|
たつやは小学一年生。
今日も一時間目の授業が始まると同時に、机の上に両ヒジを立てて頬ズエをつきます。
いつも先生が黒板に向かってチョークで何かを書き始めたころ、周りの意識が遠のいて、たつやは一人で青い空を飛び回っています。
北風と競争したり、南風にゆられたり、とんできた迷子のフーセンとたわむれたり…。
たつやの空想は、いつもお空を自由に飛び回ります。
『ヤッホー…』
どこからともなく聞こえてきた声に引かれるように、たつやは遠くの山奥まで飛んで行きました。
その山の中腹には洞穴があり、その中に一人のオジサンが住んでいました。
オジサンはセッセと身支度をして旅に出掛ける準備をしていました。
『オジサン…何してるの?』
オジサンは面倒くさそうにチラっとたつやを見て…
『おらぁな、旅にでるんでぃ』
『どこに行くの?』
『そんなのぁ風にでもきいてくれぁ…』
そうこうしているうちに山の向こうから…
『ヤッホー…』という声が聞こえてきました。
オジサンは喜んで『おっ、仕事でぃ』と独り言を言いながら、洞穴の出口から身を乗り出して大声で応えました。
『ヤッホ〜オォ〜オ〜ホォ〜オ〜ォイ…ときたもんでぃ』
オジサンの仕事はコダマでした。
たつやは、久々の仕事で嬉しそうに遠くの山を見ているオジサンにまた聞いてみました。
『いつ帰ってくるの?』
『もう、けぇってこねぇ』
『どうしてなの?』
『おれぁな、最近の人間に嫌気がさしたんでぃ』
『なんでー』
『近頃の人間はな、山に入ってはゴミや空きカンを捨てていくんでな、神聖な山に礼儀も節操もねぇやなー』
『でも人間にもいい人も居るよー』
『てやんでぃ、近頃そんなの誰ひとり見当たらねぇ』
そのとたん何処からともなく鐘の音が聞こえてきて、突然の爆風に、たつやは引っ張って行かれました。 それは一時間目の授業が終わりを告げる鐘の音でした。
10分後、二時間目の授業が始まり、たつやはまた頬ズエをつきました。
そしてたつやはまたたくまに青い空を飛んで、幾つものイワシ雲を飛び越えながら、山奥に居るオジサンの元へ行きました。
するともう洞穴には何もなく、オジサンの姿も見当たりませんでした。
そのとき洞穴の外から一陣の風が舞い込んできて、一枚の紙切れが踊りながら地面に落ちました。
たつやはその紙切れを拾うと、そこにミミズが這ったような文字で一言だけ書かれていました。
《あ・ば・よ!》
コダマのオジサンは遠い世界へ、帰らぬ旅に出た後だったのです。
皆さんの土地には今でもコダマが返ってきますか?
もしコダマが返ってこないならば、皆さんの土地もコダマに呆れられたのかもしれませんよ(笑)
自然を大切に!!!
|
いたずら天使さん…ありがとうございます。コダマのオジサンは戻ってきますかねー。
もしかすると、いたずら天使さんの優しさで戻ってきてくれるかも…しれませんね!!!
2008/2/16(土) 午後 11:39 [ 夢先案内 ]
胸が痛くなりました。
私もコダマのおじさんがいなくなってしまう原因のひとつであるのかもしれないと思ったら。
おじさんが戻ってきてくれるようにしないといけないですよね。
2008/3/3(月) 午後 3:41
咲楽さん…顧みる気持ちさえあれば大丈夫ですよ…。
咲楽さんの魅力でコダマのオジサンを呼び戻して下さいねー!!!
2008/3/3(月) 午後 6:54 [ 夢先案内 ]
コダマのおじさんに、ただいま!って言ってもらえるような、行いと心遣いをしていきたいです。早速…ぽち☆
2008/7/21(月) 午後 7:40 [ - ]
ヨウコさん…ポチありがとうございます。
そして優しく『おかえり』っと言ってあげて下さいね!!!
2008/7/21(月) 午後 9:38 [ 夢先案内 ]
私が育った島には、山や川がなく、とっても憧れがあります。
何でもそこにあるのが当たり前のように思っていると、形あるもの形のない物全てがなくなっていくのがわからないんですよね。
2008/7/22(火) 午後 4:10 [ DIET-END YASUOKA ]
DIET-END YASUOKAさん…島で育ったのですね。
とっても憧れます!!!
