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ベトナム旅行にて

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ベトナム女性といえばアオザイを着た姿が思い浮かばれます。
  [ベトナム土産、アオザイ人形]
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サイゴンの銀座「ドンコイ通り」を見ていると殆どの女性はスラックスにシャツです。スカートの女性はホテル従業員ぐらいです。アオザイ姿の女性は1割程度でしょうか?観察しているとお土産物屋やアオザイの仕立て販売店など、観光客相手の仕事をしている女性のようです。
ガイドに尋ねると、アオザイは度々着るそうです。私達の着物以上に日常で着られているようです。
郊外に出るとアオザイ姿が目に付くようになります。
女学生は決まって真っ白いアオザイを着て、自転車で通学しています。
  [学校は午前と午後の二部性、午前中の生徒の帰宅風景。女学生は白いアオザイ]
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  [殆どの女学生は自転車通学。真っ白いアオザイとストレートの長い黒髪が美しい]
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  [男子学生は洋服で]
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白ですから洗濯も大変だろうと思います。でも、皆真っ白で清潔です。
背中にストレートな黒髪が鮮やかです。自転車で風になびく姿を見ると「実に美しい」と思います。
そんあアオザイに心惹かれて、帰国してからその歴史を調べてみました。

意外な事にアオザイの歴史は浅いのです。日本の着物の歴史は平安時代まで遡りますから、1300年の及ぶ歴史があります。一方アオザイは18世紀に出来ました。精々200年余りです。
でも、その歴史を振り返るといかにもベトナムらしい、民族の英知が感じられます。
それが興味深く、日本と似ているところがあるのです。

ベトナムは紀元前から隣国中国の強い影響下にあり、時にその統治下にありました。
18世紀には北方騎馬民族が樹立した清朝のコントロール下にありました。
その時にチャイナドレスがベトナムに馴染みました。
その後、フランスの統治下に入ります。其処で洋服の文化が入ってきます。

この二つを素材にして、正装用にデザインされたのがアオザイです。

チャイナドレスの裾が割れて美しい脚が見えると、世の男性は魅了されてしまいます。久米寺の仙人ならずとも「チラリズム」には男性は弱いのです。加えて体形が見える薄くピタッとした着衣です。
女性の美しさを際立たせる意匠はチャイナドレスから採用しました。
シルクの「長い着物」、腰骨にかかるくらいの深いスリット、上衣には「チャイナカラー」と呼ぶ立襟をつけました。

アオザイの上着を必ず長袖にしたのは日焼けしないように、また女性の奥ゆかしさを印象付ける為でしょうか?

そして、自由で活発な行動を妨げない「機能性」は洋服から取りました。
長いズボンはフランス人が着ていたものでしょう。
上着の長いスリットのお陰で活動の邪魔になりません。
アオザイを着てオートバイや自転車に乗って動いています。
日本の着物は美しいのですが、自転車には不向きです。
   [アオザイを着て颯爽とオートバイに乗る女性、右の人]
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二つの「衣」の長所を取って「美しくも機能性に富んだ衣」を創造した訳です。
アオザイは紺や白が大半で、官服になっていました。昔は模様は無かったようです。
ところが「模様やデザイン」はベトナム人の得意とするところです。
ショップには色鮮やかで、様々な模様が施されたアオザイが並べられています。
     [クラブの開店風景。真っ赤なアオザイ女性が誘っています]
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写真はドンコイ通りに立っている女性です。ベトナム旅行者に声をかけてアオザイの仕立てrを誘っています。今注文したら、帰国前に仕立てあがりしておきます、そんなサービスが充実しています。
  [アオザイショップ、ドンコイ通り、店主は日本人]
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  [アオザイを販売する女性]
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この体制を支えるのがベトナム人の裁縫技術でしょう。採寸を終えれば翌日に仕立て上げてしまうのです。総じてベトナム人の手仕事は実に高い水準にあります。
漆や陶器は実に良く出来ています。
路傍に座って仏像など木彫をしている人を見かけます。また、手編み物をしている女性もよく見かけます。手先が器用な事は昔は日本人の特長でしたが、今はベトナム人がそれに当たります。
こうした器用さが採寸データ通りのアオザイを仕立て上げさせるのでしょう。
また、体の線の美しさを強調するアオザイですから、ベトナム女性は太る事は出来ないのかもしれません。皆細身でスラットしています。
でも、観察していると良く食べているのですが。

