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昨晩のラジオ深夜便で朗読三本立てを流していました。
副題に「心に物語の灯を」と題していましたので"寝ながら読書の秋を楽しもう”と云った怠惰ながらも貪欲な企画です。
内容は芥川龍之介 著「蜜柑(みかん)」を松本一路アナウンサーが朗読し、太宰治 著「リイズ」を 迎康子アナウンサーが朗読し。夏目漱石 著「夢十夜」を石澤典夫アナウンサーが朗読しました。
偶々昨日はワイフが和弓のお仲間から露地植え野蜜柑を貰って帰宅しましたので。
蜜柑には縁のある一日でした。
【蜜柑のあらすじ】
筆者(24歳の龍之介/当時横須賀の海軍機関学校の英語教師として勤務する為、鎌倉の借家から横須賀線に乗って通勤していました)。
横須賀線のニ等車(グリーン車両)に乗っていると下駄の音を響かせて飛び乗った少女が居ました。
曇った冬の日暮れでした。筆者には「疲労と倦怠感」が襲っていました。
筆者は少女を一瞥して不快に思います。
何しろ汚くて不潔感が漂っているのです。そして頬っぺたはアカギレしています。加えて少女は汽車の窓を下そうとします(昔の窓は下ろして開けたのでした)。窓を開ければ冷たい外気が入って来ます。少女は3等車両に行くべきなのに間違えて2等車両に乗った上に傍若無人にふるまっているのです。インテリの筆者は不快感を行動に表そうとさえします。
汽車が トンネルに入りました汽車の煤煙が車両に充満します。筆者は眼と喉を煤煙に襲われてて咳き込みます。 声を発して少女の行動を押し留めようとした途端に汽車は踏切に差しかかりました。
踏切には少年が三人並んで手を振っていました、何れも少年も貧疎な服装をしていますが、懸命に汽車に向かって手を振っていました。
これがJRの田浦トンネルを駅舎の高架橋から見る中央の下り線が明治22年(1889)の横須賀線開通時に完成した最も古いトンネルです一番右が上り線で、複線化に伴い大正13年(1924)に増設されました。一番大きいトンネルは、昭和18年(1943)軍需輸送の引き込み線用として造られたものです。ですから龍之介の蜜柑は中央のトンネルでの出来事と云う事になります。因みに私はこの田浦駅から高校のある長浦まで四〇分程歩いていたのでした。
屹度”お姉さん御達者でね!早くた戻って来てね!”叫んでいたのでしょうが轟音で筆者は聞き取れません。でも少女が弟達に投げた蜜柑だけが目に飛び込んできたのでした。筆者は直ぐに状況を把握しました。自分の横に居る穢い少女は横須賀の家族から離れて都会に奉公に出るのでしょう。そして少女の弟達がこの踏切まで見送りに出ているのです。
疲労と倦怠に沈んでいた作者に新鮮な電流が流れた瞬間でもありました。この頃、龍之介は恩師の漱石を失い喪失感に沈んでいたのでした。
私は朗読を聞き終えて、少年たちが線路内に入って姉さんが投げた蜜柑を拾う姿を想像しました。蜜柑は傷ついていたかもしれません。でも弟達は蜜柑を口に運んでその酸っぱさに姉の辛酸な将来を噛みしめていたことでしょう。
60年も前に読んだ短編小説もこの年齢になると味わいも変わって、名作と評される所以も納得します。
【蜜柑の描かれた踏切は何処か?】
引き続いて何処のトンネルで何処の踏切だったのだろうか想像します。第一の候補は田浦トンネルです。
横須賀線の横須賀駅の次は田浦駅で田浦駅は前後をトンネルで挟まれています。横須賀寄りのトンネルが七釜トンネルで逗子寄りのトンネルが田浦トンネルです。
名越切通しから鎌倉方面を眺めるこの下を通っているトンネルが名越トンネルです。左の四方流れの建物が長勝寺の本堂で横須賀線車両の最後尾辺りに名越の踏切があります。踏切の北側に安国論寺があってこの辺りは日蓮上人の聖蹟寺院が立て込んでいます。
私は中学から高校一年迄四年間通学で田浦駅で乗り降りして居ました。でも小説では筆者は少女を一瞥してからしわくちゃの新聞を取り出して読み始めています。時間は相当経過していますから田浦トンネルではなさそうです。で・・・・次のトンネルはと云えばまで逗子駅と鎌倉駅の真ん中に在る名越トンネルです。トンネルを出ると直に踏切(名越踏切)がありますので小説蜜柑にはピッタリ符合します。
此処のトンネルは西側に自動車専用のトンネルが在って。トンネルの上は有名な「名越の切通し」もあります。
名門三浦一族が敗走した古戦場でもあり現在火葬場もあるのでトンネルは心霊スポットとして有名でもあります。
何しろ名越の名は古くは「難越」(なこし)と書いた程ですから古跡なのです。私は候補二つのうち後者の名越トンネルが蜜柑の舞台だと判断します、
横須賀の津久井浜には蜜柑園が幾つもあります。三浦半島の海に面した斜面は蜜柑畑が似合うのです。もう三浦は水仙も咲き出しているかもしれません。
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