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鎌倉の海蔵寺は花の寺です。桜が終われば「海棠」が咲きます。秋には石段を瀧のよう名萩の花が埋めます。その石段の階に菫が咲きます。剃刀の刃も通らない隙間の無い石積みです。初めて観た時には「こんな隙間に良く菫の種が発根したモノだ」不思議に思いました。
此れは池袋にある熊谷守一美術館のコンクリート外壁に使われた守一氏の蟻のデザインです。此処は守一氏の「終の棲家」で欅の樹の下に筵を敷いて一日中蟻を観察していたそうです。
でも深夜ラジオで山野草は知恵があって菫の種は蜜が付いているのだそうです。蟻が甘い菫の種を探して巣に持ち帰った結果、石積みの僅かな隙間から発芽したのでしょう。
此れは海蔵寺の石積みに咲いた菫です。以前次に書きましたhttps://blogs.yahoo.co.jp/yunitake2000/17926434.html
菫の花を思いがけない処で探すのは楽しい事です。山道で見かけるのは普通な事、石積みの隙間やコンクリートの割れ目で見つけた時には「良くぞこんなところに!」誉めてあげたい気になります。私は目線を下げて歩きます。舗道のアスファルトの割れ目に一列今年も匂い菫が咲きました。
我庭にも菫が今年も咲き出しました。引っ越しした頃は庭中に菫が咲いていたのでしたが樹木が成長するにつけて菫は消えてしまいました。菫は日向が好きで日陰になった途端に他の雑草に負けてしまったようです。其処で3年前生家の裏山に行って立壺菫を採取して菊鉢に植えました。菊蜂を菫を植えたい処に移動させる作戦です。鉢で咲いて種が散れば、其処に菫が発根する事でしょう。
これは野原で採取してきた「立壺菫です。鉢をアッチコッチ移すことで種が散って置いておいたところから新しい芽が吹いて来ます。
此方の匂い菫も採取してきてプランターに植えたモノです。陽向に置いておけばドンドン株が増えます。ワイフも良く水遣りしていますが・・・・。
菫と云えば「三色すみれ」やビオラを想い出します。「パンジー/三色菫」と「ビオラ」は良く似ています。花の大きいのがパンジーで小さいのがビオラです。菫の園芸種が「パンジー」で花数を増やしたのが「ビオラかと思っていました。でも庭でワイフが咲かせた「パンジー」と野生種の「匂い菫」や「立壺菫」を視ていると明らかな違いがあります。野生種は俯きに咲いているのに対し、パンジーは上向きに太陽に向いて咲いています。野生種は地面を這いつくばって生きている蟻さんにアッピールしているように見えますそれに野生種の菫は多年草です。一方パンジーは一年草ですから毎年秋になると苗を買わなくてはなりません。私の習い性で両者の違いが無いか?花弁の数を数えてみました。期待に反してパンジーも菫も花弁の数は5枚でした。唯パンジーの花弁は5枚でも、夫々大きいのに対し、菫の花弁は下の2枚が大きくて(舌弁)あるのに対し他の3枚は(側弁)は小振りなのです。そして全体として筒状に見えます。下向きである事に加えて筒状である事から控えめでお淑やかに見えます。宝塚のお嬢さんの袴姿を想わせる女性美です。
日本女性の美しさや強さは「撫子」に譬えられますが、撫子よりも「菫」に譬えた方が良い様に思えます。こんなに可愛い菫ですから、万葉人が恋を託すには最適です。
先輩に戴いた「万葉花」のページを括ってみました。屹度「大伴家持」「坂上郎女」の歌に在りそうだと思っていた処、意外にも「山辺赤人」の歌が載っていました。
此れは矢富巌夫著「万葉花」の菫のページです、注書きによると壮大な歌が多い赤人が可憐は菫を4首も歌っているのだそうです。
春の野に すみれ採(つ)みにと 来(こ)しわれそ
野をなつかしみ 一夜宿(ね)にける 大意は次のようなものでしょう。
春の野にすみれを摘みに来たのだけれど、懐かしさのあまり、つい一夜を明かしてしまった
万葉人も現代人も菫を愛しています。菫も環境こそ激変してもしなやかに生き抜いています。
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2018年04月01日
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