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脳梗塞を発症してから、最初に外出したのは武蔵の「野火止め」の平林寺でした。雑木林の細道を慎重に歩いて平林寺裏の雑木林を巡りました。
あの時の悦びが忘れ難くて、12月4日に平林寺に上ることにしました。
我家からは横浜に出て東横線、地下鉄副都心線、東武東上線と乗り継いで志木駅で降りて、バス(雲雀ヶ丘行き)に乗れば平林寺門前に着きます。東横線から先はFライナーと云う特急で乗り換えなしで着きます。文庫本を読んでいればもう志木です。
学生時代には当時の日文研の指導者だった浅子教授に連れられて、正福寺(東松山)と併せて廻った記憶があります。当時の私の目では正福寺本堂(国宝)と平林寺本堂(都重文)の区別は良く解りませんでした。それでも国木田独歩の「武蔵野」の名文の印象が強くて(原作は小手指の雑木林で古戦場)、青年らしく白秋の落葉松(カラマツ)をクヌギに置き換えて口ずさんだのでした。白秋の落葉松は軽井沢が舞台です。
『からまつの林を過ぎて、 からまつをしみじみと見き。 からまつはさびしかり けり。 たびゆくはさびしかりけり。 二からまつの林を出でて、 からまつの林に入りぬ』
の落葉松をクヌギに置き換えれば平林寺裏の雑木林に最適なのでした。
菱田春草の名作「落葉」を観るような雑木林でした。
これが菱田春草の「落葉」です。平林寺裏の雑木林『野火止用水が流れている)の画材になったような景色です。
で、午前11時には平林寺山門を潜りました。山門や仏殿周囲の紅葉は明らかに京都風のいろは紅葉です。でも野火止用水の流れている雑木林の中に自生している紅葉は関東の山紅葉です。
此れは平林寺山門前の紅葉です。この辺りの紅葉は先々代住職が京都から取り寄せて植えられたものだそうです。平日でも観光客が多かったです。
平和観音周囲の紅葉もいろは紅葉でした。
先月安曇野で鑑賞した七色大紅葉と同じ山紅葉です。いろは紅葉は一気に赤く紅葉しますが、山紅葉は陽当りや北風の風当たりによって紅葉のスピードが違います。
平林寺裏の雑木林は周回路になっています。椎樫等の照葉樹に松などの針葉常緑寺そして山紅葉やクヌギなどの落葉広葉樹が混在しています。
周回路から雑木林の向こうに見えるのは名門松下家の墓所です。雑木林の美しさは菱田春草の「落葉」を髣髴させる見事さです。
左側にあるのは九十九塚と案内されていました解説には野火止の監視にこの塚に登ったとしてありました。
これは業平塚の前の松林です。業平塚と云っても実際に業平の墓ではなくて矢張り野火止めの監視塔を伊勢物語に因んで「業平塚」と呼んで風流としたものであろう、説明してありました。野鳥用の巣箱が取り付けてありました。赤げらを初め啄木鳥が多く生息しているとp説明してありました。
一木総てが真っ赤になるのが綺麗だと思えばいろは紅葉が最高ですし、葉も大きいのですが、少しずつ紅葉して、緑・黄・橙・朱のグラデーションが好きなら山紅葉の方が風雅です。私が学生の頃の記憶では平林寺にはいろは紅葉では無く、山紅葉だけでした。上の菱田春草の絵画の様な雑木林でした。ところが前回登った時も今回もいろは紅葉が目立っています。そこで、山門横で入山券を販売している係員に訊いてみました。明らかに係員は平林寺のお檀家で次の様に答えて下さいました。50年以上も前でしたら。先生代の住職が京都からいろは紅葉を取り寄せて仏殿や山門の周囲に植えました。でも裏山には手を入れていませんから裏山も紅葉は山紅葉が自生して増えたまでの事です。一般に紅葉は渓流に自生繁殖します。一番の例えが法隆寺の西側竜田川の紅葉です。「神のまにまに」謳われた竜田川の紅葉は山紅葉です。樹木は総じて湿った土地は嫌いです。湿った土は息が出来ないので根腐れしてしまうのです。でも山紅葉は湿った土が好きですので渓流の周囲は紅葉だけが生育できるのです。平林寺の裏山は入間川等の伏流水が湧き出しているので野火止め用水が流れています。そんな自然環境が山紅葉の占拠を促したと思われます平林寺の本山は京都の妙心寺です。妙心寺は臨済宗の本山であると同時に紅葉の名所です。
屹度先々代の平林寺住職は妙心寺の紅葉に心惹かれて居られたので。その伝手でいろは紅葉を取り寄せ平林寺の境内に植えられたのでしょう。住職のその姿を観ていてお檀家の方や雲水さんが山紅葉も大事にされたので、現在の様な美しい武蔵野雑木林に本来の黄色の他に朱色を加えたのでしょう。池袋から1時間横浜から2時間足らずでこんなに美しい紅葉の名所がある事は愉快な事です。何しろ態々京都に行かなくてもいろは紅葉も武蔵野紅葉も満喫できるのですから。雑木林は天然記念物であり現皇太子のお言葉も添えられています。雑木林の中で飲食する事は禁じられています。でも至る所にベンチが設えて在って雑木林を鑑賞する事が出来ます。私はベンチに腰かけてミネラルを飲みましたが甘酒でも飲めれば最高です。そう想って山門を出れば道路向かいの茶屋のお汁粉に甘酒の看板が目に飛び込んできました。
平林寺門前の茶屋はお汁粉と甘酒の看板が出ていました。
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