小説・永遠では永過ぎる

恋はするものではない、落ちるものである

ワイン紀行

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ベルンカステル・クースは木組の家々が建ち並ぶ小さな街。
美しい夕日とワイン畑を眺めた後は、街のワイン居酒屋でモーゼルワインを楽しもう。

【第8話】 モーゼルの黄昏・ベルンカステル−クース


コッヘムを過ぎると、それまで割りとなだらかだったモーゼル川の蛇行が段々激しくなってくる。
特にモーゼル中流地区のトラウベントラウバッハからベルンカステル・クース間がモーゼル下りの
ハイライトである。ではこの辺で少し、モーゼルワインについて勉強しよう。
 モーゼルワインをタイプ別に大きく三つの地区に分けると、まず最初はモーゼル下流(ツェル地区)。新鮮な酸味とほのかな甘さのバランスが良く、フルーティな若さを味わうタイプで、リースリングを
中心にフルーティな日常タイプのワインを生産している。黒猫がデザインされたラベル、Zell(ツェル)村 Schwarze Kattz (シュヴァルツェ・カッツ)畑がとても有名だ。
 モーゼル中流(ベルンカステル地区)は清らかな酸味とエレガントな個性を持った銘醸ワインの産地。ツェルを過ぎた辺りからトリアーに近いシュバイヒまで、ベルンカステル(Bernkastel)を中心にピースポート(Piesport)、ヴェーレン(Wehlen)、グラーハ(Graach)、ツェルティンゲン(Zeltingen)、エルデン(Erden)などのワイン造りで有名な村が連なっている。
 モーゼル上流及びザール、ルーヴァー川流域(ザール・ルーヴァー地区、モーゼルトアー地区、オーバーモーゼル地区)は、一段と酸味が洗練され、力強く引き締まったタイプが多くなる。ザール地区、Wiltingen(ヴィルティンゲン)では世界最高峰の白ワインと称されるエゴン・ミュラーのシャルツホフベルガーが特に有名である。またルーヴァー地区のマキシミン・グリュンホイザーも素晴らしいワインである。
 さて、このモーゼルワインの中心地ベルンカステルクースへ行くには、電車だとヴィトリッヒ駅からバスで40分ほどかかる。橋を隔てて旧市街のベルンカステルと新市街のクースとに分かれており、旧市街は可愛い木組の家々が立ち並んでいる。ここにはワイン博物館があり、併設のワインケラーではワインの試飲・購入が出来る。また丘の上にそびえる古城はユースになっており、格安で宿泊できる。ベルンカステルでは、その昔王様が病気になったとき献じたワインが王様の病気を治してその功績が称えられたというベルンカステル・ドクトラーのワインが有名だ。
 この地域ははるか昔は海の底だった。このミネラル質を多く含む特殊な土壌がモーゼルワインに奥深い独特な味わいを与えているのだという。そんな事を考えながら橋のたもとで沈む夕日を眺めた後は、ガストーホフの川魚料理とモーゼルワインがいっそう美味しくなるだろう。

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モーゼル川流域も素晴らしいワインの生産地である。コブレンツから一時間ほどのところにある
美しい二つの城、ライヒスブルク城とエルツ城は一見の価値あり・・・


【第7話】 帝国の城・ライヒスブルクと幻の美城・エルツ


ラインとモーゼルの分岐点、コブレンツから今度はモーゼル川をトリア方面へ遡上して行くと、モーゼルワインの名産地が広がっている。高さ200m、傾斜30〜40度の山肌や数十段もある段々畑にブドウが栽培されているのを眺めるのは圧巻だ。黄金の階段、黄金の花、神の足跡、黄金の滴などと言った有名畑が立ち並んでいる。特にリースリング種を栽培しているモーゼル中流地域には最上のブドウ畑があり、土壌はスレート質(板岩状地質)で透水性が良く、昼間の太陽エネルギーを効率よく吸収するため夜間の保温効果があり、ブドウの生育に大きな恵みをもたらしているのである。
 まずはコブレンツからトリア・ルクセンブルク行きの列車でコッヘムへ向かう。車なら国道421号だ。モーゼル川沿いのこの街もワインの産地。散歩や山歩きなどの好きなドイツ人の典型的な避暑地として人気が高く、中心となるモーゼルプロメナーデ付近にレストランやショップなどが集中している。
賑やかな街の中心からシュロス通りを上っていくと、ワイン畑の頂上にコッヘム・ライヒスブルク城が見える。城の建立は1020年に遡るが、17世紀の対フランス戦での放火により現在はHexenturm(魔女の塔)の一部のみがその原型を保っている。1816年にプロシアの管轄下に、その後フランスの(後の)通商大臣ヤコブ・ルイ・ラヴェネに買い取られ、現在の城のインテリアや家具は彼の住んでいた時代の再現だ。
城内の特徴はロココ、ネオ・ゴシック調と各部屋ごとに違った天井だろう。日本語の説明文も用意されている。
 次に訪れたいのがエルツ城 (Burg Eltz)。ここは真に幻の城である。たいそう山奥の不便なところにあるので日本人の観光客もあまり訪れない。私は一度コッヘム方面からバイクで向かったが、エルツ城の案内板通り駐車場にバイクを止めてハイキングコースを行けども行けども城にたどり着かない。少し開けた場所に出るとなんと目の前の谷の向こう側に城の姿があるではないか。仕方なくこの時は諦め、別の時に今度は地図を便りにようやくたどり着くことが出来たのだった。
と言う訳で、もしこの城に徒歩で向かうなら1時間以上山道を行く覚悟が必要だ。駅からタクシー、もしくはレンタカーなどを利用するのが賢明だろう。9〜10世紀ごろ建てられたこの城は激動の歴史の中破壊されることもなくずっとエルツ家に守られ続けてきた。現在はDr. Graf Karl von und zu Eltz-Kempenich氏の所有。大広間のルーカス・クラナッハの「マドンナとブドウ」をはじめ、フランドル地方のタペストリー、地下の宝物室に展示される500点以上もの宝物類など目を奪われるアート・コレクションが見ものだ。また、この城では素晴らしいワインも生産されている。

