こらぼれ〜しょん

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ミネさんの表現の豊かさにタジタジです〜!

続きを頑張って書きます!




ミネルヴァ【No.11】



プルルルルゥ。プルルルルゥ。プル・・・・・・・・・・ゥ

サクラは、電話の音に「ハッ」と我に返った。


(今日は長い一日だったわ)

朝から南風の吹く暖かな日差しだったので、ヒロシとよく行った思い出の海岸へ久しぶりに行ってみた。

そこには、昔そのままの風景が残っていた。遠くに見える山並み、汐の匂い、白波を立てながら走るポンポン船、釣をしている家族連れなどを見ているとなんだかセンチになって・・・・、

そうこうした思い出を夕焼けの中に見ながら家路を急いでいたので回りが見えなかったのだろうか、もう少しで車にはねられそうになった。、

その時、あさ自転車で転んだ男の子に助けられた。ビックリしたのと、抱きかかえられて助けられたこととで、なおいっそうヒロシの事が胸一杯に広がった・・・・・・。

夕食に何か食べなきゃあと思ってスーパーに寄ったが、食欲もなく、迷ったあげくあまり飲めないお酒と、スモークチーズを買って帰った。

暗い部屋に灯をともすと、やはり我家・・・・少しは落ちついた。

CDのスイッチを入れ、グラスにジンとライムを入れて氷を浮かせて一口飲むと、喉からおなかにかけてジンライムの温かさが通るのが心地よく感じる。グラスを見つめ、しばらくすると緊張もほぐれてきた。

JBLのスピーカーからは

手の平から虹のようにこぼれてしまった大切な時間、

思い出そうと思っても、どうしても思い出せないの

貴方がそこにいる事は解っているのに、なぜか思い出せないの

汐風が頬をなでる浜に立ち、夕日を眺めていると何時も眼に涙があふれてくるは何故

好き・・・・・・

と、囁くように語りかけてくる

バックに流れるピアノも透明な旋律を奏でている

そういった雰囲気のもとで、あまり飲めないお酒を無理して飲んだものだから、すぐに頭がボーッとしてきた。肩の辺りから身体の力が抜けていき、お酒の酔いにサクラは身をまかせた。

(どうしているんだろうなーっ、今頃ヒロシは)

事故のあと意識が戻ったという事は知らされたものの、ヒロシに会わせてもらえなかった。いくら頼んでもヒロシに会わせてもらえなかった。

病院の中を痛む身体でくまなく探しても、ヒロシを見つける事はできなかった。看護師さんに尋ねても、知らないという返事しか帰って来なかった。。

会えないと解るとますますヒロシを思う気持で心が占領されてしまい、出口の見えない暗闇の中で毎日、毎日泣いていた。そういった憂鬱な日々が続いた

沈んだ気持のまま退院する日が迫った頃、友達から「ヒロシくんっち、引っ越ししたんだって」と、突然聞かされた。

聞いた瞬間、ヒロシの事が少しでもわかった嬉しさと、もう逢えないのではないかという複雑な気持が脳裏をかすめた。

サクラは聞いた「エッ、わたし事故の後ヒロシと一度も会っていないんで、そんな事ゼンゼン知らなかった。」「それ、本当の話!!!」

友達は少し困った顔をして「サクラ知らないの、言っちゃいけない事だったのかなぁ??・・」

サクラ「何があったの、教えて!! お願い」

友達は、困ったようにうつむいていたが、心配そうに答えた「なんでもお父さんが転勤で、急に引っ越したらしいよ」「それ以外は知らないけれどね」

サクラは動揺した。(なぜなの。なぜ、わたしに黙って行ってしまったの)(一言ぐらい言ってくれてもいいじぁないの)

二人は沈黙したまま長い時が流れた・・・・

サクラの悲しい心が天に届いたかのように、急に外が暗くなりポツリ、ポツリと窓ガラスにあたった雨粒が大きな水滴となり、一筋二筋と流れ落ちるをサクラはジット見つめていた・・・・。




