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◆ 障害児急増の関連解明を(環境省の疫学調査) ◆ 2007/08/07 神奈川新聞社の社説
環境省は来年度から、環境中の有害化学物質が発育に及ぼす影響を、胎児の段階から長期に追跡する十万人規模の疫学調査を行う。
近年、子どもの発育に「異変」が指摘され、発達障害などの発症は環境的要因との見方が強まったが、厳密な疫学調査での根拠がないため、医療関係者の警告は推論の域を出なかった。
異変の実態に、国はようやく重い腰を上げた。
緊急性が高い調査であり、化学物質との一定の相関性が認められれば、原因とみられる物質を排除するための速やかな対策を講じてほしい。
調査は、発達障害などの脳神経系の機能障害、ぜんそくやアトピーなどの免疫系について化学物質の影響を見るものだ。
有害化学物質として例示したのは、ダイオキシンや水銀、鉛など五物質。
妊婦健診などで母親の血液や臍帯(さいたい)血で濃度を調べ、その後も毎年、子どもの血液などから濃度を測り、発症との関連を五年ごとに取りまとめるというものだ。
ヒトの脳は血液脳関門に守られ、大人は血中に有害物質が入ってもすぐに脳に入らない。
しかし、胎児、乳児は関門が非常に薄く、ごく微量の環境ホルモン(内分泌かく乱物質)や重金属が体内に入ると、自閉症やADHD(注意欠陥多動性障害)などを引き起こす可能性は否定できないとの指摘がある。
ラットなどの動物実験では、有害物質の投与で多動などの発達障害の特徴をなす行動が見られる報告もある。
この十年来、日本では学校での障害児の増加が著しい。
神奈川県の場合、養護学校の在籍児数は毎年二校分に匹敵する二百〜三百人ずつ増えている。
小中学校の特殊学級はさらにハイペースで、学級在籍児は十年前に比べ二倍近く増加している。
多くが自閉症、学習障害、多動性、衝動性など発達障害の特徴を示す子どもたちだ。
障害の概念変化、医学の進歩でこれまで埋もれていた障害児が顕在化しただけの見かけの現象との見方もあったが、障害児の急増現象の前では、見かけだけで説明しづらくなった。
環境省は「現段階では原因ははっきりしないが、疫学調査で有害物質が自閉症などの発症に関係しているかどうか、はっきりさせたい」(環境リスク調査室)と話す。
米国で一足早く今年から十万人規模の調査が始まったが、日本も後れを取らぬよう本腰を入れようとしている。
調査は、経年の変化をたどったデータ集積が必要とされる。胎児段階では保護者の同意で調査できるが、その後の追跡調査は乳幼児の意思確認が難しく、十分な調査ができるのか懐疑的な声がある。
こうした難題をクリアして調査を進めてもらいたい。
将来に生まれてくる子どもの障害を避けるために不可欠な調査であり、社会的コンセンサスも得られよう。
◆ 障害児の急増 ◆ 2006/08/23 「財政難」では済まされぬ
学校や療育施設などでの障害児の増加が全国的傾向にある。県内での急増ぶりは特に顕著で、ニーズに見合う施設整備のめどが立たず、人材養成も後手に回る状況が続いている。教育、福祉、医療などの関係機関が連携して、障害児の急増現象に即応できる抜本策を講じることが急務である。
養護学校の場合、県教委設置の検討協議会が今年三月、急増に対応して今後十年間に十一校の新設が必要と提言した。県内の養護学校の在籍数の増加率は全国トップ。年間二百人のペースで増え続け、〇五年度には十年前の三割増となる約五千二百人に達した。
養護学校一校の適正収容規模は百三十人とされてきた。増加ペースに対応して毎年一・五校ずつ新設しなければ、既存校の過密化が加速するのは必至である。しかし、県教委は「用地確保が難題」として、新設の見通しが立ったのは相模原市内に予定する一校にとどまっている。
県内の公立小・中学校に開設された特殊学級(略称・特学)も増加の一途。〇五年度は十年前の二倍近い六千八百人余りが在籍し、専門性の高い教員の養成が追いつかず、障害特性に応じた指導のあり方が大きな課題になっている。
普通学級に在籍する発達障害などの子どもは小中学校などに併設された通級指導教室で専門的指導を受けている。横浜市では、同教室に通う子どもは年々増え、十年前の約二倍の千二百人余になった。各教室の過大規模化が進み、今や大半の教室が適正規模の約二倍の子どもを受け入れている。その結果、その子に応じた十分な指導時間を確保できなくなっている。
学齢期前の障害児の受け皿になる療育施設も不足している。横浜市の地域療育センター(計六カ所)の四月現在の初診待機期間は、センターによって一カ月から半年近くかかっている。診断された後に受け入れる併設の通園施設は、どのセンターも満杯の状態。市北部の青葉区に来春、新設のセンターがオープンするが、受け皿不足を解消するまでには程遠い。
増えている障害児は自閉、多動性の強い子どもたち。県内では六、七年前から、従来の出現率では予測がつかない現象が顕著になってきた。子どもの“異変”を背景とした絶対数の増加なのか、医学の進歩を背景に障害児が顕在化したのか、専門家の間でも推測の域を出ない。しかし、原因がはっきりしないからといって、有効策を打ち出せないことの理由にはならない。少なくともこの数年、乳幼児健診などのあらゆるデータを基にすれば障害児がなおも増加することが予測できたからである。
障害児の急増対策は緊急度が高い。関係行政機関は、従来の対策の延長線上では解決できない、との認識を持ってほしい。「財政難」という言い訳は聞き飽きた。
神奈川新聞社の社説
有害物質が起因している…でも日本は、規制が、甘いんですよね!
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