163kmにプロ驚嘆でも 佐々木朗希に「大船渡高」ゆえの不安公開日:2019/04/09 06:00 更新日:2019/04/09 06:00
去る6日、U18日本代表合宿の紅白戦で、163キロを投げた佐々木朗希(大船渡・岩手)がスポーツマスコミを賑わせている。
全国から集めた選りすぐりの高校生相手に2回を投げて6者連続三振。計25球中、ストレートの14球はすべて150キロ超え、うち3球が160キロを超えた。辛うじてバットに当たったファウルは2回。打球がフェアグラウンドに飛ばなかったのだから、ネット裏の日米12球団44人のスカウトが仰天したのは無理もなかった。「松坂だってマー君だって(打球は)前に飛んだ」と舌を巻いたのは巨人の長谷川スカウト部長だ。 佐々木が飛び抜けた素質をもった投手なのは間違いないが、そんな163キロ右腕をもってしても甲子園には届かない。大船渡は先のセンバツの出場校を決める際の参考資料となる昨秋の秋季岩手県大会準決勝で盛岡大付に5―7で敗退。172キロのマシンを実際のマウンドより6メートル手前に置いて目を慣らす特訓の前に4長打を含む10安打7失点と打ち込まれた。昨夏の岩手県大会は3回戦で敗退している。 ■スタミナや体力
大船渡は1984年のセンバツで4強入り、「大船渡旋風」を巻き起こし、夏も甲子園に出場したものの、甲子園に駒を進めたのはこの年の2回だけ。最近の岩手は花巻東、盛岡大付の2校がしのぎを削っていて、大船渡はいわゆる「地方のフツーの県立校」だ。
「だからこそ佐々木には不安もある」と、セ・リーグのベテランスカウトがこう続ける。 「地方の公立でも松山商や熊本工、甲子園に春夏合わせて9回出ている金足農などの伝統校はともかく、大船渡はOBや周囲や学校から甲子園に出ることを義務付けられてはいない。選手はつまり、甲子園常連の私学や伝統ある公立校ほど追い込んだ練習をしているわけではないのです。だからプロの練習に耐えられる体ではないかもしれないし、スタミナも不足している可能性がある。 佐々木が今後、170キロの剛速球を投げたとしても、試合終盤や連戦になれば球威は落ちるし、日頃からみっちり鍛えられている野球学校の打線にはつかまるでしょう。まして佐々木はプロ球団が絶賛する選手。甲子園に出て勝つことを求められている私学の請負監督なら多少の無理遣いもするでしょうけど、大船渡の国保監督は筑波大出身の教諭です。佐々木を酷使して壊すことだけは避けたいはずですから」
野球学校出身の選手には、高校時代の酷使がたたってプロ入り時にはすでに肩肘がボロボロだったなんてケースも少なからずある。佐々木にその心配はなさそうだが、プロでやっていくだけの基礎体力やスタミナが不足している不安はぬぐえないというのだ。 ■精神面にタフでも挫折 「精神面の不安もあります」と言うのはパ・リーグのスカウト。 「野球学校はエース争いひとつとっても熾烈。実力以外の部分、例えば足の引っ張り合いなども含めて、そこには過酷な競争が存在するし、それを勝ち抜いて初めてエースナンバーを背負える。プロはそんなエリートばかりの集団、まさに生き馬の目を抜く世界です。野球学校の生存競争を勝ち抜いた精神的にタフな選手ですら、挫折を経験する。そんなプロの世界で、甲子園に出たことすらないフツーの公立校出身の選手が果たして過酷な競争を勝ち抜けるのか、精神的にめげてしまうのではないかという不安はあります」
近年、公立の伝統校や私学の甲子園常連校以外の高卒選手が、ほとんどプロで大成していないのは、それなりの理由がありそうなのだ。
U18日本代表1次候補は7日、奈良県などで行われた3日間の合宿を打ち上げ。佐々木はキャッチボールなど軽めの調整で、「いい刺激をもらえました。世界一になるには相当な覚悟がいると分かった。今回の合宿を糧にして頑張りたい」と話した。
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