ボンヤリした頭で夜空を眺めると流れ星が一筋尾を引いて落ちてきた。

グラスの氷が溶けて『カチリ』と部屋に響いた

『愛しい人がなんの前触れもなしに居なくなる事は、心が張り裂けるほど辛いもの。運命の神は冷酷なものだから、理由を知るともっと辛くなる。それでもお前は会いたいというのか、知らない方が幸せと言うこともあるぞ』

思考能力が弱まった頭に飛び込んできた低く優しい声。その声のする方を見ると、黒猫が窓枠で背中を丸くして、左が金色、右が銀色の眼がサクラの心を見透かすかのように、こちらを見ていた。

サクラと眼が合うとノソリと起き上がり闇の中へ吸い込まれていった。

プルルルルゥ。プルルルルゥ。プル・・・・・・・・・・ゥ

さっきから電話がしきりになっている。

サクラは大儀そうに電話の受話器を耳にあてがった。

受話器からはキリンの甲高い声が聞こえてきた。『どうしたの、早く出てよ。身体でも悪いの』『今日カフェで私とぶつかった男性怒ってなかった』

サクラ『大丈夫、明日お店に来るそうよ』

キリン『ソウ、有り難う。サクラ、明日は店に出てくるんでしょ。頼むよ』ガチャン

キリンは自分の用件だけ喋って一方的に電話を切った。

サクラは『フゥ〜〜ッ』とため息をつき、窓から外を眺めた。

空には零れ落ちるほどの星が輝き、家々の窓からオレンジ色の灯がもれているのが見えた。

(この星空見ているのかなぁ・・・・)



Mami【No.12】


サクラは、どうしても理由が知りたかった。


ヒロシは、なぜ自分に黙ってどこかへ行ってしまったんだろう?


あんなにいっぱい話したのに・・


あんなにいっぱい一緒にいたのに・・



『愛しい人がなんの前触れもなしに居なくなる事は、心が張り裂けるほど辛いもの。運命の神は冷酷なものだから、理由を知るともっと辛くなる。それでもお前は会いたいというのか、知らない方が幸せと言うこともあるぞ』


また・・そんな声が聞こえてきた。


でも、サクラはそこのところが引っかかっていて、次の恋をする気にもならなかったのだ。



もういいや・・


ヒロシがどこかで幸せに暮らしてるなら、私はそれでいいんだから。



そう思いなおして、空を見上げた。


そこには、澄んだ空気と共にすくい上げたいほどの星の輝きが瞬いていた。



明日、あの男の人来るって言ってたな。


あの人・・どこかで会ったことがあるような・・?


サクラは、首を振って、


「今日は、早く寝ようっと」と言いながら、ふかふかに干したお日様の匂いのする布団に包まった。




ジリリリ〜!目覚ましがシンとした空気の中に響き渡った。



「え〜っ・・もう朝!?」

「ん〜っ・・・ねむい・・・」



・・・


「あ〜っ!大変!こんな時間じゃないの!?キリンに怒られちゃう!」



そう言って、トーストとミルクを急いで食べながら、サクラは大急ぎで支度をして出かけた。



チャリにまたいで、お店に行く時間が好きだった。




「あの・・すみません。」と後ろから声がした。
南風の吹く晴れた日曜日には外に出よう 


ミネルヴァ【No.7】



サクラ「でも・・ヒロシ・・・・ヒロシは何所・・・」

サクラは自分の身体が痛むよりヒロシのことが心配だった。

「看護師さん、ヒロシは・・」頭の中で、事故のこと、ヒロシのことなどがもつれた糸のように絡まり上手く整理できないので、思うように思いを伝えることが出来なかった・・・「ヒロシは・・・」と、くり返すばかりである。

