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弥生美術館で伊藤彦造センセに堕ちた。
ペン一本で描き上げる大和魂。
といっても、けして武骨ではない。
彦造先生の描く日本男児は、妖しく美しい。
そう、まるで大好きな宝塚スターのように。
とにかく、美形なのだ。
敵への怨念ギラギラの瞳には、少女漫画のように星がきらめいている。
鍛え上げられた武士の腕や脛は、すっとして白く艶かしい。
大衆剣豪小説いわゆるチャンバラ小説の挿絵のはずなのに、少女雑誌のイラスト画のようにやわらかくやさしい。
なるほど、先生は一時期、少女雑誌にも描いていらしたらしい。
そんな妖艶な絵を描く伊藤彦造先生。
剣豪である伊藤一刀斉の末裔で自らも剣を振っていたそうだ。
お写真を拝見すると、醤油顔の穏やかそうなお育ちの良さそうな。
ステキな方だ。
しかも、百才まで人生を謳歌したなんて、あこがれの理想の人生だ。
こんな魅力的な挿絵師がいらしたなんて。
ご本人曰く、画人ではなく武人であったらしい。
わたし的には、画壇の王子様だ。
たくさんの妖艶な武人たちが、展示室を彩る。
往年の宝塚スターである、春日野八千代さんや葦原邦子さんによく似た侍がいる。
レトロでノスタルジックな美術館によくあっている。
弥生美術館に入るとすぐに耳にやさしく入ってくる、BGMとよくとけあっている。
東京大学があり、弥生土器がみつかった土地に馴染んだ、あのメロディーにのって、伊藤彦造先生の描いた美形たちが、活動写真のように動いてみえる。
耳の奥で、フィルムのまわる音が聞こえたのは、気のせいか。
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