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コブレンツにはドイチェス・エッケつまりドイツの角と呼ばれる場所がある。
モーゼルとライン、二つの川の合流地点だ。そこは古くからの宿場町で・・・


【第6話】 コブレンツ・ドイツの角

 ボッパルトからケルン・ボン方面に向かい列車で進んでいくと、右手にマルクスブルク城、
左手にシュトルツェンフェルス城を眺めながら到着する次の大きな町がコブレンツである。
コブレンツはライン河とモーゼル川の合流地点に位置し、古い要塞や教会など歴史的建造物が多い。
昔から交通の要所として栄えた宿場町だったのだ。
 まずはライン右岸のエーレンブライシュタインの岩山の山頂にそびえ立つ城塞そのままの
コブレンツYHへ行って見よう。徒歩でも行けるがかなり急なので、バスで行く方が賢明だろう。
オーバータールのバス停から道を渡り石段を登るとザイルバーン(リフト)の山麓駅だ。
山頂までリフトで登る。
 このYHのテラスから眺める景色が実に素晴らしい。ライン河とモーゼル川が合流する
ドイチェス・エッケ(ドイツの角)の見事な三角形と、ラインを行きかう船、そしてコブレンツの
街並みが一望できるのだ。特に朝と夕暮れの刻一刻と変わる空の色が川面を染めていくのが美しい。
またここのYHにはバーがあり、そこで飲むワインも美味である。このYHはとても人気があるので、
宿泊する場合は予約するか早めに行くのが良いだろう。
 ライン左岸の旧市街からドイチェス・エッケまでは充分徒歩で回れる。広い公園になっているので、
こちら側からのんびり、対岸の要塞やライン河を眺めるのも良い。旧市街には他にも古い教会や
レジデンツなどの見所もあるが、書店やデパートめぐりなどをしても楽しい。それほど大きな町では
ないので、一日で充分回れるだろう。さて、町を散策していてお腹が空いたらどうするか。
レストランで食事するには重過ぎるので何か軽く食事をとりたい、でもマックじゃつまらない、
というような時である。
 まずおススメしたいのがブロート&ヴルスト。硬い白パンにソーセージを挟んだだけのシンプルな
ものだがこれが意外といける。辛子はセンフ、好みでつけてもらうと良い。他にもフリカデレ
(ハンバーグ)やハムなどお好みの具を選ぶことも出来る。
 次のおススメはドネルケバブ。これもドイツの町中のどこでもお店を見つけることが出来る。
炙った肉と野菜をナンに似たパンで挟んだトルコ風サンドイッチだ。辛いのから普通のマヨネーズ味
までドレッシングを選べるし、中に入れる具も選べる。手軽だが腹持ちも良い。
 もう一つおススメは、『ノルドゼー・メーアスビュッフェ』、シーフードのサンドイッチを売る
チェーン店だ。えびや魚のフライなどを野菜と一緒に挟んだバゲットサンドはヘルシーかつ美味しく、
値段も手頃。ドイツで手軽に魚介類を食べたい時にはこれが一番安上がりだろう。 

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ボッパルト。以外と知られていないこのライン沿いの町は歴史とロマンに溢れた魅力的な町なのだ。
ワイン酒場では覚えたてのドイツ語で声をかけてみよう。


