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このブログを書き始めたころ、瑞泉寺に奇妙な狸がいる、と報告しました。狸を真ん中に石仏が車座に座って、いや、置かれているのです。 以来半年、ずっと疑問は解けませんでした。 ところが、先日鎌倉由比ガ浜通りにある古本屋「松林堂」に地誌の本を見つけ、ようやく謎が解けました。ちょっと、童話仕立てに綴ってみました。まあ、聞いてください。 まだまだ、鎌倉が田舎で、瑞泉寺は荒れたお寺で、参拝客も無い昔の事でした。 鎌倉紅葉谷の奥にある禅寺、瑞泉寺の和尚さんは独り者でした。誰が来るわけでもないし、ただ、谷川のせせらぎと、山もみじを散らす山風を聞いて過ごす毎日でした。 そんなある日、格好な話し相手が現れました。見慣れない、小太りの中年のお百姓です。 愛嬌があり、大変な話上手でした。 和尚さんの好きそうな話、よその和尚の噂話、今年の農作物の出来具合、どっかの町屋の奥方が美人だが癖があるとか、何処かの倅は女遊びが止まらない・・・・本当に物知りでした。 囲炉裏端でしばらく話しに興じると、お月さんが真南を過ぎるころ帰ってゆきました。 いつしか、ご住職はお百姓との世間話が楽しみになっていました。 そんな冬のある晩、一際寒い夜でした。 和尚さんは、お百姓が体を冷やしてやってくるだろいうと思い、囲炉裏に何時もより沢山の薪をくべておきました。 お百姓は、体を火照らせながら、今晩も世間話に興じていました。 でも、あんまり暖かかったので、つい、うとうと居眠りをしてしまいました。 和尚さんがお百姓に目をやると、いつしかかすかに寝息を立てているではありませんか。 その上、大きな尻尾が出して。 和尚さんは、笑って「なんだ、古だぬきにたぶらかされたか」と言いながら、真っ赤に燃えた薪を狸の腹に押し当てました。 「熱い!」狸は驚きました。 で、コロ!こけてしまいました。実は太った狸は心臓病だったのです。 和尚さんは思いました。 「また、狸寝入りで騙そうとしている」 でも、ピクリとも動きません。気の良い顔をして、古だぬきは本当に死んでしまったのです。 「これは、悪いことをしてしまった。悪戯されたので、仕返しをしようとしただけなのに」 和尚さんは大いに悔やみました。殺生は禁じられています。まして、気持ちの通じた古狸さんです。 和尚さんは本堂に登り、お経をあげました。心をこめて回向をしてあげました。そして、重ねて言いました。「拙僧は殺生をしてしまった。でも、しっかり成仏してくれよ」 そこで、ご住職はしばし考えました。お経もあげたし、成仏してくれるだろう。でも、明日からはまた昔と同じで寂しくなってしまう。 妙案が浮かびました。 先ず、無益な殺生はしてはいけない。有益な殺生にするために、狸汁にしてあげよう。さすれば必ず成仏するはずだ。 加えて、狸のお墓を作ってあげよう。狸が毎日出てきた、あの藪椿の根元に、石仏ならぬ石狸を作ってあげよう。 狸も一人では寂しかろう。そこで、お地蔵さんに観音さん、如意輪さん等など沢山の仏さんを聞き役に集めてあげよう。 そうすれば拙僧も寂しくないし、古狸も間違っても成仏するであろう。 今でも、瑞泉寺の門脇にある大きな藪椿の根元で、古狸は世間話をしています。 周りには沢山の仏さんが、あの住職さんも集まって聞き入っています。 ほんとに古だぬきは地獄耳で、話し上手だ。 写真説明 瑞泉寺門横の石仏群、昨年12月の写真。 1枚目 石仏群、その中心に狸が法衣を着ている。 2枚目 3枚目 狸の石仏をクローズアップ 4枚目 如意輪の左、狸の右の石仏(地蔵)が和尚のイメージ。お人好し。 5枚目 大きな藪椿の根元に、山紅葉の枯葉に埋もれて、石仏は集まって狸の話を聞いています。 ブログランキングに参加しています。 応援クリックお願いします。
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