そばで手を握っていた母親も「サクラ心配ないから、少し寝なさい」「ヒロシさんの所へはサクラがもう少し良くなったら連れて行ってあげるから。ネ、少し寝なさい」

母親に手を握られている安心感と、注射のせいで寝息を立て始めた。

母親 「お医者さんが言うのに、サクラは心配ないそうだけれど、ヒロシさんが思わしくないって言って いたわ」 「貴方、これからどうしたら良いの・・・」

父親 「・・・・・」

「キャーーッ、ヒロシ・・・」

母親 「サクラ、大丈夫よ・・・」

事故当時がフラッシュバックしたのだろう・・夜中に幾度となくうわ言を言っていた。その都度母親は、サクラの手を握り落ちつかせるのだった。

父親 「事故の瞬間が蘇るのだろな、よっぽっど怖かったのだろ・・」



事故は、起こした瞬間は気が動転しているのであまり痛みを感じない。痛みは治療をすませて気分が落ちついた頃に激しい痛みが襲ってくる。

「ウ〜・・・・ン。イタイヨー」身体を襲ってくる激しい痛みに眼が覚めた・・・。

薬が切れると身体全身に痛みが襲ってくる。痛みに耐えている時間ほど長く感じることはない。まして、夜はなおさら長く感じるものである。

常夜灯が一つ灯っているだけの薄暗い病室で痛みと闘っている時も、ヒロシのことが心配でたまらなかった、「ヒロシ大丈夫なの・・」うわごとのように幾度となくつぶやいていた。

そうこうしているうちに東の空が白み、やがてブラインドの隙間から朝日が射し込み始めた。

さっき飲んだ薬が効いてきたのか、頭の中は白い霧で満たされ痛みも薄らいでいる。

そういった状態であっても事故の光景が突然襲って、恐怖に身体を震わせるのであった。そのたびにヒロシのことが心配で母親に「ヒロシの所へ連れて行って」と強くせがみ母親を困らせるのであった。

母は 「もう少し待っててね、サクラも今は動けないでしょ」と言うより他の言葉を失っていた。

ヒロシへの心配と痛みとが交互に襲ってくる中で、ある思いが閃いた。

サクラは痛む身体をよじって首からペンダントをはずし「お母さん、私が行けないのならこのペンダントをヒロシの首にかけて欲しい、それが無理ならせめて側に置いてきて欲しい」と母親にたのむのであった。

母親はペンダントを受け取り、サクラの顔を見て「これから行って頼んでみてあげる」と手を握り優しく声を掛けた。


一方ヒロシの病室では、駆けつけた両親は息子の痛ましい姿を見つめるだけで、何もしてやれない自分たちを歯がゆく思うばかりであった。

廊下のソファに肩を落として座っているところへ、サクラの母親が申し訳なさそうにやってきた。

サクラの母 「ヒロシさんの様態はどうですか」「警察の話によると、ぶつかる瞬間ヒロシさんが サクラに覆い被さるようにしてがかばってくれたから、ヒロシさんの方が怪我がひどいって聞きました・・・」「なんと言って良いか・・・」

ヒロシの母 「そんなこと仰らないで下さい、運転していたのはヒロシですから」「ヒロシの方こそ大事なむすめさんを傷つけてしまって、申し訳ありません・・・」

サクラの母 「イエイエ、どちらが悪いと言うものではないんですから・・・そんなふうに仰らないでください」

サクラの母 「サクラがすぐにでもヒロシさんの側に行きたいというのですよ、 でもヒロシさんも喋れる状況ではなので・・と、言うと」「じゃあ、と言って大事にしていたペンダントを首から外し、ヒロシさんの首にかけてきて欲しいて言うんですよ・・・お願いして良いですか・・」

ヒロシ母親「うっっっっ・・・、そこまでヒロシのことを想ってくださ・・・・うっっっ・・」 と、言ってうつむき目頭をハンカチで押さえるのを見て、そばにいた父親は、母親の肩に手をやりサクラの母親に頭を下げ「有り難うございます、ヒロシも喜びます」と言って肩をふるわすのであった。

早速、ヒロシの寝ているベットに行き「ヒロシ、サクラちゃんがこのペンダントを私と思ってヒロシの首にかけて欲しいと言っていた。と、サクラちゃんのお母さんがもって来たよ」と言ってヒロシの手にペンダントを握らすと、サクラの思いが通じたのか静かに握りしめたのであった。