ベトナム航空ではかつてはピンク、現在では赤のアオザイが女性客室乗務員の制服に採用されています。しかし、最も美しいアオザイは白と紺だと思います。
どうして赤くしてしまったのか、少し残念です。
それに、化粧も目立っています。もう客室乗務員は先進国と変らないようです。
   [ベトナム航空客室乗務員は赤いアオザイで]
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   [ベトナム航空地上職員は青いアオザイで]
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   [男性のアオザイ姿は滅多に見ません。カオダイ教の聖職者がアオザイを着ていました]
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   [土産物販売店の職員は必ずアオザイを着ていました]
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ベトナムには様々な屋台があります。毎日がお祭りの縁日のような景色です。
日本の屋台は軽トラックで運んで、おでんや焼き鳥、雑貨などを販売していますが、ベトナムはこれよりも遥かに質素で素朴です。屋台と呼ぶには「屋根」が付いていないものが大半です。
最小の屋台は、七輪一つで商売をしています。
七輪一つで、「焼き芋」や「スルメイカ」を焼いています。
双方とも良い匂いなのです。
サイゴンの路上でも見かけます。ここではダラットの屋台を紹介します。

ダラット市場は夜遅くまで賑っています。
私たちもうす暗くなってから出かけ、市場内で郷土料理を楽しみ、広場の屋台を廻って遊びました。
   (写真はダラット広場に入る階段、夜になるとここに七輪一つの屋台がたむろします)
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多くが蛍光灯と簡単な展示施設を用意しています。
セーターなどの衣類、サンダルなどの履物、果物屋が路上に並び販売しています。
値段は表示していません。交渉で価格が決定されます。
私達が日本人である事は直ぐにばれてしまいます。
何しろベトナムの価格は日本人感覚の一桁以上安いのです。
だから、幾らネギっても彼等にしては「良い鴨」です。
5つ買えば幾らにする、と直ぐに言い出します。
こんな商い風景もみんな結構楽しんでいます。

そんな見せの間にフォーの店が出ています。そして広場の入り口、階段には七輪一つの「焼き芋屋」「スルメイカ屋」が店を出しています。
   (ダラット市場脇の路上に並んだ屋台。女性の下着売りが多いのはアオザイを着る為?)
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   (屋台のマスコット?店番の子供)
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   [果物を担いで売り歩く。商いに熱心]
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日本の焼き芋は石焼が主流ですが、ベトナムでは七輪の上に金網を置いて直火で焼いています。

日本のサツマイモと同じです。概して小さいお芋なのは火どおりの関係でしょう。4本500グラムが5千ドン(40円)です。娘が買ったのですが美味しいものの食べ切れませんでした。
其処で、ホテルで夜食にしました。
    (焼き芋屋さん)
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    (ホテルで夜食に)
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お隣は「スルメイカ屋」です。
最近は日本でもベトナムからイカやスルメを輸入しているそうですから、「スルメイカ屋」があることは別に不思議ではありません。

日本ではスルメは結納の際に使われます。寿留女の当て字を用い昆布とともに健康や子だくさんを願う象徴となっています。大相撲の土俵にはスルメが埋められている日本の伝統食材です。
歴史は室町時代に遡り、江戸時代には最高の酒の肴になっていました。
江戸に単身赴任した武士は長屋で七輪でスルメを焼いて酒をあおっていたものでしょう。
矢代亜紀の「舟歌」は日本人固有の情感と思っていましたが、ベトナムでは日本以上に日常性の中に溶け込んでいるのを知り驚きました。
   (ダラット広場のスルメイカ屋さん)
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驚いた事に大変に柔らかいのです。イカは「剣先イカ」ばかりで、身は薄いのですが柔らかくて、かぐわしいのです。香ばしさは日本のスルメと同じです。
七輪一つで昼間は観光地で、夜は市場近くの路上で販売しています。
私の娘も、婿殿も、その友人も皆して「このスルメは旨い、日本のスルメ以上に旨い」そう言いながら、ダラットの夜を楽しみました。
   [ダラット広場、後ろのテレビ塔はエッフェル塔のような、いかにもフランス都市の景観と楽しみがありました]
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   [昼間バオダイ離宮前で店を出したスルメイカ屋さん]
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ベトナムの食文化は各国のそれを移入して深い奥行きがあるようです。

