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上野の東京芸大に「宮迫正典」展を観に出かけました。第一会場は昨日紹介した「芸大美術館」で第二会場は「 アーツ&サイエンス ラボ」でした。芸大美術館の前の道路を隔てて北側が事務棟や教室の並ぶ芸大キャンバスの中核です。その東側「黒田清輝」美術館」との境に「 アーツ&サイエンス ラボ」があります。
宮迫正典副学長の退官記念展覧会を報じた読売新聞記事
総じて赤レンガ作りの古風な建物の中で近代的な五階建ての鉄骨造りの建物です。この中に昨年展示された「バベルの塔」や「クローン美術」の「アトリエ教室」があるようです。その建物の一階ロビーが第二会場でした。
奥の鉄骨造り5階建の建物が「 アーツ&サイエンス ラボ」でそのロビーが第二会場でした。
先日テレビに「籔内佐斗司」氏が芸大の仏像修復工房で指導されている様子を紹介していました。
籔内佐斗司氏は「文化財の模作は仏像製作技術の確認と併せて技術の継承が目的である」と説いておいででした。でも三D技術が進歩すればいとも簡単に摸像は製作可能になってしまいます。でも、三D技術では出来ないのが「技術の継承」と「製作者のスピリットの確認」です。
興福寺天灯鬼像の薮内教室の摸刻像出典同教室HP本文中掲載
芸大の文化財保存室のHPはhttp://www.tokyogeidai-hozon.com/aboutus/member.htmlで、実習の様子はhttp://hozonyuga.geidai.ac.jp/Lecture.htmlに出ています。技の伝承は大いに難しい事です。
上の「点灯鬼像」も平安末期の時代背景と「法灯」を担いで暗い世を照らして欲しい、とした運慶の子(康弁)のスピリットは理解も真似も出来ないでしょう。
第二会場には昨年拝観した像や絵が並んでいました。改めて法隆寺釈迦三尊像の3D製作の中間製造物である蝋型が展示してあって、まるで「空蝉」を視るようでした。ビデオには宮迫正典氏がクローン像制作の意義を説明、更に富山県高岡の鋳物の職人が尽力してくれた事を力説されていました。3Dの最新技術と高岡の鋳物職人に伝承された技術があったからこそ、クローンの法隆寺釈迦三尊は実現できたのでした。
ビデオで高岡の鋳物職人が技を伝承してきてくれたのでクローン仏像が出来たと述べる宮迫正典氏
此方は高岡の鋳物職人釈迦三尊像は高岡銅器で台座は井波木工で再生したのでした。
3Dデータで先ず蝋型を作ります。蝋型に粘土押し当てて粘土の鋳型を作って次に溶かした銅を粘土鋳型に流し込みます。
完成した3Dの法隆寺釈迦三尊像、3D技術の他高岡銅器の技術(銅器に再宿する技術や金箔を押す技術がって初めて完成しました。台座は高岡の隣の井波の木工技術に負っているそうです。
宮廻氏の指導される 「アーツ&サイエンス ラボ」ではバベルの塔やエドゥアール・マネの「笛を吹く少年」も3D技術を駆使して製作していました。
壁に懸っている絵はエドゥアール・マネの「笛を吹く少年」絵をベースに像を作ることもしているようです。
私の父は三越の美術部に行って「葬儀)で使う「遺影」を写真で無く銅像にしようと試みていました。葬儀で遺骨の次には「位牌」その次に「遺影」が並んで葬儀場から家に戻って精進揚げに入ります。写真では無くて像ならば更に良い思ったのでした。私は父を激励して「遺影写真」から「遺影像」を早期に実現するよう、更に実用新案の権利を申請するよう依頼し、私の生涯事業とするよう頼みました。DDCカメラで三方からデータを取れば後は樹脂を削れば出来る事までは良かったのでしたが、今なら3Dプリンターで製作するのはモット容易になっているようです。しかし、父は卒塔婆のプリンターを実現した処で意欲を失ってしまいました。事情は長兄との不仲が表面化してしまったのでした。芸大のキャンバスには沢山の「ブロンズ像」が並んでいます。
芸大の学生が恩師の姿をブロンズに写してキャンバスに置いたモノでしょう。でも3D技術は簡単にブロンズ像を作れてもその精神や技術は伝えられません。
芸大構内にある澤田徳夫先生のブロンズ像。何れ学生の手作り像は無くなり3D像ばかりになるかもしれません。学生も写実よりも精神性を重視した政策姿勢になるでしょう。
芸大守衛室に並んだ団栗とカリンの実、鼻に当てると芳香が香って来ました。
籔内佐斗司」氏の「仏像修復工房」では、仏像の修復から、摸刻をしています。興福寺の阿修羅像の摸刻では、芯礎を木造で作り、表面の微妙な表現は麻布に漆で作っていました。木芯乾漆像は現代では全く廃れてしまっています。阿修羅像を現代人が摸造しようとすることは、第一に木芯乾漆の技術を再現する事でした。廃れた技術の確認と伝承の為には貴重な試みだと思います。3D技術では不可能な試みです。
更に言えば、興福寺阿修羅像を制作した仏師のスピリッツは3Dでは全く解明できないでしょう。同じく康弁が刻んだ「天灯鬼像」のスピリッツも解明できません。世が千路に乱れ「仏法の招来を祈る気持ちにならなければ、仏法を守護する阿修羅にしても世を照らす天灯鬼も理解できません。現代人には想像は出来ても理解不可能なスピリッツです。
3Dでクローン仏像を製作する過程は総て機械任せで、製作者の創意も工夫も思い付きません。ですからクローン仏像を幾つ製作しても、そのスピリッツは思いも及びません。
ですから「正統」は籔内佐斗司」氏の「仏像修復工房」にあって、宮廻副学長の「アーツ&サイエンス ラボ」は科学技術の進歩がもたらした「異端」だと思います。
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