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≪ミラクルフルーツのような・・・≫
『味が無い食べ物などこの世には存在しない』。われわれはそう思いがちだが、うまいかまずいかは別にして、とにかく食べ物には味がある。もし味を感じなければ、こちらの舌がおかしいと思うに違いない。
ところが世の中は広い、見た目はおいしそうに見えながら、食べてみると、全く味がしない果物がある。それは、健康食品やダイエット食品として人気があるという『ミラクルフルーツ』である。
全く味がない食べ物など、食べてもつまらないと思うかもしれないが、このフルーツには立派な存在価値が備わっているのだ。
ミラクルフルーツは西アフリカ原産で、オリーブ大の赤い実をつける。見た目は思わず食べたくなるほどおいしそうに見える。だが、ほとんど味がしない。初めて食べたアフリカの人もがっかりしたに違いない。
だが、彼らはそこであきらめなかった。このフルーツ自体は無味ながら、他に効用をみつけたのだ。ミラクルフルーツは不思議なことに、この実を食べた後に酸っぱいものを食べると、酸っぱさが消えて甘く感じるのだ。まさにミラクルである。
アフリカでは、酸っぱいヤシ酒を飲んだり、発酵したパンを食べたりする前に、ミラクルフルーツを食べる。そうするとおいしく食べられるのだ。
酸っぱいものを甘く感じさせるのは、赤い実の中に含まれるミラリンというタンパク質が酸味と反応することで、脳に『甘い』という信号を送るためらしい。
砂糖がなくても甘さを感じられたなら、現代人にとってはありがたい。砂糖の摂取が身体に悪い方でも甘い味覚に弱く、摂りたい気持ちが強い。
この二律背反の欲望を満足させてくれる魅力的な果物がミラクルフルーツなのだ。
味覚というのは脳が感じることだから、結構ごまかしができるものなのだ。
ミラクルフルーツが酸味と出会って奇跡を起したように、私には、いつ・・・!
※ ミラクルフルーツ→西アフリカ原産。クルクリゴやギムネマ、ストロジンなどと同様、世界に数種類ある味覚修飾植物の一つである。
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