昨日書いた「春巻き」は野菜、肉をライスペーパーで包んで食べます。
世界から、中国から、渡って食材や美味しい食べ方を春巻きのように取り込んでいるようです。

この意味では日本の食文化と似た所があります。
寿司とベトナムの春巻きは「巻く」と言う意味では共通し、世界中で認められた食べ物です。


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ベトナム郷土料理店の人気料理といえば、最初に「フォー」で、次いで「春巻き」で間違いないでしょう。フォーはお米を粉にして作った麺を使ったラーメンであります。
日本でベトナム料理の春巻きと言えば「生のライスペーパー」に野菜や肉を包んで食べる「生春巻き」ですが,ベトナムでは「揚げ春巻き」が圧倒的に多いようです。
揚げ春巻きは、親指程度の大きさで、焼き餃子のような感覚で食べられます。
最初にビールに春巻きを注文して、締めにフォーをオーダーする。
私たちのベトナム旅行の定番でしたが、同僚諸氏も同様な趣向のようでした。
これが美味しいし、栄養バランスも良いようです。

  (写真はベトナムのフォー。香草、魚醤油、辛味がたまらない美味しさ)
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揚げ春巻きはライスペーパーにひき肉やキクラゲ、カニ肉、春雨等で作った「アン」を包んで揚げて、ヌクチャムという付タレに浸して食べます。
カラッとした食感とアンの美味しさが魅力です。
付け合せの野菜がたっぷり添えられている事も嬉しいのです。
日本での「焼き餃子、ラーメン、ビール」の取り合わせに似ていますが、野菜が多い事から、「春巻き、フォー、ビール」の方がメタボ叔父さんには、遥かに「体に良い」ように思います。
  (写真は揚げ春巻き)
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生春巻きはもう少し高級料理店で扱っている事が多いようです。
魚のから揚げや鶏肉、牛肉に野菜や春巻きを添えて、生の春巻きに包んで食べます。
野菜には、コリアンダー、ザウムイ、ドクダミ、バジルなどの香草類も含まれています。
最初は匂いがきつく、除けるようにして食べていたのですが、二度三度試して見ると香草が美味しく感じられだしました。
程なく病み付きになってしまいました。
香草はベトナム料理に欠かせない、そう確信しました。
栄養的な事とあわせて、解毒など漢方薬の意味もあるのでしょう。
  (写真が生春巻き)
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ライスペーパーは形も様々なようです。サイゴン市内では総て円かったのですが、北のハノイでは総じて四角だそうです。
日本でも関東の「切り餅」関西の「丸餅」のような地域文化の差がベトナムにもある事が興味深くおもいました。

サイゴン市内から1000キロ余り北に、ベトナム戦争の激戦地、反米ゲリラの拠点「クチ」に行きました。
一面の水田、雑木林はゴムのプランテーション、簡易舗装の農道が続いて、学校帰りの生徒さんが自転車に乗っている、遠くに見えるのはバーデン山。時折水牛が道路に寝そべっている、そんな景色が延々と続きます。
長閑な平和な景色です。30年前は一面が枯葉剤で焼き尽くされていたのでしょう。
ガイドさんに「ベトちゃん」の話をすると、「枯葉剤の被害者は沢山いる」との返事でした。
   (クチの道)
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農家の庭先にライスペーパーを干している風景が見られるようになりました。
そう、此処一帯はライスペーパーの産地なのです。
雰囲気は奈良三輪山の素麺を干す景色、栃木の干瓢を干す景色に似たものがあります。
運転手さんにお願いして、そんな農家の一軒にお邪魔して見学させていただく事にしました。
立派な農家でした。レンガ積みの堅固な家で大きな耕運機もお持ちです。
竹を編んで作った干し板は昔母が使っていた「着物の干し板」を思い起こさせます。
和紙や海苔を干す景色にも似ています。
庭先は干し場も無いほど既に立掛けてありました。
屋敷森状に植えられた木は鮮やかな花が咲いています。
帰国して調べると「鳳凰花」と言うのでした。
確かに鳳凰の尾羽のような鮮やかな色彩の花でした。
白いライスペーパーの上に朱色の花弁が散っていました。
  (鳳凰花の樹陰にライスペーパーを干す)