「オオッ・・、少し意識が戻ったのか・・」病室に、パット明るい空気が流れた。

ヒロシの親も、サクラの親も少し安堵の表情が出たのを、ヒロシにはまだ解らなかった・・・・。

病院の朝は看護師がナースセンターにせわしなく出入りする足音から始まる。しばらくすると、ガチャガチャと食事を病室に運ぶために、ワゴンを引っ張る音が聞こえだす。

天井のスピーカーからはギターのつま弾く音が静かに流れだした。

隣の病室では髪の長い娘が盛んに出たり入ったりしている。

しばらくすると、その髪の長い娘が松葉杖をついた男性を支えながら看護師さんに挨拶をしていた。
彼氏がもうすぐ退院するのであろうか、二人とも目が輝いていた。



ヒロシとサクラの両親も昨夜からの疲れが出たのか、朝の光がまばゆそうに眼を細めた。


Mami【No.10】



「疲れていませんか?少しお休みになってください。」とサクラの両親は、ヒロシの母親に声を掛けた。


「ありがとうございます。息子も命を取り留めただけ・・よかった。」と言って、仮設ベットに横になった。




何時間経っただろうか・・辺りは、夕やけの茜色に包まれてきた。


その光が病室に降りそそいできたとき・・



「う〜ん・・・」



「ヒロシ!?」



ヒロシのまぶたがうっすらと開いた。



「ヒロシ!!解る?母さんよ!?」



「・・・」



「ヒロシ・・・」



病室に医師がやってきて、「ヒロシくん、わかるかい?」と声を掛けた。



「・・・ここは・・?」



「病院だよ。きみは、車で事故にあった。」



「車?事故?・・僕は・・?」



医者は両親を呼び、こう話したのだ。


「意識は、回復しましたが・・どうやら頭を強くぶつけたせいと事故のショックで、記憶が定かでないようです。もう少し様子を見ましょう。」


「え・・記憶喪失!?ヒロシが?先生!!治してください!お願いします。」

母親は、なだめる父親を振り払い医師に懇願した。



「そうですね・・しばらく様子を見ましょう。戻る可能性もありますから、気長に待ってみてください。」



ヒロシは、記憶喪失になったのだった。




サクラは、ヒロシの意識が戻ったことを聞かされ、安堵していた。



「よかった・・ヒロシ、もうすぐ会えるよね。」



サクラには、ヒロシの記憶が失われたことは伝えられていなかった。



茜色に染まった夕やけの中、サクラはゆっくりと眠りについた。
【No.7】

ミネルヴァ



こうしてヒロシが私に甘えてくるのが好きだった。

膝の上のヒロシを眺めていると。姉さん女房という言葉がフト頭をよぎった・・・年下のように感じるのである。

「あれしてくれよ、これしてくれ」と頼り切っているヒロシの無理を聞いてあげるのが嬉しくてたまらない時間だった。

それでもあまりうるさく言うものだから、私も時には切れることもある「少しは自立しなさいよ。もー、マザコンなんだから! 」と背を向ける・・・。後で(いくら仏のサクラと言えども限度がある・・)などと半分本気で呟くのであった・・・。

そうすると、「オヤ、髪を切ったの」「今日は何時もより可愛いね」などと、きまって機嫌を取りにくる。

私も負けずに「そんな手に乗らないよ〜だ」て言い返してやるんだァ・・・・

(でも、ワガママで甘えん坊のヒロシを、なんだかほっとけないんだよな〜っ)

今日も私の膝に頭を乗っけて「お願い」と催促している

そんなヒロシが好きになったんだから、マッいいか。テッ、思いながら世話をやくサクラである

「コーラ有る」と、ヒロシが手を出す。

「コーラなんか持ってきてないよ、身体に悪いから飲まないで、て、言ったでしょ」

「ウン、でも〜〜」

「はい、トマトジュース。イッカラ、イッカラ文句言わないでこれ飲んで」「お弁当作って、膝枕で耳掃除までしてくれる人って世界中探しても、私しかいないよ」「まるで、殿じゃあない」