島には島の伝承があるのではないですか…(興味ありますねー)
2008/7/22(火) 午後 10:14 [ 夢先案内 ]
こんばんわ。
こっちも読ませていただいてますw
すごいいい話でした。特に、子供の頃にみんな(?)が経験するような空想の世界みたいなのが表現されてて★
学校じゃ教えてくれないことを、コダマのおっさんは教えてくれてるみたいです。どこか私が求めているようなお話でした。ポチッと!
2008/7/23(水) 午前 2:24
なんだかホッとします・・・。
コダマのおっさん、傍にいて欲しいですね。
殺伐としたこの世の中、こうしたほのぼのしたお話を子供達に伝えていきたいです。
2008/7/23(水) 午前 8:21
ほおずきさん…ありがとうございます。
この話のモデルは実は僕自身です(笑)
授業中に魂が抜け出して、自由に遊んでいたことは実話です。
そのために忘れ物が多くて少々困った少年でした(笑)
ポチありがとうございます。
2008/7/23(水) 午後 11:14 [ 夢先案内 ]
カズミンさん…コダマのおじさんがまだ本当に居るのかどうかを確かめてみますか(笑)
いつまでもコダマ(言葉)が返ってくるといいですね…。
2008/7/23(水) 午後 11:21 [ 夢先案内 ]
短編小説に、これだけのことを含有させる才能に感心しました。私も見習いたいです。私の小説には余計な倫理的文章を加えてしまう癖があって、短くするのに苦労しています。
2008/12/23(火) 午後 1:34 [ 文学の散歩道 ]
赤堀さん…ありがとうございます。
赤堀さんの深い洞察眼、巧みな表現力には頭が下がる思いです。
とても良い刺激を受けさせていただいています。
2008/12/24(水) 午前 9:15 [ 夢先案内 ]
こんばんは♪ 素敵なお話ですね(*^_^*)☆
こだまのオジサンか・・・こだまのオジサンの気持ち
わかる気がします・・・
夢先案内さん授業中に魂が抜けだして いったい何処へ? 笑
私も時々ありました。・(^^ゞ 子供の時からそうです
これも個性として受け入れていいですよね・・・
2009/3/25(水) 午後 9:21 [ ターコイズ ]
ターコイズさん…僕も子供の頃はそれが普通だと想っていましたが、そのために忘れ物が多かったのです(笑)
それで意図的に直してみたのですが、あの頃は現実問題に意識を集中するごとに霊的な感性が薄れてゆくのが自分でも解りました。
それを取り戻したのは挫折期を越えた二十歳をすぎてからです。
やっぱりね、大切なことは時と場所と人において、最も適した方法を使い分ける徳性だったのです。
2009/3/25(水) 午後 10:30 [ 夢先案内 ]
はじめまして
に登録させていただきました

お気に入り
人間だけが好き勝手に過ごしてきて失ったものに気づいても、もう戻せないものの多さを知って後悔している人がどれぐらいいるでしょう……
その中で、少しでも必死に守ろうとしている思いがひしひしと伝わってきます。
優しい文章に思わず引き込まれました。
また覗かせてくださいませ
2013/6/15(土) 午後 8:45 [ けろりん ]
たつやの私の日常は、私の日常みたいです(笑)



















長男は2月10日生まれで(笑)
コダマさん、山びこさんですよね(*´-`)楽しいですよね(*^ー^)ノ
先日は
童心 〜去って行ったコダマ〜
13/6/11 12:00
の記事の松山さんのYouTubeがきっかけでの【My birthday(*^ー^)ノ♪】の投稿になりました(^人^)宜しければ、
童心 〜去って行ったコダマ〜
13/6/11 12:00
の記事の【My birthday(*^ー^)ノ♪】に【トラックバック】をお願い致しますm(。_。)m
2013/6/18(火) 午前 10:51 [ moonsun612 ]
けろりんさん…もう取り戻せなくなったものが沢山ありますよね。
でもまだ間に合うものも多いと思います!
お気に入り登録ありがとうございます。
2013/6/23(日) 午後 8:51 [ 夢先案内 ]
moonsan612さん…たつやの日常は僕の日常でもあります(笑)
moonsan612さんの街にはコダマが返ってきますか?
トラックバックは遅ればせながら完了しました。
( ̄^ ̄)ゞ
2013/6/23(日) 午後 8:55 [ 夢先案内 ]
初めまして
履歴から訪問させていただきました
ステキなブログ設定に見入り 楽しく拝見しました
私の街は観光地でもあり 山々も缶ひとつ落ちてませんヨ
今、新緑のサイコーな時期で 森林浴に励んでます
コダマは どこかにいるのでしょう
2014/5/17(土) 午後 0:19