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 (鳳凰花)
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家の奥では主人がライスペーパー作りに精を出していました。
土間の奥に竈があります。土を練り上げて作られています。
主人の横には桶があります。桶にはライスペーパーの原料、お米を挽いて水に浸した「糊/のり」が入っています。柄杓に糊を取って、板の上で手早く円く延ばします。
更に蒸して、素早く干し板の上に乗せて行きます。
一枚の干し板に6枚のライスペーパーが置かれてゆきます。
一分程度の間に一枚の干し板が出来上がります。
奥さんが干し板を先ず日陰に干します。ライスペーパーは「パリパリ」音を立てて干しあがって行きます。
御婆さんとお孫さんが私たち突然の来訪者を伺っています。
お辞儀をするとお孫さんは物陰に隠れてしまいました。
   (ライスペーパーを作る)
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   (ライスペーパーを干す)
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ガイドに伺いました。「見学させていただいたお礼はどうしましょうか?」
ガイドさんのお返事は「この家のライスペーパーは美味しいすよ」
そこで買い求める事にしました。
1ドルを請求されました。渡されたライスペーパーは100枚に及びました。なんと1枚1円のです。
今回のベトナム旅行から帰るに際して最大の荷物になったのでした。帰ってインターネットで調べてみると、ライスペーパーは350円でした。10枚程度でしょうか。
産地の35倍の価格差には驚きました。
ベトナムの物価は実に低いのです。
それは生活しやすい事と、将来の発展余力の大きさを示しているのでしょう。
   (ライスペーパー農家)
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   (お米を粉に挽く)
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サイゴン市内には街路の其処此処でプロパガンダポスターを見ることが出来ます。
街路樹の陰に、原色の色使いのポスターは目立つと共に美しいと思います。
殆どがイラストで活字は無いかあっても文字数は少ないようです。
「何の目的のポスターなのだろう」見入ってしまいます。
今、最も目立つのが「南北統一」「様々な職業の人が力をあわせて国を作ろう」そんな宣伝、思想教育、啓蒙を目的としたものです。
政府が作成しているのでしょう。こうしたポスターがサイゴン市内で目立つと言う事は、ハノイ政府にとっては、「南部は未だ不十分な面がある」と言う事かもしれません。
原色の派手な色使いや明確な主張が特長でしょう。ハッとする美しさもあります。
  (写真はホーチミン人民委員会庁舎近くのポスター。街路の片側300メートルほどに並んでいました)
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  (写真は国を作ろう、呼びかけるポスター。)
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  (市民劇場横のポスター)
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私達はポスターと言うと、クリムトやロートレックを想い起します。19世紀末に一世を風靡したポスターは世紀末の雰囲気や華麗な美しさ、どこかに漂うアンニュイ、甘美な誘いや退廃的な美しさがあります。
私達はこれに慣れています。
ポスターの目的が「商業主義」「顧客集め」だからでしょう。

一方、ベトナムのプロパガンがポスターは目的が違います。
啓蒙や国造り画目的ですから、建設的で力強く、前向きなのです。
私のように、30年以上資本主義、拝金主義の戦いに疲れた者にとってはこのプロパガンダポスターが眼に新鮮です。
  (ポスター各種。世界平和を訴える)
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  (愛国反抗ポスター)
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第一にベトナムの国旗自体がプロパガンダポスターです。
真っ赤な地色は「血の」色で、米を収穫する鎌と国土や工業を興すハンマーが描かれています。
このセンスでポスターが描かれています。

ベトナムが社会主義国だからプロパガンダポスターが目立つ訳ではありません。
北京には「オリンピックを成功させよう」と言うポスターなどが目立ちますが、プロパガンダポスターは殆どありません。同じ位置に貼られているのは「イヌを放置すると罰せられます」「ゴミを放置すると罰せられます」そんな趣旨のもので、誰も「美しい」等とは思いも依りません。
香港では流石にそんなポスターはありませんが、商業主義が跋扈しています。


