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見るものと見られるもの、 聴くものと聴かれるもの、 触れるものと触れられるものとの、分離感が存在しない。 世界はただ聴かれ、 見られ、 触れられている。 今日は雀の声が多く、世界はその呼び交し合う声に満ちているが、 それが一層、世界全体の静けさを掻き立てる。 世界に距離を生み出すものは、世界自身でも、世界にある何ものかでもなく、 人の内で働く〈思考〉である。 今朝、目醒めだけがあり、 人の内にはどのような思考の動きも起ってはいなかったので、 世界は手で触れられ、 ただ見られ、 ただ聴かれていた。 やがて日が昇り、 いつしか雀の声は遠のき、 空間の響きは他の鳥の鳴き声に変わっていた。 ビルの壁、サッシュの銀色の枠が陽の光に輝くと共に、 世界の静けさは人と世界の内外に浸透し、拡大して行った。 外では、車の音、人の起き出す動き、 一日の始まりなどがあわただしくなってきた。 しかし、依然として時間の動きは感じられず、 世界の奥深くは停止している。 青く晴れ渡った空の、見えぬ空間の広がりには、 さまざまな鳥の声が響き、浸透している。 とてつもない朝が始まり、進行していた。 人はそれらと何の分離もなく、ただ存在していた。 人は、ただそれらと共にいた。 |

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