「ハイハイ、奥方様」

「・・・・・」「今日は海が綺麗ね・・。誰にも邪魔されずに、こうしてヒロシと一緒にいる時が一番好き。ヒロシはどう?」

「ウ〜〜ン、好きと言わないと怒られるんだろうナ〜〜ァ」

「あたりまえじぁない・・、喧嘩売る気! 」

「イエイエ、天の星の数よりも多く、この海よりも深〜くサクラを愛しているよ」

二人の笑い声が、少し赤く染まった山からこだまとなって帰って来た。

波も二人に愛の讃歌を捧げるように打ち寄せた飛沫が虹となって二人の頭に冠をかぶせた。

いま思うと他愛のない話なのに一喜一憂していた自分を懐かしく思うばかりである。と、同時に深いため息を漏らした。

10月にしては暖かい日差しがサクラを夢の旅へ誘い、そばではうす紫色の花を付けた紫苑が海からの風をうけ、遠くの人を思うかのようにユラユラと揺れている。

西の浜辺では釣り人が盛んにリールを巻いている、そばで子ども達も「釣れた、釣れた」と大きな声ではしゃいでいる。

何時かは、ヒロシと子供を連れてこの浜辺を散歩できるのではないか、と・・・遠くに霞む島を見つめて唇を噛むサクラであった。

足下まで押し寄せた波は、あたりを白いあぶくで覆い貝殻の間を「ジュワ、ジュワ」という音を残しながら引いていった。

波の音と共に蘇る映像はちぎれちぎれになりながらもサクラの心の中を漂っている・・・・。


【No.8】

Mami


ある日・・

サクラは、ヒロシの運転する車でドライブに出かけた。


ヒロシ「今日は、いい天気だな〜!ねぇ!紅葉見に行かない?」

サクラ「うん!!」


ヒロシは、サクラが嬉しそうな表情をするのが好きだった。
(大切にしなきゃな・・。)

サクラの笑顔を見ていると、嫌なことが全部飛んでいってしまうような気がしてた。


日ごろは、海が見えるところにいるせいか、山の木々の季節の色を見るのもまた格別だった。
まだ免許を取ったばかりで、初めての紅葉ドライブだった。


サクラ「うわ〜っ!今年は、紅葉がキレイ!!」


ヒロシ「そう、夏の気温と冬の冷え込みの温度差があると、キレイに色づくんだよ!?」


サクラ「今年の夏は、暑かったもんね!」


・・・・


ブブ〜ッ!!!!!



キ〜ィ・・・・




しばらくして、サクラは気が付いた。


上からトラックの運転手が慌てているのが見える。

ヒロシとサクラの乗った車は、正面から中央線を越えてきたトラックに衝突されたのだ。


そして、パトカーと救急車のサイレンが聞こえた・・・


サクラの記憶は途絶えた。




(ヒロシ?・・・どこ?)

次に気が付いたとき、サクラは病院のベットの上で身動きが取れない状態になっていた。

(な・・なに?なにがあったの?え?・・ヒロシは?ヒロシはどこ??)



動こうとすると体中に痛みを感じてしまう。


(トラック・・)

サクラ「ひ・・ヒロシ!!!!どこ行ったの?」

サクラは、やっと事故に遭ったのだと悟った。


看護婦さんから、ヒロシは意識がなく集中治療室にいると伝えられた。



サクラは、涙が溢れた。


サクラ「ヒロシは、大丈夫なんですか?!」


看護婦「命は、とりとめたわ。あとは、意識が戻らないと解らないけど、多分大丈夫。

    ほらほら、心配しないで。自分の体を早く治そうね。」

つづき3

ミネルヴァ



ヒロシがいないなくなることは、私にとって生きる意味を見いだせないこと・・それくらい重大な出来事だった。

4年経った今でも心にポッカリ空いた穴がふさがることはなかった。

もちろん楽しい思い出ばかりではない、とっくみあいの喧嘩をしたこともある。

最後は何時も足四の字固めを決めて「どうだ、まいったか」とヒロシは得意顔・・

「アイテテテテッ、まいった、助けて〜っ」と黄色い声は上げる私。でも、勝つ方法は知っている。私には必殺技がある。でも、それは禁じ手なので封印している・・・一度使ったことがあるかな・・・イヤァ・・・・たまには使うことがあった・・・