日本人も欧米人もプロパガンダポスターを新鮮に感じているのでしょう。
これを復刻版にして「アートポスター」の店がドンコイ通りにあります。
また、アートポスターをTシャツなどのグッズにプリントして、土産品で売っています。
多くが最近のポスターではなく、ベトナム戦争時代のポスターが主流のようです。
   (愛国反抗ポスター)
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一般に土産物のTシャツは3ドル程度なのですが、プロパガンダポスターがプリントされたTシャツは20ドル前後ですから高いのです。
特に米軍の迷彩色を下地にしたTシャツは、強い主張、米軍に対する皮肉と愛国心に満ちています。
また、米軍のテントや軍服を素材にしたグッズも見られます。
これ等を眺めているとベトナム民族の「したたかさ」を痛感します。
ベトナムの歴史が中国やフランス等大国の攻勢に晒されてきた、その事実がしたたかさを育んだのでしょう。
   (反戦アートをプリントしたTシャツ)
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これ等は反米感覚のあるヨーロッパ人、日本人、中国人が顧客のようです。
ベトナム人にとって米軍に屈服しなかった事実は誇りでしょうが、もう過去の事のようです。
米国商品やサービスに対する反発はありません。
サイゴンの最高級ホテルも米国ホテルチェーンですし、ケンタッキーフライドチキンも其処此処にあります。娘に「マクドナルドが無いね?」と訊くと教えてくれました。
「挟んで食べる文化」はベトナム伝統で、もっと美味しくてファーストフード屋台が沢山出ているので、マックには進出の余地が無いのですよ。

プロパガンダポスターは既にアートであります。
そして、気になるのはポスターの著作権はベトナム政府にあるのでしょうか?
メッセージ性が時代を経て改めて新しい事から、価値アップしていると思われます。

   (ブロンズ彫刻もプロパガンダアートで。中央郵便局前で」
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昨日は新興宗教「カオダイ教」を紹介しました。宗祖が「平和で静かな生活」を祈って説いた新興宗教が、侵略者との戦いが終焉してようやく平和が訪れた時に、信者は老化し教団が衰退してゆく姿を直視し複雑な思いがしました。
今日は、もう一つ心に残ったカトリック教会を紹介します。

ダラットはサイゴンの北方250キロに位置する高原都市です。
高原といっても1500キロの高さですから日本で言えば谷川岳の山頂の高さです。
でも、緯度が低いので軽井沢のような避暑地の雰囲気です。
ダラット空港から凸凹の国道を一時間揺られるて、峠を越えてダラットの町に入ります。
峠は松の美林でした。ついガイドに尋ねました。
「この松林に松茸は採れますか?」
傍で家内が笑っています。「松茸って何ですか?」
良く観察すると一面が黒松林です。日本の海岸で防砂林に植わっている松です。松茸が生える筈がありません。
翌日ダラット市場で生鮮野菜の売り場を見学しました。
山積みされた高原野菜の中に期待のキノコは全くありませんでした。
   (写真はダラットに向かう飛行機から撮影。山の向こうの桃源郷がダラット)
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   (ダラットに向かう峠道の入り口、山は実に綺麗に手入れされていました。松葉を集めて燃料にすするのでしょう。)
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ダラットは町の中心にスアンフォン湖がありますので、スイスのジュネーブ(レマン湖)のような印象です。町自体はフランス人が計画しましたので、町の中心ダラット市場から眺めると、正面にテレビ塔があり、その左にダラット教会のゴチック建築風の尖塔が見えます。
円形広場に向かって階段があり、フランス都市をコピーしたような印象です。
避暑地で町が綺麗、湖がロマンチックですからベトナム人の新婚旅行の憧れであります。
これから乾季、結婚風景やカップルを見ることが出来るのでしょう。

ベトナム人は54もの民族から出来ているそうです。しかし、90%がキン族です。ガイドもキン族と言っていました。キンとは都市の意味ですから、キン族とは「平野や都市に住む人達」の意味でしょう。
残りの民族が山岳に住む少数民族です。
ダラットの近郊にも山岳民族が沢山いるようで、彼等は基本的には「シャーマニズム」であります。
そうした村々に近代化、文明化の波が押し寄せているのです。

