仮想旅へ

毎日の通勤路を憧れの街道歩きに転換してみたら? あなたを「LOHAS」な世界に誘ってくれます。

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鎌倉山之内の浄智寺に狸が三匹います。
良く、田舎の宿屋や酒屋、一杯飲屋の店頭に置かれている「信楽」の陶器です。
大きな一体が親爺ならふくよかなのがお嫁さん、そして一粒種の子供が一匹、
家族三体が山裾に並んでいます。
背後には穴が開いていて、此処が狸家族の棲家のようです。
場所は方丈の裏、墓地の入り口で、周囲は竹林です。
目の前に古井戸があって、お檀家が此処で桶に水を汲んでお墓参りします。
 
イメージ 1
     鎌倉浄智寺裏山の三匹の狸。竹林の中、墓地の入り口にあります。
イメージ 2
                          子狸は酒屋の大福帳を下げています。奥が狸の棲んでいた穴です。
 
もう、10年も前でしょうか、
この狸に卒塔婆が立てられていました。
能筆で「たぬきのお墓」、背に「浄智寺山内居士建立」と書かれていました。
尋ねると、お檀家の方が朝方道路で命を落とした狸を見つけて、お寺に持って来たそうです。
そこで、和尚さんは狸が棲んでいた穴の前に葬ってあげたのだそうです。
きっと、その後に狸の陶器が置かれたのでしょう。
 
4年ほど前、私の町内(戸塚)に都市計画道路が通りました。
4車線の素晴らしい道路です。
駅までの生活道路は狭くて朝晩大渋滞ですから、
こんな道路を作るお金があるのなら生活道路の拡幅をして欲しい・・・・、思いました。
信号や横断歩道の設置場所について、戸塚土木、警察、地元で協議しました。
 
「最初の犠牲者が出たぞ!」
報告がありました。
狸が轢かれたのでした。
狸は気が弱いので、ヘッドライトに身がすくんで、車の前で止まってしまったのでしょう。
瞬間、私は浄智寺の狸を思い出しました。
 
イメージ 3
            狸の隣は櫓が並んでいて、冬の陽射しが石仏を優しく照らしています。(右端が狸です)
 
私の生家もお寺です。
本堂の縁の下に狸が棲んだ事がありました。
お墓の供え物を食べたり、裏山の小動物を食べたり、防空壕に保存しておいた芋などを食べていたのでしょう。
同じ屋根の下に住むのですから・・・・、可愛い奴でした。
 
狸は夫婦になると何時も一緒です。
どちらかが死ぬまで夫婦の絆は守られます。
狸の夫婦に嘘偽りはありません。
一緒に食事して、同じ場所で糞をします。
 
”獣”を篇にして”里”と書いて”狸(たぬき)”です。
”里に住む獣”とは良く出来た漢字です。
もうじき、干支は兎から龍に変わります。
私が選者なら、狸と狐、そして猫を加えます。
親しい動物を干支に加えないのは残念です。
架空の動物や害を為す動物を干支にするのなら、身近で心の通った動物を選ぶべきです。
 
イメージ 4
   瑞泉寺のムジナ塚。沢山の石仏の真ん中に法衣を着た狸が鎮座しています。
 
 
鎌倉二階堂の瑞泉寺には「ムジナ塚」があります。
山門を見下ろす小高い丘の上です。
頭上は藪椿が覆っています。
その上には山楓ですから、とても綺麗です。
 
10体ほどの石仏が車座に座っています。
石仏の輪の中心に狸がいます。
狸はお坊さんの法衣を着ていて、偉そうです。
周囲の石仏はお地蔵さんだったり観音様だったり、様々です。
たとえ狸が仏になったとしても、地蔵や観音よりも上位に座るのはシックリ行きません。
所詮狸は畜生でしょう・・・・?
でも瑞泉寺の和尚さんは、地蔵や観音より狸を上位にしたのです。
イメージ 5
                              何処のお寺にも居そうな狸和尚のお顔です。
 
この狸にも説話があります。
和尚さんと狸との交流です。
一寸した事故で狸が亡くなってしまいます。
それを悼んだ和尚様が立派な塚に葬ったのでした。
(この話は以下に書きました) http://blogs.yahoo.co.jp/yunitake2000/12959212.html
 
イメージ 6
                              瑞泉寺、ムジナ塚からは山門が見渡せます。
 
千葉の木更津に証誠寺があります。
童謡で有名な「狸囃子」のお寺です。
狸が和尚さんを驚かそうと、総出で腹を出して鼓を打ちます。
和尚さんは負けじと三味線を弾きます。
三日目の晩、狸の腹の皮が破れてしまいます。
 
何処のお寺の伝説だか忘れてしまいました、こんな話がありました。
和尚さんは寂しく暮らしていました。
狸が庭先に姿を現すようになりました。
和尚さんは狸を可愛がってあげました。
ある、寒い晩、囲炉裏で暖を取っていると、雨戸をたたく音がしました。
和尚さんが雨戸を開くと、美しい女が居ました。
 
和尚さんは、狸が遊びに来たか・・・・!直感しましたが、囲炉裏に招いて、残りの雑炊を奨めました。
美女は腹は満ちたし、暖かいのでついウトウト寝てしまいました。
和尚さんが見れば、美女から尻尾が出て、着物の前がはだけて白い太ももが覗いています。
”狸を驚かせてやろう・・・”
和尚さんに悪戯心がわきあがって・・・・、囲炉裏の残り火を持ちます。
未だ、少し赤いものが見える炭を美女の太ももに差し込んでしまいます。
美女は飛び上がって驚きます。
その瞬間に心臓が破裂して死んでしまいました。
囲炉裏端に狸が一匹息絶えていました。
 
和尚さんは、心底悔やみます。
そして、懇ろに葬ってあげるのでした・・・。
また、寂しいわび住まいが始まりました。
 
どの、話にも和尚さんと狸の心の交流があります。
ただ、瑞泉寺の和尚さんも美女の和尚さんも、悪戯心が災いになってしまいました。
でも、中世から現代まで狸と和尚さんは心の通う関係にありました。
 
イメージ 7
    正月前の閑静な浄智寺、正面の茅葺屋根が方丈、その向うに竹林があって狸のお墓があります。
 
 
 
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