喧嘩のあと何時もヒロシは「お前女だろ、もう少ししとやかにしろ」とブツクサ言っていた。

そういう口の下で「ケンタッキーに飯食いに行こうか」と誘ってくれるのはヒロシだった。

でも、レジになると「俺スカンピンなんだー」と言ってケロッとしている。しかたがないので、私が支払いすることがしょっちゅうあった、その時ばかりは私も口をとがらせていた・・・・・。

思い出はいったん手繰出すと洪水のように押し寄せるものである。

あの時は外に出ると北風が肌を刺すように冷たかったので「寒かろう」と言って自分の着ているGジャンを脱いで肩にかけてくれた。

「ヒロシそこ風邪ひくよ」と言うと

「俺は暑がりだから」と返事が返ってきた。

そーっと手を握るとヒロシは小刻みに震えていた。

「ヒロシやっぱり寒いジャン、震えてるよ」

「震えてるんじゃねぇ、武者震いだ!」

「何んで武者震いしなくてはいけないの・・・・?」

ヒロシは「デヘヘヘッ」と私を見て笑ったので、私も思わずつられて笑ってしまった。

サクラは、他愛もない会話でも二人の間を熱い物が流れるの感じ、ヒロシを見上げた。

幸せとはこういう事を言うのだろかと、心を時めかすサクラであった

あの時のヒロシの手の温もりは、ヒロシの優しさと感じ胸の高鳴りを覚えた、今でもその温もりは掌に残っている。

10月にもなると日の入りは早く、はや西の空は赤く染まり始めている。空を見上げると二羽の海カモメがサクラの頭上を廻っている

思い出とは、楽しかった思い出でも、どれもこれも切なくなる思い出に変わってしまう・・・・・頬に涙がひかるのをカモメは見ただろうか。

二羽の海カモメは西の空に消えていった。

小さなポンポン船も漁を終えたのか一筋の航跡を引きながら家族の待つ港に向かっている。

波は思い出を消すかのようにザブンと大きく打ち寄せた。

そろそろ暗くならないうちに帰らなくては、と、砂浜をあとにした。

夕日を背にして、海沿いの道を歩くのは久しぶりだった

突然後ろで、ブブーー、キキキィーッ。。。

ビックリして振り向くとセダンが間近にせまっている・・。とつじょ黒い影が私を抱きかかえて車道から歩道へ猛烈な勢いで移動させた。

来るんじゃなかったという思いと、忘れられない思い出に浸ったことの高揚感とが複雑な気持になり注意散漫になっていたのだろう・・・・車道を歩いていた私は、間一髪で助かった

「コラー、アブネェナー」とセダンの窓から男が怒鳴る。

助けてくれた男性を見ると、今日朝自転車ですれ違った男性が心配そうに私の顔をのぞき込んでいる。怪我のなかった私を見て、例のくりくりした目で私を見ながら「大丈夫ですか」と優しく声を掛けてくれた。

「エ、エエッ、大丈夫です」「危ないところを有り難うございました」と言って頭を下げる事しか頭が混乱していて、他に思いつかなかった。

彼は「気をつけて帰ってね」と言い残して喧噪の中へ消えていった

ビックリした思いと、怖かった思いで心臓がいまだに高鳴っている。しばらくして彼の名前を聞くのを忘れていたことに気が付いたので、急いで彼の後を追ったが彼を見つけることは出来るはずもなかった。

人の心は突如あろうはずもないことと結びつく。助けてくれた人の掌に、ヒロシ掌の温もりと同じ温もりを感じたのをサクラは気が付かなかったが、心は感じていた。

帰り道、一人でトボトボ歩くことがこんなにも寂しいものかと、今日はいっそ強く感じるサクラであった。また、大粒の涙が行き交う車のヘッドライトに照らされてキラリと光った・・・・・。


Mami


サクラは、家に帰った。

あの不思議な感覚は何だったのだろう・・?


(あ〜、もうっ!!なんでいつもこうなのかな〜?)