ダラットの町を築き、この町に最後の王様「パオダイ」を幽閉したフランスであります。
彼等はもう一方で山岳民族にキリスト教を布教して行きました。

私が「ラット村」に行こうと決めたのはガイドブック(昭文社/個人旅行ベトナム)に写真が載っていたからです。一見して西部劇の舞台を想い起す、寂寥感がありました。
その粗末な家が「山岳民族の高床式住居」であり、広場には大きなトタン張りの教会があったのです。
ダラット市場でタクシーを拾いました。スズキ製の日本では見かけない車両で、悪路には閉口しました。

  (ダラット郊外は棚田と高原野菜風景)
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  (ダラット郊外の教会、田園風景にマッチして、でもヨーロッパ風)
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棚田や高原野菜の畑を見ながら17キロ走ると道路左に近代的なコンクリート建物がありました。
学校です。その先を右折すると目指すラット村の広場がありました。
広場は雑草が広がり子供達がサッカーのボールを追いかけています。
子供が走る場所だけ土が見えていますが、周囲が雑草が生茂っています。
そして、圧巻はトタン屋根の大きな教会です。
トタンは赤茶びて既に腐食が進んでいます。教会の中に入ると、其処から陽が差し込んでいます。
スコールが降りますから、その時はどうなるのでしょうか?心配です。
屋根には木製の十字架がかかっています。十字架に気づかなければ、大きな倉庫のように見えるでしょう。

   (ラット村教会は広場にありました。子供達はサッカーで夢中。奥に鐘楼)
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   (教会正面、屋根の十字架が教会である事を示しています)
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牧師か教師か解かりませんが子供達を座らせて講話をしています。
私達3人が突然に教会に入りました。一斉に子供達の目が私に注がれた気がしました。
静寂の中に穏やかな教師の講話が続きます。
色ガラスが入った窓があります。キリスト像よりもマリア様が大きいのはベトナム人の感覚でしょう。
高地民族のシャーマニズム信仰が消える事は考えられません。それは日本人もそうですから。
子供達には皮膚感覚のシャーマニズムがあり、慈愛のマリア様があるのでしょう。
はたしてキリストはどんな位置にあるのでしょうか?
  (講話風景、子供達が熱心に講話に聞き入っていましたが、突然の闖入者である私達を見ていました)
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  (マリア様)
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  (ステンドグラスならず、色ガラス)
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高床式住居は三棟保存されていました。見学させていただきました。
1メートル弱の梯子を上って入ると、八畳ほどのワンルームで、最深部に神棚があり、その他の生活雑貨が隅に置かれていました。
矢鱈と酒壷が目立ちます。酒は当地の名物である事は市場で確認していましたが、その数の多さに驚きました。日本に帰って調べてみると「酒の数量」が金持ちの表れであると書いてありました。
そして、歓迎の意味で「酒を飲ませる」そうです。酒を断ると礼を逸する事になるそうです。
其処まで先のガイドブックには書いてなかったので、知らず私達はお酒を断ってしまいました。
   (高地民族の高床式住居)
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一棟の高床式住居は土産物売り場になっていました。お嬢さんが機織を実演していました。
数点買い求めましたが、この織物もサイゴン市内では一般に土産物店に並んでいました。
この村の収入に観光は相当役立っているのでしょう。
叉、学校の前を通ってダラット市内に戻りました。観光客は私達だけでした。
    (機織する娘さん、ここは土産物店)
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日本に帰ってインターネットで「ラット村」について調べてみました。
するとネット上では「ラット村の学校」が日本の援助で出来た事が記されていました。
50余りの山岳民族の中から偶々「ラット村の学校を作るのに支援した」、その結果日本のガイドブックにラット村が紹介され、私のような一見の観光客が立ち寄るようになったのでしょう。
フランス人宣教師の地道な布教活動と、日本の教育支援と二つが並んでいました。
時間の経過が教会風景を村に馴染むものにし、新しい学校は場違いな印象を与えているように思いました。
日本の機関の方に訊いて見たい衝動に駆られました。
学校のデザインは「ラット村」の方に任せたのですか?それとも東京の設計士に丸投げしたのですか? 

風景に馴染まない学校に日本の機関が関係している、と解っていれば写真を撮ってきたのに、残念でした。


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