物が危険だということは良くあることだ。たとえば、キノコでも色彩豊かなものほど毒キノコである確立が高い。ベニテングタケは赤と白の鮮やかなツートンカラーで魅了させてくれるが、食べると幻覚や嘔吐の中毒症状が出る。
きれいなものが危険なのは、生物がすべて自己の増殖と繁栄を目指すからである。
この点は人間の世界で行われていることも、その延長線上にあるといえる。
女性がお化粧や着飾ることを「だまし」と受け取る向きもあるが、自然界はこの種のだまし合いの世界だから、人間の女性だけを非難することはできない。
表面的な美しさにだまされるほうも・・のである。
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