サクラは、あの自転車に乗ってた男のことが気がかりでならなかった。


(なんだか・・お腹空いたな。今日は、ヒロシが好きだったものでも作ろうっと。)

サクラは、台所に立って鼻歌を歌いながら料理を始めた。


頭の中は、ヒロシが美味しそうに食べたいた顔を思い浮かべていた。


冷蔵庫を開けて・・


ヒロシは、とにかく好き嫌いが激しかった。

たまねぎ、人参、ピーマン、大根、かぼちゃ・・


「え〜!食べられる野菜、何にもないじゃん!?」


「そっか?キャベツとトマトは食べられるよ?」


「あのね〜・・・それは、食べられるって言わないのっ!もう、しょうがないんだからぁ。」


サクラは、そう言ながらもヒロシのためにご飯を作ってあげることが楽しみだった。


ヒロシは、よく風邪を引いていた。

疲れたと言っては、熱を出していた。


お弁当を持って、待ち合わせ場所はいつもの砂浜だった。


ヒロシもサクラも、時折海から吹いてくる風の匂いをかぎながら、季節の移り変わりを楽しんでいた。



ヒロシは、弁当を食べると必ず膝枕をしてくれと横になった。

つづき

下の記事では読みにくいので、新しい記事としてパート2をアップします。


============

ミネルヴァ


キリンはサクラのことが気になったものの、日頃のストレスを聞いてもらおうと、サクラのことなどおかまいなしに喋り続けている

一方さくらはヒロシとの思い出の海に足を踏み入れていた

初めての出会い、大切な物を交換したときの夕日と波の音など、次々と胸にこみ上げてくる思い出が甘酸っぱい色彩の中で浮かんでは消えていった

「ヘイ、らっしゃい」突如素っ頓狂な声がキリンのほうから聞こえてきた

「何、なになに」とサクラが見回すと

キリンは、「アッあたしの携帯よ・・」と、バックから携帯を取りだし「ハイ、フローラルキリンです」・・・

との声に、休みなのにお店の名前が自然に出るキリンにサクラはフット笑みをもらした

「アッすみません、すぐ持ってあがります」・・・・・・・

「サクラ、ゴメン今日配達があるのを忘れてた。これからお店に帰って花を持っていくから・・・、明日お店に出てくれるんでしょ」「ジャァ、また明日ね」と立ち上がった

今日は一人で退屈だなぁと思っていたところ、「ドタッ!」と大きな音が入り口のほうから聞こえてきた


入り口に目を向けるとキリンが「すみません」と言いながら床に散乱している書類を拾っていた。側にはさっき入ってきた男も何か探しているふうだった

「どうしたの、キリン」と、声を掛けると

「サクラ、ちょっと此方に来て手伝ってよ」と困ったように手招きしている

「いまこの人とぶつかったの」「この人の持ち物が床に落ちているから、拾うの手伝って」

男は「書類も大事ですけれど、このチェーンの先に付いていた石が外れて無くなったのです。それが無いと・・・」「私はこの辺りを探すから、、そちらの方を探してもらえますか」と植木鉢の置かれている辺りを指さした

目を凝らして辺りを見回したけれど、綺麗に磨かれた床が光ってているだけで何も見つからなかった

さらに植木鉢の置かれている床の隅に目をやると、薄暗い隅を天窓から差した光が観葉植物の隙間を通り抜けてそこだけステージのように明るくなっていた

そこに星くずでもあるかのようにキラリと輝くもが目に入った

「あれかな」と思い拾い上げようとした瞬間思わず手を引っ込めた


「サクラ、有ったの」「有ったのなら拾ってあげて」

「エッ、エエッ」と言いながら拾い上げ・・・・、食い入るように眺めながら男に手渡した

「有りましたか、良かった」「これで全部揃いました、有り難う」と男は言う

キリンは困ったような顔をして「本当にすみませんでした、私はこの先で"フローラルキリン"という花屋をやっているキリンと申します」「すみませんが、わたくし急ぎの用事があるので、ネックレスの修理はここにいるサクラに話をしてください」