【第5話】 ラインのロマン、わが青春のボッパルト


 フィリップ・フランツ・シーボルトが生活し、有名な『日本文書』を書いたところはどこか?
また1600年以上も前にローマ人が巨大な防備施設を築いたのは?
では中部ライン地域の最高級ワインを産する場所は?
 答えはすべてボッパルトである。人口一万七千人のこの小さな町は、北にコブレンツ・ケルン・ボン、
南にマインツ・フランクフルトがあり、ライン下りの発着所もある、ワイン畑に囲まれた魅力的な町である。そして私にとっては青春の思い出に満ち溢れた懐かしい場所でもある。
 ボッパルダー・ハムという有名なブドウ畑の連なる丘陵地に囲まれたこの町は、他のライン河沿いの町と同様、地下のケラーで試飲もできるワイン居酒屋がいくつもある。気さくな町の住人はコップでワインを楽しんでいる。あなたにもきっと美味しい地ワインを勧めてくれるだろう。この町を訪れたら、まずはフィアゼーンブリック(四つの湖の眺望)と呼ばれる丘に登って欲しい。ブランコのようなリフトもあるが、徒歩でも30分ほどで登ることが出来る。その名のとおり、ライン河がちょうど四つの湖のように見えるのだ。(最近の情報では五つに見える場所も発見されたとか・・)
 ここにはまた、ゲーテ・インスチチュートという有名なドイツ語学校がある。現在は夏期コースのみ開校されているが、世界中からドイツ語を学ぶ学生達が集まってくる。かくいう私もここで二ヶ月お世話になったのだ。学生寮でのバーベキュー、金曜の夜のパーティ、放課後の図書館での自習、ドイツ語基礎統一試験(ZD)…、ホームシックにかかり、授業をサボって学校の裏山で一人佇んでいたこともあった。そして一夏の恋も…。今となってはすべてが宝石のように煌く思い出となっている。
 例えばマルクトプラッツ(広場)に面したカフェで、ラインを望む公園のベンチで、陽気なワイン酒場のカウンターで。どこで運命の出会いがあるか判らない。という訳で今回は特別にドイツ語講座を少し。
まずは好みの異性がいたら、『ヴェン・ドゥー・ニヒツ・ダゲーゲン・ハスツ、カン・イッヒ・ディア・アイン・グラス・ヴァイン・シュペンディーレン?』と思い切って声をかけてみよう。(もし良ければ、一杯ワインをごちそうさせてくれないか?)と言った意味である。またそう声をかけられてOKの時は、『ヤー、ゲルネ』(喜んで)と答えよう。
 もう一つおまけ。(乾杯しませんか)と誘う時は『ヴォレン・ヴィア・アウストーセン?』と言おう。(君の瞳に乾杯!)は『アウフ・ダイネン・アウゲン・プロースト!』。これでドイツのロマンティック・ナイトはばっちり決まり!?

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バハラッハに行ったら古城ユースに泊まって、ラインを眺めながらバハラッハ・ハーンを飲んでみよう。

【第4話】 バハラッハ、時を告げる鶏


 ザンクト・ゴアールから各駅列車で15分ほど行くとバハラッハの駅に到着する。
バハラッハという響きは非常にドイツ的で私は気に入っている。ここには古城ユースがあり、
眺めの良い山腹に立つ壮観な古城に格安で宿泊することが出来る。ただし人気があるので予約
はお早めに。ライン河の眺望が良いオススメのユースはこのバハラッハと、リューデスハイム、
それにコブレンツの3ユースである。
 さて、このミッテルライン地区はワインよりも観光で有名で、良質のワインは非常に少ない。
その数少ない優秀なワインの一つが、『バハラッハー・ハーン』、バハラッハの鶏である。
辛口できりっとした酸味とほのかな甘味のバランスが素晴らしい、食事と合わせても美味しいワインだ。
 それにしても、ドイツの主要なワイン生産地はほとんどそうだが、よくもまあこんな崖の上に、
というような急斜面にブドウ畑が広がっていて、働く方は大変だろうなあ、と思ってしまう。
試しに適当な畑に入って石段を登ってみたが、やはり見た目以上に急だった。
登りは良いが降りる時は何か支えが無いとちょっと怖い。だがこの急斜面の向こうにまだ広大な
丘陵地帯が広がっているとは、私もかなり後になるまで気づかなかった。ちなみにその地域は
ジンメルンという大きな町になっている。
 初めてバハラッハを訪れた時、私はバイクで古城ユースを目指して走っていた。途中まで
案内板の通りに走っていたのに道に迷い、どんどん山奥へと行ってしまう。その細い道路に
何故かパトカーが止まっていて、『こんなところで検問?』と、別に後ろ暗い事も無いのに
ドキドキしていると、止められたのは車だけで私はそのまま行って良いよ、と合図される。
ついでなのでユースまでの道を聞くと親切に教えてくれた。(飲酒運転してなくて良かった!)
しかし結局、なぜそんなところにパトカーがいたのかは判らずじまいである。
周辺にはワイン直売所などもあったのでやはり飲酒運転のチェックをしていたのだろうか。
 とにかくドイツ旅行のポイントは、大都市ではなく地方のこじんまりとした町で宿を取ること、
ビールやワインなどその地方のものを地元の居酒屋ないしは宿屋の食堂で楽しむこと、ただ先を
急ぐのではなくのんびり散歩したり風景を眺めたり、そういう時間を楽しむことにあるだろう。
その方が安上がりでしかも思い出深いものになること請け合いである。とりあえずバハラッハに
来たなら、古城ユースのテラスでもその辺の丘の上でも良い、草の匂いと風の音のする景色の中で
自然と一体になりながらバハラッハの鶏を味わってみよう。少々飲みすぎても大丈夫、バハラッハ
の鶏はきっとあなたに時を告げてくれるだろう。
(注意!天気の良い日か夏だけにしよう。もし飲み過ぎてそのまま寝込んだら冬は生命の危険あり)

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