「もし、わたくしでないといけないことであれば、すみませんが明日お店にきていただけますか?」と言ってキリンは名刺を差し出した

男は名刺を受け取ると「ああ、それだったら私もこれから急ぎの用事があるので明日お店に伺います」

キリンはチラッと時計を見て、その男に店の場所を告げ、「サクラ、悪いけど後は頼んだよ」と言って、ふたたび男に頭を深々と下げて急いで店を出た。

その男も急ぐからと、サクラと一言二言ことばを交わしただけで店を出た

サクラも、このままこのお店で時間をつぶすのは勿体ないと思い外に出ることにした。


外は10月にしては初夏を思わす強い日差しだった

時たま海から吹く南風がキリンの心のひだに入り込み、時間が過去へ急速に後戻りした

この道は思い出のつまった道。南風と共によみがえる思い出は、ヒロシのこぐ自転車の後ろに乗っけてもらってよく通った海岸だった・・・楽しかった日々は矢のように過ぎていった・・・それが昨日のように心のひだから湧き上がってくるのだった

そうだあの海岸へ行ってみよう

その海岸は、ここからそう遠くではない所にある。ビーチから少し離れていて捨て石に足を取られながら岬を回ったところにわずかに砂浜があり、恋人たちが語り合うには絶好の場所だった

いま、こうして佇むと時間が止まったかのように、当時と何一つ変わっていなかった



「この石が邪魔だからどかすよ」「ほらここに置くとちょうどテーブルみたいでイイジャン」「サクラはここに座って」などと言って二人が寄り添う空間をヒロシが作ってくれた場所までそのままにのこっている。側では紫苑が遠くの人を思うようかのように、いまも可憐な花を咲かせている

遠くで汽笛の音が聞こえる、ヒロシといた頃はそれさえも二人の感情を高めるのに役立った。いまも聞こえる汽笛の音は当時と何一つ変わらなくても、いまはサクラの心をいたずらにかき乱すだけだった

「サクラ、お前まだ未成年なんだろ、タバコなんか吸うなよ」

「なに言ってんのよ、最初タバコを吸ってみろと言ったのはヒロシじぁない」


Mami


ヒロシが私にタバコを教えた。私は、吸いたいんじゃなかった。
そうしていると頭の奥から痺れてくるような感覚と、ユラユラした煙の中に何か見えるんじゃないかと思うその瞬間がたまらなく好きだっただけ。

気が付けばそんな風に小さい頃からいつも一緒にいた。
そこにいるのが当たり前で、いないとなんとなく心にポッカリと穴が開いたような気がしていた。

だから、ヒロシのことを「恋人」と呼んでいいのかどうかまだ判らなかったのだ。
なんでも話せて楽しくて・・となりで笑っているのは、いつもヒロシだった。なのにそんな日がなくなるなんて思ってもみなかった。

ある時、ヒロシは遠い目をするようになった。

「ねえ・・どこ見てんの?」

「あ・・なんでもない。サクラは、風邪を引きやすいんだから気をつけないと。」

冷たくなってきた海風に秋の気配を感じながら、ヒロシは自分の上着をサクラにかけてくれた。

小さい頃、あの小高い丘から見下ろせる海が大好きだった。
そこから吹いてくる風も、遠くから聞こえる汽笛もいつも優しく二人を包んでた。


ある日、サクラは言った。「ねえ、指切りしよう!!」

「何の?」

「えっとね・・大きくなったらね、ヒロシのお嫁さんになるの。」

「うん!!約束だよ!?」

そう言って、二人で約束した。

でも・・ヒロシは・・
ある日突然、黙っていなくなってしまった。
ヒロシは、父親の転勤で遠い町にに引っ越していったのだった。

それを知ったのも、しばらくしてからだった。

サクラは、毎日いつもの時間にいつもの場所で待つようになった。
でも、いくら待ってもヒロシは現れることなどなかった。

(どうして何も言わずにいなくなっちゃったの?約束したじゃない!?守ってくれるって言ったじゃない!?なんで黙っていなくなるの!?)

サクラは、1ヶ月経ってやっとヒロシがいなくなったのを悟りポロポロと涙を流した。

高校2年の秋だった。

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